シニアの海外移住は楽園?注意点とおすすめの国とは

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老後に海外移住を考えているミドル世代の方


この記事のポイント

  • 海外移住しても日本の年金を受け取れる
  • 健康診断の受診や予防接種がビザの発給条件になっている国も存在する
  • 移住先に知り合いがいない場合は「移住コンサルタント」に相談できる


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読者のみなさんのなかには、「老後は海外暮らし」を夢見る方もいるのではないでしょうか。ゆったりとした時間が流れそこに住む人々の気持ちが穏やかな国へ移り住めば、のんびりとした老後が過ごせそうと想像できますよね。

こうした海外での生活は、日本では体験できないことに出会える一方、普段の生活にはさまざまなデメリットも存在します。この記事では、シニアが海外移住するならば何が必要か、何に気をつけるべきかを解説します。

みんなは海外移住をどう考えている?

海外移住を想像したことのあるみなさんは、どんなときに外国に住んでみたいと思いますか?この問いに対し、DeNAトラベルがおこなったアンケート調査では「海外旅行したとき」に続き「退職したとき」という答えが2番目に多い結果となっています。少なくない数の人が、仕事を終えたタイミングで海外移住したいと考えているのがわかりますね。

また、おなじ調査で60代の人が移住したいと考える国は、回答が多かった順に、タイ、マレーシア、オーストラリアとなっています。ほかの世代(20代、30代、40代、50代)は、すべてアメリカが1位となっているのですが、それとは対照的な結果です。なぜ、タイ、マレーシア、オーストラリアがシニアに人気があるのかは、のちほどあらためて解説します。

海外移住すると、年金はどうなる!?

ところで、シニアにとって生活していくのに必要不可欠な社会保障として、年金がありますが、もし海外移住したら日本の年金を受け取れるのでしょうか?

結論からいうと、海外移住しても年金は受け取れます。海外の銀行口座を日本の年金の受取先として指定もできます。

ちなみに、外国の年金制度で保険料を納付していた人の場合、その納付期間を日本の年金の納付期間と通算できる制度があります。日本の年金制度では、年金を受給するためには保険料等納付済期間が10年以上であることが必要とされますが、日本と社会保障協定を締結している国であれば、海外での納付期間を日本で納付していたとみなされるのです。現役世代のころから海外暮らしをしている方は、いま一度、日本と海外での年金保険料の納付状況を確認してみてください。

そのほかの海外移住で注意すべき点は?

海外でも日本の年金が受け取れるとわかれば、ひとまず経済的なハードルはクリアできそうと感じる方もいるかもしれませんね。ただ、海外移住は日本とは異なる環境で暮らすわけですから、ほかにも覚えておいたほうがよいこと、気をつけなければならないことが存在します。

健康診断、ビザの取得などの手続きを済ませる

意外と思われる方もいるかもしれませんが、健康診断を受けていることをビザの発給条件にしている国があります。また、特定の予防接種を受けたことの証明書を求められる場合もあります。たとえ健康診断がビザの発給条件となっていなくても、海外では日本のような国民皆保険制度が整備されていない国も存在します。そのため、健康診断は必ず受けましょう。

また、海外に長期滞在する場合は多くの国でビザが必要とされます。老後の海外生活をするのに適切なものとして「リタイアメント(退職者)ビザ」を発給している国もありますが、「年間◯ドル以上の年金を受給していること」「◯ドル以上の資産を保有していること」など、その条件はさまざまです。もし、移住後にその国で仕事をしたいという場合は、就労ビザが必要になりますので、こちらも注意が必要となります。

治安・物価・気候・住みやすさなどを考慮して、移住先を決める

繰り返しになりますが、海外で暮らすということは、日本とは異なる環境で暮らすということです。

まず治安について、必ずしも日本より環境が悪い国ばかりとは限りませんが、たとえ治安がよいといわれる国でも、夜のひとり歩きは避けたほうがよかったり日本人を狙った犯罪が多発していたりするので、注意を払う必要があります。物価も同様で、日本より物価が安いといわれる場合でも、たとえば住居費や日本製品は高額な国・地域もあります。

健康面に気を使う人にとっては、気候も移住先を選ぶうえでのポイントとなるでしょう。東南アジアは日本に近い高温多湿の気候ですが、夏は日本よりも厳しい暑さとなります。また、日本語や英語が通じやすい国、医療制度が整備されている国、といった住みやすさも目を配るべき点です。

仕事を見つけるのは難しい

移住先でも仕事をして収入を得たいという場合、前述のとおり、就労ビザを必要とされることが多くなります。たとえ就労ビザを取得していたとしても、海外では文化や習慣、言葉の異なる「外国人」である日本人が、仕事を見つけるのは非常に難しいといえます。

海外の生活に慣れてしまうと、日本に戻るのが難しくなる

以上のような障害を乗り越えて海外の国に溶け込めたとすると、今度は「日本に戻るのが難しくなる」という問題が起こります。

海外に長く暮らしていれば、その国の文化に自分自身が染まっていきます。すると、日本に帰国して日本の文化と再び出会ったとき、そのちがいに文字どおりのカルチャーショックを受けてしまう場合があります。それがなくとも、長く日本から離れてしまうと、日本での人間関係とは疎遠になってしまいます。再び日本に戻って生活する、あるいは、仕事をするとなったときに、人間関係が薄れてしまっているのは大きな壁になるかもしれません。

シニアに人気の移住先、その実情

先ほど、シニアに人気の移住先として、タイ、マレーシア、オーストラリアを紹介しました。ここからは、なぜこれらの国の人気が高いのか、移住の実情を解説します。

タイ

タイが人気なのは、その物価の安さ。近年では物価上昇が見られるものの、それでも住居費や食費、水道光熱費は日本より低い金額で商品・サービスの提供を受けられます。また、日本とタイは、ともに王国、島国、仏教国という共通点があり、タイの人々も親日的です。在留日本人の数は7万5000人に上り、首都バンコクには日本人街もあります。

新興国とみなされることもあるタイですが、医療制度に関しては日本の健康保険に近い国民医療保障制度が設けられており、しっかりとした体制が築かれています。国民医療保障制度はほぼ公立病院でしか利用できませんが、安価に医療の提供を受けられ、医療ツーリズムも盛んです。

デメリットを挙げるならば、英語があまり通じません。また、安い物価と比べて日本製品は高額です。

ビザ取得に必要な条件と資金

タイのリタイアメントビザである「ノンイミグラントO-A」は、以下の条件を満たす人が申請できます。


  1. 満50歳以上

  2. タイ王国の入国禁止者リストに入っていないこと

  3. 日本国または国籍を有する国・居住国においてタイの治安を脅かすような犯罪歴がないこと

  4. 日本国籍者もしくは日本の永住権所を持つ外国籍の方

  5. ハンセン病・結核・麻薬中毒・象皮病・第三期梅毒に罹患していないこと

  6. タイ王国内において就労活動を行わないこと


ビザの審査料は2万2000円です。

マレーシア

タイと同様に、マレーシアも物価が安く、人気を集めています。また、在留日本人の数は2万6000人に上り、首都クアラルンプールの高級住宅街には企業の日本人駐在員とその家族が数多く住んでいます。こうした場所に住むのであれば、日本人の友人もできるかもしれませんね。

しかし、デメリットとなるのが日本のような健康保険制度がないことです。つまり、医療費が高額となってしまうケースがあります。また、あくまでも一般的傾向ですがマレーシアの人々は時間にルーズな面もみられるので、こうしたところがあわないという人もいるかもしれません。

ビザ取得に必要な条件と資金

マレーシアは長期滞在ビザとして「MM2H(マイ・マレーシア・セカンド・ホームの略)」を発給しています。MM2Hは資産に関する厳しい条件が課されており、それは以下のとおりです。


  1. マレーシア国外で得る収入が月額4万リンギット(約100万円)以上あること

  2. 定期預金が100万リンギット(約2500万円)以上あること

  3. 流動資産が150万リンギット(約3750万円)以上あること


ビザの発給費は500リンギット(約1万3000円)で、そのほかに処理手数料としてビザ申請者は5000リンギット(約13万円。帯同者はその半額)を支払わなければなりません。

オーストラリア

オーストラリアの魅力は、なんといっても豊かな自然です。エアーズロックや飛び跳ねるカンガルーを一度はみてみたいと思ったことのある読者もいるのではないでしょうか。また、日本人観光客が多いことから日本語が通じる場合もあり、さらに在留日本人も10万人とかなりの数になります。

ただ、医療制度が独特であるため、注意を払う必要がありそうです。オーストラリアで医療を受けるには、まずGPと呼ばれる総合診療医に診てもらう必要があります。そこでの判断を基に、各診療科を受診する形です。メディケア(公的医療補助制度)に加入していれば、GPの受診は一部の例外を除き無料となっています。ただし、歯科医にかかる場合は全額自己負担です。オーストラリアに移住するならば歯のケアはしっかりおこないましょう。

また、物価が高い点は、移住先としてのオーストラリアのデメリットといえます。

ビザ取得に必要な条件

オーストラリアのリタイアメントビザ取得の基準は高くなっています。

オーストラリアのリタイアメントビザは「405ビザ」と呼ばれるものなのですが、これは主に引退した投資家を想定しており、オーストラリア政府が外貨を獲得するのを目的としています。そのため、資産に関するハードルはとくに厳しくなっています。以下、405ビザの発給条件を要点のみ抜粋します。


  • 55歳以上であること

  • 配偶者以外に扶養家族がいないこと

  • 申請前の2年間で75万オーストラリアドル(約6000万円)の純資産を有していること

  • 6万5000オーストラリアドル(約530万円)の年収があること

  • 75万オーストラリアドルの州債への指定投資をおこなうこと


もし海外移住を真剣に考えはじめたら

以上をご覧いただいて、海外移住を真剣に考えはじめたら、次のような行動、確認が必要となります。

移住先を知る人に相談

移住先の情報を知りたいと思ったとき、相談できる存在として「移住コンサルタント」がいます。日本国内には複数人の移住コンサルタントが集まったコンサルティング企業もあります。費用は数十万円かかるケースもみられますが、現地に知りあいがいない場合は、移住までの準備をサポートしてくれます。

反対に、移住したい先に知りあいがいる場合は、その人に相談すべきといえるでしょう。なんといっても現地の情報は現地に住む人がよく知っています。

ビザ取得

移住の話が具体化してきたら、ビザを取得しましょう。ビザの発給業務は各国の在日大使館の領事部や領事館がおこなっています。自分で申請をおこなえば、最低限の費用でビザを取得できます。

手数料はかかってしまいますが、前述の移住コンサルタントや旅行会社にビザ取得を代行してもらう方法もあります。

医療保険

当然のことながら、日本の公的な健康保険は海外では通用しません。移住先で移住者がどんな保険に入れてどれほどのサービスが受けられるかは、きちんと確認しておきましょう。

一方、日本の民間の医療保険などが海外で適用できるかは、保険会社によって対応が異なります。出国前に保険会社に確認しましょう。

海外移住するならばきちんとデメリットを理解しよう

もし海外移住を検討するならば、自分が希望する国だけでなくさまざまな国の情報収集をしたほうがよいといえます。なぜならば、自分が好きな国、多くの人が好きな国が、そのままあなたの性格や考えにぴたりとあう国だとは限らないからです。場合によっては、移住せずに日本に残ることも、選択肢の一つとなるでしょう。

もちろん、移住が決まったら準備を抜かりなくおこなうことが大切です。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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