コラム

2023年4月から変わる「食品表示基準」|遺伝子組換え表示制度とは

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この記事の内容

この記事を監修した人
一般社団法人ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー協会代表理事 中戸川貢

1969年生まれ神奈川県出身。食品加工コンサルタントとして、食品企業の衛生指導・販売支援を行っている。また、加工食品ジャーナリストとして、「現代食のミネラル不足」、「食品添加物」、「食品表示」、「調味料の選び方」など、全国各地で講演している
https://www.natural-mineral.or.jp/

この記事をおすすめする人

食品の添加物や遺伝子組み換えに気をつけている方


この記事のポイント

  • 食品表示基準は、消費者が安全に食品を摂取するための情報
  • 遺伝子組み換え作物は、遺伝子を細胞に組み込み新たな性質をもたせた作物
  • 任意表示制度が大きく変更された


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「食品表示基準」をご存じでしょうか。世のなかで販売されている食品には、名称や原産地などの表記が義務付けられており、表示の内容や方法を定めた基準のことです。加工食品のパッケージに原材料や内容量、添加物などが記載されているのを目にしたことがある方もいるでしょう。 これまであまり意識する機会のなかった人もいるかもしれませんが、食品表示は私たちが安全に食べものを選択するうえで重要な情報なのです。

その食品表示基準のなかで、2023年4月1日から大きく変わるのが「遺伝子組換え表示制度」。遺伝子組換え作物に関連した食品の表示基準が変わります。

この記事では、遺伝子組換え作物とはどういったものであるかとともに、2023年4月からの食品表示基準の変更点について解説します。

食品表示基準とは

食品表示基準とは、食品表示法の規定に基づき、消費者が食品を選択する、安全に摂取するために表示すべき情報を定めた基準です。食品表示法の第1条には、「食品に関する表示が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し重要な役割」をもつと明記されており、法律の存在意義として「一般消費者の利益の増進」が目的であるとされています。

もともと食品表示については、「食品衛生法」「JAS法」および「健康増進法」の三つの法律によって規定されていましたが、2015年4月に施行された「食品表示法」によって一元化されました。

2023年2月現在の食品表示

食品表示法における「食品」とは、一部の例外を除き原則的にはすべての飲食物を指します。食品表示基準では、食品表示ルールをよりわかりやすくするため、食品を「生鮮食品」「加工食品」「添加物」の三つに区分し、それぞれ何を表示すべきかを定めています。

さらに販売する事業者によっても、「食品関連事業者(一般消費者向け)」「食品関連事業者(業務用食品)」「食品関連事業者以外の販売者(バザーなど)」の三つに区分されています。この販売事業者による区分においても食品表示のルールは異なるため、食品表示基準は全部で9種類に分けられて規定されています。

この項目の最初に表示されている画像は、食品表示の一例です。

生鮮食品の食品表示

スーパーや青果店では、「○○産キャベツ」と紙などに大きく文字が掲げられた包装されていない商品が並んでいることがありますが、これも食品表示基準に則ったもの。農産物(生鮮食品)を消費者向けに販売する場合、名称と原産地の表示が必要になるのです。

包装された生鮮食品には別のルールがあり、名前と原産地のほか、内容量や食品関連事業者の名称や住所などの記載がされることになっています。

加工食品の食品表示

加工食品では、以下の項目の記載が必要になります。

  • 名称

  • 原材料名

  • 添加物

  • 内容量

  • 消費期限または賞味期限

  • 保存方法

  • 食品関連事業者の所在地および製造者・加工者の氏名か名称

  • 栄養成分表示


また、食品によっては、アレルゲン(指定の食品を含む場合)や原料原産地名(輸入品以外の加工食品)、原産国名(輸入品)などの記載も必要となる場合があります。 

添加物の食品表示

食品には添加物が用いられる場合があります。一般消費者からすると、添加物として使われる物質名のみ書かれていても、何のことかわからないケースも起こり得るでしょう。そのため、添加物は原則として物質名を表示しますが、「甘味料(ステビア)」「着色料(クチナシ)」のように、物質名のほかに用途が記載されることがあります。

遺伝子組換え作物とは

冒頭で触れたように、2023年4月に変更される食品表示基準は、遺伝子組換え表示に関するものです。しかし、遺伝子組換え作物がどのようなものであるかを知らない、あるいは、知っていてもよくわからないという方もいるかもしれません。そこで、遺伝子組換え表示についてより先に、遺伝子組換え作物の概要を説明しましょう。

「遺伝子組換え」とは、ある遺伝子を作物の細胞に組み込むことで、その作物には従来なかった新しい性質をもたせるという技術です。そうした作物が、遺伝子組換え作物と呼ばれます。

たとえば、害虫に抵抗性をもつ作物を生み出すことで、生育中に農薬が不要になるものが登場しています。あるいは、従来の品種改良だけでは実現不可能な糖度の高い果物が、遺伝子組換えによって作られるといったケースもあります。

日本においては、データや実証実験などを基に安全性が確認された遺伝子組換え作物を用いる食品だけが市場に流通する仕組みになっています。しかし一方で、「害虫が食べると死んでしまうような作物を、人間が食べても本当に問題ないのか?」といった不安や、倫理的な観点から、遺伝子組換え作物に対して懸念をもつ人が存在するのも事実です。

そこで消費者が食品を選ぶ際に、原材料が遺伝子組換えされたものか否かがわかるよう、2001年から遺伝子組換え作物について食品表示に記載されています。

「義務表示制度」の対象になる品目

遺伝子組換え表示制度は、食品表示基準により表示方法が定められていますが、すべての農産物や食品が表示しなければならないわけではありません。遺伝子組換え表示制度には、「義務表示制度」と「任意表示制度」があり、義務表示制度の対象となるのは以下の表で説明する9つの農産物と33の加工食品です。

加工食品の場合は、すべての原材料の重量を順位化して、上位3位まで、なおかつ食品の総重量の5%を占める場合に義務表示となります。

なお、2023年4月の改正では「義務表示制度」に変更はありません。

義務対象となる9つの農産物およびそれを原材料とした33の加工食品

対象農産物加工食品

大豆

(枝豆および大豆もやしを含む)

  1. 豆腐・油揚げ類

  2. 凍り豆腐、おからおよび湯葉

  3. 納豆

  4. 豆乳類

  5. みそ

  6. 大豆煮豆

  7. 大豆缶詰および大豆瓶詰

  8. きなこ

  9. 大豆いり豆

  10. 1から9までに掲げるものを主な原材料とするもの

  11. 調理用の大豆を主な原材料とするもの

  12. 大豆粉を主な原材料とするもの

  13. 大豆たんぱくを主な原材料とするもの

  14. 枝豆を主な原材料とするもの

  15. 大豆もやしを主な原材料とするもの

とうもろこし
  1. コーンスナック菓子

  2. コーンスターチ

  3. ポップコーン

  4. 冷凍とうもろこし

  5. とうもろこし缶詰およびとうもろこし瓶詰

  6. コーンフラワーを主な原材料とするもの

  7. コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く)

  8. 調理用のとうもろこしを主な原材料とするもの

  9. 1から5までに掲げるものを主な原材料とするもの

ばれいしょ
  1. ポテトスナック菓子

  2. 乾燥ばれいしょ

  3. 冷凍ばれいしょ

  4. ばれいしょでん粉

  5. 調理用のばれいしょを主な原材料とするもの

  6. 1から4までに掲げるものを主な原材料とするもの

なたね
綿実
アルファルファアルファルファを主な原材料とするもの
てん菜調理用のてん菜を主な原材料とするもの
パパイヤパパイヤを主な原材料とするもの
からしな

(参考:消費者庁「知っていますか?遺伝子組換え表示制度」 )

2023年4月に大きく変わる「任意表示制度」

2023年4月の改正では遺伝子組換え表示制度のなかの、「任意表示制度」が変更となります。任意表示制度とは、分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品に、「大豆(分別生産流通管理済み)」、「大豆(遺伝子組換え混入防止管理済)」といった表示が任意でおこなえる制度です。


従来の任意表示制度4月からの任意表示制度
分別生産流通管理によって意図せざる混入が5%以下に抑えられている場合「遺伝子組換えでないものを分別」「遺伝子組換えでない」などの表記が可能「大豆(遺伝子組換え混入防止管理済み)」などの表記が可能
分別生産流通管理に混入がないと認められる場合「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」などの表記が可能

現行の任意表示制度をおさらい

これまでは、食品を流通する過程で遺伝子組換え作物と分別する「分別生産流通管理」をおこなったうえで、意図せざる混入を5%以下に抑えられている大豆やとうもろこし、それらを原材料とする加工食品に、任意で下記のような表示が可能でした。

  • 「遺伝子組み換えでないものを分別」

  • 「遺伝子組み換えでない」


2023日4月からの任意表示制度

新しい制度では、次の2とおりの任意表示ができるようになります。

  • 分別生産流通管理をおこない、意図せざる混入を5%以下に抑えられている大豆やとうもろこし、それらを原材料とする加工食品


→「原材料名:大豆(分別生産流通管理済み)」「大豆(遺伝子組換え混入防止管理済)」などの表記が可能。あるいは原材料表示の枠外に「大豆は遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理をおこなっています」といった表記になる場合もある

  • 分別生産流通管理をおこない、遺伝子組換え作物の混入がないと認められる大豆やとうもろこしそれらを原材料とする加工食品


→「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」などの表記が可能(ただし、検査の結果、遺伝子組換え作物が検出されるケースを念頭に、新制度施行後はこれらの表記は減ると考えられる)

「遺伝子組換え大豆の混入が5%以下になるように管理しています」など、遺伝子組換え作物の混入率を表記することも、任意で可能になります。しかし消費者庁では、表示と商品に矛盾が生じないよう(具体的には、表示より混入率の実態が高い数値になっている、など)事業者へ注意を促しています。

食品表示に注目してみよう

スーパーマーケットや惣菜店などへ行けば必ずといってよいほど目にする「食品表示」ですが、みなさんは注意を払って読んだことはありますか?じつのところ、無添加やオーガニックな食品にこだわる人でもない限り、それほど気にせずに食品を選び、食べているケースもあるかもしれません。

この記事では、食品表示と、そして2023年4月に改正される食品表示基準と遺伝子組換え表示制度について触れました。食品表示には、原材料にどんなものが使われているか、どこで加工されているかなど、さまざまな情報が明記されています。

今後、「遺伝子組換えについて」の表示を見たときには、ご自身なりに遺伝子組換え作物の是非や自分自身はそれを摂るのか否かを考えてみるものよいと思います。食に対する興味を高めることは、豊かな食生活と健康な毎日にもつながっていくことでしょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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