コラム

【子世代から見た親の終活に関する意識調査2021】親子ともにお互いを気遣いつつ終活の話が出来ていないのはなぜ?

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この記事の内容

はじめに

先日の調査では「終活への興味はあるものの実際に終活を行えている人は少ない」という実態に対して、終活の初めの一歩を踏み出すためのアプローチを模索致しました。(https://lifenote.ntt-finance.co.jp/report20211128

今回の調査では、親を持つ35歳~59歳の男女(以下子世代)側の目線で、親の終活に対する興味や共有状況を明らかにします。前回の調査結果も交えつつ、親子間でのコミュニケーションを通じて終活を活性化するためのヒントを探りたいと思います。

【調査概要】
調査の方法:WEBアンケート
有効回答数:1093名(男性547名、女性546名)
調査の対象:35~59歳の男女
(35歳~39歳221名、40歳~44歳218名、45歳~49歳218名、50歳~54歳218名、55歳~59歳218名)
調査実施日:2021年12月1日~12月3日
調査主体:NTTファイナンス株式会社

※親世代向けの前回調査(https://lifenote.ntt-finance.co.jp/report20211128
調査の方法:WEBアンケート
有効回答数:1089名(男性544名、女性545名)
調査の対象:50~80歳の男女
(50歳~54歳217名、55歳~59歳218名、60歳~64歳220名、65歳~69歳218、70歳~80歳216名)
調査実施日:2021年11月25日~11月28日
調査主体:NTTファイナンス株式会社

1.親の終活についての子世代側の興味と話し合い状況

7割強の人が親の終活に興味を持っているが、終活状況を知っているのは4人に1人しかない。

親の終活について「大変興味が有る」のは16.7%。「少し気になる」も含めて70.8%が親の終活について興味を持っている。

しかし、実際に親の終活状況を知っているのは26%しかいない。(「常に/ある程度共有されている」の合計)興味はあっても中々終活について話が出来ていない状況が見受けられる。



2.親側の終活に関する話し合い希望と実態(親世代調査より)

76%の親が子供と終活について話し合いたい希望を持っているが、実際に終活の話を(たまにでも)する親子は23%しかいない

親世代への調査にて、子どもと終活についての話し合い希望を聞いたところ、76%は話し合いたいという要望を持っていることが分かった。


しかし、子供と終活についての話し合い経験を問う質問では、「よく話し合う」「たまに話をする」を含めて22.9%しか話し合いはなされていない。


3.親にやっておいて欲しい終活項目と親が実施している終活項目(一部親世代調査より)

親子共にお金に関する事や持ち物の整理に関する終活は重視する傾向にある。子世代側が親にやって欲しいと思いながらも親世代側で実施出来ていないことは、日常生活の中では整理するきっかけを掴みづらい項目に多く見られた。


親の終活に大変興味が有る子世代が、親にやっておいて欲しい終活として挙げたのは、1位「口座や金融資産の管理」2位「自宅、持ち物や遺品(デジタルを含む)の整理」となった。親が実施している終活項目としてはお金のことや健康管理、持ち物の整理が上位に来ている。

子世代の希望と親の実施項目で30ポイント以上の差が出たのは「介護時の希望の整理」「親族や知人、関係者のリストの整理」「遺言書作成」。

日常の生活を過ごす中では、整理するきっかけを掴みづらい項目において差が出る傾向にあると想定される。


ここまでの調査では、
子世代側も親の終活を気にしており、親世代側も子どもと終活について話し合いたいと思っているのに、実際には話し合いが出来ていない。
また、子どもがやっておいて欲しい終活に対して、親世代側が実施できていない”ズレ”が多数存在する。
ということが分かりました。 

後半では、
「老後資金」「相続」「介護」「健康」「葬儀」の各ジャンルにおいて更に深堀りし、親と終活について話しづらい理由とその打開策について考察したいと思います。



4.終活の各ジャンルにおける話し合いの実態と子どもが気になること

「健康」に関しては半数以上の人が親の情報をある程度把握している。「老後資金」について直接確認しているのは2割弱に留まるが、3割強の人は何かしら気にかけている。
しかし「相続」「介護」「葬儀」に関して3分の2の人は親と会話も決めごとも行っていない。


”老後資金”に関する共有状況と、子どもが気になること

親の老後資金について確認をしたことがある人は18.5%にとどまる。「口座や金融資産の管理」が親に実施して欲しい終活の第1位であるにもかかわらず、実際に確認できている人は少ない。
直接確認はしていないものの大体想像できるという人が3割強存在しており、具体的にはしてないものの老後資金について気を配っていることは想定される。


「生活資金が足りているか」を気にする人が最も多いにもかかわらず、そのうちの17%しか実際に老後資金について確認した人はいない。

年金などの収入や浪費、投資リスクなど、日々の増減に関する事よりも”足りてるか”や”準備しているか”といった項目が気になる傾向にある。




”相続”に関する話し合い状況と、子どもが気になること

相続については「話し合いをしたことがなく、書面(信託、遺言書、メモ書き等)でも残されていない」人の比率が67.3%。親に実施して欲しい終活の第2位が「相続税対策」だったが、 他のジャンルと比較して最も話し合いや手続きがなされていない。


「相続については気にしていない」人が圧倒的に多数となった。次いで「不動産の場合の相続方法・負担など」と「相続の内容」そのものが気になる人が多い。
相続について何らかの話し合いや書面での確認を行っている場合は、「相続人同士でのもめごと」「ローンや借金の有無」に対する懸念が低く出ている。



”介護”に関する話し合い状況と、子どもが気になること

話し合いも決めごとも何もしていない人が、3分の2となった。「介護時の希望の整理」は親にやっておいて欲しい終活の第4位だが、親が実際にしている終活とのギャップが大きく話し合いや決めごとも進みにくいことが想定される。 


親の介護については「いつから」と「誰が」という点が懸念事項として多く挙げられた。どうやるかよりも初期に話し合われる内容の方が懸念点になりやすいと言える。
また、話し合いや決めごとを行っている人は介護費用の懸念をあげる人が少なくなっており、何かしらの手立てを講じている人が多いと想定される。



”健康”に関する子ども側の把握状況と、子どもが気になること

他のジャンルと比較して、”健康”に関しては何かしら情報を共有されている人が多い結果となった。まったく把握できていないと回答した人は17.7%しかおらず、全体の半数以上(53.8%)が大体把握していると回答している。最も話しやすく、かつ情報を共有しやすいジャンルと言える。


約半数(499人45.7%)の人が親の健康状態への懸念を挙げており、全ジャンルの中でも1番多い懸念点となった。日常的な食事や運動などの予防項目より、持病・病歴や服用薬について気する人が多い傾向にあり、実際に起こっている事象に対する懸念の方が高く出る傾向にある。



”葬儀”に関する話し合い状況と、子どもが気になること

 「話し合いをしたことはなく、どうするかも決まっていない」人の比率が全体で67.2%となっており、相続の「話し合いをしたことがなく、書面(信託、遺言書、メモ書き等)でも残されていない」の比率67.3%とほぼ同率で何も話されていない上に何も決まっていない割合が高いジャンルとなった。


1位「お伝えする人の範囲、連絡先」2位「葬儀費用の金額」3位「葬儀内容についての親の意向」までが300人を超えており、他のジャンルよりも平均値が高い傾向にある。(気にしていないを除く)



5.親の終活について話しづらい理由

1位「終活はネガティブなイメージが強い」「お金の話は生々しい」という点も上位に来ており、センシティブな内容であるととらえる傾向は強い。
僅差の2位が「きっかけが無い」となった。「家族で真剣な話をすることに慣れていない」を選択する人も多く、話題の切り出しづらさの要因も大きい。
年齢が上がるにつれネガティブにとらえる人が減少し、親の終活に興味が有る人ほどセンシティブに捉える傾向も見られた。

年代別にみると(40代で若干ブレがあるが)ネガティブなイメージは年代が高くなるほど低くなる傾向にある。また、年代が高いほど「家族で真剣な話に慣れていない」「普段から会話をしていない」が低くなっており、年代が高くなるほどセンシティブな話題も話しやすくなり、また量も増える傾向にあると言える。

興味度別に見た場合は、「大変興味がある」人にとっては1位ネガティブ、2位お金の話は生々しいとなっており、話したくともセンシティブなため話せないという傾向がより強く出ている。



6.まとめ・総括

今回の調査より分かった事

子世代の方々の7割は親の終活に興味を持っているにもかかわらず、2割の人しか親と終活について情報共有や話し合いが出来ていないという実態が明らかとなりました。特に「相続」「介護」「葬儀」は、3分の2以上の人が、が話も手続きも何も手を打てていない状況です。

また、親世代が実施している終活項目と、子世代が親にやって欲しいと思っている終活の項目は、「介護時の希望の整理」「親族や知人、関係者のリストの整理」「遺言書作成」など日常の生活では意識しづらい項目において、親側の着手が不足している結果となっています。

親子間でお互いを想いつつも、実際の話し合いまでには至らず、結果として子どもが親にやって欲しい終活項目と、親が実施している終活項目にギャップが生じてしまっています。


親子間ではそれぞれがお互いのことを思いつつ、話し合いや手続きが進まない原因として、今回のアンケート調査での回答を分類すると下記3点の要因が強いように見受けられました。


①まだ起きていないことに対して内容がセンシティブ(ネガティブ、生々しい)
②話題の切り出しにくさ(きっかけがない、真剣な話に慣れていない )
③親子の関係性(普段から会話をしていない、親が話したがらない、親に巻き込まれたくない)


今回の調査結果に基づく「終活についてどうすれば親子で会話ができるのか」についての考察

③の親子の関係性に関しては複雑なためすぐに解決策を見出すのは難しいですが、①センシティブさと②話題の切り出しにくさはいくつか検討の余地があります。

①センシティブさについてへの対応

いくつか方向性がありますが、まずは以下のようなアプローチの中からできそうなものを選んで行うのはいかがでしょうか?


・前向きな話から始める(老後資金の有効活用、自分史作成、断捨離、健康診断、等)

健康の話も、病気の話等であればセンシティブに成りかねませんが、話し合っている人が多く見られます。なぜならより前向きに、長生きするために、健康に過ごすための話だからではないでしょうか。
終活は必ずしも後ろ向きな話ではなく、第2の人生をよりよく過ごすため、子どものことを考え穏やかに過ごすため、と捉えれば、いろいろと備えておくこともネガティブに捉えずに済むのではないでしょうか?


・親の方から話をする

今回の調査結果で明らかとなったように、子どもも親の終活に関しては興味を持っています。しかし、子どもから親の終活について話を持ち込むより、当事者である親から子供に話をする方がセンシティブさに関する負担は少ないのではないでしょうか。
もちろん、親も終活について話をしたい人が7割ですので子どもから話すことも大切です。まずは親の考えや想いを聞くところから始め、スタンスを確認しながら進める方が話題のセンシティブさを取り除くことには有効です。

・抽象的な終活から始め、ツール等で全体をカバーするように進める

いきなり葬儀や介護について話をするのは憚られますが、”お金の管理”や”健康状況”の共有などはダイレクトに終活を想起しないため始めやすいのではないでしょうか。
そこから”終活全体を包括するツール”や”エンディングノート”などの話をすることで、直接的な表現を避けながら終活全体の話にもっていく流れは進めやすいかと思います。


②話題の切り出しにくさの克服

・誕生日や冠婚葬祭、記念日や祝日の活用

特別な日や人生の節目などは、これからについて話をする一番のきっかけになるかと思います。誕生日はもちろんですが、父の日や母の日などこれまでの感謝とこれからの話をするにはもってこいではないでしょうか?

・日常会話に潜む終活に通じる話題の活用

終活は特別なことではなく50~60代以降の人生の進め方のようなものですので、普通に親子の時間を過ごす中で終活に関連する話題はあふれています。例えば買い物の話を通じた老後資金の話題や、食の話を通じた健康管理など、終活の入り口となる話は意識をすれば色々と見えてきます。

・親子で話しておきたいことを考える

今回の調査では、子世代に親が元気なうちに話しておきたいことについても調査いたしました。下記は一例ではありますが、今だから話せること、今のうちに話しておきたいこと、聞いてみたいことなどはありませんか?
「特に思いつかない」を除き子世代が気にしていることの1位は「これからの生き方」です。終活をネガティブに捉えるのではなく、これからをより良くするための親子での話し合いはどちらもウェルカムではないでしょうか。


以上、「終活についてどうすれば親子で会話ができるのか」についての考察となります。

終活に興味が有るけど始められない人、親子で終活に関して話し合いたい人、子どもの終活への興味はそれぞれ7割程度存在しています。”これから”をより良いものにするために、これらの人の後押しをするため、今後も調査や提言を続けていきたいと思います。


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今回の調査で明らかとなったように、親子間でお互いを気遣っているにもかかわらずなかなか話し合いが出来ていない状況にお役に立てるよう、親子間の共有機能も一層強化していきたいと思います。


【レポート転載時のお願い】

本リリース内容をご掲載いただく際は、

出典「NTTファイナンス株式会社終活に関する実態調査2021」の記載と本調査レポート(https://lifenote.ntt-finance.co.jp/report20211208)へのリンクをご記載ください。

※詳細データ等やグラフなど必要な場合は下記よりお問い合わせください。


【本件に関するお問い合わせ先】

NTTファイナンス株式会社
ビリング事業本部 事業企画部
楽クラライフノート担当

下記、問い合わせフォームよりお問合せください
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