コラム

墓じまいの費用相場は?補助金や安くおさえる方法もくわしく解説

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引っ越し等でお墓の管理が難しくなる方


この記事のポイント

  • 墓じまいとは、お墓を戻して更地に戻すこと
  • 墓じまい後の遺骨は、永代供養や散骨などで供養する
  • 墓じまいをする前に、自分より上の世代や下の世代とよく相談することが大切


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人々のライフスタイルの変化にあわせて、お墓との付き合い方も変化しています。故郷を離れる人、実家から離れて単身や核家族で暮らす人の存在は一般的になりました。

こうなると難しいのがお墓の管理。お墓を撤去してさら地に戻す「墓じまい」をおこなう場合、納骨していたお骨をどうするか決める必要があります。改葬(ほかの墓所に移す)する場合は、行政手続きやその前後におこなうべきことがたくさんあります。

こちらの記事では、墓じまいを決意したら準備すべきことから実際の手続きとそのあとの流れを解説。さらに墓じまいにかかる費用や注意点までくわしくご紹介します。

墓じまいとは

墓じまいとは、お墓を撤去して墓所の使用権を返すこと。

家族のあり方やライフスタイルなどの変化によって、お墓を維持しつづけることが難しい場合に、墓じまいを検討する人が増えています。

ただ、墓じまいと似た言葉に「改葬」があります。この2つのちがいは何なのか、見てみましょう。

墓じまいと改葬のちがい

両者のちがいは、以下のようになります。

  • 墓じまい…お墓を解体したり撤去し、敷地を管理者に返還すること

  • 改葬…新しいお墓へ遺骨を移すこと


人によっては、墓じまいをもともとあったお墓を終わらせて別の場所にお墓を移すこと、とイメージされるかもしれません。しかし、厳密には解体・撤去をし、敷地を返還することで、お墓の役目を終わらせることのみが墓じまいとなります。そのうえで改葬する場合、墓じまいはプロセスの一つです。

墓じまいにかかる費用

ここからは、墓じまいでかかる費用の相場をご紹介します。費用相場やお寺とのやりとりの仕方について知っておくことで、トラブルと必要以上のお金を支払ってしまうことを避けられます。

墓じまいの費用は、総額で30万円〜300万円程度かかります。以下、手続き、離檀料、改葬先で発生する費用など、項目ごとにかかるお金を解説しますが、地域やお墓を移す先によってかかる費用は大きく変わります。また、費用がかさんでしまいそうな場合は、まずは墓じまいのサポートをおこなっている石材店や仏壇仏具店に相談するようにしてください。

墓じまいにかかる費用の内訳

書類の入手にかかる費用2200円〜3500円
離檀料5万円〜20万円
閉眼法要の際のお布施3万円〜10万円
墓石の解体費用20万円〜50万円
改葬先(新しいお墓)で発生する費用250万円程度

繰り返しになりますが、墓じまいの費用相場の総額は30万円〜300万円で、地域やお墓の形態などによって大きく変わります。内訳を見ると、行政上の手続きでは数百〜数千円程度で済むものの、お布施で1回の法要や読経につき数万円、お墓の解体になると最低数十万円はかかってきます。くわしく見ていきましょう。

書類の入手にかかる費用

改葬許可証を取得するにあたり、改葬許可申請に200円〜500円の証紙が必要な場合や、受入証明書(改葬先)が必要な場合は発行に2000円〜3000円の事務手数料が発生します。いまのお墓がある自治体や、書類の発行元となる墓地などによって費用はさまざまなので、事前に確認しておくとよいでしょう。

改葬許可申請書は、複数人の遺骨が納められている場合は人数分必要になるので、注意してください。自治体によっては、1枚の改葬許可申請書に、埋蔵証明を連名で記入できる書式が用意されているため、事前に確認してみましょう。

離檀料

お寺にお墓があって檀家に入っている場合、檀家をやめて改葬することに合意してもらう際に「離檀料」をお支払いする風習があります。相場は、5万円〜20万円ほどといわれています。

離檀料は、宗教的、制度的に必ずしも支払いの義務があるわけではなく、お寺によっては支払いを断られる場合もあるようです。しかし、近年、墓じまいの際に檀家と寺院墓地のあいだでトラブルが発生するケースも少なくありません。これは、お寺からすると永年供養してきたのに、突然、墓じまいを申し出ることによって縁を切られるような印象を与えてしまうことも原因の一つと考えられます。

よって、いままでお世話になったことへの感謝を伝えるため、離檀料を納めることを申し出たほうが無難といえそうです。

閉眼法要の際のお布施

墓石を解体する前に、お墓に宿る仏様の魂を抜く「閉眼供養」。お寺の方にお経を唱えていただく際にお布施が必要になります。もちろんお寺によって費用はさまざまですが、金額は3万円〜10万円程度が相場で、お墓まで移動してもらう場合はお車代もあわせてお渡しする場合があります。

どのくらい用意するか悩んだら、お寺の方に聞いてみたり、「お気持ち程度で」などの答えがあった場合はほかの方が用意されている額を聞いてみたりするのも、一つの手です。

墓石の解体費用

墓石を撤去し、墓石のあった場所を整備して返却するための整備費用にあたります。相場は1㎡あたり10万円〜15万円程度となっており、お墓の大きさや立地によって価格は変動します。通常のお墓であれば20万円〜50万円になることが多いようです。遺骨を自分で取り出さずに石材店に依頼する場合は、ひとり当たり5万円程度の費用が追加で必要になります。

改葬先で発生する費用

新しいお墓の永代使用料と新しい墓石を購入する費用としては、平均して合計250万円程度がかかります。しかし地域によって永代使用料が変動するため、いくつかお見積もりをとると良いでしょう。さらに新しいお墓に遺骨を納めるときに、納骨費用として一回あたり3万円〜10万円程度、開眼供養法要のお布施として約3万円〜5万円程度が必要に。

もともと使用していた墓石を改葬先に移送したりする場合は運搬費もかかるため、依頼する石材店などに要望をしっかり伝えて見積もりをお願いしましょう。(改葬先の墓所によっては、前の墓所で使用していた墓石の受け入れをおこなっていない場合もあります)

改葬先のお墓によって費用が大きく異なる

墓じまいから改葬へいたるプロセスのなかで、とくに大きな金額がかかる可能性があるのが、新しいお墓を建てる場合の費用です。

一般的な墓地にあるタイプのお墓を新たに建てるとなれば、数百万円かかります。一方で、共同墓地や納骨堂などであれば数十万円程度で済むことも考えられます。よって、墓じまいで考えている予算はもちろんのこと、ご自身のライフスタイルや供養に対する考え方をもとに、新しいお墓選びをするとよいでしょう。

墓じまいにかかる費用を安くするには

墓じまいには数百万円かかるケースもあると聞けば、「このままのお墓でいいか」と考える方もいるかもしれません。しかし、それは早計で、費用を安くする、負担を軽くする方法はあります。

墓じまいを依頼する業者の相見積もりをする

読者のなかには、引っ越しや家の修繕などの際、複数の業者から見積もりをとる「相見積もり」をする方もいるのではないでしょうか。相見積もりは墓じまいの際にも有効で、石材店など依頼する業者を複数検討し、出た見積もりを比較するとよいでしょう。

もっとも、単に安い業者を選べばよいというわけではなく、極端に安い業者を選ぶと後から追加費用を請求される可能性も否めません。ウェブサイトやパンフレットからわかる各業者の実績や、担当者の対応などを見ることも大切です。

補助金を利用する

近年、遺族の所在がわからないときのお墓を撤去するのにかかる手間・コストの削減や墓地の敷地が不足しているといった背景から、墓じまいに補助金を出す自治体が存在します。これを活用すれば、費用の圧縮につながるでしょう。くわしくはこの後、解説します。

墓じまいに使える補助金

それでは、墓じまいに関する補助金について触れていきましょう。補助金の有無は自治体によって異なりますし、金額や手続きもやはり自治体ごとに異なります。ここではあくまでも事例や手続き上で必要になると考えられることとしてご覧いただき、より正確な手続きについては自治体の窓口に確認してくださいね。

自治体によっては墓じまいの費用を補助してくれる

墓じまいの補助金制度を設けている自治体はまだ数が限られますが、その一例として千葉県市川市と群馬県太田市の補助金を紹介します。いずれも、特定の霊園でお墓のスペースを返還する際に受け取れる補助金です。

自治体対象となる墓地・霊園補助金の上限
千葉県市川市市川市霊園原状回復費用の助成として最大44万円。そのほか、墓地使用料の一部を返還
群馬県太田市八王子山公園墓地20万円

参考:市川市霊園一般墓地返還促進事業 | 市川市公式Webサイト

八王子山公園墓地 |太田市ホームページ(花と緑の課)


墓じまいを検討される方は、ご自身が住む自治体にも同様の補助金があるか、ご確認ください。

公営墓地内のお墓が対象の場合が多い

以上の事例をご覧のように、墓じまいで補助金が出るのは公営墓地のお墓を要件としている場合が多くなっています。やはり、補助金は行政が出すものなので、対象は公営墓地となるのが一般的です。

必要な書類の方法

繰り返しになりますが、手続きは補助金を出す自治体によって異なります。ここでは、一般的に必要となるであろう書類を取り上げます。

  • 墓地への返還の届出書

  • 助成金の交付申請書

  • 墓地の使用許可書

  • 原状回復にかかった費用の見積書・明細書・領収書・写真


墓じまいの費用はだれが払う?

相応に多くの金額がかかる墓じまいですから、だれが費用を払うかで親族間で揉めてしまうケースも考えられます。

まずは墓じまいの実行に移る前に、きちんと親族間で話しあうのがよいでしょう。そのうえで、費用負担の方法についてどんなやり方があるか解説します。

継承者(長男・長女)が支払う

現在でも長子がお墓の継承者となっている家は少なくないのではないでしょうか。墓じまいをするとなれば持ち主である長男・長女が費用を負担するというのが、一つの考え方として浮かびます。ただ、この方法を採ると、費用はもちろん管理の負担も1人の人間にかかってしまうため不公平感が生じてしまうことを、ほかの親族は念頭に置いたほうがよさそうです。

家族・親族間で負担を分ける

高額となる墓じまいの費用を、複数の親族間で負担するというのも方法として挙げられます。

ただし、均等に分けると負担した皆が同等の発言力をもつことも覚えておきましょう。将来、お墓の管理について問題が起こったとき、親族間で意見がまとまらなくなってしまう可能性も考えられます。どのような割合で分けるかまできちんと話しあうことが大切です。

故人が費用を用意しておく

稀なケースですが、故人が墓じまいの費用を用意していることも考えられます。遺言書や預貯金の確認も念のため、おこなうとよいでしょう。

事前に墓じまいについて相談しておこう

費用の負担のところで解説したように、墓じまいは親族間で話がまとまらなくなる可能性も否めません。親族の個々人で、故人や供養に対する思いはそれぞれですから、ある意味で当然といえるかもしれません。そうした考え方やライフスタイルを見ながら、よりよい方法を話しあってみてはいかがでしょうか。

「お墓」を「しまう」という行為は後ろめたさも感じてしまい話題にしづらいかもしれませんが、後々の親族の負担を考えると避けて通れないのも事実です。あるいは、「自分が入るお墓」という見方から墓じまいについてのコミュニケーションをとると、より現実感をもって話しあいができるかもしれませんね。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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