コラム

資産形成にはどういった種類・方法がある?ポイントや注意点も解説

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井澤裕司

関西学院大学経済学部卒。大阪大学経済学研究科経済学専攻博士後期課程中退。電力中央研究所研究員、摂南大学経営情報学部助教授、立命館大学経済学部教授などを経て、現在立命館大学食マネジメント学部教授。パーソナルファイナンス学会理事。専門は、金融論、行動ファイナンス。『実験でわかった!感じる株式投資』(ランダムハウス講談社)など著書、論文多数。https://research-db.ritsumei.ac.jp/rithp/k03/resid/S002053

この記事をおすすめする人

何かあった時のためにある程度の資金を準備しておきたい方


この記事のポイント

  • 資産形成には預貯金のほか、財産形成貯蓄制度やつみたてNISAなどの方法がある
  • 資産形成を行う際は、資産を分散させると長期的なリスク軽減につながる
  • 資産形成は長期でコツコツ継続することで成果が得られる


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子どもの教育資金や老後に豊かな生活を送るために、さらには万が一の病気やケガなどに備えて、だれもができるだけ多くの資産を確保しておきたいと思うものです。そのように考えた方は資産を一から積み上げていく資産形成とよばれる行動をとります。身近なところでは預貯金が定番の方法ですが、これ以外にもさまざまな方法・手段があります。本記事では、資産形成の主な方法・手段のほか、資産形成を成功させるためのポイントや注意点もあわせて解説します。

資産形成とは

資産形成とは、資産がゼロの状態から少しずつ積み上げ、形成していくことをいいます。

どの程度の資産を毎月積み立てられるかは収入の状況によって異なるでしょう。限られた所得のもとでの資産形成は数か月や数年といった短期間で実現できるものではなく、支出の節約や貯蓄、資産運用といった手段を適切に組みあわせて、生涯にわたる長期でおこなうことが前提となります。

資産運用との違い

資産形成と混同しやすい言葉に資産運用がありますが、両者は異なるものです。

資産運用とは、すでにもっている資産を、金融商品などを利用して「運用」し、増やしていくことで、資産形成のひとつの手段です。

資産形成の初期段階では、たとえば給料30万円のうち節約によって5万円を預貯金に回し、毎月コツコツ積み立てることになるでしょう。

1000万円になった場合には、そのうち500万円を株式投資や投資信託などに回して資産運用をすることもできるようになります。

なお、資産運用は必ずしもうまくいくとは限らず、株式相場や為替相場の変動、景気の動向などによって元本割れを起こすリスクがあるため注意が必要です。

資産形成が重要な理由

資産形成をおこなっている人のなかには、その重要性にいち早く気づき、20代、30代といった若い頃から取り組んでいる方もいます。

では、なぜ資産形成が重要とされているのか、その主な理由を解説しましょう。

老後への備え

私たちは毎月一定額の国民年金保険料や厚生年金保険料、その他さまざまな年金保険料を支払っています。

これらは老後へ備えたものであり、年金制度によって定年後もある程度の収入は確保できます。しかし、保険料を支払っていたとしても、将来的に現在と同等水準の収入が得られるとは限らないのが実情です。

実際に日本年金機構厚生労働省が発表した国民年金の支給額を見ても、2008年度は年間79万2100円であったのに対し、2021年度時点では、年間78万900円まで減額されています。

年金だけでは不足する分を補填するためにも、自己防衛として資産形成に取り組む必要があるのです。

なお、退職して所得のなくなったシニア世代の方にとっては、「今から資産形成に取り組んでも遅いだろう」と考えがちかもしれません。しかし、シニア世代になってからでも、国内・海外の株式や投資信託、債券などに分散しながら資産運用をすることによって、資産を増やせる可能性はあるのです。

リスクへの備え

定年退職したシニア世代だけでなく、現役世代にとってもさまざまな経済的リスクが考えられます。

たとえば、病気やケガによって働けなくなり、十分な収入が得られなくなる可能性もゼロではありません。生命保険や医療保険、あるいは失業給付などの公的なセーフティネットがあるとはいえ、それだけでは不安に感じる方も多いでしょう。

このようなリスクに備え、少しずつ資産形成に取り組むことが重要といえます。

資産形成の主な種類・方法

ひと口に資産形成といっても、その手段や方法にはさまざまなものがあります。金融商品を用いた代表的な5つの方法とその特徴を紹介しましょう。

資産形成の方法
特徴
預貯金
大きな利益を得ることは期待できないが、元本割れのリスクがほとんどなく安心
財産形成貯蓄制度
勤労者の給与から自動的に指定の金融機関口座へ積み立てられる。一般財形貯蓄のほかに、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄があり、利子の非課税制度がある
貯蓄型保険
積立運用分の掛金を追加で支払うことで、死亡、介護などの保障だけではなく、満期保険金や解約時に払戻金が受け取れる
確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)
掛け金を拠出し、将来の受け取り額を確定した年金として運用
つみたてNISA
新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円)、その運用益が非課税

預貯金

もっとも一般的な資産形成の方法として、預貯金があります。

現金を口座に貯蓄するため元本割れのリスクがなく安心ですが、口座へ入金しても利子はほとんど期待できないのが実情です。

好きなタイミングで自由に金額を指定し入金できる普通預金を利用して積み立てる方法もあれば、毎月一定額を積み立てる定期預金を利用する方法などもあります。

財産形成貯蓄制度

財産形成貯蓄制度は「財形」または「財形貯蓄」ともよばれ、企業の福利厚生制度として運用されています。

給与から指定額が天引きされ、自動的に指定の金融機関口座へ積み立てられる仕組みで、着実な資産運用が可能です。

財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄をあわせて元利合計550万円までの利子に対する税金が非課税となる節税効果が得られるメリットもあります。

貯蓄型保険

貯蓄型保険とは、生命保険のプランのひとつであり、毎月支払う保険料に加えて積立運用分を追加で支払う仕組みの方法です。

生命保険料控除を利用すれば、通常の預貯金に比べて所得税で最大4万円、住民税で最大2万8000円が控除されるメリットがあります。

確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)

確定拠出年金とは勤務先企業または個人が掛け金を拠出し、将来受け取る年金として運用する制度です。

預貯金のように現金のまま貯めておくことも可能ですが、投資信託や株式といった金融商品として運用し、掛け金も自由に設定できるのが特徴です。

確定拠出年金には企業が掛け金を拠出する「企業型確定拠出年金(企業DC)」と個人が拠出する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」があり、それぞれで拠出限度額が異なります。

また、確定拠出年金は預貯金や保険とは異なり、原則60歳以上に達しないと給付金の受給はできません。

つみたてNISA

つみたてNISAとは、年間で最大40万円までの投資に対しその運用益が非課税となる制度です。毎月100円から始められる商品も存在するため投資のハードルが低く、節税対策にもなるのが大きな特徴です。また、NISA対象商品は分散投資や手数料などの観点から一定の要件を満たしたものに限定されており、投資の初心者が利用しやすいように考慮されています。

なお、2023年時点では新規投資の上限額が年間40万円となっていますが、2024年からは「つみたて枠」と名称が変更され、年間非課税投資枠が120万円へと増額されます。

資産形成のポイント

これまで資産形成に取り組んでみたものの、思うように続けられなかったり、効果が実感できなかったりして断念した経験がある方も多いのではないでしょうか。

また、せっかく積み上げた資産を一時的に失ってしまい、大きな損失が出るのが怖くなってやめてしまったという方もいるはずです。

このような失敗を防ぎ資産形成を成功させるためには、どういったポイントに注意すべきなのでしょうか。

資産を分散させる

これは資産形成と資産運用のどちらにも共通するポイントですが、一つの方法に集中するのではなく、複数に資産を分散させることが大切です。

たとえば、預貯金だけでなく、つみたてNISAや確定拠出年金、貯蓄型保険などに資産を分けておくと長期的なリスクヘッジの効果が期待できます。

長期的に取り組む

資産形成に取り組んだ直後は、なかなか資産が増えず気持ちが焦ってくることもあります。資産が増えるどころか、一時的とはいえ数千円、数万円単位で減ってしまうと不安に駆られることもあるでしょう。

しかし、冒頭でも説明した通り、資産形成は短期ではなく長期的な視点で取り組むものです。短期的な益出しや損切りを繰り返すのではなく、焦らずにコツコツと継続していくことが何よりも重要です。

まとめ

資産形成と聞くと、専門的で難しい金融用語に聞こえてしまいますが、まず第一歩として、支出の見直しによって節約し預貯金に回すというのも立派な資産形成方法のひとつです。重要なことは将来発生するかもしれない支出に備えて計画を立てて資産を形成する点にあります。

また資産形成によって将来的にその資産を運用し増やしていくこともできるでしょう。短期的に莫大な資産を生み出すことを目指すのではなく、まずはコツコツと積み立てていくことを習慣化し、慣れてきたら預貯金以外の方法の資産運用も検討してみましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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