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車、ブランド品、美術品の相続について|相続税はかかる?

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この記事を監修した人
弁護士法人プラム綜合法律事務所 梅澤康二

私は、日本の4大法律事務所の一つであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所において6年間の実務経験を積み、その間、数多くの労働問題、訴訟・紛争事件、M&A取引、各種契約書の作成・レビューその他企業法務全般を主担当として処理・解決して参りました。弁護士法人プラム綜合法律事務所は、そのような前事務所で賜ったご指導・ご支援に恥じることのない、最高品質のリーガルサービスを提供することを信念としており、ご相談案件一つ一つについて誠心誠意対応させて頂きますので、安心してご連絡、ご相談ください。

http://www.plum-law.com/

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車や美術品の相続方法を知りたい方


この記事のポイント

  • 車の相続は名義を変えないまま、乗り続けることはできない
  • 美術品は相続税を「物納」することも可能
  • 正確な価値を把握するには鑑定が必要である


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日本国内で相続される財産のうち、およそ半分は不動産といわれています。しかし、不動産と同様に市場価値があり、多くの家庭に存在しているものはほかにもあります。その代表例が、車やブランド品、美術品です。

とくに車は、地方であれば一家でひとり1台保有していることも珍しくありません。また、結婚や独立・起業のタイミングなどで、家族から高価な品物を受けとる場合もあると思います。こういったものの相続はどうおこなわれるのか、この記事でくわしく解説します。

まず覚えておきたい「相続税の基礎控除」

相続税の仕組みを理解するうえで、ぜひ押さえておきたいのが基礎控除についてです。そもそも基礎控除とは、相続税の計算をする際に所得から差し引くことができる金額のことを指します。相続税の基礎控除は以下の計算式に則って算出されます。

3000万円+(600万円×法定相続人の数)

財産を相続した場合、上記の計算式に則って無条件に控除されることとなります。もし、車やブランド品、美術品のほか、不動産や預貯金、有価証券などを加えてもこの控除額の範囲内ならば相続税はかかりません。

また、仮に不動産や現金などがまったくなく、相続するものは車やブランド品、美術品だけという場合、よほど希少価値が高く高値で取引されるものでない限り、大体は基礎控除の枠内に収まると考えられます。

ちなみに、5000万円相当の財産を1名の法定相続人が相続した場合、基礎控除を差し引いた1400万円が「課税遺産総額」となり、これをもとに相続税を算出します。相続税の税率は課税遺産総額の金額によっても変わりますが、1400万円の場合は税率が15%、控除額が50万円となるため、

(1400×0.15)−50万円=160万円

の相続税を納めることとなります。

車の相続

被相続人名義の自動車が存在する場合、当該自動車も相続の対象となります。ここでは被相続人の所有していた自動車を相続する場合について解説します。

車の相続を完了させるまでの流れ

被相続人が亡くなったとき、車についてはどのような処理が必要となるのか、4つのステップに分けて紹介しましょう。

車の名義を確認

まずは相続人が使用していた車の名義がだれになっているのかを確認する必要があります。名義を確認する方法はいくつかありますが、もっとも簡単なのは車検証の「所有者」欄を確認する方法です。

所有者が被相続人であれば、当該自動車を相続するための処理に移ることになります。

他方、オートローンなどを組んで自動車を購入した場合、「所有者」の欄が被相続人の氏名ではなくディーラーや信販会社、金融機関などの名前で登録されている場合があります。この場合は被相続人名義の財産ではないため、自動車そのものは相続の対象とはなりません。この場合は、自動車ローンの取扱いやローン返済後の自動車の権利関係について別途調整が必要となりますので、所有者である金融機関を交えながら協議をする必要があります。

車を査定する

被相続人名義の自動車であることが確認できたら、相続人が複数いる場合はその車がどの程度の市場価格になるのかを検討する必要があります。査定の仕方に決まりはなく、一般的には中古車市場で同種同等の自動車を探し、その平均値を取ることが多いと思われます。

なお、単独相続である場合でも相続税計算のために査定が必要となる場合がありますので、このあたりは不安であれば税理士に相談しましょう。

遺産分割協議のうえ、車を相続する人を決める

相続人が複数いる場合、遺産分割協議をおこないだれが車を相続するのか決定します。協議の結果、所有すべき相続人が定まった場合は、遺産分割協議書を踏まえて名義変更の手続きをおこなうことになります。

ちなみに、査定の結果、車の価値が100万円以下である場合は、遺産分割協議書ではなく遺産分割協議成立申立書という書類でも名義変更が可能です。遺産分割協議成立申立書は車を相続する人の実印のみで作成できるため、書類作成の手間が大幅に簡略化できるメリットがあります。

車庫証明と名義変更

車の査定と相続人が決定したら、車の名義を被相続人から相続人へと変更する手続きをおこないます。だれが相続するのかによっても必要書類は異なりますが、基本となるのは以下の5点です。

  1. 被相続者の戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書

  2. 相続人の実印

  3. 相続人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)

  4. 車検証

  5. 車庫証明書


複数の相続人がいるなかで、そのなかのひとりが車を相続する場合には、遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立書もあわせて添付します。

なお、名義変更を完了させないまま車に乗り続けていた場合、車の売却や廃車手続きができなくなる可能性がありますし、万が一事故に遭った場合に保険の適用が難しくなる可能性もあるため十分注意しましょう。

相続が完了したあとの流れ

名義変更が終わり相続の手続きが完了した後は、相続した車をそのまま乗り続ける場合もあれば、売却したり廃車にしたりといったケースも考えられます。それぞれのパターンに応じてどのような手続きが必要なのか、くわしく解説しましょう。

相続した車に乗り続ける場合は任意保険に加入

売却や廃車にするのではなく、そのまま車に乗り続ける場合には、忘れずに任意保険へ加入しましょう。被相続人が契約していた任意保険の解約手続きも忘れずにおこないます。

任意保険に加入しないまま事故を起こしてしまうと、莫大な損害賠償が請求されるリスクがあるため注意が必要です。

車を売却する場合に必要な書類

相続した車を売却する場合には、以下の書類を揃えておく必要があります。

  1. 実印

  2. 印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)

  3. 車検証

  4. 自賠責保険証

  5. リサイクル券


なお、名義変更が完了する前に売却したい場合には、上記の書類に加えて以下の書類も用意しておきましょう。

  1. 被相続者の戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書

  2. 遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立込書


廃車にする場合は陸運局で手続き

車を売却したくても値段がつかない、引き取りのために費用がかかってしまう、などの理由で廃車にする場合には、陸運支局で廃車の手続きをおこないます。

ただし、車を解体しスクラップとして処理する際には数万円程度の処理費用がかかる場合がほとんどのため、無料で引き取ってくれる買取業者がないか事前に確認しておくのがおすすめです。

ブランド品・美術品の相続

ブランド品や美術品を相続する場合も、車と同様にまずは「どの程度の市場価格になるのか」を調べましょう。ブランド品や美術品の場合は、鑑定士や買取業者などに鑑定してもらいます。鑑定の結果、それ単体で、もしくはほかの財産とあわせたときに相続税の基礎控除額をこえるのであれば、相続税を支払う必要があります。

価値ある美術品の場合は、相続税を「物納」できる

高価なブランド品や美術品を相続した場合、現金で相続税を納めることが難しい場合もあるでしょう。しかし、一定の条件を満たし、税務署が認めれば相続税は物納することも可能です。

物納とは、現金として税金を納めるのではなく、価値が認められるものを税金の代わりに納めることを指します。美術品の場合は、国や自治体に寄付することで相当額の相続税が納付されたと見なされるため、現金による相続税の支払いが免除または軽減されることもあります。

「モノ」の相続は鑑定をしよう

不動産や預貯金、有価証券以外の「モノ」が財産として遺された場合、それらを相続するからといってただちに相続税が課税されるとは限りません。

ただし、正確な価値を算出するため、また万が一、財産が極めて高価なものであった場合のために、価値をおおむね把握するためのプロセスを経ることが重要です。

美術品などは具体的な価値を出しづらいため節税につながると考える人もいますが、税務署も被相続人の生前から死亡後までお金の流れを追っているため、価値のあるモノを保有していることはわかってしまいます。

相続に関して疑問や不安を感じたら、税理士などの専門家から助言を受けながら、正しい手続きをおこないましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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