コラム

「充実したいまを生きること」それが自分らしい終活の形

この記事の内容

少子高齢化や価値観の多様化が進むなか、人生の最期について考え行動する「終活」をおこなう方が増えてきました。

終活と聞くとネガティブな印象をもたれる方も少なくありませんが、その取り組み方や思いは人それぞれ。さまざまな終活の形に触れて、「自分らしい終活」を見つけてみませんか?

今回は、多方面で生き生きと活躍されるAさん(68)に、終活にまつわる体験談といまの思いを伺いました。

「終活」を意識したのはこの機会がはじめて

さっそくですが、現在は何をされているんですか?

数年前に勤めていた会社を退社して、いまは色々なことをやっています。たとえば非営利法人の役員としてさまざまなプロジェクトをまとめたり、個人事業主として大学の非常勤講師や執筆、講演をおこなったり。何が本業かわからないくらいです(笑)。

アクティブですね。「終活」というワードをよく耳にするようになりましたが、何かそうした取り組みはされていますか?

実はこのインタビューの話をもらうまで、「終活」を意識したことは一度もありませんでした。仲間といても「いまをどう楽しんで生きるか」が話の中心で、人生の最期のことが話題にあがるなんて、ほとんどなかったんです。

ただ意識はしていなかったけれど、いわゆる「終活」に当てはまるものとして、たとえばモノや情報の整理などは、生活スタイルや仕事が変わるなかですこしずつ進めてきました。

「終活を意識されたことはなかった」とのことですが、そうしたモノや情報の整理を始められたのはどうしてですか?

自分がやりたいことのために「スペース」を作りたかったんです。
自分の仕事が変わるタイミングで、新しく何かを始めたかった。そのためにまずはスペースをあけようと、モノや情報の整理を始めました。

本棚や書庫を埋めていたたくさんの本のなかから、一度読んだきりになっていたものを捨てたり、用途に応じて複数もっていた銀行口座を整理したり。とくに口座の整理は手続きが多くてなかなか大変でしたね。

そうした整理をご自身で進められていると、ご家族も安心されるかもしれませんね。

なるべく面倒ごとはなくしておいてあげたいなと思っています。やはり自分の思い入れのあるモノなどを置いておくと、突然死んでしまったときにのこされる子どもが可哀想ですしね。父親のモノってなかなか簡単には捨てられないでしょうから。

でも、あくまでそれは結果論で、きっかけは自分のやりたいことでした。何か新しいことをするためには、自分のための自由な時間と空間が必要だったんです。

何より大切なのは、健康とお金、そして仲間

やりたいことや将来のための「お金」はどのように管理されているのでしょうか?

60歳を過ぎて自分の次の人生を考えはじめたころに、資産を整理して将来のシミュレーションをしました。これも死んだときのことを考えてではなく、自分が一番やりたいことをやるのに必要な、資金とリスクについて考えたのがきっかけです。

シミュレーション結果をベースにしながら、普段の生活でも「収入と支出のバランス」「資産と負債のバランス」「お金の動き」の3つを意識しています。

まずは資産を考える前に、自分たちの収入のなかでできる生活をすること。そして大きな買いものなどのために株式や外貨をバランスよく組みあわせてもつこと。生活は収入の範囲のなかで考えていて、運用はあくまで別のものとしているので、運用しているものがゼロになってしまったとしてもいいんです。

そうして、自分のやりたいことができて、子どもや周りの人に迷惑をかけない分だけお金を用意しておけば、それで十分かなと思っています。

モノや情報、そしてお金の整理のほかに、何か取り組んでいることはありますか?

若いころと比べると、やはり体調のリカバリーに時間がかかるんです。だから元気にやりたいことをするために、健康の面でいくつか取り組んでいることはあります。

ウォーキングをしたり泳ぎに行ったり、体重コントロールをしたり、睡眠時間を確保するようにしたり……そのほか定期的に検診を受けることや、かかりつけ医を決めて適宜相談することも意識して続けています。

やりたいことがいっぱいあっても、健康でないと何も始まらないですからね。

ご自身のやりたいことに対して、とても前向きでパワフルだなと感じます。エネルギーの源は何なのでしょうか?

何より大切なのは、健康と資金と仲間。この3つが欠かせません。

たとえば大切な仲間とも、オンラインで1対1で飲んだってそれほど面白くなくて、やはり「集まって飲もうよ」と言いたくなりますし、ゴルフや麻雀だって3人、4人いてはじめて楽しめるなと思うんです。そして、それを実現するためには身体が元気でないといけないし、ケチケチ飲んでもしょうがないなと思うと、やはりお金もある程度は必要ですよね。

この3つが担保されていたら、それなりのことができて楽しめます。そうしていろいろな機会に参加して、仕事でも遊びでも「面白いな」と続けているうちに、また仲間が増えて楽しくなる。そういう単純なことだと思いますよ。

ふりかえってみれば、「終活」につながっていた

この先、やりたいことはありますか?

何でしょう、これまで随分いろいろなことをやってきたので……でもこれからも、行ったことのないところに行ったり、読んだことのない本を読んだり、好奇心が湧いてワクワクすることに時間を使っていきたいなとは思います。

いま仕事で関わっているプロジェクトも、楽しみながらやれています。若い人が一生懸命やっていることを支援していると、自分までワクワクしてくるんですよね。

無償でやっているものも結構あるんですよ。お金じゃないんです、それで得られるエネルギーのほうが大きいですから。

老後に対する不安はありますか?

昔は不安でした。でもいまは解消されています。不安を抱えたまま生活していても楽しくないと思って、いろいろ対策したんです。

たとえば、急に病気になったときのために手を打っていれば、「なってしまったら、それはそれでいいじゃん」と言えるんじゃないかなと思っていて。そうやって、自分のできる範囲で備えてきたからこそ、抱えるものや考えることがあったとしても気に病んでしまうということはありません。

それに、アクティブにいろいろなことに挑戦している仲間は、愚痴をこぼす人も少ないんです。仕事を辞めてやることがない、新しく何もできていないという人は不安や不満をいろいろ言うけれど、そうでない人はみんな、結構楽しそうにやってますよ。

やりたいことのために「前向き」に備えてきたことが、いまの前向きさにつながっているように感じました。

やっぱり50代後半ぐらいは、一番しんどい時期じゃないかと思うんです。
一生懸命働いてきて、心も身体も疲れが溜まっているし、仲間が順番にリタイアしていくから新しい仲間はなかなかできないし。お金についても、子どもが大学に行ったりするタイミングで、「大丈夫なはず」と思っても、何が起きるかわからないですよね。

そういうときに身のまわりを整理してスペースを作って、新しいことに挑戦して、新しい仲間ができて……と過ごしていたら、自然に気持ちがすっきりしていました。整理を進めたあの時間も、ふりかえってみると人生のなかで必要なフェーズだったのかもしれません。

肩肘はらず充実したいまを生きることが、いつの間にか自分や家族のための終活につながる。自然で無理のない、理想の形かもしれませんね。

わたしにとって終活は「ちゃんとやる」ものではありません。しっかりしたいのは健康とお金と仲間を大切にすることだけ。それはずっと変わらないと思います。

それぞれの人に充実した生き方とかこの先の楽しみがあって、その実現を目指すなかで生まれた課題に対峙していきますよね。そうしたサイクルの繰り返しのどこかが、終活につながっていた。それでいいんじゃないかなと思うんです。

終わってみたら「この人終活ちゃんとやっていたんだね」って。きっとそれがわたしらしい「終活」です。

終活は、だれかのためではなく自分の“ワクワク”のため

人生を閉じていくのではなく、アクティブに切り開いていくAさんの周りには、おなじように生き生きと人生を楽しむ仲間が自然と集まっています。

自分のやりたいことやワクワクできることのために、前向きに備えを進めているAさん。
「ふりかえってみたら、これが終活といえるのかもしれない」と、自然体で無理のない終活の形を教えてくださいました。将来への不安にとらわれることなく楽しめるのは、これまでの備えがあったから。みなさんも、自分の楽しい将来のために備えを始めてみませんか?

終活アプリ『楽クラライフノート』があれば、財産の整理もお金の動きのシミュレーションも簡単にできます。ぜひ活用してみてください。

[Aさんが「終活と家族」を語る記事はこちら]


(執筆編集:NTTファイナンス ライフノート編集部 情報は2020年10月27日時点のものです。)

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