コラム

シニアの平均貯蓄額はいくら?​​60代の平均貯蓄額は2384万円

この記事の内容

2021年10月30日、『老後の資金がありません!』(前田哲監督、天海祐希主演)というタイトルの映画が公開されたように、シニア世代になってからお金の不安を抱く人は決してすくなくないことでしょう。とくに、年金だけで生活できないのは、多くの人の共通認識となっています。

こうした老後の備えのために投資などに励む人もいるでしょう。しかし、価格が大きく変動する有価証券や各種商品(金など)と異なり、価値が変わりづらいのが現金です。できる限り現金を保有していれば、極端なインフレーションが起きない限り、資産のポートフォリオのなかで大きな存在感を発揮します。

では、現在のシニア世代はどの程度の現金を持っているのでしょうか。この記事では、シニアの平均貯蓄額や無理なく貯蓄する方法を解説します。

シニアはどれほどの貯蓄をしているか

総務省統計局では、世帯ごとの収入や貯蓄額などのデータをまとめた「家計調査年報」を毎年発表しています。このデータをもとに、シニア世代の平均貯蓄額を見ていきましょう。

2020年の家計調査年報(貯蓄・負債編)によると、60代の平均貯蓄額は2384万円、70歳以上では2259万円となっています。

ただし、ここで注意しておきたいのは、上記のデータはあくまでも平均値であるということです。少ない割合の人が多くの貯蓄額を有している場合、ほかの大部分の割合の人が少ない貯蓄額であったとしても、平均値を引きあげてしまいます。たとえば、100世帯中90世帯が500万円の貯蓄があり、残り10世帯が5,000万円の貯蓄がある場合、貯蓄額の平均値は950万円という計算になります。

実際に家計調査年報の「世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布」を見てみると、2000万円以上貯蓄している世帯は40.7%となっており、半分に満たないことがわかります。このように、全体で見ると決して多数派とはいえない人の貯蓄残高が結果として平均値をあげているという見方もできるのです。

一方で、貯蓄が1000万円に満たない人の割合も4割弱に及んでいることもわかります。

貯蓄額

全体に占める世帯割合

100万円未満

7.90%

38.2%

100万円以上200万円未満

4.00%

200万円以上300万円未満

3.50%

300万円以上400万円未満

3.70%

400万円以上500万円未満

3.30%

500万円以上600万円未満

3.80%

600万円以上700万円未満

3.40%

700万円以上800万円未満

3.20%

800万円以上900万円未満

2.90%

900万円以上1000万円未満

2.50%

1000万円以上1200万円未満

5.70%

21.1%

1200万円以上1400万円未満

4.50%

1400万円以上1600万円未満

4.50%

1600万円以上1800万円未満

3.10%

1800万円以上2000万円未満

3.30%

2000万円以上2500万円未満

8.30%

40.7%

2500万円以上3000万円未満

6.40%

3000万円以上4000万円未満

8.70%

4000万円以上

17.30%

引用:家計調査年報|総務省統計局

貯蓄額は多ければ多いほど安心できることは事実です。しかし、シニア世代の貯蓄・貯金を考えた場合、自分自身が考える老後の生活ではどのくらいのお金がかかり、そのためにはいくらの貯蓄・貯金が必要なのかをシミュレーションすることが重要といえるでしょう。

家計収支に見る貯金額の目安

老後の生活費はいくら必要?余裕ある生活には『月40万円必要』説も」の記事のなかで、平均的な高齢夫婦無職世帯の場合、年金や毎月の収入のみで生活しようとすると、毎月3万3270円が赤字の状態であることを紹介しました。

そこで、老後に必要な貯蓄額のおおよその目安を算出するために、この3万3270円の赤字を貯蓄で補うと仮定します。おなじ年齢の夫婦が、年金支給開始となる65歳から女性の平均寿命である88歳まで生きた場合、3万3270円×12か月×23年間=918万2520円が赤字補てんの貯金として必要になります。

この結果を受けて「1000万円も必要ない」と安堵する人もいるかもしれません。しかし、前述のように必要となる貯金は人それぞれで異なり、シミュレーションが必要です。たとえば、上記の算出根拠となっている支出の住居費を見てみると、毎月1万4000円程度です。つまり、持ち家があり住居関連費であると推測できます。そのため、持ち家ではなく賃貸で暮らし続ける場合は、3万3270円とは別に毎月の家賃および賃貸契約の更新料を加味する必要もあるでしょう。また、現在の社会は「人生100年時代」ともいわれ、平均寿命が伸び続けていることも事実。90歳、100歳、またはそれ以上の年齢まで生き続けたとすると、さらに多くの貯蓄が必要となることも考えられます。

無理なく貯金する3つのポイント

老後に備えて1000万円以上の貯蓄をするのはハードルが高いと感じる人も多いはず。毎月安定的な生活を送りながらも、無理なく貯蓄をするためにはどのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。今回は具体的な方法として3つの例をピックアップして紹介します。

財形貯蓄を活用する

会社員の場合、計画的に貯蓄を積み上げていく方法として「財形貯蓄制度」があります。正式には「勤労者財産形成促進制度」とよばれ、企業の福利厚生制度の一環として社員の資産形成を支援する制度です。

具体的には、企業を通して給与の一部を金融機関へ積み立てる仕組みであり、社員にとっては給与から天引きする形となるため確実に貯蓄を積み上げていくことができます。財形貯蓄制度を運用している企業によっては、積立用の金融機関口座が銀行系のところもあれば、保険会社や証券会社の場合もあります。

このうち、証券会社の口座に積み立てている場合には、積立金を投資信託などの運用に充てることもできます。

毎月の貯金額を決める

自営業やフリーランスとして収入を得ている人や、そもそも会社に財形貯蓄制度がない場合には、自身で計画的に貯蓄する方法が一般的です。貯蓄にもさまざまな方法がありますが、もっともおすすめなのが毎月一定の金額を決めて着実に積み上げていく方法です。

たとえば、毎月5万円の貯金額を設定した場合、1年間で60万円を貯蓄できます。これを20年間継続すると1200万円が貯まる計算となります。もちろん、収入に応じて無理のない貯金額を決めることが重要であり、家計に無理が生じないような貯金額を設定しておきましょう。

固定費を見直す

貯蓄の重要性は十分理解しているものの、そもそも貯金できるほどの余裕がなく、お金を捻出できないという人も多いことでしょう。そこでおすすめしたいのが、固定費の見直しです。固定費とは、家賃や光熱費、通信費、交通費など、生活していくうえで毎月必要となるお金のこと。

固定費を削減するための一例としては、スマートフォンの料金プランの見直しがあります。何年間もおなじ料金プランを継続していると、必ずしもニーズにマッチしているとはいえない料金プランのままになっているケースも少なくありません。データ通信をほとんど使用していないにもかかわらず、大容量プランのままになっているのは典型的なケースといえます。現在は格安プランなども登場し、料金プランを見直すだけでひと月あたり数千円以上の節約につながることもあるため、ぜひ検討してみましょう。

さらに、ライフスタイルにあわせて家賃の安い部屋に引っ越したり、維持費の安い車に買い替えたりすることも固定費の削減につながります。とくにシニア世代のなかには、免許証の返納を選択する人も増えています。自身の年齢や体調の変化にあわせて、免許証の返納と同時に車を手放すことも検討してみてはいかがでしょうか。

「家計の見直しポイント4選!節約して老後の『もしも』に備えよう」はこちら

「千里の道も一歩から」の気持ちで貯金をはじめよう

今回の記事では、シニア世代は今後「毎月3万3270円が赤字になる」という前提のもとで紹介してきましたが、ここで示したシミュレーションはあくまでも目安に過ぎません。実際には、老後で必要となる金額はこれよりも多くなることもあるほか、反対に少なくなることも考えられるでしょう。まずは、自分のライフスタイルも考慮しながら老後の生活費がどのくらいになりそうかを算出することが重要です。そのうえで、必要となる額よりも多い貯金を築ければ、気持ちに余裕のある老後を送れるはずです。

一方で、貯金はいきなり100万円、1000万円とできるものでもありません。まずは、「千里の道も一歩から」という気持ちでコツコツと貯金をはじめましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部 情報は2021年12月16日時点のものです。)

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この記事を監修した人
中山 弘恵

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、定年力アドバイザー、相続手続カウンセラー。

年間150回を超えるセミナー・研修、年間80回を超える個別相談、生活に関わるお金や制度をテーマにした執筆業務に従事。「わかりやすく丁寧なセミナー」「安心しながら気軽に話せる相談相手」「ストレスなく読み進められるわかりやすい文章」として定評がある。

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