建設前から予約満杯!?人気高まる「高級老人ホーム」の魅力と、選び方の重要ポイント

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セカンドライフの過ごし方を考えている人にとって、もっとも重要になるのが「終の棲家をどこにするか」です。エリアはもちろん、マンションか一戸建てか、子どもと同居するのかなど、選択すべき項目はたくさんあります。


いずれは病気やケガで介護や看護を受ける時がくるかもしれません。一昔前なら自宅で子世帯と暮らし介護してもらうのが理想の形でしたが、いまは、肩身の狭い思いをせず、自分のお金を自由に使って好きに暮らせる老人ホームのほうが幸せと感じる高齢者が増えてきています。


特に富裕層をターゲットにしたハイクラスな高級老人ホームは建設前から予約で埋まるほど注目を浴びています。しかも入居を開始する年代も若くなってきており、老人ホームから出勤する経営者や医師もいるほどです。


高級老人ホームが人気な理由、そして選び方について解説します。

特養を超え、増え続ける有料老人ホームの定員数


介護施設の定員数を表した下記のグラフを見るとわかる通り、特養と呼ばれる「介護老人福祉施設」が安定した定員数を確保するなか、2010年以降急激な伸びを見せているのが「有料老人ホーム」です。


【介護施設等の定員数(病床数)の推移】

出典:令和4年版高齢社会白書(内閣府)

特養は公的な介護保険施設で、基本的には要介護3以上で在宅での生活が困難になった人が入居します。いわゆる終身タイプで入居金ゼロのところが多く、月々の費用も低く抑えられています。その分、一人当たりのスペースは狭く、相部屋の場合もあります。また、地域によっては施設数の不足から待機期間が長くなる、あるいは希望の施設を選べないケースもあります。


一方、施設数が急増している有料老人ホームは民間経営で高齢者が暮らしやすい環境を整えた住まいと考えてください。家事全般、入浴、排せつ、健康管理などのサポートを受けながら、高齢者が自分らしく生きることを目的にしています。


有料老人ホームと一口にいっても、入居金や月々にかかる費用はピンキリです。そんななか、現在の富裕層のあいだでは、広い居室、豪華な共有スペース、個々の要望に応えてくれるオプションサービスなどを受けられる高級老人ホームが話題となっています。1億円を超えるホームも少なくありません。

ほしいものがすべて手に入る環境


「高級」と呼ばれる老人ホームはそれぞれ特徴的な立地や環境、サービスを揃えて入居者の満足度を上げています。立地でいえば「どの部屋からも海が見える」「超都心の駅近のタワー」「リゾート地」などがあげられます。建物の外観や内装はハイクラスなリゾートホテル並みの豪華さ。調度品や家具も一流のものを揃えています。


他にも館内の設備やサービスも十分すぎるほど充実しています。ひとつのホームにこれらの設備やサービスがすべて揃っているわけではありませんが、このなかから譲れないものをチョイスしていくと、自身に合う老人ホームを見つけやすくなります。


〈食事〉

  • 有名レストランやホテルのシェフ、元シェフが調理する
  • 栄養士が徹底的にこだわった健康的なメニューの提供
  • 毎食、数種類のメニューから選択できる、あるいはアラカルトが用意されている
  • お酒の提供がある
  • 器やカトラリーにこだわっている


〈サービス〉

  •  洗濯、掃除、アイロンがけ、電球交換など生活に関するサービスを受けられる
  • 医療機関、買い物、散歩などの送迎、付き添いを頼める
  • 旅行や観劇、コンサートなどのチケット手配
  • 家族や友人を招いてパーティや会食、宿泊
  • コンシェルジュサービスを導入し、細かい要望や相談に乗ってもらえる


〈館内の共有施設・サービス〉

  • スポーツジム、プール、リハビリスペース
  • 温泉、エステ、マッサージなどの癒し系
  • 美容院、ネイルサロン、メイクなど美容系
  • 音楽室(防音設備やピアノ)、アトリエ、図書室、など趣味の場
  • ラウンジ、バーなど、入居者同士が交流するエリア
  • 家庭菜園や花の栽培ができる畑や庭


〈サークル活動・イベント〉

  • 季節ごとのイベント、旅行
  • 有名アーティストを招いての音楽会
  • 多種多様なサークル活動

100㎡を超える居室でゆったりと暮らす


有料老人ホームでは一人当たりのスペースを13㎡、約8.5畳以上確保するように定められていますが、高級老人ホームでは60㎡以上ある居室も珍しくなく、なかには100㎡を超える2LDKや3LDKの部屋が用意されているところもあります。夫婦や兄弟姉妹で利用することを想定しトイレやベッドルームが2つずつ設置されていたり、一般家庭と遜色ない豪華なキッチンが備え付けられていたりする居室もあります。


有料老人ホームの入居金は、入居時に2~3割程度が償却され、残りは15年程度で全額償却されますが、それまでに退去や逝去した場合には、残金が返金されることになります。同等のマンションの一室を購入しようとすれば、老人ホームの入居金では賄えない金額がかかるでしょう。そう考えると、高齢になって住みやすいマンションを新たに購入するよりも、最期の時まで安心して暮らせる保障のついた老人ホームを選択するほうがお得といえるのかもしれません。

いざというときの安心、安全


健康面への配慮も高級老人ホームであれば安心できます。スタッフの人数が充実しているのはもちろん、看護師が24時間常駐している、クリニックや大病院との提携が確保されているなど、いざという時にもスピーディに対応してもらえます。


けがや病気で一時的に入院をした際は、退院してすぐに自室で一人になるのは不安という人のために、回復室のような居室が用意されているところも少なくありません。看護師や介護士の見守りを受けながら心身ともに回復したら、再び自室で自分らしく暮らすことが可能になります。

高級老人ホームを選ぶ際の注意点

建物の外観や内装、設備やサービスだけでなく、老人ホームを選ぶ際には「自分に合うか」をもっとも重要視すべきでしょう。以下の点は、見学会などで必ず確認しておきましょう。


試食で見極めるべきこと

見学会で提供される食事が、普段の食事と同じような内容なのかは必ず尋ねてみましょう。老人ホームによっては「特別食」と呼ばれる、年に数回のイベント時に提供されるメニューを見学会で振舞うことがあるからです。


また、レストランで食事をするときのように「美味しい」「見た目が美しい」といった感想ではなく、この食事を毎日、3回ずつ食べることを想定して試食しましょう。料理の硬さ、食材の大きさ、全体の分量、味付けなど、冷静に自分の舌に合うかを判断してください。硬さなどのオーダーにどれくらい対応してくれるのか、苦手な食材やアレルギーがある場合の対応も聞いておくと安心です。


入居者との雰囲気が合うか

入居してみたら、自分とは趣味や雰囲気の合わない人が多くて部屋に引きこもってしまった、すぐに退居したくなったと、後悔する人は実は少なくありません。土地柄や経営母体によっても、入居する人の雰囲気が変わることもあります。自身の生活していた環境とかけ離れたエリアで老人ホームを探す場合には、土地柄を把握しておく必要があるでしょう。


どの部屋を選ぶのか

新築の物件の場合、たいていは高層階、広い居室など、入居金が高額な部屋から埋まっていきます。できるだけよい部屋をと考えるのであれば、老人ホームを紹介してくれる業者にあらかじめ相談をしておき、新しい老人ホームの一次募集が始まるタイミングで部屋を抑える必要があります。


とはいえ、高額だから自分に合う部屋とは限りません。広すぎる部屋に一人で寂しい思いをする人もいますし、大浴場やレストランへの動線が悪く、入居してから大変な思いをしているという人もいます。自分にとっての幸せを第一に部屋のチョイスをしてください。

まとめ


何歳になっても「自分らしく生きる」ことを目標にするなら、元気なうちに老人ホームに入居する。これがいまの高齢者のトレンドといっても過言ではありません。


富裕層の終の棲家として注目を浴びる高級老人ホーム。都心部では建築ラッシュが起きています。居室、設備、食事、サービスなどを吟味して、自分らしく生きられる場所を見つけるためにも、65歳を超えたら老人ホームの見学会に参加してみてはいかがでしょうか。「高級」でなくても、ここなら趣味を満喫しながら、気兼ねなく暮らせるという場所が見つかるかもしれません。



執筆:鹿住 真弓

医療・介護・子育てライター

神奈川県在住。編集プロダクションを経て、エディトリアル&グラフィックデザイン会社を設立。女性誌を中心にライター兼編集者として活躍。出産後フリーとなり、医療、介護、子育てなど、女性のライフスタイルに寄り添ったテーマの執筆を続けている。保育士資格を持ち、障がい児教育にも尽力。著書に「主婦が輝く会社の驚異の『チーム育成術』」(幻冬舎メディアコンサルティング)などがある。


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