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寄附と寄附金控除について|寄附先と所得税・住民税の控除を受ける方法を解説

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この記事の内容

この記事を監修した人
税理士法人TAG経営 税理士 中尾さゆり

1999年よりNPO支援組織 のスタッフとして NPO の会計支援に継続して取り組んでいる。2012年認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク理事就任。2014年税理士登録。2017年税理士法人TAG経営設立。2020年NPO法人ボランタリーネイバーズ理事長就任。

現在は会計税務専門家と経営者という立場・経験を活かし、非営利・公益団体を対象に、「半分ナカノヒト」の立ち位置で伴走支援をしている。

https://tagkeiei.tkcnf.com/

この記事をおすすめする人

寄附を検討している方


この記事のポイント

  • 主な寄附先は国や都道府県、日本赤十字社など
  • 条件を満たすと寄附金控除を受けることができる
  • 寄附金控除を受けるためには確定申告が必要


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赤い羽根共同募金や災害発生時の義援金など、多くの人が子どものころからいままでに少額でも寄附の経験があるかと思います。

寄附をすることで、世のなかの困っている人や、学術や文化などの発展のためにお金を必要としている人の助けとなります。

そして、寄附をすると一定の条件を満たせば所得税や住民税における所得控除を受けられることをご存じでしょうか?つまり、自分自身への経済的なメリットもあるのです。

本記事では、寄附をするうえで覚えておきたいこと、寄附金控除を受けるための条件や申請方法などを解説します。

寄附とは

そもそも寄附とはどういった行為を指すのでしょうか。混同されがちな義援金(支援金)や募金とのちがい、さらには「寄附」と「寄付」のちがいも解説します。

【寄附/寄付】

公共事業や社寺などに、金品を贈ること (引用:デジタル大辞泉)

「寄附」と「寄付」はどちらもおなじ意味として使用されます。ただし、法令や官公庁が発行する文書では「寄附」が使用され、一般メディアや日常生活では「寄付」が使用されるケースが見られます。寄附・寄付は、何かに困っているといったケースに限らず、さまざまな組織や個人に金品を贈る場合に使われる言葉といえるでしょう。

【義援金】

義捐のために寄付する金銭。

災害などの被害を受けた人の生活を支えるために、日本赤十字社や中央共同募金会などの団体に寄せられる寄付金。被災地の自治体に送られ、義捐金配分委員会によって被災者に公平・平等に配分される。(引用:デジタル大辞泉)

義捐とは、「慈善や被災者救済などの趣旨で、金銭や品物を差し出すこと」(引用:デジタル大辞泉)で、主に困っている人への援助を目的とした場合に、義援金という言葉が使われるといえます。ちなみに、ここで「義捐」と「義援」という言葉が出てきましたが、本来は義捐が正しい言葉であり、義援は当て字として後から登場した言葉です。

また、似た言葉に「支援金」もありますが、こちらは義援金と同様の目的でNPO法人やボランティア団体などにお金を出す場合に使われるケースが見られます。

【募金】

寄付金などをつのって集めること。 (引用:デジタル大辞泉)

寄附をおこなう意義

自治体や団体などに寄附をすることは、どういった意義があるのでしょうか。

困っている人などの助けになる

もっとも大きな意義として挙げられるのは、困っている人に対しての助けになるということです。自治体に寄附をすれば住民サービスの充実に役立てられるほか、医療機関や介護施設などに寄附をすれば、人命を助けることにもつながるでしょう。

条件を満たせば寄附金控除が受けられる

個人が国や自治体、社会福祉法人、認定NPO法人などに対して寄附を行った場合、特定の条件を満たせば寄附金控除が受けられます。これにより、所得税や住民税が控除前よりも低い税額となります。

寄附金控除を受けられるのは、次のいずれかに寄附をした場合です。

寄附金の種別寄附先の定義・具体例
国又は地方公共団体に対する寄附金国・都道府県・市区町村
指定寄附金公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業をおこなう法人又は団体に対する寄附金で、広く一般に募集され、かつ公益性及び緊急性が高いものとして、財務大臣が指定したもの
特定公益増進法人
  • 独立行政法人、一部の地方独立行政法人

  • 日本赤十字社や日本司法支援センターなど公益にかかわる組織

  • 公益社団法人・公益財団法人

  • 学校法人

  • 社会福祉法人

  • 更生保護法人

特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭信託銀行などが管理・運用する認定特定公益信託にお金を支出したとき
認定NPO法人等に対する寄附金認定NPO法人
政治活動に関する寄附金政党や政治資金団体
特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額などスタートアップ企業への投資

寄附することで何らかの特典を受けられる場合もある

利用者が増加傾向にある「ふるさと納税」は地方自治体への寄附にあたります。ふるさと納税をした場合、寄附金控除が受けられるだけでなく、寄附先の地方自治体からさまざまな返礼品を受け取れるのも大きな魅力です。

具体的な寄附先

特定の条件を満たした場合に寄附金控除が受けられると紹介しました。では寄附金控除の対象となる寄附先にはどういったところがあるのでしょうか。

都道府県・市区町村

都道府県および市区町村といった自治体へ寄附した場合、寄附金控除の対象となります。

「ふるさと納税」をした場合に、所得税や住民税の減免が受けられるのはこのためです。

また、上記でも紹介したとおり、都道府県や市区町村へ寄附した場合、その自治体からさまざまな返礼品を受け取れるのも、ほかの寄附先にはない魅力の一つといえるでしょう。

共同募金会・日本赤十字社支部

各都道府県に設置されている共同募金会や、日本赤十字社支部へ寄附をした場合も寄附付金控除の対象となります。

ただし、住民税の控除を受けるためには、居住している自治体の共同募金会および赤十字支部に寄附する必要があります。たとえば、東京都内に居住している場合、東京都以外の共同募金会や日本赤十字社支部に寄附をしても寄附金控除の対象とはならないため注意が必要です。

その他

上記以外で寄附金控除の対象となる団体としては、公益社団・財団法人、社会福祉法人、学校法人、認定NPO団体、政党・政治資金団体などが挙げられます。

認定NPOへの寄附でなければ所得税の寄附金控除を受けられませんが、住民税に関しては各自治体の条例により認定NPO以外のNPOでも控除の対象となる場合があります(神奈川県の例。14ページ以降で「(指)」の表記があるものが、認定NPO法人以外のNPO法人)。

なお、政党等寄附金特別控除・認定NPO法人等寄附金特別控除・公益社団法人等寄附金特別控除(税額の控除)を受けた場合、寄附金控除(所得の控除)は受けられません。これは逆のパターンも同様です。

そのため、税額控除を適用するか、もしくは所得控除を適用するかを決めておかなければなりません。一般的に、所得が低いほど税額控除を選択したほうが有利とされていますが、国税庁の確定申告WEBサイトではそれぞれのパターンで控除額を試算できるため、ぜひ参考にしてみてください。

寄附金控除について

特定の条件を満たし寄附をおこなった場合、寄附金控除が適用され所得税や住民税を少なくすることが可能です。ひと口に寄附金控除といっても、自治体向けの寄附である「ふるさと納税」と、それ以外の寄附では必要な手続きが異なります。

ふるさと納税

ふるさと納税によって自治体に寄附をする場合、ワンストップ特例制度が適用可能で、確定申告をしなくても簡素な手続きで寄附金控除が受けられます。

本来、寄附金控除は確定申告を行い還付を受ける必要がありますが、ワンストップ特例制度であれば「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、寄附をした自治体に申請書を送付するだけで完了します。

ただし、次に該当する場合はワンストップ特例制度を利用できず、控除を受けるには確定申告が必要となります。

  • 給与所得者でない場合

  • 6以上の自治体にふるさと納税をしている場合

  • ふるさと納税の度にワンストップ特例制度の申請書を提出していない場合、および申請書の提出が期日から遅れてしまった場合


その他の場合の手続き

ふるさと納税以外で寄附金控除を受ける場合には、どういった手続きが必要なのでしょうか。今回は、給与所得者である会社員を前提に説明します。

確定申告までに受領書・領収書(寄附金受領証明書)を揃える

寄附金控除を受けるためには、会社員であっても確定申告をする必要があります。確定申告の期間は例年2月16日から3月15日までの約1か月間です。遅くとも2月初頭までに、寄附をした際の受領書および領収書(寄附金受領証明書)を揃えておきましょう。

寄附金受領証明書以外に必要な書類

寄附金受領証明書以外にも、確定申告にあたっては以下の書類も揃えておきましょう。

  • 源泉徴収票

  • マイナンバーが記載された書類(マイナンバーカード、番号通知カード、マイナンバーが表記された住民票)

  • 本人確認書類

  • 還付金受取用の銀行口座番号


源泉徴収票は12月の年末調整後に発行されるのが一般的のため、確定申告までに紛失しないよう保管しておきましょう。

確定申告書の記入・提出

確定申告書に必要事項を記入し、所管の税務署へ提出します。このとき、寄附金控除額は以下のように算出します。


その年中に支出した特定寄附金の額の合計額ー2000円=寄附金控除額


「その年中に支出した特定寄附金の額の合計額」とは1月から12月までの1年間の寄附金合計額を指しますが、所得金額の40%相当額が上限となります。

また、政党や政治資金団体へ寄附をする場合、政党等寄附金特別控除(税額の控除)または寄附金控除(所得の控除)のいずれかを受けられると紹介しましたが、政党等寄附金特別控除を受ける場合には以下の式に当てはめて算出します。


(その年中に支出した特定寄附金の額の合計額ー2000円)×30%=政党等寄附金特別控除額


こちらも「その年中に支出した特定寄附金の額の合計額」は所得金額の40%が上限となるほか、政党等寄附金特別控除額については所得税額の25%相当額が上限となります。

寄附は自分が共感できる団体へ

そもそも寄附とは、自分の出したお金が社会やだれかのために役立ってほしいという、純粋な思いからするものです。寄附金控除や返礼品などは、あくまでも付随的なメリットに過ぎません。

そのため、寄附をする場合には、本当に自分が力になりたいと感じる団体や、活動内容や姿勢に共感できるところを選ぶのがよいでしょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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