基礎知識

相続登記にかかる費用は?自分で登記するメリットとデメリット

この記事の内容

国税庁が2020年12月に発表した「令和元年分の相続税の申告状況について」によると、日本で相続税の申告対象となった相続財産のうち金額換算で約40%は土地や家屋といった不動産であることがわかっています。相続財産が土地と家屋だけしかない場合、とくに地方では相続税の申告対象にならないことも多いため、より多くの不動産が相続されていることが考えられます。

不動産を相続する場合、「登記」とよばれる手続きが不可欠です。もし登記をおこなわなければ、相続した不動産が自分のものであると証明できないなどのリスクがあります。

不動産の登記にあたっては、税金や手数料といったさまざまな費用が発生します。この記事では、不動産を相続するにあたって登記にどのような費用がかかるのか、その内訳についてくわしく解説します。

登記とは

土地や建物を購入した経験がない方にとっては、登記という言葉は耳にしたことがあっても、具体的に何を指すものなのか分からないケースは多いことでしょう。また、不動産を相続するタイミングで、はじめて登記という言葉を耳にする方も少なくありません。

不動産における登記とは、その土地や建物の所在地・所有者などを法務局で記録することです。登記をおこなうと、法務局の帳簿に土地や建物の所在地・所有者などの情報が記録され、その情報はだれでも閲覧できるようになります。

なお、「登記」には不動産以外にも、会社や各種法人に関する情報を記録する「法人登記」、船舶の権利関係を記録する「船舶登記」なども存在します。そのため、これらと区別するうえでも不動産の登記については「不動産登記」ともよばれています。

相続で登記する際にかかる費用のすべて

土地や建物を相続した場合、不動産登記にかかる費用には税金や手数料などさまざまなものがあります。

それぞれの費用の内訳および金額について解説しましょう。

登録免許税

不動産を相続する際は、「所有権の移転の登記」とよばれる手続きが必要となります。「相続による名義変更」といえば、この所有権移転登記を指します。登記に際しては、登録免許税とよばれる税金を納付しなければなりません。

登録免許税の算出方法は以下のとおりです。

登録免許税額=課税標準額×税率


上記のうち、課税標準額とは、毎年度発行されている固定資産税・都市計画税の納税通知書のなかの「評価額」(または「価格」)に記載されている金額です。「固定資産税課税標準額」ではないため注意しましょう。なお、金額が1000円未満の場合は切り捨てとなります。

余談ですが、この評価額はあくまで登録免許税の計算に用いるもので、相続税の計算の際には別の金額を算出して計算することになります。土地の場合は路線価を基にした「路線価方式」と固定資産税評価額を基にした「倍率方式」があります。

また、相続の場合の税率は1000分の4(0.4%)です。ちなみに贈与や売買などの場合は1000分の20(2%)となります。なお、金額が100円未満の場合は切り捨てとなります。

司法書士に支払う手数料(司法書士報酬)

土地や建物といった不動産の相続手続きについては、司法書士へ依頼することも可能です。依頼内容もさまざまで、戸籍などの法務局提出書類の収集も含めて委託するケースもあれば、書類作成および申請手続きのみを委託するケースもあります。

相続する不動産の課税標準額や物件数などによっても司法書士報酬は変わってきますが、土地建物一つずつで5〜10万円程度が相場となっているようです

提出書類の取得費用

不動産の相続登記には、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本や除籍謄本、相続人の戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などの書類を用意する必要があります。

戸籍謄本の取得には1通あたり450円または750円がかかるほか、自治体によって異なりますが住民票は200〜300円、印鑑証明書も200〜300円の費用がかかります。

また、相続する不動産の情報を申請書に正確に記入するためには、登記簿謄本も必要です。これを法務局の窓口で取得するためには、1物件あたり600円の手数料が必要です。

遺産分割協議書の作成費用

不動産を相続する人が複数存在し、相続人全員で話しあい法定相続(民法で定められた割合。配偶者と子2人なら配偶者が2分の1、子はそれぞれ4分の1)とは異なる割合で相続する場合などは、遺産分割協議書とよばれる書類を作成する必要があります。必要な記載事項がいくつか存在するため、司法書士へ書類作成を依頼するケースも少なくありません。

司法書士へ依頼した場合、上記で紹介した司法書士報酬にさらに上乗せとなるケースもあります。遺産分割協議書に記載する内容や相続する不動産の課税標準額によっても作成費用は異なるケースがあるため、事前に司法書士へ確認しておきましょう。

相続登記は自分でもできる?

不動産の相続登記と聞くと、「法律にくわしくないから自分には無理」、「司法書士でなければ手続きできないのでは?」と考える方も多いでしょう。たしかに、専門家に依頼する場合には司法書士に依頼することになります。しかし、相続登記は必ずしも専門家でなければ手続きができないというわけではなく、自分自身でおこなうことが可能です。

自分で相続登記をおこなうときのメリット・デメリット

では、相続登記を自分自身でおこなう場合、どのようなメリット・デメリットが考えられるのでしょうか。それぞれのポイントを整理して紹介します。

自分で相続登記をおこなうメリット

費用を抑えられる

自分自身で相続登記の手続きをおこなう場合、司法書士へ依頼する必要がないため、手数料を抑えられるメリットがあります。

登録免許税や戸籍謄本、住民票、印鑑証明書といった法務局提出書類を揃える最低限の費用はかかりますが、それ以外にかかる費用はありません。

不動産の状態を自分で確認できる

土地や建物といった不動産の登記された情報は、所有者本人ですらも目にする機会が多くありません。自分自身で相続登記をおこなうことにより、より関心をもって登記簿を確認できます。

自分自身が不動産の権利関係を把握しておくことで、不動産を売却したり担保に入れたりといった手続きが必要になったとき、スムーズに手続きを進められるようになるでしょう。

自分で相続登記をおこなうデメリット

平日日中に時間を確保しなければならない

登記申請書を提出する法務局、および相続登記に必要な戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などを取得する役所は、基本的に平日の日中しか窓口が開いていません。

また、手続きの仕方や書類の書き方を法務局に質問するときや、書類の不備があった場合に連絡を受け、訂正する際にも、平日の日中に対応しなければなりません。法務局への相談は原則的に予約制になっており、一度で済めばまだ良いですが、手続きに不慣れな一般の方であれば複数回法務局を訪れることも珍しくありません。

そのため、自分自身で相続登記をおこなう場合には、平日日中に(それも何度も)時間を確保できることが必要となります。

税金の計算が煩雑

相続する土地や建物が複数存在する場合や共有持分のみの相続の場合、物件ごとの課税標準額から登録免許税を算出しなければなりません。また、物件のなかには評価額の記載のないものもあり、法務局と金額の擦り合わせが必要な場合もあります。土地一つ建物一つ程度であれば計算も簡単ですが、共有持分の相続であったり評価額の記載がない場合などは計算も煩雑となってしまいます。

もし、税金の計算を誤ったまま法務局へ登記申請書を提出し登録免許税を納付してしまうと、不足する場合は追加納付、納め過ぎの場合は還付手続きの連絡が来ます。還付手続きには別途還付申請書を作成し提出しなければなりません。還付金は法務局から返ってくるわけではなく、管轄の税務署を通じて事後的に還付されることになりますので、注意が必要です。

抵当権の登記がある不動産に注意

抵当権とは、お金を借りる際に不動産を担保にすることで、返済不能に陥った場合に備えて債権者(銀行など)が差押えて競売にかけられるようにしておく権利です。
たとえば住宅ローンを利用して家を買うとき、その家に銀行が抵当権を設定するケースが代表的です。この場合、もし借り手がローンを返済できなくなれば銀行は抵当権を行使して家を差し押さえ、競売手続きを経て貸したお金を回収します。

もし、相続する不動産に抵当権が設定されたままになっており、すでに借金が返済されているという場合は銀行などとやり取りしたうえで相続登記と併せて抵当権抹消の手続きをしましょう。相続する不動産に抵当権が設定され残債があるという場合は、被相続人が債務者であることが多いでしょうから、その債務の引継ぎや債務者の変更登記も含めて銀行などとのやり取りが必要になります。もし、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が明らかに大きい場合は、相続放棄も含めた検討が必要となります。

まとめ

相続人が配偶者と子どもだけのケースなど、比較的シンプルな相続の場合では、自分自身で相続登記をおこなうことも不可能ではありません。

一方で、兄弟姉妹が相続人となるケース、相続人のなかに死亡している方がいるケース、相続が複数回発生しているケース等の場合は、登記手続きは複雑化し膨大な労力がかかるものです。もし、「自分だけで相続登記の手続きは無理かも……」と思ったら、司法書士をはじめとした専門家に依頼することも検討してみましょう。

相続登記の期限についての関連記事「不動産の相続登記に期限はない?|登記しないときのデメリットとは


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部 情報は2022年1月19 日時点のものです。)

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この記事を監修した人
森部修道司法書士事務所 司法書士 森部修道

福岡県久留米市の司法書士です。相続手続きはもちろんのこと、遺言や成年後見制度の利用支援等、幅広い業務を取り扱っております。「わかりにくい法律手続きをわかりやすく」をモットーに、気兼ねなくご相談いただけるよう心がけております。詳細につきましては弊所ホームページをご参照ください。

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