基礎知識

介護予防で、健康で自立したシニアライフを!サービスの種類と選び方

この記事の内容

65歳以上の前期高齢者は約4人に1人、75歳以上の後期高齢者は約7人に1人、現在の日本はそれほどの超高齢社会です。これからは年齢に関係なく活躍できる社会になるといいですね。これを実現するために重要なのが「介護予防」です。

介護予防はまだ先のこと?と思われる方や、取り組んでみたくてもサービスの種類が多くて悩む方もいらっしゃるかもしれません。しかし「健康長寿は一日にしてならず」。いまから介護予防の知識を増やしておくことが役に立つはずです。

こちらの記事では、介護予防の概要と大切さからサービスごとの特徴や選び方まで解説します。健康で生き生きとしたシニアライフを実現するために、ぜひ参考にしてみてください。

介護予防の取り組み

まずは介護予防の概要と「なぜ大切なのか」から見ていきましょう。

介護予防とは

介護予防は、2000年の介護保険開始時に「介護と介護予防は車の両輪」として導入されました。

要介護状態になるのをできる限り遅らせること」「要介護状態になるのを未然に防ぐこと」、また「すでに介護が必要な状態であれば、これ以上悪化しないように改善を図ること」を目的にした取り組みです。

身体機能の改善や食生活を豊かにすること、歩ける範囲でのコミュニケーションの促進などをとおして、健康寿命を延伸し、何歳になっても生活の質を高く保つためのサポートをおこなっています。

介護予防の現状

都道府県や市区町村は、地域包括支援センターの整備を進めたり、民間企業やNPOと連携しながら地域の介護予防対象者に情報を提供したりと活動を進めています。

ただし現状「介護予防」は要介護になってからというイメージからが強いからか、利用者が伸び悩む地域も。市区町村が民間企業や地域住民と連携を深めて介護予防を広める活動を盛り上げ、いわば地域活動のひとつにしていくことが今後の課題になっています。

介護予防への取り組みが必要な理由

介護予防において大切なのは「健康寿命」に対する考え方です。
寿命の長さに着目するのではなく、その質にも着目し、自分らしく暮らせる期間をできるだけ長く維持することを目指します。

そのためには加齢に伴う心身機能の変化をよく理解し、そのなかでも日常生活が自分の力でおくれるようにする工夫、たとえ介護が必要になっても健康を感じられる工夫、無理しすぎない家族や社会との付きあい方の工夫など、加齢に伴う変化とうまく折りあいをつける能力を高めていくことが重要です。

これによって自立した生活をおくれる期間が長くなり、介護状態でも平穏に暮らすことができれば、介護・生活支援をおこなう家族や支援者の心身の負担をやわらげることにもつながります。

サービスによってもさまざまですが、介護費用は家計の大きな負担になることも。こうした経済的な負荷を軽減する意味でも、介護予防に取り組む重要性が高まっています。

介護予防の種類(1)予防給付

介護予防には、大きく分けて「予防給付」と「介護予防・日常生活支援総合事業」があります。まずは「予防給付」について解説します。

予防給付とは

予防給付とは、介護の必要はないが見守りなどの支援が必要と認められた人に提供される、介護保険の保険給付のこと。たとえば「お風呂掃除ができなくなったので、お風呂に入ること自体を諦めてしまう」といったことがないように、自分でできる力を伸ばすサポートをする、全国一律の介護保険サービスです。

予防給付による介護予防サービスには、大きく分けて「介護予防サービス」と「地域密着型介護予防サービス」の2種類があります。

介護予防サービス

都道府県が事業者の指定や監督をおこなうサービスで、以下のようなケアが受けられます。

  • 日帰りでの機能訓練や趣味活動などを提供する介護予防通所介護
  • 医療機関などで心身機能の維持回復を図る介護予防通所リハビリ
  • 看護師や理学療法士などが利用者宅を訪問し、健康チェックや在宅でのリハビリをおこなう介護予防訪問看護

地域密着型介護予防サービス

市区町村が事業者の指定や監督をおこなうサービスで、以下のような介護予防サービスが受けられます。

  • 日帰りでの機能訓練や趣味活動などを提供する介護予防通所介護
  • 医療機関などで心身機能の維持回復を図る介護予防通所リハビリ
  • 看護師や理学療法士などが利用者宅を訪問し、健康チェックや在宅でのリハビリをおこなう介護予防訪問看護

介護予防の種類(2)介護予防・日常生活支援総合事業

続いて、介護予防を大きく2つに分けたうち、もう一方の介護予防・日常生活支援総合事業について解説します。

介護予防・日常生活支援総合事業とは

介護予防・日常生活支援総合事業とは、支援が必要と認められた人などに対し、介護保険サービスだけではなく、自治会やボランティアなどが主体となって支援をおこなうもの。介護が必要になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしができるよう、幅広い支援を提供しています。

また、歩ける範囲に「通いの場」を増やす事業もおこなわれており、さまざまな機会をとおして介護予防に触れる環境も整えられつつあります。

各市区町村がサービスの運営基準や利用料、介護サービス事業者などを独自で設定できるので、地域の実情にあわせた支えあいの体制づくりができるのも特徴です。指定された事業者が提供するサービスは「介護予防・生活支援サービス事業」「一般介護予防事業」の2つ。利用者はどのようにサービスを利用すべきかを介護予防ケアマネジメントに相談するなどして、それぞれのサービスを利用していくことになります。

介護予防・生活支援サービス事業

市区町村が主体となった事業で、要支援者(総合事業対象者)の訪問・通所介護サービスを積極的に使うことで要介護になることを未然に防ぐためのサポートをおこなうもの。具体的には、以下のようなサービスが受けられます。

  • 自立した生活をおくることを目標にした、食事や入浴、排泄をはじめとした日常生活の支援をおこなう訪問型サービス
  • 身体機能や生活機能などを回復させることを目的にした、食事や排泄などの日常生活の支援や運動のサポートを提供する通所型サービス
  • ボランティアが主体の訪問見守りや栄養改善のための配食など、地域の実情にあわせて提供する生活支援サービス

一般介護予防事業

市区町村が民間サービスなどと連携しながら、生活機能を改善したり生きがいを作り出したりするために提供するもの。その地域に住むすべての高齢者が対象になり、以下のようなサービスが受けられます。

  • 介護予防に関する知識の普及や啓発
  • 運動機能向上のための講座や教室の実施
  • ボランティアへの支援
  • 歩ける範囲で介護予防が実践できる「通いの場」の整備

施設やサービスの選び方

健康で自立したシニアライフの実現のために、それぞれの自治体が多様な取り組みをおこなっている介護予防。ご自身の心身の状態にあわせて施設やサービスを選ぶポイントをご紹介します。

まずは地域包括支援センターや自治体の窓口に相談してみよう

介護予防のサービスや施設については、各地域の地域包括支援センターが情報を取りまとめています。

地域包括支援センターには保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが常駐していて、高齢者や要支援・要介護者を地域でサポートするための拠点になっています。「どのサービスを受けるべきかがわからない」「要介護認定の受け方がわからない」など幅広く相談にのってもらえるので、65歳をこえたら一度相談に訪れてみるとよいでしょう。

【チェックリスト】心身の状態を確認しよう

基本的には「要支援」の認定を経て介護予防サービスを受けますが、要支援認定がなくても、すべての高齢者が受けられるサービスもあります。認定を受けるかどうかの判断基準のひとつとして採用されているのが「基本チェックリスト」です。

基本チェックリストとは、高齢者が自分の生活や健康状態をふりかえって各機能の状態を全25項目の設問でチェックするツールです。シートの回答をもとに、認定を受けるかどうかが判断されたり、「介護予防・日常生活支援総合事業対象者」の判断基準となったりします。

施設を見学してサービス内容を見極めよう

介護予防サービスを提供する施設は、事業者によってサービス提供の質が異なります。あらかじめ施設を見学して、サービス内容を見極めておきましょう。

「国家資格をもった理学療法士など十分な数のリハビリスタッフが在籍しているか」「利用者の希望に沿って最適なサポートが受けられるか」「自立を支援するようなサービスが提供されているか(逆に、過剰なお世話をするサービスになっていないか)」を利用者自身でチェックできるのが望ましいでしょう。難しい場合は、支援者が利用者の希望を聞きながらいっしょに見学すると安心です。

機能訓練の内容やリハビリ室などの設備、リハビリ時の雰囲気なども大切なチェックポイントです。加えて食事提供が必要な場合、調理環境や栄養価の高い食事のメニュー、介助の質も確認しておきます。さらに、楽しみの要素も大切です。日々のレクリエーションやイベントの充実度や頻度もチェックしておくとよいでしょう。

まとめ

介護予防は、「自立支援介護」の考え方にのっとったもの。何歳になっても生活機能を回復させたり向上させたりすることはできます。一方、何もしなければ生活機能は低下していってしまいます。

利用される方の身体・心にのこされる力を信じ、介護予防サービスをとおして老後の身体や心の変化に向きあってみることで、自立したシニアライフの実現へのヒントが見つかるでしょう。サービスを適切に利用して、健康なうちから備えを始めておきましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス ライフノート編集部 情報は2020年10月27日時点のものです。)

この記事を監修した人
大渕 修一

国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院卒業 理学療法士取得。北里大学医学部大学院にて医学博士号取得。現在、東京都健康長寿医療センター研究所、介護予防研究テーマ・高齢者健康増進事業支援室 研究部長、高齢者健康増進センター専門部長。専門領域は、理学療法学、老年学、リハビリテーション医学。

https://www.tmghig.jp/research/team/shisetsu/koureisha-kenkouzoushin/

アプリをダウンロードして
終活で直面する様々なお悩みを解消しましょう
楽クラライフノート