コラム

シニア世代も子世代も必見!遺言書がない場合の遺産相続

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この記事を監修した人
谷 靖介

弁護士法人リーガルプラスの代表として複数の法律事務所を経営しつつ、弁護士としては主に相続紛争業務や中小企業の法務労働問題を担当する。特に相続紛争問題は、遺留分に関するトラブルをはじめ、被相続人の預貯金使い込み問題、遺言内容の無効主張、遺産分割協議がまとまらないなど、相続人の間でスムーズな話し合いができない事案を中心に、絡まった諸問題を丁寧に紐解き、ご依頼者様が納得のいく解決を目指し活動している。

https://www.legalplus-souzoku.net/

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遺言書を書いておくべきか迷っている方


この記事のポイント

  • 遺言書がない場合は法律に則って相続がおこなわれる
  • 遺族で遺産分割協議など話し合いが必要
  • トラブルを避けるためには遺言書を書き残しておくことが必要


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身辺整理やお墓の準備など、さまざまな終活をすすめていくなかで、もっとも頭を悩ませるのは相続についてではないでしょうか。ひと言で相続といっても、それぞれのケースによってどういった形になるのかは千差万別ですが、もし遺言書がなかった場合は法律に則って相続がおこなわれます。

この記事では、遺言書がなかった場合の遺産相続について解説します。終活をおこなうシニア世代もその子ども世代の人もぜひご覧ください。

遺産相続とは

亡くなった人が所有していた財産(権利や義務を含む)を配偶者や子どもなどの特定の人が引き継ぐことを遺産相続といい、現金や預貯金、不動産、株式をはじめとした有価証券等の財産を原則的に民法により定められた優先順位に則ってのこされた人たちが受け取れます。

相続人、被相続人とは

財産の相続を受ける人を「相続人」といい、亡くなった人を「被相続人」といいます。親族間で相続財産を承継するケースがほとんどですので、親が亡くなった(被相続人)場合には、配偶者がすでに亡くなっていれば、子どもが相続人として財産を引き継ぐことになります。相続では相続順位が定められており、子どもが相続順位の第一順位となります。相続順位については次で詳述します。

相続順位

相続では、「だれが遺産を相続できるか」「だれが優先的に遺産を引き継げるか」が民法により定められています。法定相続人になれる人は、被相続人の配偶者のほか、子ども、父母、兄弟姉妹です。また孫や祖父母、甥や姪が相続人となる場合もあります。

民法では、配偶者がいる場合には配偶者を常に相続人とする旨が定められています。ほかの相続順位については以下のとおりです。なお、上位の相続順位の相続人がいる場合は、下位の相続順位の人は相続人になれません。

  • 第一順位:子ども(直系卑属。子どもが亡くなっている場合は、孫が代襲相続します)
  • 第二順位:父母(直系尊属。父母が亡くなっている場合は、祖父母となります)
  • 第三順位:兄弟姉妹


以上の相続順位によって、遺産のどのくらいの割合を相続するかという法定相続分が決まります。たとえば、子や兄弟姉妹がいない人が亡くなった場合は、健在の配偶者が遺産の全額を相続し、子がおらず配偶者と直系尊属が存在する場合は配偶者=3分の2、直系尊属=3分の1が法定相続分となります。

相続の対象となる資産

民法によると、「相続人は、被相続人の財産に属する一切の権利義務を承継する」とあります。一切の権利義務とは、現金や有価証券、不動産等プラスの財産だけではなく、生前の借入金債務等マイナスの財産も承継することになります。また生命保険金や死亡退職金等の被相続人の死亡により発生する相続財産についても「みなし相続財産」として生前に所有していた財産とおなじように相続税の計算をおこないます。

  • プラスの資産:現金や預金、不動産や有価証券、ゴルフ会員権など
  • みなし相続財産:生命保険金や退職手当金に関する権利など
  • マイナスの資産:生前の債務(借入金や連帯保証など)

遺産相続の期限

相続が発生した際の手続きには期限があるため注意が必要です。なお期限を超過した際のペナルティーはありませんが(ただし、相続税の支払いを先延ばしする「延納」が認められた場合は、利子税がかかります)、なにかと手続きが増えるため、期限内に手続きを終えるようにしましょう。期限については以下のとおりです。

  • 死亡届は7日以内
  • 相続放棄、限定承認は3か月以内(3か月以内に家庭裁判所に申し立てをしないと、マイナスの財産を含む「資産すべてを相続」することが確定します。期間は伸長手続きも可能です)
  • 遺産相続にかかる所得税の手続き、準確定申告は4か月以内
  • 相続税の申告、納税または延納手続きは10か月以内


遺産分割協議をおこなう際にまず確認すべきこと

先述したとおり、遺産相続により誰が財産をが得られるか(法定相続人)の優先順位は民法によりあらかじめ決まっています。一方で、法定相続人のなかでもどの相続順位になるかによってどのくらいの割合で遺産を相続するかも変わってきますが(法定相続分)、これはあくまで原則であって、必ず従わなければいけないということではありません。相続財産の取り分について相続人全員で話し合い、決められます。これを「遺産分割協議」といいます。

1. 相続人の確定

遺産分割協議をおこなうためには、「相続人全員で協議」しなければなりません。相続人のうち1人でも参加できない場合は遺産分割協議が無効になるので、戸籍謄本等を活用して相続人を確定しましょう。

2. 故人の財産調査

不動産のように持ち主が特定しやすいものはともかく、預貯金や株式のようなものは特定が難しいものです。預貯金についてはキャッシュカードや通帳があれば、取引があったものとして調査することが可能ですが、株式は現在では紙の証券がなくなり、ネットの証券口座で管理するようになったのでとくに調査が困難です。こちらも遺言書と同様に、エンディングノートや「楽クラライフノート」に記しておくことで財産調査をスムーズに終えられます。

3. 財産目録の作成

財産調査を終えたあとは、財産目録を作成しましょう。目録を作成することで財産の種類と価値を確認しやすくなり、今後の計算に役立ちます。

遺産分割協議でもめがちな「不動産」

相続で現金や有価証券を相続する場合は分割が容易なため、争うことなく話しあいで公平に分けられるケースが見られます。しかし現預金がほとんどなく、不動産が財産の大部分を占めるような場合は、遺産分割協議でもめがちです。

生前から相続を意識した終活をおこなうことが理想ですが、準備が間にあわない場合もあります。その場合は、相続人のなかで「代償分割」をおこなうとよいでしょう。代償分割とは、相続人のなかで特定の相続人が不動産を取得し、取得した人が自分の財産を残りの相続人に与える方法です。不動産を現金化するためには時間がかかるので、代わりに自分の資産を分け与えるということです。

遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所で調停もしくは審判

遺産分割協議で話しあった結果、意見がまとまらなかった場合は、家庭裁判所で「調停」手続きを進めることになります。調停でもまとまらない場合、審判の結果を待つことになります。審判では担当審判官(裁判官)が遺産分割の方法を決めます。

遺産分割協議後、すべきこと

相続人で話しあって、遺産分割協議がまとまったあともすることはたくさんあります。まずは遺産分割協議書を作成して、協議の結果どうなったかを書面で保管しておく必要があります。そのあとは先述した「遺産相続手続きの期限」に沿って手続きをすすめましょう。

相続放棄または限定承認

相続人である人が遺産を相続しないことになった場合は3か月以内に「相続放棄」の手続きが必要です。この期間は家庭裁判所の手続きで伸長も可能です。なお遺産分割協議をおこなわずに、法定相続分どおりに相続する場合でも、被相続人の債務(負債)が大きいなら相続の放棄もしくは限定承認をおこなうことが必要です。放棄の手続きをおこなうと一切の相続を放棄することになりますが、限定承認をするとプラスの財産の範囲で相続をすることになります。

相続税の申告

相続があった日から10か月以内に「相続税の申告、納税」もしなければなりません。10か月以内に納税できない場合は、先延ばしにする延納やお金でなく物で納税する物納も可能です。相続税は計算方法が複雑なため税理士に依頼することをおすすめします。

子どもたちが仲良く暮らすためには遺言書を残そう

遺言書がなかった場合の遺産相続についてお伝えしてきましたが遺産相続の内容によっては遺産分割協議などの際に子どもたちが争ってしまうこともあります。

それを避けるためには遺言書を書き残しておくのが有効な手段といえます。そうすれば、血を分けともに育った子どもたちに自分の考えや遺産の使いみちを伝えられるでしょう。遺言書は自筆でのこす方法のほかに、公証役場に公正証書遺言として保管することも可能です。また、楽クラライフノートでも「だれに」「何を」相続してほしいか、なぜそうしたいのかの「私の考え」を書きのこすことができます。ぜひ活用してくださいね。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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