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墓じまいのやり方とは?|準備する物や費用、注意点までくわしく解説!

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この記事の内容

この記事を監修した人
㈱はせがわ 赤坂浄苑 赤坂営業所 所長 大石光一

お仏壇のはせがわ銀座本店長をはじめ、都内の主要店舗の責任者としてお仏壇やお墓の販売に従事、その経験を活かし現在は赤坂営業所の所長として屋内墓苑の販売を行っている。近年、墓じまいに伴うお墓のお引越し(改葬)に関するご相談が急増しており、オンラインセミナーや百貨店サロン等での外部セミナーを積極的に開催し、多くの方のお悩み解決に努めています。

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この記事をおすすめする人

これからご先祖様の墓じまいをおこなう方


この記事のポイント

  • 墓じまいをする前に、埋葬されていた遺骨の改葬方法や墓石解体業者の検討をおこなう
  • 墓じまいをする際は改葬許可申請書への記載や、管理者や改葬先との手続きをおこなう必要がある
  • 墓じまいには総額で150万円〜300万円程度の費用が必要


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人々のライフスタイルの変化にあわせて、お墓との付き合い方も変化しています。

お墓を撤去してさら地に戻す「墓じまい」をおこなう場合、納骨していたお骨をどうするか決める必要があります。墓じまいをする場合は、行政手続きやその前後におこなうべきことがたくさんあります。

こちらの記事では、墓じまいを決意したら準備すべきことから実際の手続きとそのあとの流れを解説。さらに墓じまいにかかる費用や注意点までくわしくご紹介します。

墓じまいとは

墓じまいとは、お墓を撤去して墓所の使用権を返すこと。

就職や結婚を機にふるさとを離れてお墓と住まいが離れてしまったり、高齢になってお墓参りが難しくなったり、また単独世帯や夫婦のみの世帯でお墓を引き継ぐ人がいなかったり……。

家族のあり方やライフスタイルなどの変化によって、お墓を維持しつづけることが難しい場合に、墓じまいを検討する人が増えています。

なぜ墓じまいをする人が増えているの?墓じまいの件数は増加傾向

統計からも墓じまいをする人が増えている状況が読み取れます。厚生労働省がまとめている「衛生行政報告例」によると、2011年の改葬の数は7万6662件だったのに対し、2021年は11万8975件と4万件ほど増えています。改葬を実施する人が増加し、墓じまいという言葉が一般的となりつつあるのに加え、少子高齢化や核家族化などで墓じまいの必要性を感じる人が一定数いるといえそうです。

墓じまいをした後の遺骨はどうなる?

墓じまいは、墓を撤去しそのスペースを霊園などに返還するため、遺骨をそのままにしておくわけにはいきません。また、宗教面での理由や親族の感情への配慮から、閉眼供養をおこなってから遺骨を取り出すようにしましょう。閉眼供養については、後ほどくわしく説明します。

遺骨を移動させる先として、以下が挙げられます。

  • 新しいお墓や納骨堂に遺骨を納める

  • 散骨する

  • 自宅に保管する


このうち、注意が必要なのが散骨です。人の骨である以上、散骨を快く思わない人もいますし、条例などで散骨が禁止されている区域もあります。ゆえにマナーやルールに最大限の配慮をする必要があるということです。散骨という方法を採る場合は、葬儀社や専門の業者と相談したほうが安心して進められます。

墓じまいと改葬のちがい

墓じまいとはあくまでもお墓の役割を終わらせること、改葬は新しいお墓へ遺骨を葬り直すことを指します。よって、新しいお墓へ移すために、お墓を解体・撤去する墓じまいは改葬のプロセスの一つと見ることもできます。


墓じまいの費用相場は?補助金や安くおさえる方法もくわしく解説|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

お墓を撤去してさら地に戻す「墓じまい」をおこなう場合、納骨していたお骨をどうするか決める必要があります。改葬(ほかの墓所に移す)する場合は、行政手続きやその前後におこなうべきことがたくさんあります。  こちらの記事では、墓じまいを決意したら準備すべきことから実際の手続きとそのあとの流れを解説。さらに墓じまいにかかる費用や注意点までくわしくご紹介します。

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墓じまいをする前に準備すること

お墓は故人の魂が眠る場所であり、家族みんなの心のよりどころでもあるため、墓じまいをおこなう前に準備すべきことがあります。

墓じまいをおこなう前に5つほど準備することがあります。それぞれの項目で準備することは、この後詳しく解説します。

  1. 墓じまい後の供養方法や改葬先の検討

  2. 名義人や親族との相談

  3. 現在の管理者やお寺への相談

  4. 墓石解体業者の検討

  5. 遺骨の確認


1. 改葬許可申請書(埋葬証明書)を入手する

いまのお墓がある地域の市区町村役所(場)の窓口、もしくはホームページから改葬許可申請書(埋葬証明書)を取得し、必要事項の記入と捺印をします。書類の様式は各自治体によって異なりますが、主に記載をするのは以下の内容です。

  • 死亡者の本籍、住所

  • 死亡者の氏名、性別

  • 死亡年月日

  • 改葬の理由

  • 改葬先


死亡者の情報が不明な場合は、記入欄に不明と記載してもかまいません。また複数のお骨が骨壺に入っておらず、死亡者を特定できない場合は、先祖代々で申請することもできます。

基本的には改葬先の墓所を記載する必要があるため、新しい墓所の契約を済ませてから申請をおこなうようにしましょう。

2. 現在の管理者の署名捺印をもらう

いまのお墓の管理者から改葬許可申請書の埋蔵証明欄に署名・捺印をしてもらいます。

3. 改葬先から永代使用許可証の発行を受ける

新しい墓地の使用権を取得し、永代使用許可証を発行してもらいます。

【遺骨を自宅保管や散骨したいときは】

遺骨を移動する先がほかのお墓や納骨堂ではない場合、法律(墓埋法 第2条、第5条)では「許可が必要ない」と解釈することもできます。

ただし墓所のある市区町村によっては、自宅保管や散骨の場合でも改葬許可申請を必要とすることがあるため、まずは一度市区町村役所(場)の窓口で問いあわせてみることをおすすめします。

4. 身分証明書の写しとあわせて市区町村役所(場)へ提出する

改葬許可申請書(埋葬証明書)、永代使用許可証がそろったら、申請者の身分証明書の写しとあわせて、いまのお墓がある市区町村役所(場)に提出します。

【お墓が遠方にあるときは】

いま住んでいるところとお墓がある場所が離れていて、市区町村役所(場)を訪れることが難しい場合は、郵送での申請でも可能な場合が多いため、事前に問い合わせてみてください。

5. 改葬許可証の発行を受ける

4のステップで必要書類を不備なく提出すると、改葬許可証を発行してもらうことができます。許可証の発行には時間がかかることもあるため、なるべく早めに書類の準備を進めるようにしましょう。

【土葬のお墓を改葬したいときは】

土葬されていた遺骨を移動させる場合、新たに火葬が必要になる場合があります。火葬には火葬許可が必要なため、改葬許可を申請するときに火葬を希望する旨をあわせて伝え、費用を支払います。


墓じまいの手続き〜5ステップでやること〜

親族や管理者と相談し、実際に墓じまいをして遺骨をほかの墓所に移すことを決めたら、さまざまな行政手続きをおこなう必要があります。

改葬を行うためには以下の5つのステップで手続きを進めます。5つのステップで用意するものや記載する内容は、各項目で詳しく解説します。

  1. 改葬許可申請書(埋葬証明書)を入手する
  2. 現在の管理者の署名捺印をもらう
  3. 改葬先から永代使用許可証の発行を受ける
  4. 身分証明書の写しとあわせて市区町村役所(場)へ提出する
  5. 改葬許可証の発行を受ける

1. 改葬許可申請書(埋葬証明書)を入手する

いまのお墓がある地域の市区町村役所(場)の窓口、もしくはホームページから改葬許可申請書(埋葬証明書)を取得し、必要事項の記入と捺印をします。書類の様式は各自治体によって異なりますが、主に記載をするのは以下の内容です。

  • 死亡者の本籍、住所

  • 死亡者の氏名、性別

  • 死亡年月日

  • 改葬の理由

  • 改葬先


死亡者の情報が不明な場合は、記入欄に不明と記載してもかまいません。また複数のお骨が骨壺に入っておらず、死亡者を特定できない場合は、先祖代々で申請することもできます。

基本的には改葬先の墓所を記載する必要があるため、新しい墓所の契約を済ませてから申請をおこなうようにしましょう。

2. 現在の管理者の署名捺印をもらう

いまのお墓の管理者から改葬許可申請書の埋蔵証明欄に署名・捺印をしてもらいます。

3. 改葬先から永代使用許可証の発行を受ける

新しい墓地の使用権を取得し、永代使用許可証を発行してもらいます。

【現在の管理者がわからないときは】

共同墓地の場合、親族などに確認しても現在のお墓の管理者がわからないときは、市区町村役所(場)に問い合わせてみましょう。市区町村役所(場)で管理している墓地台帳に、管理者が記載されている場合があります。

4. 身分証明書の写しとあわせて市区町村役所(場)へ提出する

改葬許可申請書(埋葬証明書)、永代使用許可証がそろったら、申請者の身分証明書の写しとあわせて、いまのお墓がある市区町村役所(場)に提出します。

【お墓が遠方にあるときは】

いま住んでいるところとお墓がある場所が離れていて、市区町村役所(場)を訪れることが難しい場合は、郵送での申請でも可能な場合が多いため、事前に問い合わせてみてください。

5. 改葬許可証の発行を受ける

4のステップで必要書類を不備なく提出すると、改葬許可証を発行してもらうことができます。許可証の発行には時間がかかることもあるため、なるべく早めに書類の準備を進めるようにしましょう。

【土葬のお墓を改葬したいときは】

土葬されていた遺骨を移動させる場合、新たに火葬が必要になる場合があります。火葬には火葬許可が必要なため、改葬許可を申請するときに火葬を希望する旨をあわせて伝え、費用を支払います。


墓じまい当日の服装・もちもの

墓じまいの際には、服装に配慮し、またお墓参りや法事のときと同様にお供えもの、お布施を用意する必要があります。それぞれ見ていきましょう。

お坊さんを呼ぶ場合は喪服を着用する

本来の閉眼供養の作法に則った墓じまいをする場合は、喪服を着用しましょう。ケース別の服装について、以下のとおりとなります。

  • お坊さんを呼び閉眼供養する → 喪服を着用

  • お墓の工事だけをおこなう → 略式礼装(普段着ではなく、黒のスーツやワンピースなど)


また、墓じまいは親族の多くが立ち会っておこなうこともありますから、親族間で事前に決めておくのもよいといえます。

当日のもちもの

基本的には、お墓参りをするときと同様に掃除道具やお供えものを持参します。具体的には以下のとおりです。

  • 掃除道具

  • ロウソク

  • 線香

  • マッチやライターと火種となる新聞紙など

  • くだものやお菓子などのお供えもの

  • お布施


仏具に関してはお坊さんがもってくることが多いと思いますが、自身の数珠などは持参しておくとよいでしょう。心配な場合は、お坊さんや石材店に何が必要か事前に聞いておくとよいといえます。

お布施はお坊さんが帰る際に渡す

お布施をもっていくことを説明しましたが、これは閉眼供養のお礼としてお坊さんに渡すものです。渡すタイミングはお坊さんが帰るときがよいでしょう。お布施の相場は3万円〜10万円といわれます。

墓じまいの手続き後の流れ

行政手続きをおこなって、無事改葬許可証の発行を受けることができたら、3つのやるべきことがあります。

手続き後は、以下の3つのことを次のような順番で進めます。各項目の詳しい内容については、この後詳しく解説します。

  1. 閉眼法要をおこなう

  2. 解体工事をおこなう

  3. 改葬先に納骨する

1.閉眼法要をおこなう

墓石には故人やご先祖さまの魂が宿っているため、そのまま動かしたりせずに「閉眼供養」という法要をおこなうのが一般的です。仏様の魂を抜いて墓石をただの「石」にするために、お寺の方にお経を唱えてもらいます。

お線香やローソク、お供えものをはじめ、いくつかの準備物が必要な場合もあるため、依頼する際にお寺の方に何を用意すべきか確認しておくと安心です。

2.解体工事をおこなう

石材店などに墓石の解体、撤去と墓所の整備をおこなってもらい、更地にして墓所に返します。取り出した遺骨は自宅でご安置するか、もしくは石材店に改葬先へ送ってもらい、ご安置していただくことになります。

3.改葬先に納骨する

遺骨を改葬先の新しいお墓に納めたら、改葬は完了です。その際に閉眼供養とは反対に、仏様の魂を宿してもらう「開眼供養」をおこなう場合もあります。

墓じまいの手続きに関連する費用の相場

墓じまいの費用は、総額で30万円〜300万円程度かかります。以下、改葬手続き、離檀料、改葬先で発生する費用などがありますが、ケースによってかかる費用は大きく変わります。また、費用がかさんでしまいそうな場合は、まずは改葬のサポートをおこなっている石材店や仏壇仏具店に相談するようにしてください。

くわしくは、以下の記事でも説明しています。


墓じまいの費用相場は?補助金や安くおさえる方法もくわしく解説|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

お墓を撤去してさら地に戻す「墓じまい」をおこなう場合、納骨していたお骨をどうするか決める必要があります。改葬(ほかの墓所に移す)する場合は、行政手続きやその前後におこなうべきことがたくさんあります。 こちらの記事では、墓じまいを決意したら準備すべきことから実際の手続きとそのあとの流れを解説。さらに墓じまいにかかる費用や注意点までくわしくご紹介します。

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墓じまいの手続きをおこなううえでの注意点

6つのステップでおこなう改葬の手続き。そのなかで注意すべき2つの点をおさえておきましょう。

1.手続きは閉眼法要までに済ませよう

公に改葬が認められたことを示す改葬許可証がなければ、閉眼供養をおこなって墓石を解体し改葬を進めることができません。

住職に依頼して閉眼供養と骨出しをおこなう日取りを決めたら、その日までに改葬の手続きを終えるようにしましょう。

2.お寺とのトラブルを避けるために

改葬をするにあたってとくにトラブルになりやすいのが、お寺にあるお墓を墓じまいして檀家をやめること。日本経済新聞の記事によると、100万円をこえる高額の請求をするお寺もあるそうです。
(参照:日本経済新聞『墓を引越し身近で守る 「改葬」の費用と手続き』2013年)

離檀料の支払いは法律で定められたものではなく、あくまでこれまでお世話になったことの感謝を伝えるための「お気持ち」です。トラブルになって、莫大な費用を払ってしまった……ということにならないよう、改葬を検討しはじめたら早い段階で相談しておきましょう。改葬の理由なども説明して、丁寧に話を進めることを意識してみてください。

まとめ

墓じまいや改葬は、手続きが複雑で労力がかかるイメージがあるかもしれませんが、きちんと整理して手順通りに進めれば簡単におこなうことができます。お墓を「厄介もの」にしないための一つの大切な決断ですから、検討しはじめたら早めに専門家へ相談してみましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)


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