基礎知識

相続放棄手続きの流れ|自分でおこなうのに必要な書類と注意点

この記事の内容

亡くなった人の財産を継承する相続。法律や税制にくわしくない人にとっては、難しいものに感じられるかもしれません。

相続すべきものにどんな財産があるかを調べたうえで継承することは、もちろん重要なプロセスです。では、もし亡くなった人(被相続人)に借金があれば、家族や親族はそれも継承しなければならないのでしょうか?

そんなときのために、相続は「放棄」することが認められています。この記事では、相続放棄の手続きについて解説します。

相続放棄とは

相続放棄とはその名のとおり、相続の権利を放棄することを指します。配偶者や子ども、父母、兄弟姉妹などは、順位はありますが、民法によって法定相続人となる資格が認められており、相続順位に応じて一定割合の財産を相続します。

ただし、そもそも相続とは、プラスの財産だけでなくマイナスの財産を引き継ぐことも意味します。たとえば、現金や土地、建物、証券といった資産があったとしても、それ以上の負債を抱えている場合には、相続により損をしてしまいます。そのように相続によって相続人が損失を被ることを回避する手段として相続放棄という制度が認められています。

また、相続放棄を選択するパターンとしては、単なる金銭上の問題ではないケースもあります。たとえば、法定相続人が複数おり、相続争いに巻き込まれたくないと考える人も存在します。そのような場合においても、相続放棄は有効な手段の一つといえます。

相続放棄の基礎知識についての関連記事「相続放棄の基礎知識|相続を「しない」選択にともなう手続きや費用

相続放棄手続きの流れ5ステップ

実際に相続放棄を実行する場合、どのような流れで手続きをおこなうのでしょうか。5つのステップに分けて紹介します。

1. 相続放棄のための書類を作成する

はじめに、相続放棄に関する書類を作成します。必要書類としては以下の3つが基本となります。

  1. 相続放棄申述書

  2. 被相続人の住民票除票または戸籍附票

  3. 申立人の戸籍謄本


相続放棄申述書とは、相続放棄の意思表示を記した書類のことであり、所定のフォーマットに沿って記載します。

また、注意しておきたいのが、申立人(相続放棄したい人)と被相続人との関係によっても上記以外に必要な書類は異なるということ。4つのパターンに分けて紹介しましょう。

1. 被相続人の配偶者の場合

  • 上記の必要書類+被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

2. 被相続人の子や孫の場合

  • 上記の必要書類+被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 申立人が孫の場合、本来の相続人の死亡が記載された戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

3. 被相続人の両親や祖父母の場合

  • 上記の必要書類+被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子どもで死亡者がいる場合、その子どもの出生時から死亡時までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属で死亡者がいる場合、死亡が記載された戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

4. 上記以外の親族の場合

  • 上記の必要書類+被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子どもで死亡者がいる場合、その子どもの出生時から死亡時までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属で死亡者がいる場合、死亡が記載された戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 申立人が甥姪の場合、本来の相続人の死亡が記載された戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

2. 相続放棄のための費用を準備する

相続放棄の手続きにあたってかかる費用は、収入印紙代の800円と、裁判所から書類を返送してもらう際の切手代です。どちらも郵便局で購入できますが、切手代は裁判所によっても多少金額は異なるため、管轄の家庭裁判所へ事前に確認しておきましょう。

また、相続放棄に関する一連の手続きは弁護士や司法書士へ依頼することも可能です。弁護士、司法書士によっても費用は異なりますが、被相続人1人あたり最低3万円程度から依頼が可能です。

相続放棄に必要な費用についての関連記事「相続放棄の費用は最低3000円から|自分で手続きする場合と専門家に依頼する場合を解説

3. 家庭裁判所に申立する

必要書類と収入印紙が揃ったら、家庭裁判所へ相続放棄の申立をおこないます。申立の手続きは、書類が揃っていれば管轄の家庭裁判所に郵送する形でも問題ありません。

ただし、裁判官から面会を求められるケースもあり、その場合には裁判所へ出向き面会に応じなければなりません。

4. 届いた照会書に回答する

家庭裁判所への申立手続きに問題がなければ、相続放棄の照会書とよばれる書類が自宅へ届きます。照会書のなかには申立人が記載すべき解答欄があるため、必要項目を記入のうえ家庭裁判所へ照会書を返送します。

4. 相続放棄申述受理書が届く

照会書を返送してから不備や問題がなければ、およそ10日程度で相続放棄の手続きが完了します。このとき、一連の手続きが完了したことを知らせる「相続放棄申述受理書」とよばれる書類が自宅へ届きます。

自分で相続放棄手続きをおこなう際の注意点

相続放棄の手続きは弁護士や司法書士へ依頼せずとも、申立人が自らおこなうこともできます。もし、本人が上記の手続きをおこなう場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

相続放棄は3ヶ月以内におこなう

相続放棄が可能な期間は、相続の開始を知ったときから3か月以内と定められています。そのため、相続放棄の手続きに必要な書類を準備したり、相続放棄申述書などの書き方を調べていたりすると、気づいたときには時間が少なくなっていたというケースもあります。

もし3か月の期間が過ぎてしまうと、原則として相続放棄ができなくなるため注意しましょう。

相続放棄の期限についての関連記事「相続放棄の期限は3か月|もし期間を過ぎそうな場合の手続きを解説

相続放棄が認められると取り消しできない

相続放棄が一度認められた場合、原則としてこれを撤回することはできません。そのため、一度は相続放棄をしたものの、気が変わったのでやっぱり相続したいということは原則としてできません。例外的に、大きな誤解により相続放棄をしてしまったという場合に相続放棄の意思表示を取り消す余地がないではありませんが、必ずしも取消しが認められるとは限りません。これはあくまで例外的なケースです。

そのため、相続放棄の判断をくだす際には、本当にそれ以外に財産がないかをしっかりと調査したうえで、プラスとマイナスの資産状況を正確に把握するなど、ある程度慎重な対応が必要です。

相続を承認したものとみなされることもある

申立人が相続放棄をする前に相続財産を売却したり、隠匿したような場合は、相続を承認したものとみなされ、以後、相続放棄が認められなくなる可能性があります。そのため、相続放棄をする場合にはできるだけ相続財産に手を付けないほうが無難です。もっとも相続財産のうち無価値のものを廃棄する場合は、単純承認と評価されない可能性もあります。処分してよいか不安がある場合は弁護士などの専門家に相談してから進める方が無難でしょう。

必要書類に不備がないか念入りに確認しよう

今回紹介してきたように、相続放棄の手続きは必要な書類さえ揃っていれば、基本的に裁判所に出向く必要がなく郵送だけで済ませられます。

しかし、不備がある場合や裁判所が必要と認めた場合は管轄の家庭裁判所に出向かなければならない可能性はゼロではありませんし、このような場合に管轄の裁判所が遠隔地であるとそれなりの労力となりそうです。そのため、相続放棄の手続きを自分でおこなう際には、書類は揃っているか、その書類に記入すべき事項がきちんと書かれているかなどは確認して進めましょう。

もちろん、相続の専門家である弁護士や司法書士は相続放棄の手続きをおこなってくれますので、自分でできるか自信がない場合は依頼するのも一つの選択肢です。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部 情報は2022年2月24日時点のものです。)

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この記事を監修した人
弁護士法人プラム綜合法律事務所 梅澤康二

私は、日本の4大法律事務所の一つであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所において6年間の実務経験を積み、その間、数多くの労働問題、訴訟・紛争事件、M&A取引、各種契約書の作成・レビューその他企業法務全般を主担当として処理・解決して参りました。弁護士法人プラム綜合法律事務所は、そのような前事務所で賜ったご指導・ご支援に恥じることのない、最高品質のリーガルサービスを提供することを信念としており、ご相談案件一つ一つについて誠心誠意対応させて頂きますので、安心してご連絡、ご相談ください。

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