コラム

2023〜24年に段階的な施行がされる改正不動産登記法のポイント|相続登記しなければペナルティがある場合も

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この記事の内容

この記事を監修した人
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート  代表司法書士 斎藤 竜(さいとうりょう)
司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに350件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策に取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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不動産の相続を予定している方


この記事のポイント

  • 不動産を相続した方は、相続登記が義務化されている
  • 住所や名称の変更は任意から義務に変更
  • 過料を課せられる場合もあるので、注意が必要


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以下の記事でも解説したように、「民法等の一部を改正する法律」が2021年4月に成立し、施行される2024年4月1日より「相続登記」が義務化されます。


不動産の相続登記に期限はない?|登記しないときのデメリットとは|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

登記はいつまでにすればよいのでしょうか?  実は現行の法律では、登記の期限は明確に定められていません。しかし、相続した不動産の登記をしないままでいると、不動産の本当の所有者が誰なのかわからなくなることをはじめとした、さまざまな弊害が生じあります。また、2021年4月21日に成立した改正法により2024年4月1日から相続登記が義務化されます。  そこで、この記事では相続した不動産の登記の期限や登記をしないことのデメリットを解説します。

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この法改正の背景には、不動産登記がきちんとおこなわれていないために、所有者不明の土地が全国各地に発生してしまっているという社会問題があります。この所有者不明土地問題の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わるのです。 

その法改正の一つとして、2024年4月1日より施行される「相続登記の義務化」があり、正当な理由がなく相続登記を怠ると、10万円以下の過料というペナルティが課せられることになります。そのほかにも、この2023年4月には、実態とは異なり形骸化してしまった登記を権利者が単独で抹消申請できるようにする規定が設けられるなど、不動産登記法は段階的に改正法が施行されていきます。

そこで、この記事では不動産登記法の概要や、2021年の改正法について、相続登記の義務化以外の変更点・ポイントを含めた解説をします。

不動産登記法とは

不動産登記とは、土地や建物などの「不動産」の所在地や所有者・権利者などについて、法務局が管理している記録のことです。登記をおこなうことで、法務局の帳簿に情報が書きこまれ、だれでも閲覧できるように公開されます。

不動産登記法とは、この「登記」の手続きについて、どういった形式で、どんなことを記録するのかを定めた法律です。 

2023年に施行される改正法のポイント

2023年4月に施行される改正不動産登記法には、「形骸化した登記の抹消手続の簡略化」が盛り込まれています。以前の制度では、登記された権利がすでに失われている場合でも登記権利者単独での登記ができないためそれが抹消されずに放置されているケースが散見され、抹消の手続きやコストが課題であるとされていました。

2023年4月の改正法では、「買戻しの期間がすぎている買戻し特約に関する登記」「登記された存続期間が既に満了している地上権等の権利に関する登記」「解散した法人の担保権(先取特権・質権・抵当権)に関する登記」について、売買契約から10年経過した年数など一定の条件を満たした場合に、権利者単独で登記の抹消を申請できるようになります。

2024年以降に施行される改正法のポイント

2024年4月以降に施行される改正不動産登記法は、主に2024年4月から施行が始まる「相続登記に関する改正」と2026年4月までに施行される「住所等の変更登記に関する改正」の2つの改正があります。

相続登記に関する改正

相続登記に関する改正は、以下の2つです。

1点目が、相続登記の申請義務化。不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をする必要があります。2024年の改正法施行によって、正当な理由がなく相続登記を怠った場合には、10万円以下の過料が課せられます。

2点目が、相続人申告登記です。相続登記が義務付けされたことに伴い、相続登記が簡易化されました。その一つとして新設されたのが相続人申告登記の制度です。「所有権の登記名義人について、相続が開始したこと」と、「自らがその相続人であること」を登記官に申し出ることで、相続登記の義務が免除されます。ただし、相続人申告登記についても、正当な理由がなく申告漏れをした場合は5万円以下の過料が発生するので注意が必要です。

住所などの変更登記に関する改正

現行の制度では所有者の住所変更や氏名・名称変更についての登記の変更は任意とされていますが、これが義務付けされます。改正法は2026年4月までに施行予定です。住所等の変更登記申請義務についても罰則規定があり、正当な理由なく申告漏れをした場合は5万円以下の過料が課せられます。

また、登記官が住民基本台帳ネットワークシステムなどほかの公的機関から取得した情報に基づいて、職権で変更登記が可能になる新たな制度も導入されます。

不動産登記法改正とともに成立した法改正

2021年4月に成立した「民法等の一部を改正する法律」では、所有者不明土地の解消と発生予防を目的に、民法の改正や相続した土地の所有権を放棄する制度が創設されました。

民法の改正

2023年4月に施行される改正民法では、「財産管理制度」「共有制度」「相続制度」「相隣関係規定」が見直されています。具体的には、以下のとおりです。

改正のポイント
内容
財産管理制度の見直し所有者不明・管理不全の土地や建物の管理制度を新設
共有制度の見直し共有者が不明な共有物の利用を円滑化
相続制度の見直し長期間が経過した遺産分割の見直し
相隣関係規定の見直しライフラインの設備設置権などの規定を整備



2023年4月施行の「民法」は何が改正される?所有者が不明の不動産も管理・処分可能に|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

2023年4月に施行される民法改正では、不動産の取引や権利、相続に関連する部分が改正され、所有者や共有者が不明の不動産も、より柔軟に管理・処分ができるようになります。とくに不動産の相続についての改正は、相続の方法を検討している、家をもっている方にとって、非常に気になる方も多いのではないでしょうか。  この記事では、相続にも大きくかかわってくる2023年4月施行の民法改正の内容とポイントを解説します。

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相続土地国庫帰属法

土地を相続したものの負担が大きく、所有権を手放したいと考える所有者に対して、土地を放棄し国庫に帰属させることを可能にする制度が新設され、2023年4月27日に施行されます。 

ただし、土地を国庫帰属させるには「通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地」は不可(同法第5条)といった条件があり、国庫帰属の申請が通った場合も、申請者が土地管理費10年分の負担金を納付する必要があります。


相続土地国庫帰属法・制度とは?相続土地の処分に悩む人は必読|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

不動産を複数もっている人、あるいは、それを相続する立場の人にとっては「できたら相続させたくない/したくない不動産がある」という物件もあるかもしれません。そんな悩みの解決策の一つとなるのが、2023年4月27日に施行される「相続土地国庫帰属法」、そしてこの法律によってスタートする相続土地国庫帰属制度です。土地に限定した制度ではありますが、その詳細を見ていきましょう。

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(参考:法務省民事局「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要」

相続登記は必ずおこないましょう

これまでも「楽クラライフノート お金と終活の情報サイト」では、早めの相続登記をおすすめしてきました。いままでは事実上、義務ではなかった相続登記ですが、2024年4月1日からは義務化のうえに相続登記をしなければ過料が課される場合もありますので、相続登記は必ずおこなうようにしましょう。

「土地を相続したものの、どうしても使い道がなく、かといって処分するのも大変……」と、悩みを抱えている方は、新たな可能性として「相続土地国庫帰属法」の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

実際の相続登記の手続きに関しては以下の記事を参考にしてください。


相続登記にかかる費用は?司法書士の選び方や自分で相続登記する際の注意点も紹介|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

不動産を相続する場合、「登記」とよばれる手続きが不可欠です。もし登記をおこなわなければ、相続した不動産が自分のものであると証明できないなどのリスクがあります。 不動産の登記にあたっては、税金や手数料といったさまざまな費用が発生します。この記事では、不動産を相続するにあたって登記にどのような費用がかかるのか、その内訳についてくわしく解説します。

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不動産の相続登記に期限はない?|登記しないときのデメリットとは|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

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また、改正不動産登記法とも関連する以下の記事もぜひご覧ください。


2023年4月施行の「民法」は何が改正される?所有者が不明の不動産も管理・処分可能に|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

2023年4月に施行される民法改正では、不動産の取引や権利、相続に関連する部分が改正され、所有者や共有者が不明の不動産も、より柔軟に管理・処分ができるようになります。とくに不動産の相続についての改正は、相続の方法を検討している、家をもっている方にとって、非常に気になる方も多いのではないでしょうか。 この記事では、相続にも大きくかかわってくる2023年4月施行の民法改正の内容とポイントを解説します。

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相続土地国庫帰属法・制度とは?相続土地の処分に悩む人は必読|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

不動産を複数もっている人、あるいは、それを相続する立場の人にとっては「できたら相続させたくない/したくない不動産がある」という物件もあるかもしれません。そんな悩みの解決策の一つとなるのが、2023年4月27日に施行される「相続土地国庫帰属法」、そしてこの法律によってスタートする相続土地国庫帰属制度です。土地に限定した制度ではありますが、その詳細を見ていきましょう。

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(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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