離れて暮らす親が心配……そんなとき、シニアの「見守り」サービスを利用してみては?

この記事の内容

少子高齢化が進む日本において、大きな社会問題となっているのがシニア世代のみによって構成される世帯の増加です。内閣府が2019年に発表した「高齢社会白書」によると、シニアの単独世帯と夫婦のみの世帯はあわせて58.9%に上ります。実に日本の世帯全体の半数以上がシニアだけで暮らしているという現実があり、離れて暮らす子ども世代にとっては親の健康や犯罪被害に遭わないかなど、不安があるのではないでしょうか。

このような問題もあり、近年「シニアの見守りサービス」が続々と登場し注目を集めています。今回の記事では、どのような見守りサービスがあるのかを紹介するとともに、それぞれのメリット・デメリットも含めてくわしく解説します。

離れて暮らす親のここが心配

親と離れた場所に住んでいると、毎日連絡をとっていたとしてもさまざまなことが心配になるものです。どのような心配ごとが考えられるのか、今回は以下の3つのパターンに分けて解説しましょう。

久しぶりに帰省したら親が「病気にかかった」と話した

離れて暮らす子どもに心配をかけまいと、親は病気や怪我をしても話題に出さないことも多いものです。しかし、実家に帰って対面で話したときにはじめて打ち明けたり、親戚や兄弟から話を聞いたりして事実を知る場合があります。

このとき「早く気がついていれば、もっと症状が軽くて済んだかもしれない」と後悔したり、「もし、親が1人でいるときに倒れてしまったらどうしよう」と今後の不安を感じたりする人も少なくありません。

親の身体を見ると、以前よりやせ細っている

電話の声は元気そうでも、実際に会ってみると以前よりもやせ細っている場合もあります。このような場合、「食事をきちんと摂っているか気になる」「何かの病気にかかったのではないか」と心配になるものです。

アポ電強盗の報道などを見ると、親のことがとても心配

シニアだけで暮らす世帯を狙った犯罪はあとを絶たず、最近ではアポ電強盗などの被害に遭う事例が数多く報道されています。実家にひとりで暮らす親がいると、「うちは大丈夫だろうか」「万が一のとき、だれに頼ればよいのだろうか」と不安に感じるのは当然のことといえるでしょう。

どんな見守りサービスがある?

親と離れて暮らしていると、毎日様子を見に行くのは物理的に難しいケースも多いものです。そこで頼りになるのが、さまざまな企業が提供している見守りサービスです。主に人が訪問する見守りサービスと、システムによる見守りサービスの2種類が存在します。

訪問で見守ってもらう

訪問による見守りサービスとして典型的なのは、NPO団体が行っている見守り活動です。安否確認を目的とした見守り活動はもちろんですが、買い物や掃除、洗濯など、日常生活の支援をおこなっているNPO団体も存在します。万が一のときでも電話一本で駆けつけてくれるため、子どもにとっても安心して任せられるサービスといえるでしょう。

また、これ以外にも定期的に食事を自宅まで届けてくれる配食サービスを活用した見守りもあります。さらに、新聞販売店やヤクルトの宅配による見守り活動、郵便局がもつ地域ネットワークを活かした見守りサービスなども存在します。

システムを使って見守ってもらう

警備会社が個人向けに提供している見守りサービスには、センサーやカメラによって状況を把握できるものがあります。生活動線のなかにセンサーを設置し、一定の時間で動きを感知しない場合に警備会社へ異常信号を送信後、スタッフが駆けつけてくれます。また、外出時・帰宅時にセンサーが検知し、家族のスマートフォンにプッシュ通知で届くサービスもあり、手軽に安否情報を確認したい方には最適といえるでしょう。

電力会社が提供する見守りサービスには、分電盤に専用センサーを取り付けることでエアコンやテレビ、炊飯器などのON/OFF情報を検知し、AIの分析によって異常が見られた場合に家族のスマートフォンに通知してくれるものもあります。

このほか、一部の生活家電メーカーでは電気ポットの利用状況を家族のスマートフォンに送信するサービスや、水道メーターの利用状況を分析し家族の見守りに役立てるサービスなども存在します。

訪問型見守りサービスのメリットとデメリット

見守りサービスには訪問型とシステム型の2つのタイプが存在することがわかりましたが、どちらを選べばよいのかと迷う方も多いと思います。そこで、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。まずは訪問型見守りサービスのメリット・デメリットから紹介しましょう。

訪問型見守りサービスのメリット

シニアの孤独感が解消される

挨拶や短時間の会話だけであったとしても、毎日人と顔をあわせてコミュニケーションをとることによって、ひとり暮らしの孤独感が解消されます。訪問型見守りサービスは、シニアにとっての精神的な支えとしても貴重な存在といえるでしょう。

毎日顔を合わせることによって、体調や生活環境の異常にすぐ気付ける

訪問型見守りサービスは毎日のように担当者が自宅に訪れるため、「顔色が普段とちがう」「元気がない」など、細かな異常に気付きやすいものです。また、洗濯物が干したままになっているなど、生活環境の些細な変化から異常を察知できるのも大きなポイントといえるでしょう。

配食やヤクルトの見守りサービスは栄養価の高い飲食物の摂取もできる

配食サービスやヤクルトの宅配などは、日常生活における見守りはもちろん、シニアにとってバランスのよい食生活を支えてくれる存在といえます。ひとり暮らしだと食事をつくるのも面倒になりがちで、栄養バランスが偏ってしまったり、不足したりするおそれもあります。その結果、免疫が弱まり体調を崩しやすくなることも考えられるでしょう。シニアの健康を支える意味でも、配食やヤクルトの宅配サービスは重要な存在です。

NPOや郵便局は、訪問だけではなく電話でシニアと話をしてくれる

親と時間をかけてコミュニケーションを取りたくても、自分が仕事から帰宅する時間帯にはすでに就寝しているなど、生活リズムがあわないことも多いものです。NPOや郵便局が提供する見守りサービスには、電話で健康相談や困りごとの相談ができるサービスもあります。

訪問型見守りサービスのデメリット

コストが割高

訪問型見守りサービスは人件費もかかるため、コストは割高となってしまいます。たとえば配食の場合は1食あたり700〜800円程度かかる場合があり、月単位に換算すると2万円以上の出費となる計算になります。多少費用は高くても、万が一に備え安心して依頼したい場合には訪問型見守りサービスがおすすめです。

異常時の対応でタイムラグが発生する可能性がある

見守りサービスを提供している業者によっては、必ずしもすべてが迅速な対応に結びつくとは限りません。たとえば配食サービスやヤクルトの配達員などは、異常を察知したとしても一度、社会福祉協議会などに通報する場合もあります。急病などで倒れている場合、通報から自宅への入室までタイムラグが生じ、必要な対処が遅れることも考えられるのです。

人間関係を面倒に感じる人には向かない

ひとり暮らしだからといって、すべてのシニアが孤独感を感じているとは限りません。むしろひとりのほうがだれからも干渉されず、気楽で快適だと考える方もいるでしょう。また、私生活を覗かれているようで不安に感じるシニアもいるはずです。そのような方にとっては、訪問型見守りサービスは不向きといえるかもしれません。

システム型見守りサービスのメリットとデメリット

次に、システム型見守りサービスのメリットとデメリットについてご紹介します。

システム型見守りサービスのメリット

警備会社は24時間すぐに駆けつけてくれる

警備会社が提供する見守りサービスは、異常を検知した場合に迅速に駆けつけてくれるため安心です。システム型見守りサービスは手軽に状況を把握できるとはいえ、万が一のことを考えるとどう対処すればよいのか不安になるものです。しかし、異常時においても迅速に対応できる警備会社は、訪問型のメリットも併せ持った質の高い見守りサービスといえるでしょう。

リアルタイムにシニアの状況を確認できるサービスが多い

一部の訪問型見守りサービスのデメリットであるタイムラグを改善する意味では、システム型見守りサービスはメリットの大きい存在といえるでしょう。センサーなどで生活動態をリアルタイムで把握できるほか、体調に異変をきたした場合には異常を知らせてくれるシステムもあるため、適切かつ迅速な対応につながります。

シニアが「監視されている」と感じなくてすむ

人間関係が煩わしいと感じるシニアにとっては、システム型の見守りサービスは「監視されている」といったストレスを感じることもなく、安心感が得られるはずです。訪問型見守りサービスに難色を示すシニアに対しては、システム型見守りサービスを提案してみるとよいかもしれません。

システム型見守りサービスのデメリット

緊急通報をためらうシニアもいる

警備会社が提供する見守りサービスには、異常時に自ら通報できる緊急通報ボタンがあります。しかし、シニアによっては「これくらい大したことはない」「自分で病院に行ける」と判断し、通報をためらうケースも考えられます。その結果、体調が急変し命にかかわる事態に発展することもあるのです。

カメラ型のシステムは「監視されている」と感じてしまう

システム型見守りサービスの多くは、センサーによってシニアの生活動態を把握するものがほとんどです。しかし、なかにはカメラを採用したシステムもあり、シニアにとっては「監視されている」と感じる場合もあります。センサーよりもカメラのほうが状況を正確に把握できることは事実なのですが、カメラ型のシステムを導入する際にはあらかじめ十分な説明をしたうえで納得してもらうことが大前提といえるでしょう。

シニアと直接コミュニケーションができるわけではない

訪問型の見守りサービスは人とのコミュニケーションが生まれますが、システム型の場合はほとんどそれがありません。話し相手がおらず孤独を感じているシニアにとっては、システム型の見守りサービスよりも訪問型のほうが適しているといえるでしょう。

訪問型と見守り型それぞれのメリット・デメリット


訪問型システム型
シニアとコミュニケーションがとれるか×
緊急時にすぐ対応してくれるか×
(警備会社の場合)
監視されている感覚×
コスト×
(システムによる)


各サービスを比較検討して、自分の親にあったものを選ぼう

緊急時には警備会社が駆けつけてくれるものから、センサーなどを活用してシニアの状況を把握するものまで、見守りサービスにはさまざまなタイプが存在します。それぞれのメリット・デメリットで紹介したように、子どもにとっては万が一に備えた見守りという認識であっても、親の立場からしてみれば「監視されている」と感じてしまう場合もあります。

子どもの考えだけで見守りサービスを導入するのではなく、あくまでも親の意見を尊重し、お互いに納得したうえで利用することが重要です。

また、単にサービスを利用すればよいというわけではなく、親は自分の子どもとのコミュニケーションも求めている場合が多いものです。見守りサービスはあくまでも万が一に備えたものであって、日ごろから電話をかけたり、定期的に帰省したりするなどして、積極的にコミュニケーションをとることを忘れないようにしましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス ライフノート編集部 情報は2021年5月12日時点のものです。)

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