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新しいNISA制度の内容とは|2024年からの非課税枠拡大と制度恒久化
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この記事の内容
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、相続手続きカウンセラー。
大手金融機関での営業や企業の経理など、お金に関する仕事に約30年従事。
43歳のとき乳がんを発症し、誰にも言えない悩みこそ誰かを頼るべきことだと気づく。
2015年2月金融商品を販売しないFP事務所を開業。
主に子どものいない方、がんなど病気を抱えている方、医療従事者の「お金に関する相談」、「残さない終活プランニング」、講演を行っている。
この記事をおすすめする人 新しいNISAについて知りたい方 この記事のポイント
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「楽クラライフノート お金と終活の情報サイト」読者の方のなかには、一定期間、投資で得た利益に対して税制が優遇されるNISAを活用し資産づくりに励んでいる方がいるかもしれません。そんなNISAが2024年に制度変更されます。
これまでのNISAは、非課税期間があらかじめ定められていました。また、口座内で購入した個別銘柄や上場投資信託(ETF)などの売却益が非課税となる「一般NISA」と、積み立てに適した投資信託などの売却益が非課税となる「つみたてNISA」に分かれていました。しかし、新しいNISAでは口座内での売却益が恒久的に非課税となり、一般・つみたてといった区分が廃止され、同一口座で併用できる形になります。また、制度恒久化によって非課税となる生涯投資上限額も広がります。この記事でくわしく解説します。
2024年に始まる新しいNISAとは
冒頭で記したように、新しいNISAでは制度が恒久化されるなど、現行のものとは大きく変わる予定で、変更点を表にまとめましたのでご覧ください。
現行NISA(2023年12月まで) | 新しいNISA(2024年1月から) | |
年間投資枠 | 一般NISA 120万円 つみたてNISA 40万円 | 成長投資枠 240万円 つみたて投資枠 120万円 |
非課税期間 | 一般NISA 5年 つみたてNISA 20年 | 無期限 |
投資可能期間 | 一般NISA 2023年まで つみたてNISA 2042年まで | 制度が恒久化 |
非課税となる最大投資可能額 | 一般NISA 600万円 つみたてNISA 800万円 | 一つのNISA口座で1800万円 そのうち成長投資枠は1200万円まで |
備考 | 一般NISAとつみたてNISAは選択制。おなじ年に同時の口座開設はできない | 一つのNISA口座の中で、成長投資枠とつみたて投資枠が併用できる |
とくに大きなポイントとなるのが、「制度の恒久化」「一般NISAとつみたてNISAの区分が変わる」「非課税となる投資上限額が拡大」の3つです。これからくわしく解説します。
ポイント1 NISA制度・非課税期間の恒久化
これまでのNISAでは、制度が終わる時期の定めがあり、また非課税となる期間も一般NISAで5年、つみたてNISAで20年とされてきました。そのため、非課税期間が終わったとき保有資産をどのような扱いとするか戦略を練る必要もありました。
しかし、新しいNISAは制度そのものが恒久化され、非課税期間も無期限となります。いつでも期限を気にせず取引でき、非課税投資枠内であれば、利益がどれだけ増えても税金がかからないのです。
恒久化により「ロールオーバー」の概念はなくなる
前述のように、現行のNISAでは非課税期間の終わりを迎えると保有資産をどうするか決める必要があり、一般NISAであれば、選択肢のひとつとして「ロールオーバー」を行うことができました。ロールオーバーとは、NISA口座内の非課税期間が終わる金融商品資産を、翌年の一般NISA口座に移行することです。
しかし、制度の恒久化、非課税期間の無期限化により、ロールオーバーという手段を採る必要がなくなります。後述するように、現行の一般NISAに当たるものは新しいNISAで成長投資枠という名前になりますが、成長投資枠内で購入した資産の非課税期間は従来と異なり無期限です。
よって、今後はロールオーバーという概念がなくなります。
ポイント2 一般NISA・つみたてNISAの区分が変わる
2点目のポイントとして一般NISA・つみたてNISAの区分が変わります。2024年以降は、長期の資産形成に適したつみたて投資と、株式など値上がり益の期待できる投資のどちらも並行して投資ができるようになります。従来の一般NISAとつみたてNISA、そして新しいNISAでは、購入できる金融商品に若干の違いが見られます。
現行NISA | 新しいNISA | |||
一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
購入可能な金融商品資産 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど | 長期・積立・分散投資に適するとして金融庁に届け出が認められた投資信託 | 上場株式・投資信託など(整理・監理銘柄や高レバレッジ商品などは除く) | 従来のつみたてNISAと同様 |
このように、いままでの一般NISAに相当するのが「成長投資枠」、つみたてNISAに相当するのが「つみたて投資枠」となります。また、現行NISAでは一般NISAかつみたてNISAのどちらかを選び、片方の口座しか開けませんでしたが、新しいNISA制度ではこうした区分が変わります。よって従来の一般NISAの対象となる金融商品つみたてNISAの対象となる金融商品資産のどちらも、一つのNISA口座に1本化され、購入できるようになります。
ポイント3 新しいNISAの非課税投資枠は?
新しいNISAは、期間の定めがなくなることで、投資可能な金額の上限が広がります。現行のNISAと比べると、年間投資上限額で2倍以上、生涯非課税上限額では投資の仕方によっては、同様に2倍程度の拡大となります
年間投資上限額
新しいNISAでは一般NISA・つみたてNISAという区分はなくなりますが、成長投資枠・つみたて投資枠のそれぞれでの年間投資上限額は従来と同様に定められています。ただ、現行NISAより年間投資上限額は広がっていますので、口座開設者にとっては有益な変更点といえるでしょう。すでに述べましたが、大切なポイントですので、あらためて年間投資上限額を説明します。
成長投資枠 240万円(現行の一般NISAは120万円)
つみたて投資枠 120万円(現行のつみたてNISAは40万円)
投資の方法 | 生涯非課税上限額 |
成長投資枠とつみたて投資枠の両方を利用する場合 | 成長投資枠で1200万円、なおかつ成長投資枠とつみたて投資枠の合計が1800万円 |
成長投資枠のみを利用する場合 | 1200万円 |
つみたて投資枠のみを利用する場合 | 1800万円 |
生涯非課税上限額
非課税期間は無期限となりますが、だからといって生涯に非課税となる投資上限額が無限になるわけではありません。生涯非課税上限額は最大1800万円となりますが、厳密には投資の方法によって上限が異なります。
投資の方法 | 生涯非課税上限額 |
成長投資枠とつみたて投資枠の両方を利用する場合 | 成長投資枠で1200万円、なおかつ成長投資枠とつみたて投資枠の合計が1800万円 |
成長投資枠のみを利用する場合 | 1200万円 |
つみたて投資枠のみを利用する場合 | 1800万円 |
口座内の金融商品を売却すると新たに非課税枠ができる
新しいNISAでは、口座内の金融商品を売却すると、年間投資枠は復活しませんが、売却した商品の買い付け価格分、その枠を再利用することができるようになります。現行NISAでは一度、金融商品を買ってしまうと、その分の年間投資額は減り、非課税枠が「復活」することはありませんでした。投資できる上限額は決まっているものの、こうした改正のポイントによって柔軟な投資戦略を立てることができるでしょう。
参考:新しいNISA(金融庁)
損益通算できない点に注意
課税口座(一般口座・特定口座)で利益と損失が出た場合、損益通算により税負担を軽減することができます。
一方NISA口座は、課税口座と損益通算ができません。新しいNISAでも同様に、損益通算で税金を軽減することができない点に注意が必要です。
そのほかに覚えておきたい改正点
ここまで、「恒久化」「2種類のNISAの口座一本化」「非課税枠の拡大」といった3つのポイントを取り上げました。ほかにも新しいNISAでは覚えておきたい改正点がありますので、こちらで解説します。
現行NISAから新NISAへのロールオーバーはできない
現行の一般NISAで2019年に購入した資産は、従来であれば2024年分の一般NISA口座にロールオーバーできました。しかし、新しいNISAへの移行により、現行の一般NISA口座から新しいNISAの成長投資枠へのロールオーバーはできません。よって、これに該当する資産は順次課税口座へ移管するか、非課税期間内に売却する必要があります。
ジュニアNISAは終了
ジュニアNISAは、現行NISAの終了とおなじタイミングの2023年末に終了します。ほかのNISAと比較して利用実績が乏しい(2022年12月末時点で口座開設数は約97万口座)点が要因として挙げられています。なお2023年までに投資した分は、口座開設者が成人するまで非課税となるだけでなく、既存の「18歳まで引き出しができない」という制限が撤廃されます。たとえば、子どもの進学などでお金が必要なときに引き出せるため、使い勝手がよくなるといえるでしょう。ただし、2024年以降にジュニアNISA口座内で新たな投資はできません。
参考:NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について(金融庁)
なぜNISA制度は変わるのか
このように、新しいNISAは以前よりも口座開設者にとって有益な制度となったと感じられるでしょう。なぜ、こうした改正がおこなわれたのでしょうか。
大きな理由は、政府が推進する「資産所得倍増プラン」にあります。文字どおり、国民一人ひとりの資産を大きく増やすことを目的としており、2022年11月にとりまとめられました。NISAの非課税枠の拡大などによって、国民の資産を増やす目論見があるということです。
もちろん、NISAは投資を前提とした非課税制度ですので、利益を得られる可能性も損失を被る可能性もあります。次に取り上げるメリット・デメリットと併せて、リスクとリターンの存在を考えてみましょう。
新しいNISAのメリットとデメリット
繰り返しになりますが、新しいNISAの特徴として恒久化、投資上限額の拡大などが挙げられます。ここから生じるメリット、デメリットを紹介します。
メリット
何よりのメリットは、最大1800万円の投資から得られる売却益や配当金、分配金が恒久的に非課税となる点だといえるでしょう。投資枠の再利用も可能となったことで、ライフプランに合わせた柔軟かつ効率的な投資が非課税でできるようになります。たとえば、つみたて投資枠に上限の1800万円を投じることも可能ですし、成長投資枠に最大の1200万円を投じることもできます。あるいは、定期的な投資商品の売却によって投資上限額の余裕を維持し、安い価格で購入した金融資産の価格上昇を狙うという方法も考えられるでしょう。
また、成長投資枠とつみたてNISA枠を併用することで、資産形成を継続的かつ安定的に行いながら利益確定を目指せます。
デメリット
まずジュニアNISAがなくなることで、17歳以下の子どもは新たにNISA口座をもてなくなりました。学費などのための資産形成をジュニアNISAで図ろうとしていた人にとっては、大きなデメリットです。
また、新しいNISA口座の開設者は一つの口座でNISA枠を併用できるようになるため、すこしでも「得をしたい」との心理から、長期的な積み立て投資よりも、短期的な売買による利益に視点が偏ってしまう人が増えるかもしれません。
その結果、課税口座との損益通算ができない、かつ損失の繰越控除ができないこともあり、成長投資枠内の含み損が増えてしまうといったケースも考えられます。
新しいNISAへの準備と対応を
2024年にNISAの制度変更があることは、以前から方向づけられており、これまで多くの議論が重ねられてきました。今後は抜本的拡充・恒久化が図られ、2024年に新しいNISAがスタートする予定です。こちらも紹介したように、新しいNISAは柔軟な投資ができる設計となっています。現役世代はもとより、すこしでも資産を増やしたいシニアも、制度をうまく利用することでこれからの人生設計をよい意味で変えられるチャンスにもなり得ます。
もちろん、投資なので、リスクがあることも理解が必要です。そして、スタートまで1年を切ったいま、新しい制度の詳細を理解し、2024年に備えましょう。
(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)
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