基礎知識

認知症の症状について|初期症状、中核症状、周辺症状

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この記事の内容

「認知症の基礎知識|加齢によるもの忘れとのちがいとは?」の記事でも解説したように、認知症とは認知機能が衰え、日常生活全般に支障をきたすようになった状態を指します。

しかし、ひと口に認知症といってもさまざまな症状があり、人によっても現れる症状の種類や程度は異なります。

今回の記事では、認知症を発症した場合に具体的にどのような症状が現れるのかを紹介するとともに、病気の初期段階や進行した段階での認知症の症状を解説します。

認知症の初期症状

認知症といえば、もの忘れが典型的な症状として挙げられます。具体的には、以下のような症状が見られた場合、認知症の初期症状が疑われます。

  • おなじ内容の話を何度も繰り返す

  • 貴重品をよく忘れるようになる

  • 約束をしたことを忘れてしまう

  • 得意料理のはずなのに味付けが変わった

  • 電話口で話していた相手がだれだったのかすぐに忘れてしまう

  • 友人や知人の顔を見ても名前が思い出せない

また、認知症にはほかにもさまざまな初期症状が現れることがあります。

たとえば、自宅にあるテレビの操作や電子レンジの使い方がわからなくなる、といった症状が見られることも。このように、慣れているはずの作業手順を忘れてしまったり、作業を順序立てて行動することが難しくなったりすることを実行力障害、または実行機能障害とよびます。

はじめのうちは軽度の記憶障害であっても、実行力障害などが加わると社会生活や対人関係に影響がおよぶケースも多く、認知症の症状が悪化していくこともあるのです。

認知症の中核症状と周辺症状

認知症には大きく分けて中核症状と周辺症状とよばれる2つの種類があります。

中核症状とは、認知症の直接的な原因となる脳の神経細胞に障害が起こることで発生する症状であり、記憶障害などが典型的です。

一方で周辺症状とは、認知症を発症した本人が精神的に混乱したり不安を抱いたりすることで起こる症状です。「行動・心理症状」ともよばれ、本人の性格や周囲の環境などによっても周辺症状が現れる程度は異なります。

中核症状

中核症状として挙げられるのは以下の5項目です。

記憶障害

すこし前の出来事を全体的に忘れてしまうことを記憶障害とよびます。加齢によるもの忘れは、たとえば昨夜見たテレビの内容を忘れてしまうことが多いですが、認知症の場合は「テレビを見た」という出来事(体験や経験)そのものが思い出せなくなります。

ただし、実際には認知症による記憶障害なのか、加齢によるものなのか判断が難しいケースも多いです。

実行力障害

ある作業の手順を忘れてしまったり、慣れているはずの作業について順序立てて行動することが難しくなったりすることを実行力障害、または実行機能障害とよびます。たとえば、自宅にあるテレビの操作がわからなくなった、電子レンジの使い方がわからなくなる、といった症状が見られます。

理解力・判断力の障害

家族や友人との会話の内容が理解できない、または理解するのに時間がかかることを理解力障害とよびます。また判断力にも障害が出てくると、質問に対する適切な答えができないといった症状が見られることもあります。

見当識障害

今日の日付や季節、現在の時刻、いまいる場所などがわからなくなることを見当識障害とよびます。

感情表現の変化

現在の状況がうまく理解できないため、急に怒り出したり悲しみだしたりと、予想できない感情が現れるようになります。

周辺症状

周辺症状として見られるものはひとつとは限らず、その人の性格や人間関係などさまざまな要因によって変化します。そのなかでも、とくに典型的な症状として見られるのが「うつ状態」や「妄想」です。

認知症を発症すると、いままで自分自身でできていたことが急にできなくなり、自信を失いやすくなります。その結果うつ状態に陥り、以前まで興味をもっていたことにも急に興味を示さなくなり、何をするにも億劫(おっくう)になることがあるのです。

また、自分自身が財布やカギ、スマートフォンなどをしまい忘れたのに、「ほかの人に盗まれた」と誤解したまま妄想することもあります(被害妄想)。

そのほかにも、幻覚や徘徊などが周辺症状として現れるケースも多くなっています。

認知症で起こる問題行動とは

認知症によって脳にさまざまな障害が発生すると、上記で紹介した周辺症状がさらに悪化し、問題行動に発展するケースがあります。

暴力・暴言

認知症患者の介護にあたっている家族や施設の職員に対し、心無い言葉を浴びせたり、ときには暴力を振るったりする患者も少なくありません。本来、人間の感情は脳の前頭葉によってコントロールされていますが、認知症によって前頭葉が萎縮していくと、感情の起伏が激しくなります。

もともと温厚な性格であった人が、認知症を発症したことで別人のように怒りっぽくなることも珍しくありません。

奇声をあげる

認知症を発症したことで妄想や幻覚が見られるようになると、ますます意識が混乱してしまいます。さらに感情のコントロールが難しくなると、自分自身でもどのように感情を表現すればよいのかわからなくなってしまい、突然奇声を上げたり、暴れまわったりするようになります。

とくに自宅で介護を続けている場合、このような症状のために家族が不眠になってしまったり、近所から苦情を受けたりすることも増えてくるでしょう。

不安は認知症外来で打ち明けよう

今回紹介した認知症の初期症状を見たとき、「自分も当てはまる」と思った方もいるかもしれません。一方で認知症には自覚症状がない場合もあり、そうしたときには家族の気付きなどがきっかけになることもあるでしょう。

ただし、加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れのちがいについて、明確な線引は難しい場合があります。自分の認知機能や行動に不安があっても、早合点して悲嘆などせず、まずは認知症外来などに相談してみましょう。

また、「認知症の基礎知識|加齢によるもの忘れとのちがいとは?」で認知症のテストへのリンクも掲載していますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部 情報は2022年7月29日時点のものです。)

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矢野大仁

中部脳リハビリテーション病院・中部療護センター、脳神経外科部長、副センター長

 

経歴

平成2年 岐阜大学医学部卒業

平成12年 岐阜大学医学博士

平成12年から岐阜大学病院に勤務。

平成17年 チューリヒ大学脳神経外科(留学)

平成25年 岐阜大学臨床教授・准教授

令和2年4月より現職

 

資格

日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本がん治療認定医機構認定医

 

学会活動

日本脳神経外科学会評議員、日本脳腫瘍病理学会評議員、日本ニューロリハビリテーション学会理事、日本意識障害学会世話人

 

診療活動

脳腫瘍、脳卒中、てんかんなどの他、パーキンソン病など不随運動の外科治療など幅広く診療しています。患者さんにわかりやすい説明を心がけています。

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