基礎知識

終末期の症状|死が近づいたとき起こること、家族ができること

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この記事の内容

この記事を監修した人
高山哲朗

2002年慶應義塾大学医学部卒業。医療法人社団志嵩会理事長。かなまち慈優クリニック(http://www.jiyu-clinic.jp)院長。医学博士。東海大学医学部客員准教授。PEG・在宅医療学会データ委員。NPO法人PDN理事。

日本内科学会認定医、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医、緩和ケア研修会修了者、東京都難病指定医

クリニックでの内科診療、訪問診療を通じ、地域の人々の疾病予防・健康管理に注力するほか、予測医学研究所所長として、医療予測ツールの開発にも従事。

この記事をおすすめする人

終末期が迫っている親の介護をおこなっている方


この記事のポイント

  • がんの終末期には疼痛や呼吸困難、倦怠感などの症状が現れる
  • 終末期の親を持つ家族は、本人のやりたいことをサポートしてあげることが大切
  • 最期まで安らかに暮らせるよう、つねに寄り添う姿勢で接することも重要


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だれであっても死を逃れることはできません。しかし、実際に人間が亡くなっていく過程を目の当たりにした経験のある人となると、数が限られてくるかもしれません。

人間が亡くなる直前は生命力が衰えてしまっている以上、さまざまな症状が表れることがあります。この記事では、日本人の死因としてもっとも多いがんを例に、終末期の症状にはどのようなものがあるのかくわしく解説します。

終末期で表れる代表的な症状

終末期にはどういった症状が表れるのでしょうか。ここではがんの場合の代表的な症状と、それぞれの緩和ケアの方法についても解説します。

疼痛

疼痛とは、身体に感じる痛みのことを指します。ほとんどのがん患者の終末期に見られる症状の一つであり、激しい痛みによって眠れなくなったり食欲が著しく低下したりすることもあります。

がんの終末期治療においては疼痛をおさえることが重要であり、鎮痛剤を投与して痛みを鎮めます。患者本人が薬を飲み込めない場合には、座薬や貼り薬、点滴で痛みをおさえることも少なくありません。さまざまな痛み止めやモルヒネなどの麻薬製剤によりほとんどの痛みはとることが可能です。モルヒネなどは医師が使用する分には非常に安全な薬剤です。過度に恐れる必要性はありません。

呼吸困難

腹部や胸部に液体が溜まっていたり、肺へ転移することにより息苦しさを感じるようになります。さらに悪化すると呼吸困難に陥る可能性もあります。肺炎を合併する場合には抗生剤の投与が必要になります。酸素の投与や胸水に対する処置をおこなうこともあります。呼吸苦症状をとるために麻薬製剤が使用されることもあります。

死前喘鳴

死前喘鳴(しぜんぜんめい)とは、喉から生じるゴロゴロといった音のことを指します。死期が近づくと身体の筋力は低下していき、唾液や粘液が喉に溜まることで音を生じさせます。

これは死期が近づいた人に見られる症状であり、呼吸困難とはちがったものです。

基本的には特別な処置をしないことが多いですが、唾液の量が多い場合などは薬が投与される場合もあります。

嘔吐

がん細胞によって消化器官の機能が低下したり脳に影響を与えたりすることで、嘔吐の症状が表れることがあります。また、抗がん剤での副作用としてもよく知られています。

がん治療において嘔吐を完全に防ぐことは難しいですが、吐き気を緩和する薬を投与するなどの対策があります。

便秘

終末期のがん患者は、死期が近づくと便秘の症状が表れることがあります。このような症状が表れた場合、下剤を処方し便秘を改善します。経口薬のみではなく、座薬や浣腸を使用します。

発熱

がんの終末期においては発熱もよく表れる症状の一つです。がんそのものが原因となって発熱を引き起こしているケースもあれば、感染症が原因となっている場合もあります。

もし感染症が原因であった場合には抗生剤を投与しますが、腫瘍による発熱の場合で本人に苦痛が伴っていないようであれば体を冷やしてあげる程度とし、無理に薬剤による解熱は必要としないこともあります。

倦怠感

身体がだるく感じたり、強い疲労を感じたりする症状も多くのがん患者に見られます。がんそのものが原因となっているケースもあれば、長期の入院によって筋力が低下した際にも見られます。

とくに強い倦怠感や疲労感を感じる場合には、症状を改善する薬が投与されることもあります。

嚥下困難

「嚥下(えんげ)」とは、固形物や液体を口から飲み込むことを指します。嚥下困難に陥ると水分や食物を経口摂取することができなくなり、抵抗力や筋力の低下によって体力の消耗が激しくなっていきます。

一方、嚥下困難な状況下で無理に食物や飲みものを摂取しようとすると、誤嚥によって肺炎などの合併症を引き起こす可能性もあります。

嚥下困難に陥った場合には、食べものや水分の形態を飲みやすいものに調整したり、嚥下しやすい食品を利用したりします。

意識障害・せん妄

がん患者のなかには、意識レベルが低下したり、せん妄を引き起こしたりする方もいます。せん妄とは、錯乱状態に陥り興奮した精神状態のことであり、ときには幻覚をともなう場合もあります。


とくにせん妄の症状が表れると、患者本人が自傷行為に及んだり、事故を引き起こしたりする危険もあるため注意深く観察し保護しなければなりません。また、薬剤の副作用によって意識障害やせん妄を引き起こす場合もあることから、別の薬剤に切り替えたり投与を中止したりする場合もあります。

終末期の患者家族に対して家族ができること

終末期を迎えたがん患者が家族にいる場合、死期が近づいてきた本人に対してどのようなことができるのでしょうか。

治療による改善の見込みが低いなかでも、本人を支えるために有効な3つのことを紹介します。

そばで寄り添う

死を迎えることはだれしもが恐怖を覚え、不安になるものです。患者本人を物理的にサポートするだけでなく、寄り添ってもらえるだけでもリラックスでき、幸せでいられるでしょう。患者が会話できる状態ならば、伝えたいことがあるかもしれないため、そのためにも寄り添う時間をつくることが大切です。

マッサージや体を拭くといったケア

軽いマッサージをするだけでも、血流がよくなり、寝たきりでも身体が楽になります。決して強い力でおこなう必要はなく、触れる程度の力で十分です。

また、風呂に入れない場合は、体を拭いてあげるとリラックスにつながるでしょう。

これらのやり方を、看護師や介護士に聞くと、患者にあった方法を教えてくれると思います。

好きな音楽や香りでリラックスする

会話などの意思表示が難しい患者も、耳は聴こえているケースがあります。そのような場合、好きな音楽が耳に入ってくると、リラックスにつながります。

また、患者は香りを感じ取れる場合もあるため、環境が許すのであればアロマディフューザーなどでの香りでリラックスしてもらうのも良いでしょう。

終末期の家族の心構え・役割

患者本人からすると、家族が寄り添ってくれるだけで嬉しいものです。それを念頭に、終末期における家族の心構えと役割を説明します。

医療者と連携する

終末期の患者との生活には、医師、看護師、介護士など、医療・介護従事者との連携が不可欠です。医師からは病状の確認と今後の治療方針についての説明を受け、看護師や介護士とは日常のケアをどうおこなっていくかについて話しあっておきましょう。容態の急変への備えもこれらの人々と話します。それと同時に、ケアしてくれる人たちそれぞれの緊急時の連絡先も把握しておきましょう。

特別なケアをする必要はない

医療・介護従事者と連携ができているのであれば、ほかに必要なのは家族が患者に寄り添うことであり、特別なことをする必要はありません。

終末期は、文字どおり人生の終わりがすぐそばまで近づいている時期なので、患者に寄り添う時間を大切にしましょう。

まとめ

終末期の症状は疼痛のようにほぼとることができるものもあれば、対処が難しいために最後には鎮静をかける必要があるものもあります。苦痛を最大限とるようにいまの日本の医療はおこなわれています。本人の希望をかなえてあげることができたら、それは本人にとっては何よりもありがたいことです。人生の最期への考え方はさまざまです。どれがよいと決めることなく家族でよく話しあってよりよい方法を模索してください。人が亡くなるとき、どれほどに尽くしたとしても後悔がうまれるものです。事前に家族でよく話しあい、いまがもっともよい状態だと思って行動しましょう。その人のことを考えておこなった決断こそが最良のことといえます。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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