資産形成にはどういった種類・方法がある?ポイントや注意点も解説
資産形成とは|初心者向けのやり方や運用とのちがいを解説
- 公開日:
- 更新日:
この記事の内容
この記事をおすすめする人 初めての投資でどの種類を選べばいいか迷っている方 この記事のポイント
おすすめの資産管理・終活アプリは『楽クラライフノート』 |
定年後の生活資金をできるだけ確保しておくために、何らかの資産形成をしようと検討している方もいるのではないでしょうか。ただ、資産形成と聞くと、投資が思い浮かび「知識がないと損してしまうのでは」と心配になる場合もあるでしょうし、そもそも資産形成って何?どうすればよいの?と思う方もいるでしょう。
こちらの記事では、初心者の方でも始めやすい資産形成について解説します。それぞれのメリットやデメリットもあわせてご紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
資産形成とは?
資産形成とは、文字どおり資産をかたちづくる、もっと簡単にいえば資産をつくっていくこととなります。その解釈はさまざまで、預貯金によってコツコツと資産を増やしていく方法を指す場合もあれば、預貯金と投資の両方を活用しての資産形成を指す場合もあります。
資産運用とのちがい
資産運用とは、すでにある資産を活用して、さらなる資産の増加を図るものです。つまり、資産形成とのちがいは、一から資産をつくっていくか、すでにある資産を増やしていくかとなります。
とはいえ、資産形成と資産運用をほぼおなじ意味として捉える場合もあります。
老後資金は1300万円〜2000万円必要
「老後のための資産形成」と聞くと、いわゆる老後2000万円問題を思い浮かべる方が少なくないでしょう。
あらためてこの問題を整理すると、2020年に金融庁の金融審議会・市場ワーキング・グループがとりまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書が発端となっています。まさに、老後のための資産形成をいかにすべきかが検討されたもので、下記が老後に必要となる資金が2000万円である根拠となっています。
現在、高齢夫婦無職世帯の毎月の赤字額は平均5万円となっている
65歳から20年間、夫婦が無職の状態で暮らしとき、赤字の総額は約1300万円となる
これが30年になると約2000万円となる
以上は、あくまでも平均から見たモデルケースであり、たとえば物価の安い地方の持ち家に住んでいる場合だと2000万円も用意する必要はない、とも考えられます。逆に広い家に住んでいる場合だと、維持費、修繕費で2000万円以上の金額が必要になると見られます。また、あくまでも平均額から必要とされる老後資金という点で、持ち家ではなく賃貸住宅に暮らしていると、毎月の家賃や更新料などで2000万円以上の金額が必要になるかもしれません。
とはいえ、ある程度のお金をもっていれば不安が軽減される、と感じる方もいるでしょう。シニアとなったときのための資産形成は、やらないよりやったほうが安心できるのはたしかです。
早めに資産形成を始めたほうが安心
たとえば、預貯金だけで資産形成を図ったとしても、30歳から毎年50万円貯めれば65歳には1750万円になります。しかし、45歳から同額の預貯金を続けた場合には、1000万円にとどまります。以上は、元本だけの金額です。
預貯金でも金利はつきますが、これに投資信託や債券投資などを組みあわせた資産形成を図るならば、利回りがさらに向上することが多分に考えられ、また複利がつきます。30歳に2%の年利がついたとして50万円の資産形成を図ると、65歳になったときの複利がついた金額は101万円になります。
以上の点から、資産形成は早めにおこなうとよいといえるでしょう。
50代・60代からも資産形成を始めるべき
では、すでにシニアに差し掛かっている方は諦めるしかないのかというと、そうではありません。
まず、資産がまったくないよりすこしでもあったほうが安心できるのはたしかですし、以上で解説した複利の恩恵も受ければ、10年、20年と資産形成を図るだけでもある程度の金額が積み上げられる可能性が出てきます。
また、前述のように老後2000万円はあくまでもモデルケースであり、実際に必要となる老後資金は人それぞれで異なります。いまのご自身の暮らし、住宅ローンの返済状況、子どもの年齢などを見ていけば、将来の自分が必要とする金額がある程度、見えてきます。そもそも資産形成や資産運用は目標額を決めてからおこなうことで、継続性や達成する可能性が高まります。
50代、60代の方も、自分が必要とする老後資金(=目標額)を考えてから資産形成に臨めば、充実したシニアライフに近づけます。
資産形成の方法
資産形成には主に3つの方法があります。
預貯金
保険
投資
それぞれくわしく見ていきましょう。
預貯金
預貯金は資産形成で軽視してはならない方法です。資産形成と聞くと投資を思い浮かべる方もいますが、長年、投資を続けている人のなかには、預貯金を必ずポートフォリオに入れているケースが少なくありません。
なぜかというと、預貯金は急にお金が必要となったとき、比較的迅速に引き出しが可能だからです。さらにインフレリスクはあるものの、原則的に1万円札は1万円として通用します。これが上場企業の株式だと、100株の価値は時期によって異なってしまいます。
もちろん、ほかの方法とちがい金利は低いというデメリットは理解しておきましょう。
保険
終身保険など、返戻金があるタイプの保険商品に加入し、資産形成を図る人もいます。
掛け捨ての保険は文字どおり、保険料のほとんどが戻ってきません。しかし、返戻金のあるタイプの保険は長く加入するほど返戻金の金額も増え、掛けた保険料よりも高くなるケースもあります。
そもそも保険会社にとっては、機関投資家として投資をすることも収益を生む方法の一つとなっています。よって、見方を変えると保険は投資家に資産運用してもらっているともいえるのです。
とはいえ、返戻金の金額は必ずしも保険料の総額より高いわけではありません。また、保険料と返戻金を比較したときの利益も、さほど多くはなりづらくなっています。
投資
投資は、損失を生む可能性がある反面、比較的大きな利益を生む可能性も秘めている資産形成の方法です。
現在はNISAやiDeCoなど、運用益に税制面での優遇がある制度も存在しています。こうした制度を活用しながら資産形成をすると、利益が出た場合でも税負担を軽減できます。
積極的に資産を形成するなら投資がおすすめ
資産形成をするとき、すでに解説したように預貯金は低リスクではあるものの、高い金利がつくわけではありません。また預貯金にもリスクはあり、その一つがインフレによって実質的な価値が下がってしまうことです。たとえ2000万円の預貯金を形成したとしても、将来の2000万円の価値は現在よりも下がっている可能性が否定できないのです。
こうした預貯金のリスクを補うため、資産形成のポートフォリオには投資も組み入れたほうがよいといえます。投資による資産の価値は景気動向や貨幣価値の変動の影響を受けるため、インフレ時には連動して資産価値が上がっている可能性があるからです。
もちろん、投資による元本割れのリスクを軽減するためには、預貯金が重要な資産形成の手段となります。つまり、どちらも大切な手段となるのです。
ここでは、具体的な投資の方法を説明します。
株式
株式は、企業が資金を集めるために株券(現在は電子化)を発行し、それと引き換えに投資家から資金を得るものです。そして、資金を出してくれた投資家には、利益が出れば配当金を支払います。
株式投資のメリットとデメリットをひと言でまとめると、高い利益を生む可能性がある反面、多くの損失も生んでしまう可能性があります。つまり「ハイリスク・ハイリターン」ということです。
メリット
株式投資のメリットは次のようにまとめられます。
株価の値上がりによる売却益が狙える
配当金を受けとることができる
企業独自の株主優待が受けられる
市場に上場する企業の株価は常に変動しており、たとえば今日100円で買った株式が数年後に1000円になっている場合もあります(これを価値が10倍になることを意味する「テンバガー」といいます)。それとともに、企業が生んだ利益から株主へ配当金が支払われることもあります。
また、株主優待目的で株式投資をする人もいるでしょう。証券会社のオンライン取引のWEBサイトのなかには、配当金と株主優待の価値をあわせた利回りを表示したり、そのランキングを設けたりしている場合もあります。
デメリット
対するデメリットは以下のとおりです。
損失が発生する可能性がある
会社が倒産したら利益を受けられない
株主優待は必ずしも存在するわけではない
株価は常に変動している以上、当然、買ったときの価値より下がることもあり得ます。また、投資している企業が倒産してしまえば、株価の価値はなくなり配当金は得られません。倒産までいかなくても、業績悪化や決算が赤字になれば、配当金が下がる、なくなることが考えられます。
一方、株主優待はすべての企業が設けているわけではありません。現在、株主優待を設けている企業も、将来、優待の内容が悪くなったり優待そのものをなくしたりする可能性もあります。
債券
債券とは、平たくいえば国などの公的機関や企業にお金を貸していることを証明するものです。実質的に貸しているお金であるため、額面は将来的に戻ってくることが原則となっているほか、利子も受けとれます。株式と似ているように感じますが、株式の仕組みは額面・元本を投資家へ戻す設計にはなっていません。
債券は比較的換金性が高い一方で、投資先の破たんや売却できないリスクなどがあります。
メリット
債券投資のメリットは次のとおりです。
定期的に利子を受けとれる
将来得られる利益の見通しが立てやすい
途中で売却して換金できる
債券は年1、2、4回などといったタイミングで利子を受けとれます。このように、決まったパターンでお金を受けとれるので、現在保有している債券が満期までにどれだけの利益を生み出すか計算しやすい投資手段です。
また、市場で売却して換金できる点もメリットです。
デメリット
一方で、デメリットは以下が挙げられます。
債券の発行体が破たんする可能性がある
売却時に損失が出ることもある
必ずしも売却できるとは限らない
もし債券の発行体、つまりお金を貸す先となる公的機関や企業の財務が破たんすると、債券の価値はなくなります。このリスクを軽減するには、格付会社が発表している債券の格付にも目をとおすとよいでしょう。
また、債券の価値が下がってしまい、売却しても元本より低い金額となることもあり得ます。そのような債券は人気も低く、売却できない可能性もあります。
投資信託
投資信託は投資のプロにお金を預け、そこから利益が出れば配当を受けとる投資の方法です。株式、債券、不動産、あるいはそれらを組みあわせたものなどが、金融機関で比較的簡単に購入できます。
投資信託は、ある程度リスクが低いものの、それ相応のコストなどが存在します。
メリット
繰り返しになりますが、投資信託はとくに比較的リスクが低い点がメリットといえるでしょう。
比較的リスクが低い
少額から始めやすい
投資信託は多数の投資家から集まるお金をテーマに沿った投資に用いるため、分散投資の商品設計となっているものが多く見られます。もっとも、ハイリスク・ハイリターンを狙う投資信託もありますので、注意が必要です。
そして、最低投資金額が100円などとなっている投資信託も少なくありません。
デメリット
リスクが比較的低い投資信託ですが、その分、すぐに利益は上がらない、コストがかかるといったデメリットがあります。
短期で利益を得ることが難しい
手数料がかかる
投資信託はその商品自体が分散投資となっている場合が多い反面、短期的には価値が上がりにくい投資の方法です。むしろ、長期的視野で投資をするのに向いた方法といえます。
また、購入時手数料や信託報酬などといった手数料がかかります。オンラインでの投資信託の購入ページや目論見書などにこれらのコストが記されているため、類似する投資信託を比較するときの検討材料にもなり得ます。
金
金の価値も株価などと同様に日々、変動しているため、投資の対象とする人が少なくありません。また、株式のように証券ではなく商品であるため、実物として保有し、お金が必要となったときに売却できるという側面もあります。
メリット
最初に金の特徴を述べましたが、これはメリットに通じます。
価値が下がったとしてもゼロにはならない
インフレに強い
金は投資対象としてだけでなく、アクセサリーや電子機器などの材料にもなります。また、金の埋蔵量は限られているため、価値がなくなる可能性はほぼありません。
2023年時点で、日本や世界の多くの国ではインフレの状態になっていますが、同時に金の価格も上昇している状況です。つまり、物価とある程度、連動しているといえます。
デメリット
金は商品であるがゆえのデメリットも存在します。
配当金がない
盗難のリスクがある
株式や債券のような証券ではなく商品であるため、配当金は発生しません。
また、物体としての金をもっていると、盗まれるリスクも考えられます。これを防ぐため、証券会社の金取引口座で金を購入し、商品として受けとらない、あくまでも帳簿上で保有する方法があります。
不動産運用
主に賃貸住宅を保有することで、その収益を狙うのが不動産運用・投資です。現在では不動産投資信託(REIT)も存在しますが、ここでは個人がマンションやアパートを保有するケースでのメリットとデメリットを取り上げます。
メリット
不動産は比較的安定した収益が見込める点がメリットです。
固定収入が見込める
生命保険の代わりにもなる
マンションやアパートを1棟保有する場合は、満室ないしはそれに近い状態で比較的多くの固定収入が見込めます。1室だけ保有の場合でも空室にならなければその際の収益は計算しやすいといえるでしょう。
また、不動産をローンで購入する場合、一般的に団体信用生命保険に加入します。もし不動産のオーナーが亡くなったり重い障がいを負ったりしても、保険からローンの残債が支払われ、不動産の価値もそのままのこります。
デメリット
居住スペースを運用するのが不動産運用である以上、それなりのコストや手間がかかります。
コストがかかる
空室やデフレ時のリスクがある
借り主の過失である場合を除き、不動産の維持や修繕は原則的に貸し主が負担します。また、不動産登記などの手続きとそのコストも存在します。
そして、空室になれば収入もなくなります。デフレ時も、不動産価格や家賃相場が下がるため、この点もリスクとなるでしょう。
資産形成をする際の注意点
ここまで解説してきたように、資産形成には利点とリスクが存在します。すこしでもよい結果を出せるよう、考えられる3つの注意点をおさえておきましょう。
焦らず堅実に計画を立てる
老後資金は1300万円〜2000万円必要、のところで触れましたが、資産形成は目標額を立てることが大切です。そうすれば、じっくりと継続する気持ちが生まれ、成功に近づけます。
そして、焦らないことが大切。たとえば、投資信託のメリットとデメリットで解説したように、低リスクでもそれなりの利益を生む投資をするときは、時間をかける必要があります。時間をかければ複利の効果も享受できます。
FPや銀行に任せっきりにせず、自分でも金融について勉強する
まず大原則として、資産形成は自分で考え決断し、責任をもっておこなうものです。そのため、たとえだれかのアドバイスを受けながら進めるとしても、最終的に責任をもって決断するのは自分です。
また、なるべく正しい判断ができるよう、投資に関する情報収集も自らおこなうのが重要になります。
リスクを減らすために分散投資をする
投資に関する格言に「卵を一つのカゴに盛るな」というものがあります。これは、一つのカゴに多くの卵を盛ってしまうと、もしカゴを落としたときに全部の卵が割れてしまいます。しかし、複数のカゴに分けて盛っておけば、一つのカゴを落としたとしても割れる卵はそのカゴに入ったものだけです。
投資、資産形成もこれとおなじで、手もちの資産を一つの方法に集中させるのは危険です。資産を分散させて、リスクも分散させましょう。
まとめ
老後資金の確保を目的として資産形成を図るのであれば、まず自分がシニアとなったときにどれくらいのお金が必要となるのかを考え、目標額を設定することが大切です。そして、預貯金や投資信託など、一つの方法に資金を集中させるのではなく分散させ、また長期的視野に立って資産形成を続けるのがよいでしょう。
もちろん、自分で考えて責任をもったうえで、どんな方法を採るのかを決めることも大切です。
(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)
「自分がいま持っている資産全体がよく把握出来ていない」「将来の老後資金がどれくらい必要かわからない」という方には、終活アプリ『楽クラライフノート』がおすすめ。資産管理機能で銀行やクレジットカードなど複数の金融サービスをアプリで一元管理することが可能。シミュレーション機能では老後に必要な資金を可視化することもできます。登録した情報のうち、共有したいものを共有したい家族に共有できます。
『楽クラライフノート』をご利用いただいている方に、おすすめ情報をお届け。自身の現状や思いを登録したり資産・家計管理をしたりするなかで、「専門知識を持ったプロの方に相談してみたい」など自分の終活がうまくできているのか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。『楽クラライフノート お金と終活の情報サイト』から、アプリ会員様限定で専門家への無料相談の申し込みが可能です。
また、お得な優待も揃えておりますのでぜひご活用ください。
『楽クラライフノート』をご利用いただいている方に、おすすめ情報をお届け。自身の現状や思いを登録したり資産・家計管理をしたりするなかで、「専門知識を持ったプロの方に相談してみたい」など自分の終活がうまくできているのか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。『楽クラライフノート お金と終活の情報サイト』から、アプリ会員様限定で専門家への無料相談の申し込みが可能です。
また、お得な優待も揃えておりますのでぜひご活用ください。