基礎知識

介護休暇とは?「突然」「ちょっと」が介護で起こったときに利用しよう

  • 公開日:
  • 更新日:

この記事の内容

この記事を監修した人
きた社労士事務所 代表 北 光太郎

中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務情報専門サイトを運営している。

https://kita-kotaro.com/

この記事をおすすめする人

働きながら介護をする現役世代の方


この記事のポイント

  • 介護をする家族が1人いる場合、年間5日の介護休暇が付与される
  • 介護休業とのちがいは、突発的に休みが必要となったときに活用しやすい点
  • 介護休暇には給付金は出ない


おすすめの資産管理・終活アプリは『楽クラライフノート

今までの人生を振り返ったり、これからのシニアライフに向けて自身の情報を整理できるクラウド型エンディングノートアプリです。

iPhoneへのインストールはこちら Androidへのインストールはこちら


家族を介護するため、仕事で「介護休暇」を取得する方法があります。

以前、以下記事で介護休業について解説しましたが、介護休暇と介護休業、その2つはちがうものなのでしょうか?また、そもそも介護休暇とはどういった内容なのかも含めてくわしく解説します。


2023年4月に改正される育児・介護休業法の概要とポイント|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

仕事と育児・介護の両立を目指す法律が、「育児・介護休業法」です。昨今の社会情勢を鑑みて、2021年6月に改正され、2022年4月から段階的に施行が始まっています。 この記事では、少子高齢化が進むなかでより重要となっている育児・介護休業法について、2023年4月1日に施行される改正法を中心に、概要とポイントを解説していきます。

lifenote.ntt-finance.co.jp

og_img


介護休暇とは

厚生労働省では介護休暇を以下のように定義しています。

“労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇

各企業の就業規則によっても介護休暇の扱いは異なりますが、労働基準法ではどのようなルールになっているのでしょうか。

介護休暇を取得できる人

介護休暇を取得できるのは家族を介護する労働者です。ただし、以下のケースでは労使協定を締結していたとしても介護休暇の対象外となります。

  • 入社6ヶ月未満の労働者

  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者


だれの介護のために取得できる?

家族を介護しなければならない場合に介護休暇を取得できると紹介しましたが、家族とは具体的にだれを指すのでしょうか。

対象家族となるのは以下のとおりです。

  • 配偶者

  • 父母

  • 配偶者の父母

  • 祖父母

  • 兄弟姉妹


上記のうち、「配偶者」は戸籍上の夫婦はもちろんのこと、正式に籍を入れていない事実婚の夫婦でも対象に含まれます。また、養子縁組をした親子(養父母・養子)も対象家族に含まれます。

さらに、父母や祖父母、兄弟姉妹など、離れて暮らす家族であっても介護休暇の対象に含まれ、同居の有無は問われません。

一方で、注意しておきたいのは叔父や叔母、そのほかの親戚です。仮に同居していたとしても、叔父や叔母、親戚は介護休暇の対象家族とは認められないため、もし介護のために休暇が必要となれば有給休暇を取得することになるでしょう。

介護休暇を取得できる日数

介護休暇として取得可能な日数は企業の就業規則によっても異なりますが、法律上はどのようなルールとなっているのでしょうか。

介護が必要な家族が1人の場合は年間5日まで、2人以上であれば年間10日までの取得が認められています。注意しておきたいのは、介護が必要な家族が3人、4人いたとしても介護休暇の日数は年間10日が上限という点です。

なお、従来の介護休暇は1日単位または半日単位でのみ取得が認められていましたが、法改正によって2021年から時間単位での取得が可能になりました。就業時間中に一時的に休暇を取得し、再び仕事に戻ってくる「中抜け」については法律によって定められているものではありませんが、厚生労働省では中抜けも認めるよう推奨しています。

どうちがう?「介護休暇」と「介護休業」

介護休暇と似た制度に「介護休業」があります。

どちらもおなじ意味として捉える人も少なくありませんが、取得可能な日数に大きなちがいがあるほか、給付金の有無にも差があります。


介護休暇介護休業
取得可能な日数

対象家族1人:年間5日まで

対象家族2人以上:年間10日まで

対象家族1人につき通算で93日まで、3回を上限として分割して取得可能
対象家族
  • 配偶者

  • 父母

  • 配偶者の父母

  • 祖父母

  • 兄弟姉妹

  • 配偶者

  • 父母

  • 配偶者の父母

  • 祖父母

  • 兄弟姉妹

申請方法口頭で会社へ申し出(就業規則で定められた方法で申請)休業を予定している日の2週間前までに会社へ書面などで申請
給付金なし申請することで給付可能

介護休業の取得可能な日数は、対象家族1人につき通算93日までという上限があります。これは、1度に93日間まとめて取得もできますが、たとえば「30日間・30日間・33日間」といったように、3回を上限として分割して取得できるというものです。

そのため、申出日から93日以内に雇用契約が終了する労働者は介護休業の対象外となります。また、入社1年目や1週間の所定労働日数が2日以下の労働者も対象には含まれません。

パートやアルバイトなど、期間を定めて雇用されている労働者は、「取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない」という条件を満たした場合にのみ介護休業を取得できます。

さらに、給付金の有無についても介護休暇と介護休業の大きなちがいであり、雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合には、介護休業を取得することで月額賃金の67%にあたる介護休業給付金の支給対象となります。

介護休暇と介護休業、選び方のポイント

介護休暇は年間で取得できる日数は少ないですが、毎年一定の日数が付与され、時間単位でも取得できます。一方、介護休業はまとまった日数が取得できますが、93日分の休暇を使い切るとその後、付与されることはありません。

そのため、介護休暇は家族の介護のために単発的に休みが必要になったケースが想定されているのに対し、介護休業は在宅介護などで長期的な休暇が必要になるケースが想定されています。

どちらを取得すべきか迷うことも多いと思いますが、介護している家族の発病といった突発的な事態や、ケアマネージャーとの面談など比較的短時間で済む用件には介護休暇が向いているといえるでしょう。

介護休暇は有給ではないものの、労働者には取得する権利が認められています。通常の有給休暇を取得したくない場合に、介護が理由であれば介護休暇の取得は選択肢の一つとなるでしょう。

介護休暇の取得方法

厚生労働省のサイトでは、介護休暇の取得は「口頭でも申請可」と紹介しています。

ただし、これはあくまでも原則であり、企業によってはさまざまな休暇申請の手続きがルールとして決められていることが少なくありません。

たとえば、有給休暇や介護休暇などは、勤怠管理システムで事前に申請をしなければならないケースや、書面に休暇予定日を記載して提出しなければならないケースもあるでしょう。

これらは勤怠管理を適正におこなうためにルールとして定められていることがほとんどで、介護休暇の取得にあたってもそれに従わなければなりません。

介護休暇に関する給付金

介護休暇は基本的に無給休暇となり、給付金の支給もありません。ただし、企業によっては独自の制度として有給での介護休暇を規定しているところも存在するため、自社の就業規則を確認するか、個別に人事部門へ問いあわせてみましょう。

ちなみに、上記でも紹介したとおり、介護休業の場合は一定の要件を満たす場合において、月額賃金の67%にあたる介護休業給付金が支給対象となります。

介護休業給付金の支給対象となるか、くわしい申請方法なども含めて確認したい場合にも個別に人事部門へ問いあわせてみるとよいでしょう。

介護に関する「突然、困った」ときは、介護休暇の取得も検討を

在宅介護など長期の休暇が必要になったとき、介護休業は給付金の支給対象にもなることから便利な制度です。

一方、介護休暇は介護休業よりも取得可能日数が少ない分、柔軟かつ機動的に利用できる制度といえます。

今回の記事でも紹介してきたように、介護している家族が急病になったり、ケアマネージャーや行政の担当者と打ちあわせが必要になったりした際など、「突然の予定が入って困った」、「ちょっと休みがほしい」というときに役立つことでしょう。

円滑に介護休暇を取得するためにも、家族を介護している人は事前に勤め先の就業規則を確認しておき、上司や人事担当者にも事前に相談しておくと安心です。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

「​​介護に関する希望を子どもに伝えたいが、なかなか話せない」という方には、終活アプリ『楽クラライフノート』がおすすめです。介護施設やサービスの種類・費用感を把握でき、その上介護をお願いしたい人や、希望の介護施設やサービスを一覧から選択して登録し、いつでも変更可能。登録した情報は、伝えておきたい家族に共有できます。

『楽クラライフノート』をご利用いただいている方に、おすすめ情報をお届け。自身の現状や思いを登録したり資産・家計管理をしたりするなかで、「専門知識を持ったプロの方に相談してみたい」など自分の終活がうまくできているのか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。『楽クラライフノート お金と終活の情報サイト』から、アプリ会員様限定で専門家への無料相談の申し込みが可能です。
また、お得な優待も揃えておりますのでぜひご活用ください。

『楽クラライフノート』をご利用いただいている方に、おすすめ情報をお届け。自身の現状や思いを登録したり資産・家計管理をしたりするなかで、「専門知識を持ったプロの方に相談してみたい」など自分の終活がうまくできているのか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。『楽クラライフノート お金と終活の情報サイト』から、アプリ会員様限定で専門家への無料相談の申し込みが可能です。
また、お得な優待も揃えておりますのでぜひご活用ください。

アプリをダウンロードして
終活で直面する様々なお悩みを解消しましょう
楽クラライフノート

Page Top