基礎知識

認知症の4つの種類|それぞれの原因と症状を解説

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この記事の内容

矢野大仁

中部脳リハビリテーション病院・中部療護センター、脳神経外科部長、副センター長

 

経歴

平成2年 岐阜大学医学部卒業

平成12年 岐阜大学医学博士

平成12年から岐阜大学病院に勤務。

平成17年 チューリヒ大学脳神経外科(留学)

平成25年 岐阜大学臨床教授・准教授

令和2年4月より現職

 

資格

日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本がん治療認定医機構認定医

 

学会活動

日本脳神経外科学会評議員、日本脳腫瘍病理学会評議員、日本ニューロリハビリテーション学会理事、日本意識障害学会世話人

 

診療活動

脳腫瘍、脳卒中、てんかんなどの他、パーキンソン病など不随運動の外科治療など幅広く診療しています。患者さんにわかりやすい説明を心がけています。

この記事をおすすめする人

認知症に当てはまる症状に覚えがある方


この記事のポイント

  • 認知症4つの種類のうち、アルツハイマー型認知症を患う方の割合が約7割を占める
  • 生活習慣病にかかっているとアルツハイマー型認知症を発症するリスクも高い
  • 自分が認知症であると理解できない場合もあるため、周りの人のサポートが重要


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シニアが発症する割合が高く、日常生活にも支障をきたすことが多い認知症。しかし、ひと口に認知症といっても、発症原因などによっていくつかの種類があることをご存じでしょうか。

どの認知症にかかっているかによっても、症状の現れ方は異なります。そこで、この記事では認知症の代表的な4つの種類である「アルツハイマー型認知症」、「血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」について解説します。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでもとくに多く見られる種類です。アルツハイマー型認知症の原因と主な症状は以下のとおりです。

原因

アルツハイマー型認知症の主な原因は、アミロイドβとよばれるたんぱく質が脳に蓄積することです。この物質がとくに記憶を司る海馬に蓄積していくと、脳神経細胞が徐々に死滅していき、認知症を発症します。

アミロイドβが蓄積される根本的な理由は判明していませんが、生活習慣病にかかっている人はアルツハイマー型認知症を発症するリスクも高いことがわかっています。

症状

アルツハイマー型認知症は、軽度の記憶障害(もの忘れ)から徐々に進行していくことが多い傾向にあります。ただし一般的な加齢による記憶障害と大きく異なるのは、ものごとの一部ではなく全部を忘れてしまう傾向にあることです。

たとえば、1週間前に旅行に出かけた場合、加齢による記憶障害であれば泊まったホテルの名前や食べた料理などを思い出せないことは多いものです。しかしアルツハイマー型認知症の場合、旅行に行ったという事実そのものが思い出せないことが大きな特徴です。

血管性認知症

アルツハイマー型認知症に次いで多いのが血管性認知症です。アルツハイマー型に比べると知名度は高くありませんが、さまざまな病気が引き金となって発症するケースが多く見られます。

原因

血管性認知症の直接的な原因となるのは、脳梗塞や脳出血などの病気です。これらは脳血管障害ともよばれていることから、血管性認知症という名称が名付けられました。

脳血管障害では直接的に脳の損傷が生じるため、脳の機能が低下し認知症を発症することになります。

アルツハイマー型認知症と異なり、原因が明確であることもがポイントです。脳血管障害の発生や再発を予防するため、適切な対策や治療が大切となります。

症状

血管性認知症の主な症状としては、言葉がうまく話せない、うつ状態になる、感情の起伏が激しくなるといったものがあります。また、症状が悪化すると歩行障害や手足の麻痺といった身体的な障害が出てくることもあります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症とは、アルツハイマー型認知症や血管性認知症に比べると少数ではあるものの、さまざまな症状が共通して見られる認知症です。

原因

レビー小体型認知症の原因は、その名のとおり「レビー小体」とよばれる特殊なたんぱく質が脳に蓄積されることで発症します。アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβと同様、レビー小体も脳に蓄積されていくと脳細胞が破壊され、認知症の症状が現れます。

なお、レビー小体が脳に蓄積される理由についても、アルツハイマー型認知症と同様くわしいことは判明していません。

症状

レビー小体型認知症では、記憶障害や判断力の低下などの認知症状が出現しますが、これらの症状があるときと、日や場所によっては認知状態がはっきりしている場合があります。幻視も特徴的で、ないものが見えたり、見間違えたりします。また、パーキンソン病の症状に類似して、手足のこわばりや歩行障害といった身体的な障害が現れやすくなります。

前頭側頭型認知症


加齢が進み50代や60代に発症しやすい傾向にあるのが前頭側頭型認知症です。発症にいたる主な原因と症状は以下のとおりです。

原因

前頭側頭型認知症を発症する原因はいくつかあり、そのうちの一つに「TDP-43」という特殊なたんぱく質があります。これが脳に蓄積されることで脳細胞を死滅させ、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮し認知症を発症します。

また、もう一つの原因として挙げられるのが、ピック球とよばれる異常構造物です。これも脳を萎縮させる原因となることがわかっていますが、なぜこれらの物質が脳に溜まっていくのかという根本的な原因はわかっていません。

症状

前頭側頭型認知症に見られる典型的な症状としては、個人の性格が極端に変わってしまうことが挙げられます。温和だった人がイライラしてつねに怒るようになったり、思考が凝り固まって頑固な性格になったりすることもあります。

さらに症状が進行していくと、万引きなどの問題行動を起こすようになったり、髪型や服装に気を使わなくなったりすることもあります。

4つの認知症の割合


認知症には主に4つの種類が存在することや、それぞれ原因や症状も異なることなどおわかりいただけましたか?上の円グラフは認知症の分類別の頻度を示しています。

4つの種類のなかでもアルツハイマー型認知症が圧倒的に多く、全体の67.6%を占めています。次いで血管性認知症が19.5%、レビー小体型認知症4.3%、前頭側頭型認知症1.0%と続いています。

なお、今回の記事内では取り上げていませんが、7.6%を占める「その他」のなかには、脳寄生虫や脳炎、髄膜炎、脳腫瘍といった疾患が原因で発症する認知症も含まれています。

どのタイプの認知症かを理解するために

もし認知症になってしまうと、本人は自分が認知症であると正常に理解できない場合も少なくありません。そのため、家族や友人など周りの人のサポートが必要かつ重要です。

まず、患者とよく話して記憶のレベルや特徴をつかむことが大切です。また性格の変化や日常生活で以前にはなかった症状が出現していないかなど、生活全般を把握して、その様子を専門家に伝えることも大切です。認知症のさまざまな症状について知ることが重要なポイントになるでしょう。

 

(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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