基礎知識

セカンドオピニオンの基礎知識|主治医と相談するべき?

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この記事の内容

この記事を監修した人
瀧澤憲

がん研有明病院非常勤医。高輪台レディースクリニック顧問。

1973年、東京大学医学部医学科を卒業して産婦人科研修開始。1981〜1983年、NIH、NICHD(アメリカ)留学し、東京大学・東京女子医科大学助教授、三井記念病院産婦人科部長を経て、がん研有明病院婦人科部長となり現在は同病院の非常勤医となる。

婦人科がん治療を専門としているが、2020年で手術は終了し、現在はおもに婦人科がん検診、がん相談、セカンドオピニオンなどを担当しています。

この記事をおすすめする人

1つ目の医療機関での診断結果に疑問が残っている方


この記事のポイント

  • セカンドオピニオンを受診することで、新たな治療法や考え方を発見できる場合がある
  • 治療済みの病気に関する場合やファーストオピニオンへの医療訴訟を前提とした受診はできない
  • セカンドオピニオンは100%自費負担となる


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病を患い、治療しても効果が実感できないとき、「本当にこの治療法であっているのか?」「別の病院ならばもっとよい結果になるのでは?」と不安を感じることもあるでしょう。

このような場合に、最初の診断(=ファーストオピニオン)をくだした医師とは別の医師の意見を求めることを「セカンドオピニオン」といいます。とくにがん治療に励む人が、セカンドオピニオンを求めるケースが見られます。

この記事ではセカンドオピニオンに関する基礎知識を解説します。

セカンドオピニオンとは

「オピニオン(opinion)」とは日本語で「意見」や「見解」といった意味を指す言葉です。すなわち、セカンドオピニオンを直訳すると「第二の意見」という意味になります。

おなじ病気やケガであっても、医師によって治療方針が異なるケースは珍しいことではないほか、医師も人間である以上、診断結果に誤りが生じる可能性はゼロではありません。そこで、別の医師にいままでの検査結果や治療経過(効果、副作用、合併症など)を検討してもらい、これからの治療方針などについて意見を求めることをセカンドオピニオンとよびます。

なお、セカンドオピニオンはあくまでもほかの医師に第三者の立場から意見を求めるだけであり、ただちに主治医を替えたり、ほかの病院へ転院したりすることを意味するものではありません。

セカンドオピニオンで得られる効果

セカンドオピニオンとして主治医以外からの意見を求めることにより、どのような効果が得られるのでしょうか。セカンドオピニオンを受ける意味やメリットも含めてくわしく解説しましょう。

1.治療法の選択で悩んでいる場合、新たな考え方を知れる場合がある

病気の治療にはさまざまな選択肢があり、症状の進行や状態、患者の希望などを総合的に考慮して治療法を決定する場合がほとんどです。

主治医は一般的に、まず自分が経験して成功した治療を勧めますが、患者は治療の副作用や後遺症を考えて、ほかの治療法と比較して悩みます。主治医が外科系なら、化学療法や放射線療法の専門医にセカンドオピニオンを受けることで、新たな視点から考えられるようになります。

2.不安を払拭できる場合がある

セカンドオピニオンとして第三者からの意見を求めることで、「現在進行形の治療がベストな治療法なのか」「ほかによい治療法があるのではないか」といった不安や疑問が解消され、前向きに治療に取り組むことができる場合もあります。

3.新たな治療法が知れる場合がある

医療の世界は日々進歩しており、大学などの専門機関では研究の積み重ねによって新たな治療法が開発されたり、製薬会社では新薬が開発されたりしています。

たとえばおなじ病気であっても、10年前と現在とでは治療法が異なるケースも存在します。専門的な知見を深めるために最新の治療法や情報を日々収集している医師もおり、そのような医師へセカンドオピニオンを依頼することで新たな治療法があることを知れる場合もあるのです。

こんなときはセカンドオピニオンを求められない

セカンドオピニオンでは、主に患者さんの利益を優先しますが、じつは主治医にとっても別の視点からの治療法を知ることは有益になるはずです。そこで原則として、診療情報提供書、画像診断のデータやフィルム、病理診断書を持参するか、前もって提出して、満足できるセカンドオピニオンにしましょう。また、できれば主治医と話しあって論点を箇条書きにしておくとよいでしょう。

そして、次の二つに該当する場合はセカンドオピニオンを受けられません。

1. 治療済みの病気に関する意見

セカンドオピニオンは治療前または治療中の段階で医師の意見を求めるものです。そのため、すでに治療が終わり病気やケガが完治している場合、セカンドオピニオンを申し込んでも医師や医療機関の判断により断られてしまう場合があります。

2. ファーストオピニオンを出した医師への医療訴訟を前提とした受診

セカンドオピニオンは医療ミスの有無を立証するための手段ではなく、あくまでも医師からの意見をヒアリングし相談するものです。医療ミスが疑われる場合でも、第三者の医師がそれを立証できるとは限らず、医療訴訟を前提としたセカンドオピニオンは断られるケースがあります。

セカンドオピニオンを求めるときの流れ

実際にセカンドオピニオンを受ける場合には、どのような流れで進めていけばよいのでしょうか。病院によっても異なるケースはありますが、大まかな流れとしては以下のとおりです。

1. 現在の主治医に相談する

はじめに、現在の主治医に対して「セカンドオピニオンを受けたい」旨の相談をしましょう。セカンドオピニオンを受けるためには、カルテや画像診断情報、各種検査結果データなど、さまざまな情報が不可欠です。できれば、相談の論点を明確にして、箇条書きにしてもらうとよいでしょう。

2. 病院を探す

セカンドオピニオンを受ける病院や医療機関を探しましょう。たとえば、がん治療に対応している総合病院や専門病院の「セカンドオピニオン外来」が候補になります。

3. 受診の準備

セカンドオピニオンを受診する病院を決めたら、相談を担当してもらう診療科や担当医師を決めます。そして病院へ連絡して受診に必要なものを確認し、予約を入れます。とくにセカンドオピニオンで必要な書類は複数用意しなければならないことも多いため、書類の名称を聞き漏らさないよう注意が必要です。

そのうえで、現在の主治医へ必要な書類の準備、提供を依頼します。書類を相談予約日に持参するのが通常ですが、病理診断標本などはあらかじめ郵送する必要があります。

なお、相談の論点が明確なら、担当科や担当医師を合理的に決められますが、論点が不明確だと主治医の推薦する担当医師を紹介してもらう形が多くなります。できれば、主治医の出身大学や医局とは異なる医師の意見を聞きたいですね。

4. 受診・セカンドオピニオンを聞く

受診の予約当日になったら、いよいよ病院へ出向きセカンドオピニオンを受診します。ここで重要なのは、自分に対して親身に心配してくれる人と一緒に受診することです。

そして、「いまの治療方針に不安がある」といった漠然とした内容だと、医師から有効なアドバイスや意見が聞き出せない可能性もあります。そこで、「いまは○○という治療法で進めているが、ほかに有効な治療法はあるか?」、または「○○と○○という治療法で迷っているが、いまの状態だとどちらが適切だと思われるか?」など、できる限り質問を具体化しておくとよいでしょう。

相談結果は、相談医(セカンドオピニオンを担当した医師)に文章化してもらいましょう。そのうえで、受診に同席してくれた人と、リラックスしながらその文章を復習するとよいですね。

5. セカンドオピニオンを基に主治医と今後の治療法を検討する

セカンドオピニオンによって意見をヒアリングできたら、それをもとに改めて現在の主治医と相談し今後の治療法を考えます。

相談医は、主治医にどんな相談内容でどんな治療方針を説明したか、返信を書きます。このとき、患者も相談結果の文章を受け取っていますので、これらを踏まえて主治医と今後の治療方針を決めることになります。

セカンドオピニオンの費用

セカンドオピニオンは、通常の診療とは異なり健康保険が適用されず100%自費負担となります。

病院によっても費用は異なりますが、1時間あたり1万5000円〜4万円程度が相場となっています。一般的に県立・市立病院などは安価な一方、私立の大学病院では4万円をこえるような高額なケースとなる場合もあります。

なお、最近の医療・生命保険には、特約でセカンドオピニオンの費用もカバーしてくれるものが登場しています。

まずは主治医に相談しよう

今回紹介したように、セカンドオピニオンの受診においては検査結果や診断・治療内容を医師が把握する必要があるため、まずは現在の主治医に相談することが不可欠です。

「先生(現在の主治医)の機嫌を損ねてしまうのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、主治医に知らせることなくセカンドオピニオンを求めることのほうが信頼関係を損なう結果となってしまいます。また、よい主治医は、自分とは異なる意見、新しい知見を得ることを歓迎します。

何よりも、自分の身体のことに責任をとれるのは自分だけです。主治医の立場を尊重しつつも、きちんと自分の意思をもってセカンドオピニオンの相談をしてみてはいかがでしょうか。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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