基礎知識

生前整理の進め方|やること・注意点から業者の選び方までご説明

この記事の内容

人生の最期に備えて、元気なうちに財産や身のまわりのモノを整理する「生前整理」。「終活」という言葉が広まるとともに、生前整理をおこなう人が増えています。とはいえ、具体的にやるべきことや進め方について、悩む人が多いのもたしかです。

こちらの記事では、生前整理のやり方や注意点から生前整理業者を選ぶポイントまでくわしくご紹介します。

生前整理とは

充実したシニアライフや自分らしい最期を実現するためには、大きく分けて「モノ」「心」「情報」の3つの整理が必要だと言われています。自分の手で財産を整理し、いらないものを処分する「モノの整理」だけでなく、これまでの人生をふりかえる「心の整理」、相続やお葬式・お墓の契約などについて考え、老後の過ごし方や死後のことを家族と話しあう「情報の整理」です。

生前整理の3つのメリット

元気なうちに自分の手で身のまわりの整理をおこなう生前整理。取り組むメリットを大きく3つご紹介します。

1.  家族の負担を減らせる

のこされた家族にとって、もっとも大きな負担となるのは「遺品整理」だと言われています。財産に何も手が付けられていない状態だと、膨大な量の遺品を家族が処分しなければならないため、たくさんの時間やお金、労力がかかってしまいます。また、財産の分け方について本人の意思がのこされていない場合、相続争いに発展してしまう可能性もあります。

家族の負担を軽くするためにも、早めに整理を始めておきましょう。

2.  死後に希望を叶えられる

財産をだれに引継ぎたいかや、どのようなお葬式にしたいかなど、自分の思いを整理して大切な人に伝えておくことで、希望を叶えられるメリットがあります。

財産の分け方など、「お願い」ではなく「絶対にこうしたい」といった内容は「遺言書」にのこしておきましょう。遺言書は民法によって書き方が決められていて法的な効力があるので、正しく作れば自分の意思を確実に反映することができます。

そのほか、家族に叶えてもらうようお願いしたい内容は、「エンディングノート」や終活アプリに希望をのこしておきましょう。エンディングノートは人生の記録です。亡くなった後に連絡してほしい友人の連絡先や、お葬式の方法、お墓をどこに立てたいかなどをまとめておくとよいでしょう。

3.  モノも心も整理できる

生前整理はのこされた家族にとって大きな助けとなりますが、人生をふりかえって前向きな一歩をふみ出す、自分自身の心の整理にもなります。生前整理によって不要なものを処分しておけば、心が軽くなりますよね。

また、家族と老後について対話をしておくことも生前整理のひとつといえます。たとえば、介護が必要になったときにどうしたいか、お墓をどのように管理してほしいか、などの不安を家族と共有しておくことで、心の負担がやわらぎます。

死後のことを話す気まずさから先延ばしにしてしまいがちですが、決して後ろ向きな話題ではありません。生前整理のタイミングで家族と向きあい、今後の人生について考えるきっかけにしたいですね。

生前整理の流れ〜5ステップでやるべきこと〜

生前整理を進めるうえでやるべきことと、その流れを5ステップにまとめました。

1.  財産目録を作る

まず相続の対象になりうる不動産や資産をまとめて、「財産目録」を作ります。

財産目録は遺言書の一部です。相続をおこなうためには「相続人」と「遺産」の確定が必要であり、財産目録はこの遺産の確定をスムーズにおこなう助けになります。

以下のような資産を一覧にして把握しておきましょう。

  • 現金や預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 貴金属
  • 骨董品


またプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産についても明記しておく必要があります。

[何が資産にあたるのか、くわしく知りたい方はこちら]

これまで財産目録は自筆で作る必要がありましたが、法改正により2019年1月13日よりパソコンなどで作成することが認められるようになりました。 ただし、その場合は各ページに署名押印が必要なため注意が必要です。くわしくは法務省のホームページをご確認ください。

2.  モノを整理する

財産目録を作ったら、すべての財産を「必要なもの」「不要なもの」「のこしておきたい思い出のもの」に仕分けします。

思い出のものはすべてのこしておきたくなりますが、家族にとって必要性がわからず負担になることも。生活スペースや使う頻度を考えながら、思い出の写真をデータ化するなど、なるべく場所をとらないように整理していきましょう。

3.  不要なものを処分する

モノの整理が終わったら、不要なものを処分します。小さなものは、自治体の決まりに沿って家庭ごみとして処分。まだ使用できるきれいなものは、リサイクルしたり家族や知人にゆずったりしましょう。

大きくて処分できないものがあったり、ものの量が多すぎたりする場合、処分業者に頼むのもひとつの手です。リユースが可能なものがあれば、処分費用が安く済むこともあるので、まずは見積もりをとって、自分にあった方法を見つけましょう。

4.  遺言書にのこす

不要なものを処分したら、財産目録をもとに財産の相続方法を遺言書にのこします。

遺言書には法律で決められた形式があり、この形式に沿っていないと法的に無効となってしまうため、弁護士や司法書士に相談しながら作ることをおすすめします。

また遺言書には主に、以下の3種類があります。

  • すべて自筆で記入する自筆証書遺言
  • 公証役場で公証人と作る公正証書遺言
  • 公証役場で遺言書を作った記録をのこす秘密証書遺言

自分にあった方法で遺言書を作りましょう。

[遺言書の書き方や注意点について、くわしく知りたい方はこちら]

5.  デジタル終活も忘れずに

近年では、スマートフォンやノートパソコンなどに入ったデジタル情報が、トラブルに発展するケースが増えています。たとえば、定期契約している有料のサービスなどを家族が知らず、継続的に費用を請求されてしまったり、大切なデータが知らないうちに流出してしまったり……。

こうしたトラブルを防ぐため、デジタル機器やインターネット上にのこした情報を整理する「デジタル終活」も忘れずにおこないましょう。使わないサービスを解約したり、いらないデータは削除したり。また写真などの大切なデータは家族に保管場所を共有したりと、事前に家族とも相談しておくことが大切です。

ただしセキュリティの観点から、パスワードなどの大切な情報はリスト化しないようにしてください。家族に伝える必要があるときは、パスワードではなくヒントだけを伝える方法などがおすすめですよ。

生前整理をおこなう際の3つの注意点

生前整理をおこなううえで注意しておきたい3つのポイントをご紹介します。

1.  貴重品の保管方法に気をつけよう

銀行口座や証券類、不動産の登記簿など、重要な書類や印鑑は、バラバラに保管してしまうと家族が見つけ出せず、トラブルの原因に。しかし、1か所にまとめるとセキュリティの面でのリスクは高まります。

それぞれをわかりやすく安全な場所に保管し、どこに何があるかを家族にも共有しておくなど、適切な方法で管理できるとよいでしょう。

2.  体力のあるうちに始めよう

年齢に関わらず、だれにも「そのとき」は突然やってきます。

生前整理を始めるタイミングは人それぞれですが、体力が必要な作業は身体が元気なうちに始めることをおすすめします。退職して時間と心に余裕が生まれたら、すこしづつ整理を始めていきましょう。

3.  1回ですべて済ませようとせずゆっくり進めよう

膨大な量のモノや情報を整理しなければならない生前整理は、心や身体の負担になりやすいもの。「一気にすべてやってしまおう」と思うのではなく、心に余裕をもってゆっくり進めていきましょう。部屋ごとに区切ってだいたいのスケジュールを組んでから、計画的に進めていくのがおすすめです。

生前整理は業者に依頼することもできる

ここまで生前整理の流れを説明してきましたが、整理をひとりでおこなうには、多くの労力と時間が必要になります。そこでおすすめしたいのが、生前整理をサポートしてくれる専門業者に依頼する方法です。

生前整理業者とは

生前整理業者とは、生前整理の一部の工程を代行してくれる業者のこと。整理業者は全国に6,000〜1万社以上あると言われています。業者によってサービス内容や料金に差があるので、いくつかの業者を比べて安心して任せられる業者を見つけましょう。

生前整理業者のサービス内容

生前整理業者が主におこなっているサービスは以下のとおりです。

  • 身のまわりの日用品や家財の整理整頓
  • 不用品の処分
  • デジタル整理
  • 財産目録の作成
  • 遺言書の作成


すべてを任せることも、とくに負担に感じている特定の作業だけをお願いすることもできます。要望をはっきり伝え、あらかじめ業者と認識を共有しておきましょう。

生前整理業者の費用

業者によって費用はさまさまですが、多くの場合、部屋の広さに応じて金額が示されています。一般的な費用は以下のとおりです。

間取り

費用

1K

4万~8万円

1LDK

8万~16万円

2LDK

15万~25万円

3LDK

20万~35万円


相場を把握したうえで、複数の業者から見積もりをとってコストをおさえるのがおすすめです。

生前整理業者を選ぶポイント

生前整理をサポートしてくれる業者は慎重に選びましょう。業者を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 生前整理アドバイザーなどの資格があるか
  • リサイクルやリユースの資格があるか
  • 過去の実績は十分にあるか
  • 訪問見積もりをおこなっているか


費用だけでなく業者のスキルやサポート内容をくわしく確認し、比較することが大切です。

まとめ

生前整理をおこなうと家族の負担が軽くなるのはもちろん、シニアライフへの不安がやわらいだり、死後に自分の希望を叶えられたりと、多くのメリットがあります。

まずは、いらなくなったモノの整理など簡単なところから始めて、ゆっくり無理なく進めていきましょう。きっとこれからの人生を前向きに生きるきっかけになるはずです。


(執筆編集:NTTファイナンス ライフノート編集部 情報は2020年10月27日時点のものです。)

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