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相続放棄の費用相場|自分で・司法書士・弁護士の3パターンをくわしく解説

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この記事を監修した人
弁護士法人プラム綜合法律事務所 梅澤康二

私は、日本の4大法律事務所の一つであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所において6年間の実務経験を積み、その間、数多くの労働問題、訴訟・紛争事件、M&A取引、各種契約書の作成・レビューその他企業法務全般を主担当として処理・解決して参りました。弁護士法人プラム綜合法律事務所は、そのような前事務所で賜ったご指導・ご支援に恥じることのない、最高品質のリーガルサービスを提供することを信念としており、ご相談案件一つ一つについて誠心誠意対応させて頂きますので、安心してご連絡、ご相談ください。

http://www.plum-law.com/

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相続放棄をすべきか迷っている方


この記事のポイント

  • 相続放棄は3か月以内に手続きを完了させなくてはならない
  • 自分で手続きする場合は3000円程度で済ませられる
  • 政府が設立した「法テラス」なら弁護士費用を立て替えてもらえる


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相続するとき、借金などのマイナスの財産が多い場合は相続放棄したほうがよいことを以下の記事で紹介しました。


相続放棄の費用相場|自分で・司法書士・弁護士の3パターンをくわしく解説|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

相続放棄の手続きにはどれくらいのお金がかかるのでしょうか?  相続放棄にかかる費用は、自分で手続きする場合、司法書士に依頼する場合、弁護士に依頼する場合で異なります。もっとも安く済ませられる自分で手続きする場合では最低3000円程度、司法書士や弁護士に依頼する場合は数万円の用意が必要です。この記事ではケースごとの費用の例と、それぞれのケースのメリットとデメリットを解説します。

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では、相続放棄の手続きにはどれくらいのお金がかかるのでしょうか?

相続放棄にかかる費用は、自分で手続きする場合、司法書士に依頼する場合、弁護士に依頼する場合で異なります。もっとも安く済ませられる自分で手続きする場合では最低3000円程度、司法書士や弁護士に依頼する場合は数万円の用意が必要です。

この記事ではケースごとの費用の例と、それぞれのケースのメリットとデメリットを解説します。

【手続き方法別】相続放棄の費用まとめ

ここでは、自分で手続きする場合、司法書士に依頼する場合、弁護士に依頼する場合の総額がいくらになるかの具体額を取り上げます。続いて、なぜこうした金額となるのかの内訳を解説します。

手続き方法かかる総額費用
自分で行う3000円〜5000円程度
司法書士に依頼する3万円〜5万円程度
弁護士に依頼する5万円〜15万円程度

自分で手続きする場合の相続放棄の費用

相続放棄は専門家に依頼せず、自分で手続きを進めることも可能です。自分で相続放棄の手続きをする場合の、費用とメリット・デメリットについて説明します。

自分で手続きする場合、3000円〜5000円ほどで進めることができる

自分で手続きする場合の費用は3000円〜5000円程度です。その内訳は下記の通りとなります。

収入印紙代800円
被相続人(亡くなった人)の住民票除票もしくは戸籍附票300円程度
被相続人の戸籍謄本

450円

被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本750円
申述人(相続放棄を申し立てる人)の戸籍謄本450円
切手代500円程度

収入印紙代は、相続放棄の申述書に添付するもので、これがないと裁判所は相続放棄の申述を受け付けてくれません。

被相続人の住民票除票や戸籍謄本などは、被相続人の死亡を確認するものです。どの書類が必要かは申述人と被相続人との関係によって異なり、裁判所のWEBサイトに必要書類の一覧が記載されていますので、ご確認ください。

申述人の戸籍謄本は、申述人の存在を確認するものです。切手代は裁判所との連絡に必要となるものです。

自分で手続きをするメリット・デメリット

自分で手続きする場合のメリットは、やはり費用がおさえられることが挙げられます。自分で手続きをすると、専門家に依頼するときの10分の1程度の費用しかかかりません。もちろん、自分で手続きをするための労力や難しさがあることを、理解する必要があります。

また、相続放棄は原則として自分に相続があることを知ったときから、3か月以内に必要な手続きをとらなければなりません。不慣れな処理をこの期間中に終わらせるのは、難しい作業です。面倒だなと思っていたら期間が過ぎていたということにもなりかねませんので、このデメリットはなかなか無視できません。

司法書士に依頼する場合の相続放棄の費用

司法書士に依頼する場合の費用とメリット・デメリットについて説明します。

司法書士に依頼すると3万円〜5万円が相場

司法書士に依頼する場合の総額は3万円〜5万円程度です。内訳は下記の通りとなります。

代理手数料2万円〜3万円程度
必要書類取得の代行手数料

1000円程度/1通(司法書士によってかからない場合もあります)

申述書作成代理費用3000円〜6000円

上記の費用は、相続放棄の期限である3か月以内に手続きの着手・完了ができ、申述人が1人の場合のものです。そのため、3か月を過ぎれば料金を上乗せされるケースもあります。また当然、申述人の数が増えればその人数分の費用がかかります。

このほかに、相続財産の調査や相続財産管理人選任の申立をする場合は、別途費用がかかります。相続財産管理人とは、遺産の管理・精算をおこなう人のことで、包括受遺者(遺言によって包括的に財産を継承する人)がいない場合、相続人の存在が明らかでない場合、相続人全員が相続放棄した場合に選任されます。

なお、司法書士が対応してくれるのはあくまで書類の作成と添付書類の準備までです。家庭裁判所への申述書の提出や家庭裁判所との手続的なやり取りはご自身で対応する必要があることにご留意ください。

司法書士に依頼するメリット・デメリット

司法書士は、裁判所や法務局への提出書類を作成する法律の専門家です。相続放棄のための家庭裁判所への申述書の作成も司法書士の職務の一つです。そのため司法書士に依頼すれば必要十分な提出書類を代わりに作成してもらえるというのがメリットです。

また、司法書士は弁護士に比して職務範囲が限定されているため、相対的に費用も安いこともメリットといえそうですね。他方、司法書士は法律の専門家である弁護士よりも権限が限定されており、家庭裁判所との間で手続的な代理業務はできません。この点がデメリットとして挙げられます。

弁護士に依頼する場合の相続放棄の費用

司法書士に依頼する場合の費用とメリット・デメリットについて説明します。

弁護士に依頼すると5万円〜15万円が相場

弁護士に依頼する場合の総額は5万円〜15万円程度です。内訳は下記の通りとなります。

代行手数料5万円〜10万円程度
相談料1万円程度(事務所によっては無料となる場合もあります)
申述書作成代理費用5000円〜1万円程度

申述人の数が増えればその人数分の費用がかかります。また、司法書士に依頼する場合と同様に、相続財産の調査や相続財産管理人選任の申立を弁護士にお願いするのであれば、別途費用がかかります。

なお、司法書士とのちがいは、弁護士は申述書類の作成、添付書類の準備だけでなく、書面の提出や裁判所との手続的なやり取りなど司法書士では対応できない処理まで一任できます。

弁護士に依頼する場合のメリットとデメリット

弁護士に依頼する場合、司法書士と同様に書類の作成をすべて任せることができます。加えて、司法書士には認められていない手続代行まで行えること、相続放棄が認められなかった場合に家庭裁判所への不服申立の処理まで代行してもらえること(要するに相続放棄のすべてを一括して任せられること)が最大のメリットです。

他方、デメリットとして弁護士は上記の通りすべてを任せられる反面、費用が相対的に高い点が挙げられます。とくに相続放棄の効力に疑義が生じるような場合には、相当の費用がかかる可能性があります。相続放棄についてすべてを任せたいという場合や相続放棄ができるのか疑義があるという場合は弁護士に手続きを依頼したほうがよいでしょう。

専門家に依頼したくてもお金がない場合は法テラスへ

相続放棄は手続きのための時間をとる必要がありますし、申述人と被相続人との関係が複雑であったりトラブルが起こったりした場合は法律に不慣れな人が対応するのが現実的に難しいこともあるでしょう。そのようなときは専門家に依頼するのが得策ですが、経済的に難しいというケースもあるかもしれません。

そこで、政府が設立し法律事務に関するサポートをおこなう「法テラス」では、民事法律扶助業務として弁護士や司法書士へ支払う費用を立て替える制度を設けています。あくまでも立て替えですので、費用がかからないわけではないことに注意が必要です。

民事法律扶助業務による支援を受けるためには、次の4つの条件を満たしていることが必要です。

  • 資力が一定額以下であること(具体的金額はこちらの法テラスのウェブサイトをご覧ください)

  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと

  • 民事法律扶助の趣旨に適すること(権利濫用などと認められる場合は、支援を受けられません)

  • 依頼先の弁護士が法テラス利用に同意すること


参考:民事法律扶助業務|法テラス

相続放棄をする際の注意点

相続や相続放棄は、法律的行為、民法で定められている行為です。手続きにはさまざまなルールがあるので、それを取り上げます。

相続放棄できる期間は3か月以内

相続放棄をする場合、原則として、自身に相続が発生することを知った日の翌日から3か月以内に家庭裁判所への申し立てが必要です。3か月を経過すると相続放棄ができなるなる可能性が高いので、3か月の期間はこえないようにしましょう。

相続放棄ができない場合もある

相続放棄は被相続人が生きている場合はできません。また、相続放棄をする一方で、被相続人の財産を処分してしまったり、使ったりしてしまった場合も、相続放棄ができなくなる可能性があります。相続放棄を考えている場合は、慎重に故人の財産を取り扱いましょう。

一度放棄すると撤回できない

相続放棄の手続きを行ったあとは、原則としてこれを撤回することはできません。そのため相続放棄をするか、よく考えてから決断するようにしましょう。「相続すべきか、相続放棄をすべきかわからない」という方は、司法書士や弁護士など、専門の方に相談することをおすすめします。

相続放棄をするべきか検討されている方は、相続を「しない」場合の手続き内容や費用についても、確認されることをおすすめします。


相続放棄の基礎知識|相続を「しない」選択にともなう手続きや費用|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

親族が相続放棄を選択するケースの代表例と言えるのが、借金などマイナスの資産が多くのこされている場合です。相続放棄には、必要とされる書類があります。 こちらの記事では、相続放棄の方法についてくわしく解説します。

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まとめ

相続放棄は家庭裁判所に申立をする法律的な手続きです。法律、と聞くととても大変な行動・対応が必要になると感じる人もいるかもしれませんが、シンプルな相続であれば10万円以内に抑えられることもあります。また、ご紹介したように法テラスの民事法律扶助業務を利用することができれば専門家への依頼費用を立て替えてもらうのも可能です。

相続放棄は3か月以内というとても短い期間でおこなわなければならない一方、期間内に放棄できなければ多額の借金を背負いかねません。確実に相続放棄を完了させるためには、費用の安さに目が行き、自分で手続きをおこなうことばかりを考えるのではなく、専門家への依頼も選択肢に入れたほうがよいといえるでしょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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