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初心者にとっての債券投資|知っておきたい債券の種類も紹介
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この記事の内容
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、定年力アドバイザー、相続手続カウンセラー。
年間150回を超えるセミナー・研修、年間80回を超える個別相談、生活に関わるお金や制度をテーマにした執筆業務に従事。「わかりやすく丁寧なセミナー」「安心しながら気軽に話せる相談相手」「ストレスなく読み進められるわかりやすい文章」として定評がある。
この記事をおすすめする人 初めての債券投資でどんなことに気をつければよいかわからない方 この記事のポイント
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以下の記事で解説したとおり、債券への投資は株式や投資信託と同様に主要な投資の手段となります。また、記事内でリスクを考慮しながら投資先を選べば、初心者が債券への投資をするのも決して悪くはないことをお伝えしました。
そこで、今回の記事では「初心者にとっての債券投資」を説明します。なぜ、初心者にとっても債券投資が投資方法の一つとなるのか、覚えておきたいことを解説します。
債券投資の基本
まず、債券投資の要点は下記のとおりとなります。以下の記事でも記述しておりますので、より具体的な内容を知りたいときはこちらの記事をご覧ください。
債券投資とは | 債券を発行する政府・政府系機関・企業などにお金を貸すこと |
債券と通貨 | 債券は円で購入する・償還される「円建て債券」と、外貨で購入する・償還される「外貨建て債券」がある |
債券投資のメリット | 比較的利益の見とおしが立てやすい、リスクの低い債券も存在する、償還日前の売却も可能などが挙げられる |
債券投資のリスク | 債券の元本や利子が支払不能等になる「信用リスク」、価格変動により損をする「価格変動リスク」、為替変動により損をする「為替変動リスク」がある |
債券の市場価格と金利 | 金利が上がると債券価格が下がり、金利が下がると債券価格は上がる |
利息の取り扱い | 定期的に利息が支払われる「利付債」と、利息分が割り引いて販売される「割引債」がある |
なぜ投資初心者で債券を買う人がいるのか
債券は投資の入り口としてふさわしい商品とする人もいます。それはなぜなのでしょうか?ポイントを挙げます。
銘柄を選べば比較的リスクが低い
償還日まで保有するならば価格変動リスクを考える必要がない
満期を迎えたときに得られる金額の見とおしが立てやすい
銀行預金と比較したとき、金利が高い
以下、箇条書した順に詳細を述べます。
リスクは低いといえども、ノーリスクではないことがポイントです。こうした信用リスクなどに関する詳細は後述します。
上記の1点目に加えて償還日を迎えることで、元本が支払われるという点も初心者にわかりやすいポイントです。
償還日まで保有するのであれば、元本の償還とそれまでの利息は計算によって導き出せます。株式投資では、株価はもちろんのこと、配当金の金額は不確かなため、こうした計算は困難です。
現在、メガバンクの定期預金金利は0.002%です。しかし個人向け国債(日本国債)は変動金利で0.17%、固定金利で0.05%であり(本稿執筆時点)、定期預金よりも高い金利となっています。
このように、どのようなリスクがあるかを把握しやすく、また保有している債券がどれだけの価値があるか比較的わかりやすい点が、初心者も債券投資は可能な投資手段といえる理由となるでしょう。
初心者が覚えておくべき債券投資のリスク
こちらも、以下の記事と重複しますが、あらためて債券投資のおもなリスクを解説します。
信用リスク | 発行元の破たんなど、債券の元本・利息がきちんと受け取れるか否かのリスク |
価格変動リスク | 債券の市場価格の変動によって、投資家が損をしてしまうリスク |
為替変動リスク | 外貨建て債券を保有しているとき、為替変動によって投資家が損をしてしまうリスク |
以上は、この後に解説する債券投資をするときに見るべきポイントとも関連してきます。ここから先の内容もぜひ読んでくださいね。
債券投資をするときに見るべきポイント
債券投資はお金を債券の発行元に貸すことですから、発行元が信用できるか否かは一つのポイントとなります。また、それ以外にも利率、いつ償還されるかなど、見るべきポイントは多々あります。一つひとつ解説していきましょう。
発行体が信用できるか
発行体が信用できるかというのは、リスクのところで触れた「信用リスク」と関連してきます。信用度を見極めるには、政府や企業などといった債券の発行元の財務状態を把握するに越したことはありません。また、それ以外にも現在の利率や格付けによって、ある程度、信用度がどのくらいかを理解することができます。信用の低い発行体は、利率が高い傾向にあるためです。格付けについては、後述します。
額面金額
額面金額とは、債券の額面に示される金額であり、償還時に支払われる金額です。
ただ、債券投資では、「額面金額」と「発行価格」の二つがあり、若干、ややこしいかもしれません。額面金額は前述のとおりですが、発行価格とは新規に発行される債券の販売価格であり、100円あたりの価格で示されます。
たとえば、「額面金額=1万円」の債券が「発行価格100円あたり100.5円」で新規に売り出されたとします。この新発債を購入するのに必要な金額は、100.5×100=1万50円となります。
債券価格
こちらは債券の市場価格のことです。金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格金利は上がります。このメカニズムについては、「債券投資の基礎知識|種類と仕組みについて」をご覧ください。
利率
利率とは額面金額に対して支払われる利息の割合です。たとえば、額面10万円で利率(年率)が1%なら、年に1000円の利息が発生することになります。利率は、固定金利の場合と変動金利の場合があります。
利回り
利回りは、債券に投資した金額に対してのリターンがどれくらいの割合になるかを示すものです。先に利率という言葉が出てきたので、ややこしく感じるかもしれませんが、利率は額面金額に対して発生する利息の割合です。しかし、前述のように額面金額と発行価格にはいくらかの差が出ることもあるので、新発債のときは発行金額=投資金額からどのくらいのリターンを得られるかが利回りで示されます。また、既発債でも投資した金額に対してのリターンとして利回りが示されます。つまり、利回りは実際に投資家が得られる利益はどれくらいであるかを示す割合です。
利回りは、ネット証券などでは債券の販売ページに記されます。
償還日
償還日は額面金額が発行体より返還される日です。いい換えれば、貸したお金が返ってくる日といえるでしょう。償還日は発行時に決められますが、必ずしも償還日に償還されるわけではなく、償還日を繰り上げる「早期償還」となる場合もあります。
格付け
格付けは、発行体の信用を示すものです。格付け会社と呼ばれる企業がおこなっており、著名な格付け会社として、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ、フィッチ、格付投資情報センター(R&I)などが挙げられます。
ここでは、S&P、ムーディーズ、R&Iの格付けの例を紹介します。
投資適格か | S&P/R&I | ムーディーズ | 格付けの高低 |
投資適格 | AAA | Aaa | ↑ 高 低 ↓ |
AA | Aa | ||
A | A | ||
BBB | Baa | ||
投機的格付け | BB | Ba | |
B | B | ||
CCC | Caa | ||
CC | Ca | ||
C、SDまたはD、Rと続く(S&P) D(R&I) | C |
いうまでもなく、格付けが高いほうがリスクは低いとみなされており、とくにS&PやR&IならBBB以上、ムーディーズならばBaa以上は投資先として適性があるとされています。反対にそれより下の格付けだと、投資先としてはふさわしくなく、投機的な性質のある債券となります。
もっとも、2007〜2009年に起きたサブプライムショック前は、サブプライムローン関連の債券が高い格付けがされ、アメリカで問題となったこともありました。よって、「格付け会社の格付けだから間違いない」などと思わないようにする必要もあります。
新発債か既発債か
新発債とは新たに発行される債券で、発行価格で取引されます。一方、既発債とはすでに発行されている債券が債券市場に出回っているもので、市場価格で取引されます。
円建てか外貨建てか
円建ては円で取引をする債券、外貨建ては米ドルやユーロ、豪ドルなど外貨で取引をする債券です。
日本人投資家が日本の金融機関をとおして国内債券を購入する場合は、円建ての債券となります。通称「サムライ債」のように円建ての外国債券も存在します。
また、外貨建て債券を購入する際には為替変動リスクに注意を払うことが必要です。
条件付き債券であるか
条件付き債券とは、一定の条件が発生した際、利率や元本の支払いが変更される債券です。たとえば、円建ての債券が外貨で償還される条件が設定されている場合もあります。
初心者が知っておきたい債券の具体例
ここからは、実際に発行されている、市場に流通している債券の具体例を取り上げます。とくに、初心者が知っておいたほうがよい銘柄を挙げます。
とはいえ、以下はあくまでも債券の一例を紹介する主旨であり、購入をおすすめしているわけではありません。投資はご自身の判断の下で、ご自身の責任でおこなってくださいね。
個人向け国債(日本国債)
日本国債のなかでも、個人投資家向けに販売されているものに「個人向け国債」があります。日本人にとってはポピュラーな債券の銘柄であり、銀行、証券会社はもちろんのこと、郵便局や農業協同組合などでも購入可能です。
1万円以上、1万円単位での販売となっています。前述のとおり、利率は変動金利型で0.17%、固定金利型で0.05%です(本稿執筆時点)。
外国債
外国債とひと口にいっても、外国の政府や地方政府、政府系機関が発行する「公共債」と、民間企業が発行する「民間債」に大別できます。
日本国債と比較したとき、外国債は利率・利回りが高いものが多く見られるのが特徴です。たとえば、本項を執筆する2022年11月時点で市場に出回っている既発債を見ると、償還まで1年5か月の米国債が利回り4.82%、償還まで19年3か月のアップルの社債が利回り4.895%となっています。
個人向け社債
一般的に社債は機関投資家向けに発行され最低購入可能金額が数億円となることもありますが、個人向けに小口化された債券として売り出されるのが個人向け社債です。2022年に国内の有名企業が発行した新発債は、利率が1〜2%程度となっています。
個人向け公社債
厳密には「公社」ではありませんが、個人向け公社債に分類されることが少なくない債券として、「市場公募地方債」「ミニ地方債」があります。これは日本の地方自治体が個人投資家向けに債券を売り出すものです。
また、外国の「◯◯公社」「◯◯開発銀行」といった公社の既発債が、日本の債券市場に出回ることもあります。
初心者が避けたほうがよい債券
販売対象外とする制度づくりが始まり、販売を停止する金融機関も増えているため、初心者が接する可能性が低くなっている金融商品ではありますが、「仕組債」というものがあります。これは、債券に複雑な条件や権利を組み合わせた金融派生商品(デリバティブ)であり、純粋な債券とは異なります。大きな利益を出せる可能性はあるものの、それだけリスクの高い金融商品です。大原則として、初心者は避けたほうがよいものといえるでしょう。
一方、債券取引でよく見かける言葉に「劣後債」があります。一見するとリスクが高そうに感じますが、もし発行元が元本の償還不能となった際、劣後債の保有者への債務履行は後回しにされるものです。劣後債は格付けの高い企業などが発行しているケースも多く見られ、一概に危険な(反対に安全な)債券とはいえません。
まとめ
インデックス投資で長期的に利益を狙う投資家は、ポートフォリオのなかに国債を組み込む人もいます。日本国債や米国債は高い格付けがされており、元本が戻ってくる可能性が高いと考えられているためです。
とはいえ、国債であればその国が財政破たん、社債ならば倒産する可能性も当然あります。もちろん、日本やアメリカがそうならないとはいい切れません。財政・財務が破たんとなれば、償還されない可能性も高くなってくるでしょう。
このように考えていくと、債券投資の基礎的な知識はもちろんのこと、経済の動きを知るのも大切になってきます。ニュースで耳にする「米国が利上げ/利下げ」などといったキーワードも、債券投資を進めていくことでより実感をもてるはずです。
(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)
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