コラム

香典辞退とは?文例や対応をする側、された側それぞれの立場から解説

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この記事の内容

この記事を監修した人
一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会 理事 岩田 昌幸

葬送儀礼マナー普及協会

葬送儀礼(臨終から葬儀、お墓、先祖供養等)が多様化している中で、「なぜそのようにふるまうのか」といった本来の意味を理解し、そうした考え方や習慣を身につけられるよう「葬送儀礼マナー検定」を実施しています。メディア監修多数、葬儀・お墓関連のセミナー等も実施しています。

https://funeral-manner.org/

https://youtu.be/GPW1SH_5rkA

お葬式に参列するときに香典を持参し、お供えした経験のある方は少なくないでしょう。ただし、遺族によっては香典を辞退する場合があります。

香典辞退の意思表示があった際、参列する側は原則的に香典をお供えしないのがマナーです。では、香典を辞退したいときはどのような伝え方をすればよいのでしょうか?また、辞退されても何らかの形で弔意を示したいときは、どうすればよいのでしょうか?

この記事では、香典辞退をする側、される側それぞれの立場から、求められる対応を解説します。

香典辞退とは

香典辞退とは、遺族が香典の受け取りを辞退することです。故人が生前に辞退したいという遺志を示していた場合や、遺族を取り巻く状況によってこうした判断がされます。

香典を辞退する理由

香典辞退の主な理由には、以下の3つがあります。

  • 故人が生前に香典辞退の意思を示していた場合

  • 遺族が香典返しの手間や負担を避けたい場合

  • 遺族が参列者に負担をかけたくない場合


故人も遺族も参列者に負担をかけたくないという理由から、香典を辞退する場合が見られます。また、遺族側の香典返しの負担という理由も存在します。

香典辞退を伝えるタイミングと文例

香典を辞退するのであれば、その意思表示をすることは不可欠です。その文例や伝え方を紹介します。

お葬式前の訃報連絡やお葬式の案内状

香典辞退をする場合は、できるだけ早めに参列者に伝えることが望ましいです。そのため、お葬式前に電話やメールで訃報連絡をする際やお葬式の案内状を送る際に、香典辞退の旨を明らかにすることがもっともふさわしい場面といえるでしょう。

まず、口頭で伝える場合の例を紹介します。

「この度は突然のご連絡で申し訳ありません。私、◯◯◯◯の長男の◯◯△△と申します。

父・◯◯が◯月◯日に他界したことをご報告申し上げます。

生前は、大変お世話になりました。

通夜は、◯月◯日◯時より、お葬式は◯月◯日◯時よりに◯◯会館で執り行います。

なお、故人の遺志により、香典はご辞退させていただきます。どうぞご了承ください」

続いて、案内状で意思表示する場合です。

父 ◯◯◯◯儀 病気療養中のところ去る◯月◯日に永眠しました

生前のご厚誼に感謝し 謹んでご報告申し上げます

通夜 葬儀は左記のとおり執り行います

一 日時    通夜 ◯月◯日 午後◯時

        葬儀 ◯月◯日 午後◯時

一 式場    ◯◯会館

            住所

            電話

なお香典はご辞退申し上げます

    令和◯年◯月◯日

            喪主 ◯◯△△  

お葬式当日の受付

お葬式前に香典辞退を伝えられなかった場合や、参列者が香典辞退のことを知らないことを想定できる場合は、当日の受付で伝えます。また、あらためて香典辞退の旨を伝えるのもよいでしょう。

伝え方としては看板を利用する場合があります。お葬式の受付で口頭にて伝えるのも一般的です。口頭での伝え方の例を紹介します。

「お越しいただきありがとうございます。故人の遺志により、香典はご辞退させていただいております。お気持ちだけ、ありがたく頂戴します」

お葬式後の訃報連絡

家族葬や直葬などの場合は、遺族がその後に訃報を連絡することもあります。ここでは、訃報を書面で伝えるときの文例を紹介します。

父 ◯◯◯◯儀 病気療養中のところ去る◯月◯日に◯歳にて永眠しました

葬儀は故人の遺志により近親者のみで執り行いました

誠に勝手ではございますが 香典 供物等はご辞退申し上げます

生前のご厚誼に感謝申し上げます

本来であれば直接ご挨拶を申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもってお伝えいたします

令和◯年◯月◯日

喪主 ◯◯△△

香典を辞退された場合の対応

香典を辞退された場合、遺族を困惑させないためにも基本的にはその思いに従って香典を渡らないのがよいでしょう。ここでは、香典以外で弔意を伝える方法を紹介します。

供物や供花で弔意を伝える

香典ではなく、供物や供花で弔意を伝えるという方法があります。供物とは、お葬式にお供えする果物や菓子など、供花とは花をお供えすることです。供物は日持ちする菓子や果物などを、供花は白などの落ち着いた色合いのものを準備するとよいでしょう。

ただし、香典を辞退している場合は供物や供花も辞退していることが少なくありません。よって、供物や供花を送っても問題ないか、事前に確認しておくことがおすすめです。

供物や供花も辞退されている場合は手紙で弔意を伝える

遺族が香典を辞退していると、供物や供花も断る場合が見られます。

こういったケースでは、手紙で弔意を伝えるという方法が挙げられます。手紙に亡くなった方への思いや感謝を書くことで、遺族の悲しみを和らげることができるでしょう。

手紙は郵送、あるいは、お葬式当日の手渡しになります。

近年では、個人間でのコミュニケーション方法として、メールやLINEを活用することが増えていますが、そんな時代だからこそ手紙は思いを伝えるコミュニケーションツールとして有効です。時間をかけて手書きの文書を用意することで、遺族に弔いの気持ちがしっかり伝わるでしょう。

辞退しても香典を渡された際の対応

香典辞退の意思表示をしていても、どうしても渡したいからとお葬式当日に渡す方、郵送で渡す方もいるでしょう。どちらのケースにおいても香典を受け取る前提ではないため、香典返しを用意する必要がありません。ですが、ケース別で相手に悪い印象を与えないための対応が求められます。

ここでは、辞退しても香典を渡された場合の細かい対応について紹介します。

郵送で渡された場合

お葬式後、現金書留で香典が送られてくることがあります。返送してしまうと相手に悪い印象を与えることもあるため、感謝の気持ちを手紙で伝えることが望ましいです。香典をいただいたことの感謝を先に述べつつ、故人の最期の状況などを述べましょう。

お葬式当日に渡された場合

お葬式当日に直接香典を渡された場合は、場の雰囲気や相手の状況を考慮しながら、丁寧に辞退することが重要です。しかし、それでも引き下がらない方もいるでしょう。

遺族の気持ち次第ではあるものの、一度は断った後で受け取って感謝の気持ちを伝えるのも一つの方法です。

香典返しの辞退

香典の辞退と同様に、遺族からの香典返しを辞退する方もいます。その際の伝え方や遺族の対応について見てみましょう。

なお、香典返しについて詳細は、以下の記事で解説していますので併せてご覧ください。


香典返しを贈る時期から相場、品物まで徹底解説|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

お葬式に参列した人がお供えしてくださる香典。わかりやすくいえば、参列者から喪主に贈られるものですが、喪主側からはそのお礼として「香典返し」をするのが一般的なマナーです。 ただ、はじめて喪主を務めるなどお葬式の経験があまりないという場合は、何をお返しの品として選べばよいのか、いつ贈ればよいのかがわからないかもしれません。そこで、この記事では香典返しについて解説します。香典返しの本来の形と現在に多く見られる形にも触れますので、ぜひ参考にしてください。

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香典返しの辞退の伝え方

香典返しを辞退する際は、香典の中袋、あるいは、中袋に一筆箋を同封して簡素にこちらの考えを伝えます。その際は、

「誠に勝手ながら、お返しのご配慮は遠慮いたします」

「お香典返しは辞退いたします」

などといった書き方が挙げられます。

香典返しを辞退された場合の対応

香典返しの辞退には、「遺族に負担をかけないため」という思いやりの気持ちが理由になっている場合もあります。よって、香典返しを辞退する意を受けた遺族は、相手の気持ちを尊重するのがよいでしょう。

辞退された方に対しては、別の形での感謝の気持ちを示すことも考えられます。香典を辞退する場合と同様に、手紙も一つの方法です。文例は、以下の記事で取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。


香典返しの挨拶状とは?宗教別の書き方・おくる際のマナーを解説|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

香典返しは本来、対面でお礼を伝えたうえで贈る必要がありますが、直接の手渡しが難しい場合には挨拶状を同封しお礼の言葉を伝えます。 本記事では、香典返しで挨拶状をおくるべきケースや、文面に記載する内容やルール、仏式、神式、キリスト教式といった宗教別での書き方のちがいについても解説します。

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まとめ

香典を辞退する理由は、故人や遺族の考え、遺族の手間が増えるなどといった現実的な問題が挙げられます。しかし、参列者としては自分の弔意を香典という形で示したいと思うものです。香典辞退の意思は、きちんと伝えるようにしましょう。

遺族が香典辞退を明らかにしている場合はそれに従うのがよいものの、ほかの形で思いを示す方法もあります。供物や供花、それらも断られるのであれば手紙を送るのがよいでしょう。

断るという行為は誤解を生むケースもあるため、丁寧に思いを伝えることが大切です。

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