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免許証自主返納制度とは?高齢者ドライバーの自動車事故を引き起こさないために
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この記事をおすすめする人 70歳を超えても車を運転し続けている方 この記事のポイント
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70歳以上の運転免許保有者は年々増加し続けています。その数は2019年には1195万人にのぼり、運転免許保有者の14.5%を占めるほどに。1986年の80万人から33年間で約15倍となっています。
(参照:日本経済新聞「高齢者の免許保有者増加 70歳以上が1千万人超に」2020年)
そうしたなかで、多発する高齢運転者の交通事故が社会問題となっています。「いつか自分も交通事故を引き起こしてしまうかもしれない……」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
免許証自主返納制度の概要や高齢者が引き起こしやすい事故の例について知り、自分にできることを考えてみましょう。
高齢者が引き起こす自動車事故の例3つ
高齢者ドライバーによる重大事故には、どのようなものがあるでしょうか。実際に起こりやすい高齢者ドライバーによる重大事故の例を3つ紹介します。
アクセルとブレーキの踏み間違い
ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故の割合は1%程度と、さほど多い事故形態ではありません。しかし、その多くは高齢者ドライバーによるものとなっています。とくに75歳以上のドライバーは65~74歳のドライバーに比べて発生率が約2倍となっているというデータも。
一度アクセルとブレーキを間違えると慌ててしまい、そのままさらにアクセルを強く踏み込むなど、被害が大きくなってしまう可能性もあります。店舗の駐車場やコインパーキングなどで発生することも多い事故です。慌てず落ち着いて、ゆっくり発進させることを心がけましょう。
逆走
逆走を引き起こした運転者の約7割が65歳以上の高齢者。こちらも高齢者ドライバーに多い事故形態です。
認知機能の低下による案内表示の見落としや、出口や流出路を間違えてパニックになり、とっさに回復させようとして手近な道路に入ってしまうことが主な原因となっています。
国土交通省の「逆走事案のデータ分析結果」(2017年)によると、逆走車の約半分が「道や行き先の間違いに気づいて戻ろうとした結果の逆走」であるとしています。また、認知機能の低下により「そもそも入ってはいけない流出路から入ってしまう」、「最後まで逆走に気づいていなかった」という例もあるのが事実です。
多くの車を巻き込みやすいため重大事故に繋がりやすいのが逆走。高速道路における事故のうち、逆走が原因の事故はそのほかの事故に比べ、死傷事故になる割合が約5倍、死亡事故となる割合が約40倍となっています。
認知能力低下による運転
高齢者ドライバーの多くは運転歴が長く、自身の運転技術にも自信をもっている方が多い傾向にあります。つい「自分は大丈夫だ」と思ってしまいがちです。
しかし、視力や判断力、集中力などは加齢とともに衰えていくもの。たとえ免許を更新したときには認知機能に問題なしと判断されていても、高齢者ドライバーは「身体機能の衰え」を自覚し、意識してカバーすることが求められます。
70歳以降の免許更新制度はどう変わる?
運転免許の更新は、違反歴などにより、3年から5年に一度おこなわれるのが一般的です。しかし、更新時の年齢が70歳以上になると運転免許証の有効期間が変わります。
70歳の誕生日以降に運転免許を更新する方は、4年に。71歳の誕生日以降に更新する方は、3年となります。
また、更新手続きにも変化があるため確認しておきましょう。
運転免許証の更新期間満了時(誕生日の1か月後の日)の年齢が70歳から74歳になる場合は、免許の更新時期に「高齢者講習通知書」が手元に届きます。
この高齢者講習通知書が届いたら、書かれている案内にしたがって受講場所を選び、電話で講習の日時を予約しましょう。
「高齢者講習」とは、自動車学校でおこなう運転の適性検査や実車による講習です。受講の証明として「高齢者講習終了証明書」が発行されます。免許の更新をするときに、この証明書が必要となるのです。
また、教習所のコースを使って約15分のあいだ普通自動車を運転する「チャレンジ講習」もあります。70点以上で合格となり、そのあと約1時間の簡易講習を受けることで「高齢者講習」を受けたものとみなされます。
ただし、不合格の場合は再度チャレンジ講習を受けるか、高齢者講習を受けることになります。そのぶん講習手数料が割高となる可能性があるため注意が必要です。
【75歳以上で免許更新をする場合】
運転免許証の更新期間満了時(誕生日の1か月後の日)の年齢が75歳以上になると、「高齢者講習」に加えて、「認知機能検査」を受ける必要があります。
「高齢者講習」は認知機能検査の結果別に講習内容がちがうため、検査と講習を同日にはおこなえません。認知機能検査を受けたあと、改めて予約して受講することになります。
くわしい内容や流れは、警視庁ホームページ「認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)」をご確認ください。
免許証の自主返納制度とは
高齢者向けの免許更新制度が導入された背景には、高齢者ドライバーによる重大事故の増加があります。そこで、近年注目を集めているのが免許証の自主返納制度です。
年齢を問わず運転免許が不要になった方や、加齢にともなう身体機能の低下などのため運転に不安を感じるようになった高齢者ドライバーの方は、自主的に運転免許証を返納できます。ただし、運転免許の停止・取消しにまつわる行政処分中の方や、停止・取消処分の基準に該当する方は、自主返納できません。
運転経歴証明書の発行
運転免許証を返納してしまうと、顔写真付きの公的な身分証明書がなくなってしまう問題があります。そこで「運転経歴証明書」が作られました。
「運転経歴証明書」は、運転免許証とおなじサイズで、住所、氏名、生年月日、自主返納を受理された日などが記載されています。公的な身分証明書として生涯使えるものです。
かつてはこの「運転経歴証明書」は公的な身分証明書として認められていませんでした。法改正により2012年(平成24年)4月1日以降に交付された「運転経歴証明書」については、交付後の経過年月にかかわらず、公的な顔写真付き本人確認書類として利用できるようになったのです。
「運転経歴証明書」は原則本人が申請することが条件です。免許証の有効期間が切れてから5年を経過した方や、行政処分の対象となっている方は申請できません。
免許証を返納するメリット/デメリット
「わざわざ免許証を返納する理由があるの?」「運転しなくても免許証だけ持っていればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、運転免許を返納すると、実はさまざまな特典を得られるのです。
免許証返納のメリット
指定タクシー業者の乗車料金が割引になったり、市営バスを半額料金で利用できたりするなど、主に移動に関するサービスが用意されています(各都道府県によってサービスは異なります)。
なかには信用金庫の金利優遇や、ホテルのレストランやバー、ラウンジの利用料が割引きになるといった特典がある地域もあります。たとえば東京では、「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」があり、加盟企業・団体は200以上。お住まいの地域にどんなサービスがあるか、確認してみましょう。
免許証返納のデメリット
デメリットは、十分な移動手段がなくなることが挙げられます。バスや電車などの利用が難しい地域の場合は、車を運転できなくなると生活が不便になる場合もあるでしょう。
公共交通機関が十分に整備されていない地域に住んでいる場合は、同居あるいは近隣に住む家族が車を出すなど、移動をサポートする必要があります。
家族の負担を減らすためにも、お住まいの地域で受けられるサービスを十分に検討したうえで免許返納をすることをおすすめします。
免許証を返納する手続き方法
では、免許返納のためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
申請に必要なものを持って運転免許センター/警察署へ
免許返納の手続きは最寄の免許センター、もしくは居住地を管轄している警察署の窓口で申請することができます。手続きに必要なものは運転免許証と印鑑の2つのみです。
「運転経歴証明書」の交付申請をおこなう場合は、交付手数料と3cm×2.4cmの証明写真が必要になります(※写真は警察署で手続きする場合のみ)。
免許の返納手続きが終わるとその時点で無免許の状態になってしまうため、帰りは車を運転してはいけません。手続きに向かうときは公共交通機関を利用するか、家族に運転してもらうようにしましょう。
高齢者の運転に対する取り組み3つ
免許証の自主返納をまだ考えてない高齢者の方の運転に対しては、どのような取り組みがおこなわれているのでしょうか。
安全運転相談窓口
都道府県警察では、自動車などの安全な運転に不安を感じる高齢者やそのご家族が、運転に関する相談ができる窓口を設置。安全運転の継続のためのアドバイスや運転免許証の自主返納制度の支援などをおこなっています。また、電話でも相談できるように全国統一の相談ダイヤルも。
「家族から運転をやめるように言われた。」「いままでのように上手く運転できない」などの心配がある方は相談してみてはいかがでしょうか。
踏み間違い加速抑制システム
自動車メーカーのトヨタでは、後付けできる運転サポート機能「踏み間違い加速抑制システム」を開発。2020年7月現在は12車種に対応させています。
「踏み間違い加速抑制システム」とは、車両び前後に取り付けた超音波センサーにより、車両の前後約3m以内にある壁などの障がい物を検知し、ブザー音で注意喚起をするシステムです。ブレーキとアクセルを間違えて強く踏み込んでしまったときに、加速を抑制して衝突被害を軽減する機能となっています。
また、障がい物がない場合でも、アクセルを強く踏み込んだとき、低速の状態から一気にアクセルを強く踏み込んだときなどに、加速を抑制する「踏み間違い加速抑制システムⅡ」もあります(後方発進に限る)。こちらは2020年11月現在4車種に搭載できる機能です。
サポカー機能
衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全技術によって、ドライバーの安全運転を支援してくれる車のことを政府では「セーフティ・サポートカー(サポカー)」と呼んでいます。
サポカー(安全運転サポート車)は、大きく以下の2つに分かれます。
- セーフティ・サポートカー(サポカー)
衝突被害軽減ブレーキを搭載し、すべての運転者に推奨する自動車
- セーフティ・サポートカーS(サポカーS)
衝突被害軽減ブレーキにくわえ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置などを搭載した、とくに高齢運転者に推奨する自動車
さらに、サポカーSには衝突被害軽減ブレーキの機能に応じて、以下の3つの区分があります。
<ベーシック>
時速30km/h以下で作動する低速対車両衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置
<ベーシック+>
対車両衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置
<ワイド>
対歩行者衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置、車線逸脱警報または車線維持支援装置、自動切替型前照灯等の先進ライト
高齢者ドライバーの事故発生を防ぐサポート機能は多岐にわたります。
ただし、サポカーやサポカーS に搭載されている先進安全技術も、万能ではありません。たしかに交通事故の防止や被害の軽減には大いに役立ちます。しかし、路面や気象条件によっては作動しない場合もあるのです。
決してサポート機能を過信せず、運転するドライバーの側が常に安全運転を心がけることが何より大切となることを覚えておきましょう。
まとめ
高齢者講習やサポカー機能など、高齢者運転に対するサポートは整備されています。しかしもしものために、自動車保険の見直しなどご自身の備えも万全にしておくことが大切です。
自動車は生活するうえでなくてはならないものかもしれません。現在の生活環境を考慮しながら、今後の自動車運転について家族と話しあうことも重要です。
(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)
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