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老後破産はなぜ起こる?現役時代から講じておきたい対策とは
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この記事の内容
心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 asset-advantage.com
FP相談ねっと 代表 fpsdn.net
一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事 siaa.or.jp
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後メーカーに勤務。これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナー(FP)として2002年に独立。年金と資産運用、特に確定拠出年金やNISAの講演、ライフプラン相談を多数手掛ける。
執筆:金融庁サイト 有識者コラム連載、50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話(東洋経済新報社)、ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本(翔泳社)他
この記事をおすすめする人 老後破産しないよう、現役時代から対策しておきたい方 この記事のポイント
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公的年金などの収入より多い出費となるといった要因から、貧困の状態に陥るシニアが見られます。とくに、定年退職後の年金生活時に経済的困窮となる、老後破産の状態になってしまう方が一定数存在します。会社を定年退職する際には退職金が出るほか、年金という安定した収入も得られます。それにもかかわらず、なぜ老後破産が起こるのでしょうか。
この記事では老後破産に陥る主な原因と、未然に防ぐために有効な対策も紹介します。
老後破産とは
老後破産とは、その名の通り定年退職後に年金生活に入った後で経済的に困窮し破産状態になることを指します。
破産と聞くと自己破産や任意整理などをイメージする方も多いですが、こういった法的手続きを取る場合だけでなく、医療・介護費用の増加などによって借金をしてしまう状態も老後破産のひとつといえるでしょう。
老後破産は、低収入の方や、十分な貯蓄をしてこなかった方などに多いと捉えられがちですが、現役時代に高収入だった方、さらに貯蓄がある程度あっても無計画に浪費してしまう方にも起こり得ます。
現実に少なくない老後破産の現状
実際、老後破産に陥る人はどの程度存在するのでしょうか。結論からいうと、老後破産をする人の割合は決して少なくありません。
日本弁護士連合会が公開している「2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査」から破産債務者の年齢を見ると、60代が16.37%、70代以上でも9.35%にのぼっていることがわかります。
とくに70代以上を見ると、2002年の調査では2.73%であったものが2008年には3.93%、2014年には8.63%と年々上昇し、老後破産してしまう方の割合は確実に増えています。
年代 | 2020調査 | 2017調査 | 2014調査 | 2011調査 | 2008調査 | 2005調査 | 2002調査 |
20歳代 | 9.92% | 7.35% | 6.37% | 6.48% | 12.05% | 12.80% | 13.65% |
30歳代 | 15.89% | 19.55% | 18.15% | 21.31% | 25.98% | 23.95% | 24.57% |
40歳代 | 26.94% | 26.01% | 27.02% | 26.99% | 23.93% | 23.87% | 21.84% |
50歳代 | 21.45% | 22.78% | 21.05% | 22.61% | 21.39% | 22.04% | 22.99% |
60歳代 | 16.37% | 16.40% | 18.71% | 17.50% | 12.54% | 14.20% | 14.23% |
70歳代以上 | 9.35% | 7.51% | 8.63% | 5.02% | 3.93% | 3.05% | 2.73% |
不明 | 0.08% | 0.40% | 0.08% | 0.08% | 0.16% | 0.09% | 0.00% |
もともと収入が低かった方には十分な年金が支給されず、一方で高収入の方でも現役時代のライフスタイルを変えられないために生活が破たんしてしまうことがあり得るのです。
2022年は物価高が顕著になったこともあり、限られた年金収入だけでやりくりをしているようなシニアが金銭的に苦しい生活を強いられることは確実といえます。
老後破産が起こる原因
老後破産は現役時代の収入にかかわらず、さまざまな原因で陥ると紹介しましたが、それは具体的にどういったことが原因として考えられるのでしょうか。
生活レベルの維持
現役時代に高い報酬を受け取ってきた人のなかには、住居費や食費、交際費や趣味などに多くのお金をかけ、高い生活レベルを維持してきたケースも少なくありません。
しかし、定年退職後に受け取れる年金は現役時代の給料並みになることは少なく、収入が減少することが一般的です。
その状態で、これまでの生活レベルを維持しようとすると、年金収入だけでは不足してしまいます。結果として退職金や預金を瞬く間に取り崩してしまい、老後破産に陥ってしまうのです。
住宅ローンの負担
一戸建てや分譲マンションを購入したタイミングやローンのプランによっては、定年退職後も住宅ローンが残っているケースがあります。
とくに40代、50代で住宅を購入し長期のローンを組んだ場合、60代や70代に入ってからも住宅ローンの支払いは続いていくでしょう。
したがって、現役時代の給与をもとにローンのシミュレーションを立てると、計画よりもローンの支払いが厳しくなり、年金生活に突入した途端に困窮することも考えられます。
教育費
結婚や出産時期によっては、親が60代の時点で子どもが高校生や大学生であるケースも考えられます。
教育費に充てるための預金がある程度残っていても、大学の学費が想定外に高額であったり、仕送りが必要になったりすると、定年退職後に経済的困窮となる可能性もあります。
親の介護費用
60代になると自分の親が後期高齢者となり、介護や入院が必要になることも少なくありません。
家族だけで介護をするのが難しく、施設への入所を希望する場合には介護費用に加え施設利用料が毎月発生することになります。
自分たちの生活費だけでもギリギリの状況であるのに、親の介護費用まで加算されると生活に困窮する可能性が高まります。
本人または配偶者の医療費
年齢を重ねると体に不調をきたすケースも多く、医療機関で診てもらう機会が増えてきます。大きな異常がなければ診療費も少額で負担は少ないですが、本人または配偶者に大きな病気が見つかると、治療費や入院費、薬代などが大きな負担としてのしかかってきます。
日本の健康保険制度は手厚いとはいえ、いざ病気になると、食生活を見直したり自由診療を受けてみたりと健康保険の対象とならない費用なども重なり家計を圧迫し、老後破産に陥る可能性も出てくるでしょう。
老後破産が起こらないようにするための対策
老後破産に陥ってしまうと、悠々自適な生活から一転して悲惨な現実を受け入れざるを得なくなります。このような事態を避けるには、どういった対策が求められるのでしょうか。
収入と支出を含めた老後の生活をシミュレーションする
まずは老後にどの程度の収入が見込めるのかを把握し、想定される支出とのバランスを確認することが大切です。
日本年金機構では、「ねんきんネット」というサイトを公開しており、年金に関するさまざまな情報を簡単に確認できます。
国民年金および厚生年金への加入状況はもちろん、「年金見込額試算」として老後に支給される金額の目安を簡単に調べられます。
これを参考に、今の支出状況および資産状況と照らし合わせながら、現在の生活水準が成り立つか具体的にシミュレーションしてみましょう。
早いうちから資産形成に取り組む
老後に支給される年金だけでは、生活資金が足りずに老後破産に陥る場合も考えられます。
そのため、今のうちから資産形成に取り組み、老後に備えておくことが大切です。
代表的な資産形成の方法としては貯蓄があげられますが、それ以外にも投資信託やつみたてNISA、確定拠出年金などさまざまな方法があります。これらを活用しながら少しずつ資産形成に取り組んでいきましょう。
なお、資産形成については「資産形成にはどういった種類・方法がある?ポイントや注意点も解説」の記事でも詳しく解説しているため、こちらもぜひご覧ください。
健康なうちは働き続けることも考える
従来のように定年退職後は悠々自適な生活を送るといったケースは稀で、60代、70代になっても働き続けている人は数多く存在します。
少子高齢化にともない、以前のように年金が物価の上昇に連動せず、一定率で抑制されるため、お金の価値が目減りすることが予想されるため、健康なうちはパートやアルバイト、フリーランスなど、さまざまな形態で働き続けることを前提に人生設計を考えておくことも重要です。
まとめ
老後破産は、収入の多寡や貯蓄の有無にかかわらず、だれにでも起こり得る問題です。
まずは自分自身が将来どの程度の年金を受け取れるのか、ねんきんネットで調べてみて、シミュレーションを立てておきましょう。
そのうえで、どの程度の資産が足りないのかを把握し資産形成に取り組むことが重要です。
(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)
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