基礎知識

初心者の株式投資|個別銘柄への投資で最低限、覚えておきたいことは?

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この記事の内容

この記事を監修した人
おかねの研究所 鎌倉一江

AFP、終活アドバイザー、FPwoman Money Writer's Bank 所属ライター


音楽大学卒業後、ピアノ調律師、個別指導塾教室長、保険乗合代理店を経て独立。

相続、カンボジアの学校支援をきっかけにお金の勉強を始め、

現在は独立系ファイナンシャルプランナーとして、エンディングノートを中心とした終活セッションや、家計相談などおかねに関する個人セッションと執筆を中心に活動している。

この記事をおすすめする人

まだ株式を購入したことがない方


この記事のポイント

  • 原則100株以上で購入する
  • 株式投資は証券会社を介しておこなう
  • 損失が生じるリスクもあるので慎重に


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投資信託の購入に慣れた人のなかには、「そろそろ個別銘柄を購入してみようか」と思う場合もあるかもしれません。

投資信託も個別銘柄も、購入方法やどのように利益・損失が出るかといった点では両者に大きなちがいはありません。ただし、日本の個別銘柄への投資だと、原則的には1単元(100株)以上で購入するといったルールや注意点があります。

この記事では、個別銘柄への投資で初心者が最低限、覚えておきたいことを解説します。

株式投資の仕組み

資産運用の代表的な方法に株式投資というものがあります。言葉は聞いたことがあっても、具体的にどういった仕組みで成り立っているのかくわしく知らないという方も多いことでしょう。そこで、まずは株式投資の基本的な仕組みについて解説します。

そもそも企業は、新たな事業への参入や既存事業の拡大によって成長していくために資金が必要となります。

資金調達には金融機関からの融資をはじめとしてさまざまな方法がありますが、投資家から出資してもらうのも一つの方法です。このとき、出資してもらった引き換えに発行するのが「株券」です。企業は、出資を受けた資金について返済の義務はありませんが、株式を発行するため、出資側は会社の経営について影響力を持つことになります。

現在の上場企業の株式に関しては、電子化がなされ、物理的な紙の株券は存在しません。なお、実際に上場している株式を取引する場合には、投資家が証券会社を介して株式市場(東京証券取引所やニューヨーク証券取引所など)で株式の売買をおこないます。

まずは証券会社に口座を開こう

上記でも紹介したとおり、株式投資は証券会社を介して売買取引をおこなうことになります。そのため、これから株式投資を始めようと考えた場合には、まずは証券会社へ口座を開設することが第一歩となります。

「口座」といっても銀行の口座と証券会社の口座は根本的に異なり、証券会社に口座がなければ株式の売買そのものができません。

証券会社には大きく分けて「大手独立系」や「銀行系」、「中堅系」、「ネット系」が存在します。証券会社の営業マンによる対面営業を必要としないのであれば、場所や時間を選ばず簡単に口座開設できるネット系の証券会社がおすすめです。

なお、ネット系の証券会社もさまざまな企業が存在しますが、選ぶ際の一つの基準として手数料の安さや取扱商品などの条件を比較することが重要といえるでしょう。

手数料が安価なネット系証券会社の代表例としては、「楽天証券」や「SBI証券」、「松井証券」、「LINE証券」などがあります。

株式取引の基本的な流れ

証券会社の口座を開設した後は、どのように株式の取引をおこなうのでしょうか。すでに上場済みの企業の株式を取引する場合と、IPO(新規上場株式)の株式を取引する場合に分けて解説します。

なお、今回はネット系の証券会社を前提に取引の基本的な流れを紹介します。

すでに上場している企業の株式取引

上場済み株式を取引する基本的な手順は以下のとおりです。証券会社に口座開設をしていることを前提としています。

  1. 証券会社のサイトへアクセスし、投資したい企業名や証券コードなどで検索
  2. 現在の株価を確認しつつ、「指値」または「成行」で注文


※指値:あらかじめ指定した値段で売買する注文方法

 成行:値段を指定せず、現在の値段で売買する注文方法


株式の取引をおこなうには、証券口座へ購入金額+手数料が入金されている必要があります。

なお、海外株式を取引する場合には、上記に加えて該当国への通貨へ為替振替するプロセスがあります。

IPO時の株式取引

株式取引のほとんどは上記で紹介した上場済み株式ですが、これとは別にIPOとよばれる株式取引も存在します。

IPOとは「新規上場株式」ともよばれ、新たに証券市場で株式が売買される銘柄を上場前に入手し、上場後に売却することで利益を狙うものです。

個人投資家のなかには、できるだけリスクをおさえるために投資信託をメインに運用している方も少なくありませんが、個別銘柄の運用においては、唯一IPO株のみ取引しているという投資家も存在するほどです。

なお、IPOをする企業は上場までの一連の手続きを証券会社に委託しています。この証券会社(=幹事社)が上場前に個人投資家へIPO株を売却し、投資家はそこでの購入価格以上で上場後に売却することを狙います。

個人投資家がIPO株を入手するためには、幹事社に証券口座を開設している必要があるほか、購入できるだけの資金を入金している必要もあります。

IPO株の購入にあたっては、投資家からの購入申し込みを受ける「申し込み期間」、申し込み者を抽選し当選した人が株式を購入できる「購入期間」、「上場日」を覚えておき、投資家は申し込み期間中にIPO株購入の意思表示をします。

IPO株はとくに人気が高いため、大抵の場合は抽選となり当選した投資家のみが購入できます。一般的にIPO株は値動きが激しいことから、上場後にはじめて値段のつく「初値」で売却するのが極力リスクをおさえられる方法とされています。

個別銘柄への投資で得られる利益

個別銘柄への投資によって、個人投資家が得られる利益は大きく分けて以下の4つが存在します。

売却益

売却益とは、株式の購入時と売却時の差額で得られる利益のことです。

たとえば、500円の株を100株購入(500円×100株=5万円)した後、600円まで値上がりした(600円×100株=6万円)タイミングで売却した場合、差額の1万円が売却益ということになります。もちろん、取引には手数料がかかるため、まるまる1万円が利益として得られるわけではありません。

配当金

配当金とは、企業が得た利益のうち一定割合を投資家へ分配することによって得られる利益です。

ただし、すべての企業が配当金を分配しているとは限らず、前年に比べて配当金の割合が減ったり、そもそも配当金がなくなるケースもあります。

株主優待

株主優待とは、自社の製品やサービス、割引券などを受け取れる制度です。

配当金と同様、株主優待制度もすべての企業が実施しているとは限らず、将来的に制度内容が変更となる可能性もあります。

為替による利益

為替による利益とは、外国株式を購入した場合、為替変動によって得られる利益のことです。

たとえば、1ドル115円のときに購入した外国株式があり、その後1ドル140円まで円安が進んだ場合、株価そのものの価格は変動していなくても為替の変動分として1ドル25円相当の利益が生まれることになります。

個別銘柄への投資で考えられる損失とコスト

個別銘柄への投資は上記で紹介したような利益ばかりが得られるとは限らず、当然のことながら損失が生じるリスクもあります。

また、投資の際に生じるコストにもさまざまなものがあるため、一つずつ紹介しましょう。

売却損

売却損とは、株式の購入時と売却時の差額で生じる損失のことです。

売却益とは反対に、たとえば500円の株を100株購入した後、400円まで値上がりしたタイミングで売却した場合、差額の1万円が売却損として計上されます。

また、上記以外にも、経営破綻による上場廃止にともない、株式の価値がなくなるケースも売却損に含まれます。

手数料

手数料とは、個別銘柄の売買手続きの際に証券会社へ支払う費用のことです。

ネット証券の場合、多くが無料または数百円と安価な手数料に設定されており、頻繁に売買を繰り返さない限り大きな負担にはならないでしょう。

税金

個別銘柄への投資によって利益を得た場合、利益に対して15.315%の所得税(復興特別消費税を含む)を支払う必要があります。

証券会社の口座を一般口座もしくは特定口座(源泉徴収なし)として開設している場合には、年間取引報告書を作成のうえ確定申告をおこなう必要がありますが、特定口座(源泉徴収あり)で開設している場合には証券会社が年間取引報告書を作成するため確定申告の必要はありません。

ちなみに、利益に対して課税されるのは所得税のほかにも住民税が5%加算されるため、合計の課税割合は20.315%となります。

為替相場による損失

為替による利益とは反対に、為替変動によって損失を被るリスクもあります。

たとえば、1ドル140円などのように円安が進んでいるときに外国株を購入し、その後1ドル115円の円高に転じた場合、1ドル25円相当の損失が生じることになるのです。

そのほかの個別銘柄投資で覚えておきたいこと

個別銘柄投資に挑戦する場合には、上記以外にも基礎知識として覚えておくべき内容があります。

取引時間

株式の売買をおこなう株式市場は取引時間が定められています。たとえば、東京証券取引所の場合、取引の開始は午前9時から11時30分まで(これを前場・ぜんばといいます)、午後は12時30分から15時まで(後場・ごばといいます)となっており、上記以外の時間帯および土日祝日は取引ができません。

※PTS取引(証券取引所を介さず株式を売買することができる私設取引システム)を利用すれば、夜間や朝の取引も可能です。

売買単位

日本株を売買する場合、基本的には100株単位で取引をします。たとえば、1株500円の企業に投資したいと考えた場合、5万円以上プラス手数料分の資金を用意しておく必要があるということです。

しかし、最近では「ミニ株」などとよばれる投資方法もあり、1株からの購入に対応している証券会社もあります。また、米国株の場合は、売買単位が1株からとなっています。

監理ポスト入りや上場廃止

証券取引所へ上場を果たした企業が、永久的に上場が維持されるとは限りません。企業の業績が大幅に傾くなどした場合や状況が悪化していなくても経営方針として経営陣が市場の自社株を買収する場合(MBO)など、上場廃止となる可能性もあるのです。

証券取引所では上場基準を定めていますが、この基準を満たさなくなるおそれがある場合、その銘柄は「監理ポスト」に移されることがあります。

結局、どの株を買えばいいの?

大切な財産を投資に回す以上、できるだけ損失はおさえつつ着実に資産を増やしていきたいとだれしもが思うものです。

しかし、そもそも投資は自己責任の下でリスクを負うものであり、資産運用のプロであったとしても「これを買っておけば絶対安心」と断言できる銘柄は存在しません。

ただし、すこしでもリスクをおさえるという意味で、初心者は以下の4つに当てはまる銘柄をできるだけ避けたほうがよいといえるでしょう。

  1. 特段のトピックスがないのに大きな値動きのある銘柄
  2. 上場したばかりの銘柄
  3. 頻繁に社名を変更している銘柄
  4. 極端に株価の安い(とくに1株=100円を割っている)銘柄


初心者が陥りやすい個別銘柄投資の罠として、「仕手株」があります。仕手株とは、多額の投資資金を用いて意図的に株価を操作された株のことです。多額の資金を集中的に投資し株価が上がっているように見せかけて、それに釣られて株価を急騰させた後に売却して利益を得ようとするものですが、急激に価格が下落し大きな損失を抱えてしまうリスクもありますので、十分注意が必要です。これは主に1の銘柄に該当します。

また、2の上場したばかりの銘柄は、値動きが激しいため、避けたほうがよいでしょう。

3の頻繁に社名を変更している銘柄は、その理由が不祥事などを原因としていることもあるため、とくに注意が必要です。

株価は企業の成長性や財務状態を反映している側面が大きいため、株価が低いということはその企業が良好な状態ではないということも考えられます。株価が低いと投資額も少額におさえることはできますが、株価が低く業績も低迷している企業の株を購入した場合は投資した金額をすべて失ってしまう可能性もあるため、4.のような銘柄も避けるのが無難です。

以上の4つのポイントを押さえておくだけで、仕手株による損失を最小限におさえられる可能性はあるでしょう。

ほかにも覚えておきたいことはたくさんあります

今回ご紹介したのは、株式取引をおこなうために最低限覚えておきたい内容です。

投資の目的である「資産を増やしていく」という点においては、覚えるべきことはほかにもたくさんあります。

それらは、本や証券会社が運営するWEBサイトの解説ページなどといった情報源から得るのはもちろん、自身の経験によって個別銘柄を取引すると何が起こるのか、知識やノウハウを蓄積していくことも大切です。そのため、個別銘柄への投資にあたっては、最初は少額から始めるのがよいともいえるでしょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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