コラム

大切な“家族の一員”が生涯幸せになるために|ペットのための信託とは?

この記事の内容

大切な家族の一員といえる、犬や猫などのペット。シニア世代になると、自分にもしものことがあったり認知症になったりした場合、ペットの面倒はだれが見てくれるのかと不安に思うことはないでしょうか。そんな人のために「ペットのための信託」という仕組みがあります。

この記事ではペットのための信託とはどんなものか、またペットとともに住めるシニア向け住宅についても解説をします。自分が大切なペットの面倒を見られない場合に、頼りになる手段としてぜひ検討していただければと思います。

ペットのための信託とは?

ペットのための信託とは、自分がペットの面倒を見られなくなったときのために、お金を信託して飼育費などを捻出するものです。

だれにペット信託を依頼する?

ペットのための信託のしくみは、事前に財産の一部を信託銀行などの信託機関に信託(金銭信託)することで、自分がペットの世話ができない状況になったときに、その財産のなかからペットの飼育費用が支払われるという仕組みです。また、特約によってペットの世話をしてくれる人や団体(これを受益者といいます)を指定できるので、ペットの飼育が得意なNPO法人に飼育をお願いできます。信託銀行などの信託機関は、受益者へ飼育費などを支払います。また飼育をお願いする以外にも、次の飼い主さんを探してくれるようなサービスもあります。

銀行や保険会社が用意する信託商品

ひとりで終活を進めたい、家族や知人に迷惑をかけたくないと考えている人は三井住友信託銀行が提供している「おひとりさま信託」のように、さまざまな死後の事務手続きを代行するサービスがあります。市役所への行政手続きに始まり、住まいの片付け(遺品整理)やパソコンのデータ消去に至るまでさまざまなことを代行してもらえます。残されたペットの世話を最後までおこなってくれるサービスはそのひとつです。

窓口で実際に契約する際は終活に関する費用を一任できる「金銭信託タイプ」と比較的少ない金額で終活資金が準備できる「生命保険タイプ」のうちどちらかのプランを選択することができます。それぞれの特徴について解説します。

金銭信託タイプ

こちらは300万円以上を信託財産として預けて、エンディングノートに自分の死後にしてほしいことを記入します。実際に自分が亡くなったら(相続発生時)、あらかじめ指定した死後事務委任契約にかかる費用をまず精算します。死後事務委任契約にかかる費用は、ペットのための信託を含む死後の整理をおこなってくれる組織、個人(受益者)に支払われるものです。そのうえで、信託契約申込みの際に記入された「自分の死後にしてほしいこと」をもとに、死後の事務処理にかかる費用を信託財産から支払うことになります。信託報酬として費用はかかりますが、亡くなる前に希望したことをきちんと処理してくれるので、安心して任せられます。なお、信託報酬は信託機関(信託銀行など)へ支払うもので、信託を設定したときに支払う「設定時報酬」、毎月支払う「運用報酬」、信託が終了したときに支払う「終了時報酬」も必要になります。

生命保険タイプ

銀行側が用意する生命保険への加入を条件に、通常300万円必要な信託金を50万円にすることができます。ただし、信託金50万円に加えて死亡保険金250万円以上を「死亡保険金債券信託」とする必要があります。つまり、少額の信託金に加えて保険で信託財産を準備するという考え方です。ほかのサービスは金銭信託型とほとんどおなじで、申込みの際に記入した「自分の死後にしてほしいこと」をもとに、死後の事務処理をすすめてくれます。

NPO

民間のNPO法人と終生飼育契約を結ぶという方法もあります。NPO法人を選ぶメリットは、それぞれの団体がペットに対する思いを持っている場合が見られるのも少なくない点が挙げられます。信託銀行がペットに関心がないというわけではありませんが、NPO法人ではペットのために活動している人が多く、ペットに特化したプランが存在します。

信託銀行からNPO法人を紹介してもらうことも可能ですが、先にペットを終生飼育してくれるNPO法人に話を聞いてもらい、お互いのペットに対する思いを共有するといいかもしれません。なお、NPOに飼育をお願いするときの費用は、ペットの余命や飼育費をどれくらいかけるかによって異なる場合があります。

行政書士に相談する

行政書士は役所に提出する書類や契約書を作成することが主な仕事です。行政書士がペットの面倒を見てくれるわけではありませんが、飼育先を紹介してくれる場合があり、またペットのための信託にかかる契約手続きをサポートしてくれる場合があります。

近年ではペットのための信託を専門とした行政書士の集まりとして「動物法務士」という資格が登場しているほどです。ペットのための信託を利用するためには信託契約や終生飼育契約のように、自分が生きているあいだに死後のことを契約する必要があります。頼りになる”士業”として、法律のことやペットの飼育先のことを相談できます。

ペットのための信託を利用しなくてもペットと一緒に入居できるシニア向け施設

ここまでペットのための信託について解説してきました。

しかしひとりで生活をすることが難しくなり、シニア向け施設に入居するような場合でもペットのための信託を利用したほうがいいのでしょうか。実は、ペットが大切な家族であるという認識が広がっていることもあり、ペットと一緒に生活ができる老人ホームやサービス付きシニア向け住宅がすこしずつ増えてきています。

「老人ホーム・サ高住お探しガイド」を使えば、大切な家族であるペットと一緒に生活できる施設を検索することができます。こちらで確認すると、ペットのなかでも犬や猫(原則1匹)のみの同居が可能な施設が一般的なようです。

【まとめ】いつまでもペットと楽しく幸せに

自分にもしものことがあったとき、大切なペットがこれからも生きていけるかと不安に感じるのは、動物を愛する人が共通してもつ思いです。そんな不安を解消するために、ペットのための信託という制度が存在します。

ペットのための信託を利用すれば、自分が亡くなったり認知症になったりしてしまっても飼育の費用を用意することができます。また、ご紹介したようにペットも入居可能な老人ホームやサービス付きシニア向け住宅も登場しています。「施設に入ってしまうかもしれないからペットを飼うのは避けよう」と思っていた人にとっても、うれしいのではないでしょうか。

責任を持ってペットを飼う姿勢はもちろん大切ですが、自分にもしものことがあっても、ペットが幸せに暮らせるように準備しておくこともおなじくらい大切です。ペットのための信託やペットと暮らせるシニア向け住宅を活用しながら、末永くペットと楽しく暮らしてください。


(執筆編集:NTTファイナンス ライフノート編集部 情報は2021年月6日10時点のものです。)

この記事を監修した人
特定非営利活動法人ペットライフネット

2013年施行の「改正動物愛護管理法」で「終生飼養」が義務付けられました。そのため、自分の余命を考えて犬や猫を飼うことにたじろぐ高齢者が増えています。しかし、孤立しがちな高齢者にとって、ペットとの暮らしは何ものにも代えがたい安らぎであり生きがいです。

ペットライフネットは2014年1月6日にNPO法人として設立。以来、「わんにゃお信託(R)」を軸にすえ、飼主の遺志を受け継ぎ、大切ないのちをつないでいます。

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