基礎知識

糖尿病の原因とは|1型糖尿病・2型糖尿病それぞれが起こる要因と症状

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この記事の内容

この記事を監修した人
寺内康夫 横浜市立大学内分泌・糖尿病内科学

1988年東京大学医学部卒業。横浜市立大学内分泌・糖尿病内科学教授。医学博士。日本糖尿病学会理事、日本糖尿病療養指導士認定機構前理事長、日本糖尿病医療学学会代表理事、日本糖尿病・肥満動物学会理事長などを務める。

日本内科学会総合内科専門医・研修指導医。日本糖尿病学会専門医・研修指導医。日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医・指導医。日本病態栄養学会専門医・研修指導医。

日本糖尿病学会 学会賞(リリー賞)、日本内分泌学会 研究奨励賞、ベルツ賞(他5名の共同研究者と共に)などを受賞。

糖尿病や内分泌代謝疾患の診療に加え、糖尿病の成因・病態・治療に関する基礎研究~臨床研究、医学部生・大学院生・若手医師の教育、医療スタッフの育成・環境整備に従事。糖尿病診療における医師・患者関係、糖尿病に関わるスティグマ解消に強い関心があります。

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この記事のポイント

  • 糖尿病の原因は遺伝・体質のほか、食べ過ぎや運動不足などが考えられる
  • 運動量にあわせたカロリー摂取や日常的な運動が糖尿病予防につながる
  • 日常的なストレスが糖尿病を引き起こすこともある


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病気や事故などが起こるのには、必ず原因があります。たとえば、がんは人間の細胞が生まれ変わる際に正常な細胞が生まれず一種のエラーが起こってしまい、それががん細胞となります(また、そうなる原因として、生活習慣などが挙げられます)。心筋梗塞であれば、動脈硬化が直接的な原因とされます。

これまで楽クラライフノート お金と終活の情報サイトでは、糖尿病についての記事を掲載してきましたが、糖尿病にも当然、原因があります。

そこで本記事では糖尿病の原因について解説します。原因を知り、予防や治療に役立てましょう。

糖尿病の原因

これからくわしく述べるように、糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。ただ、日本人がかかる糖尿病の圧倒的多数は2型糖尿病であり、これは病気になりやすさ(遺伝・体質)に加えて、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣が大きな原因となります。遺伝・体質は自分の力では変えることができず、健康的な生活習慣を意識することで、ある程度の糖尿病予防につながるといえるでしょう。この点についても、本記事でくわしく述べていきます。

まずは、1型糖尿病と2型糖尿病の分類と原因についてから触れていきましょう。

原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分けられる

以下の記事で解説したように、糖尿病は若年層、やせている人でもかかる、突然発症するといった特徴をもつ「1型糖尿病」と、中高年や肥満体型の人がかかりやすい「2型糖尿病」に分けられます。


糖尿病の基礎知識|原因、治療について|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

中高年がかかりやすい病気はさまざまなものがありますが、とくに代表的なのが「糖尿病」です。しかし、名前は聞いたことがあっても、どのような症状が現れるのか、治療にはどういった方法があるのかくわしく知らないという方も多いはずです。 そこで本記事では、糖尿病の種類や発症する原因、主な治療法について解説します。

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そして、この2つの糖尿病の原因は、以下のとおりとなっています。

  • 1型糖尿病=現代の医学でも原因はよくわかっていない

  • 2型糖尿病=遺伝・体質に加えて、食べ過ぎ、運動不足、肥満といった生活環境上の習慣が原因


1型糖尿病は、糖をエネルギーへと変えるインスリンをつくる、β細胞が破壊されることで糖尿病となるものです。ただ、なぜβ細胞が破壊されてしまうのかは、よくわかっていません。生来、正常な身体機能をもっていた人が数日から数年の経過で1型糖尿病になるのです。やせていて生活習慣に問題がない人でも1型糖尿病になる場合があり、生活習慣による病気ではありません。

一方、2型糖尿病は、親から受け継いだ糖尿病へのなりやすさ(遺伝・体質)に加えて、食べ過ぎや運動不足、肥満といった芳しくない生活習慣・環境によって、膵臓からのインスリン分泌が低下、あるいはインスリンが効率的に効かなくなることで、糖尿病になるのです。

1型糖尿病と2型糖尿病、それぞれの症状

ここでは表を使って1型糖尿病と2型糖尿病のちがいを説明しますが、どちらも糖を薄めるために脳が水分摂取を命令し、のどがかわきやすくなる、それによって頻尿になりやすいなど、共通する部分もあります。一方で、1型糖尿病は突然高血糖状態となるため症状が表れるのに対し、2型糖尿病はゆっくりと血糖が上昇してくるため

それでは、以下の表をご覧ください。

1型糖尿病

2型糖尿病
  • のどがかわきやすい、頻尿になりやすい
  • 急激に体重が落ちる
  • 疲れやすい
症状
  • 疲れやすい
  • かゆみ、しびれを感じる
  • のどがかわきやすい、頻尿になりやすい
  • 皮膚の治癒機能が低下し傷などが治りにくい
  • その他の病気や合併症にかかりやすくなる

より具体的な症状、合併症については、以下の記事をご覧ください。


糖尿病の症状|もし当てはまれば必ず受診を|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

糖尿病は血糖が増えることで体に不具合が出る病気です。より具体的な糖尿病の症状を、この記事で解説します。 記事を読んで思い当たる節がある人は、病院を受診をした方がよいでしょう。いまのところ糖尿病を完治させる方法はないものの、治療法は日進月歩で進歩しており、恐れずに医師の診断を聞くほうが結果的に身体を守ることにつながります。

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糖尿病の原因となる食生活

2型糖尿病は食べ過ぎ、肥満体型の人がなりやすいことを解説してきました。そうならないように注意するためには、摂取するエネルギー量(カロリー)を日常的に意識することが大切です。

厚生労働省が主導して策定された『日本人の食事摂取基準(2020年版)』という報告書には、日本人シニアの推定エネルギー必要量として、以下の数値が示されています。

性別男性女性
身体活動レベル
50〜64歳220026002950165019502250
65〜74歳205024002750155018502100
75歳以上18002100-14001650-

出典:『日本人の食事摂取基準(2020年版)』

年齢の右の数字が推定エネルギー必要量(kcal/日)

2行目の「身体活動レベル」とはⅠが日常的に活動が少ない人、Ⅱは普通、Ⅲが日常的に活動が多い人、となります。より具体的な内容として、報告書では以下の人物像が想定されています。

  • Ⅰ:生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合(介護施設などに入所しており、動きがあまりない人もここに含まれる)

  • Ⅱ:座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合

  • Ⅲ:移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合


それぞれ自分はどこに該当するかを確認したうえで、基準よりも多いカロリーを摂取しているようであれば、糖尿病やその他の病気への罹患に注意が必要となるでしょう。なお、摂取カロリーの計算については、「あすけん」や「カロリDiet」などといったアプリがあり、活用すると簡単に計算や記録ができます。

もっとも、上記の表はあくまでも年齢と日常の活動状況を基にした目安であることも、忘れないでください。たとえば、BMIの計算(参考)によって肥満傾向がある人は、上記の表よりも少ないエネルギー摂取とする必要があるでしょう。

なお糖尿病と聞くと、糖の摂取がよくないのでは、と感じる人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。むしろ、糖尿病でない人が糖分の摂取を過剰に制限すると、体内でエネルギーがつくりづらくなったり、甘いものを摂取したとき急激に血糖値が上昇したりと、かえって健康を損ねる場合もあります。肉類や野菜、油ものなど、バランスのよい食事を摂るようにしましょう。

日常的な運動も大切

以下の記事でも解説したように、糖尿病を予防するための運動は、必ずしも激しい運動である必要はありません。むしろ、継続的、持続的にできる運動にすることが必要とされます。


糖尿病の予防について|どんな食事、運動をすればよい?|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

糖尿病は現代の医学では完治させる治療法や薬がない病気です。 一度発症した後は、生涯にわたって糖尿病と付きあっていかなくてはなりません。そこで重要となるのが糖尿病の予防ですが、これは主に食事と運動の両面から生活習慣を改善していく必要があります。 本記事では、糖尿病を予防するにはどのような点に注意すべきなのか、具体的な予防方法について解説します。

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具体的な運動の例としては、以下が挙げられます。

  • 通勤・通学などで日常的に使っている駅より一つ手前で降りて、歩く

  • エレベーター・エスカレーターではなく階段を使う

  • 移動を自動車から自転車に変えてみる

  • ゴルフやテニスなど、楽しみながらできる運動をおこなう


とくに、「楽しむ」ということが大切です。歩く、といった行動にしても、道に咲いている花や新しくできたお店に着目してみる、というように変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ストレスも糖尿病の原因になる

ここまで食生活、運動(不足)、そして遺伝と、糖尿病になる原因と対策を述べてきました。その一方で、「ストレス」も糖尿病の原因の一つに考えられています。

国立がん研究センターの研究によると、日常的なストレスを「少ない」と感じる人より、「普通」「多い」と感じる人のほうが糖尿病発症のリスクが高いと判明しています。

ストレスを抑制する生活をおくるためには、すでに記した運動も一つの方法となるでしょう。また、人とのコミュニケーションを活発にする、カラオケや映画・演劇鑑賞など趣味に没頭するなども挙げられます。

食事への注意、日々の運動を欠かさずに

ご覧のように、糖尿病のなかでもとくに日本人がかかりやすい2型糖尿病は、食生活や運動が大きな原因となります。食生活においては、カロリーの過剰摂取はもちろんのこと、偏食する傾向がある人は食べるものを見直す必要があるでしょう。また運動は、無理なく、楽しんで継続できるようにするのが大切です。

このような意識や行動は、糖尿病だけでなくほかの病気の予防、アンチエイジングでも求められることです。糖尿病だけに着目するのではなく、自分が楽しく健康に生きるために、日々の生活を考えてみましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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