シニアでもペットは飼える?「高齢者向けペット支援事業」をおこなう団体に聞いてみた

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この記事の内容

街を歩けば、多くの人が犬を連れて歩く場面が見られますよね。シニア世代のなかにも「ペットを飼ってみたい」と思う方はいらっしゃるのではないでしょうか。そんな願いをもつ人をサポートしている団体に、一般社団法人 動物共生推進事業があります。この団体では、シニアでも安心してペットが飼えるよう「高齢者向けペット支援事業」をおこなっているのです。そこで、同団体の三本美栄さんに話をうかがい、シニアのペット飼育の事情や注意点を聞きました。

「高齢者向けペット支援事業」では何をしている?

――まず、一般社団法人 動物共生推進事業について教えてください。

メインの事業は、動物の保護と譲渡活動です。保護したワンちゃんや猫ちゃんを里親募集サイトや譲渡会などで譲渡しています。そのほか、輸血ネットワーク事業、保護団体への支援事業、子どもと動物のふれあい事業、ボランティアネットワーク事業とともに高齢者向けペット支援事業をおこなっています。

――高齢者向けペット支援事業では何がおこなわれているのですか?

シニアの方がペットを飼うときにもっとも心配されるのが、もし自分が亡くなったらペットはどうなってしまうのだろう、ということだと思います。そこで、私たちから譲渡したワンちゃん、猫ちゃんに関しては、もし飼育できなくなったとしても、再度お引き取し、新たな里親さんを見つける活動をおこなっています。そのほか、シニアの方がもつ不安に応えられるよう、相談に乗ることもありますね。

――こうした事業を始められた経緯を教えてください。

ほかの動物保護団体ですと、譲渡先に年齢制限を設けている場合があるのです。たとえば、ペットの最期を看取れない可能性があるために60歳以上の人には譲渡できない、という制限ですね。ただ、私たちも保護団体として活動していると、ペットと一緒にいることで気持ちが豊かになったり安らいだりすることを強く実感します。そこで、シニアの方にも安心してペットを飼えるよう、この事業を始めました。

――ペットを迎えたいというシニアはどのような伝手で、こちらの団体に相談されるのでしょうか?

インスタグラムにアップロードした写真を見つけていただいたり、私たちが広報に利用しているフリーペーパーを見ていただいたり、というケースですね。またコロナ禍より前は、地域のイベントで譲渡会を開いて、そこで知っていただく機会もありました。譲渡会では、シニアの方から「ほかの保護団体にも相談したんだけど、断られちゃって」との声を聞きます。

シニアにもペットは飼える?

――シニアがペットを飼おうとすると、健康面や経済的な面から「本当に飼えるだろうか」と不安をもつ人もいると思います。

たしかに、健康面で不安になるのは、よくわかります。ただ、散歩ができるなど最低限の健康状態を維持している人であれば、ペットを飼うのはそれほど難しいことではありません。ずばり、シニアの方でもペットを飼えるといってよいと思います。

また、経済的な面でいうと、若い世代よりもシニアの方のほうがペットにお金をかけられるのではと考えています。私には中学生の子どもがいるのですが、子どもがいると食費や学費などのお金がどうしてもかかってしまいます。しかしシニアの方の場合子どもは独立していて手がかかりませんから、経済的な面で、あるいは時間的な面でも、ペットを世話できると思います。

――ペットを飼った経験がある人ならばまだしも、はじめてペットを飼うシニアはより不安が大きいと思いますが……?

まず、ワンちゃんより猫ちゃんのほうが、散歩の必要などがないため、シニアにとっては飼いやすいといえます。ただし子猫だとやんちゃなところがあるので、一緒に遊んであげられる体力が少し必要になるかもしれませんが……。そのうえで、はじめてペットを飼う方はペットの体格や性格をよく見たほうがよいですね。もしワンちゃんと暮らすならば、体の大きい子だとお散歩のときにぐいぐい引っ張られてしまい、踏ん張れる体幹や腕の力が必要になるため、避けたほうがよいと思います。性格も飼い主に慣れてもらうための時間を短くするためにできれば穏やかなほうがよいといえるでしょう。

――では、シニアがペットを飼うことのメリットを教えてください。

ペットがいることで、人と人とのコミュニケーションが図れます。たとえば、ワンちゃんと散歩していれば、ワンちゃんを飼っているほかの方と出会えて「こんにちは」「いい天気ですね」などの会話が生まれますよね。また、私の母も高齢の1人暮らしで、猫ちゃんを飼っています。昨今のコロナ禍だと母になかなか会えず、話ができるような話題もあまりなかったのですが、メッセンジャーアプリで猫ちゃんとのエピソードや写真を送ってきてくれて、やはりよいコミュニケーションになっています。

――反対にデメリットはありますか?

ほとんどないといってよいと思いますが、強いて挙げれば、大きいワンちゃんだと将来的に(犬の)介護が必要になったときに、体力的な負担がかかってしまうことでしょうか。

――生き物を飼うということは命に責任をもつということになると思いますが、その意味でペットを飼うのは避けたほうがよいのはどんな人でしょう?

ファイブフリーダムズ、動物の5つの自由という考え方があります。もともとは、1960年代のイギリスで家畜の飼育環境改善のために提唱されたものだそうですが、現在ではペット飼育や動物実験でもこの考え方が尊重されています。次に挙げる5つの自由を守れない人は、飼わないほうがよいといえます。

  1. 飢えと渇きからの自由

  2. 不快からの自由

  3. 痛み・怪我・病気からの自由

  4. 恐怖や苦悩からの自由

  5. 正常な行動を表現する自由


1番目は餌や水をきちんとあげること、2番目は清潔・適切な飼育環境を用意すること、3番目は病気などを予防したり治療をきちんとしたりすること、4番目はストレスをかけないこと、5番目は動物が十分な行動をできるだけのスペースなどが確保できていること、です。

逆にいうと、こうした自由をきちんと確保できていて動物の気持ちを尊重できるならば、ペットとはさまざまな楽しみ方をしてもよいのでは、と私たちは考えています。たとえば、近年ではペットに洋服を着せたり一緒に旅行したりといったことが「擬人化」と呼ばれ、これに対して賛否両論、意見があるのですが、ペットの自由が守られていて飼い主さんもペットも楽しめているのであれば、問題ないと思っています。

保護犬・保護猫の“お迎え”の仕方

――貴団体は保護犬・保護猫を譲渡しておりますが、こうしたペットを迎え入れるときの注意点を教えてください。

保護された動物の多くは、成犬、成猫です。これはつまり、性格ができあがっているということ。なので、怖がりな性格の子を無理矢理お散歩に連れて行くなど、ペットの性格上嫌がるようなことは避けていただければと思います。

――ただ、ワンちゃんの場合だと散歩しないと排泄しなかったり、そもそも運動不足になってしまったりしますよね?

そのためにも、信頼関係を築いていただればと考えています。まずは嫌がることを極力避けながら距離感をたしかめていくことで、段々と信頼関係を築けていけます。また、保護犬・保護猫は保護団体からお迎えするわけですから、そのスタッフに何でも聞いてみるとよいと思います。

――ご存じの限りで結構なのですが、ペットショップから迎え入れる場合の注意点を教えてください。

保護団体とは正反対で、ペットショップにいるのは子犬・子猫がほとんどです。こうしたペットは成長が見られるのがメリットである半面、寿命が10〜20年あるわけですから、シニアにとっては終生世話ができないかもしれないところが注意すべき点といえます。

シニアがペットと暮らす前にしておくべきこと

――では、どんなお迎えの仕方をしたとしても、シニアがペットと暮らす前に必要なことはありますか?

シニアに限らないのですが、いつでもペットについて相談できる人や場所があるとよいですね。とくに動物病院は飼い始める前に見つけておくのが大切です。

――動物病院には、飼う前から相談できるものなのでしょうか?

できます。たとえば、ペットの一生のうちでどんな病気にかかり、それはいくらくらいの治療費がかかるのかを聞けば、獣医の先生が教えてくれるはずです。また、保護犬・保護猫であれば、事前に体の悪いところがわかっている場合が多いですから、そういった子を迎え入れるうえでの注意点も聞けますね。

ペットが亡くなるまで幸せにいるために

――先ほどもすこし話に出ましたが、シニアはペットより先に亡くなってしまい、ペットの世話をする人がいないのを恐れて、飼育に踏み切れないケースがすくなくないと思います。

ええ。私たちのように、もし飼い主が先に亡くなってしまっても再度お引き取りして里親を探す、といった団体からペットを迎えられればよいですが、そうでない場合はあらかじめ世話をしてくれる人を見つけておくのが大切ですね。一方で、多額の費用がかかってしまいますが、最近は飼い主を失ったワンちゃんを世話してくれる「老犬ホーム」が生まれています。経済的な余裕があれば、老犬ホームに預けることも選択肢の一つです。

――反対に、ペットが先に亡くなってしまう場合もあります。そうなると、いわゆる「ペットロス」の精神状態にもなり得ますが、悲しみを和らげるにはどうすればよいでしょう?

私自身もペットロスの状態になった経験があるのですが、しばらくは何にもできませんでした。最終的には、次の子をお迎えしたとき「前の子もとてもかわいかったけれど、この子も同じように愛情を注いであげよう」と思うと、すこしずつ元気になりました。新しい子をお迎えしないという選択をする場合、親身に話を聞いてくれて共感してくれる人が近くにいるだけでも、心が和らぐと思います。

――ペットの余命がわかったときに、悔いを残さないためには何をすべきでしょうか?

きちんとペットと向き合ってあげることですね。余命がわかるということはペットの介護をするケースが多いと思います。夜泣きやおしめなどの世話をきちんとしてあげることで、あとから「あのときは大変だったけど、幸せだったなあ」と思えるはずです。

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シニアにとってペットを飼いやすい環境ができつつある

三本さんによると、各地にある保護団体のなかには里親に求める基準を「従来は60歳未満だったが、65歳や70歳に緩和する」例も見られるそうです。また、老犬ホームやペット信託など自分が先に亡くなってしまった場合のセーフティネットとなる仕組みもできており、以前よりはシニアがペットを飼いやすい環境ができているといえそうです。

もちろん、ペットを飼うということは自分以外の「命」に責任をもつということです。安易な気持ちで飼わないようにしたいですね。一方で、ペットがいるからこその喜びもありますから、飼う際は存分にかわいがってあげてください。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部 情報は2022年5月31日時点のものです。)

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この記事を監修した人
一般社団法人動物共生推進事業  三本美栄(みもとみえい)

ペットショップや動物病院で働いてきた経験を活かし2015年に一社)動物共生推進事業を立ち上げる。

高齢者向け飼育支援の他、保護犬猫の保護譲渡事業、輸血ネットワーク事業などペットと人が不自由なく豊かに暮らせる社会の創出を目指している。

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