定年後再雇用制度とは?再雇用でも給与や仕事内容は変わらない?

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定年後の再就職や再雇用を検討している方


この記事のポイント

  • 定年後再雇用制度とは、2013年に改正された高齢者雇用安定法によって定められた雇用継続制度のこと
  • 定年後におすすめの仕事としては、警備員や清掃員、事務員などがある
  • 前もって第二の人生の生き方を考えておくことが重要


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定年後はこれまでの収入の要がなくなり、生活が不安定になることが予想されます。「年金収入だけでは不安」といった理由から再就職や再雇用を検討している方も多いのではないでしょうか。

こちらの記事では、定年後再雇用制度について、いまからできる準備、おすすめの仕事について解説します。「再就職」と「再雇用」のちがいについても知っておきましょう。

定年後再雇用制度とは

定年後再雇用制度とは、2021年に改正された高年齢者雇用安定法によって定められた雇用継続制度のことです。この法改正によって、原則的に70歳までは雇用が継続されるよう、企業に以下の努力義務が課されています。

  1. 70歳までの定年引き上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度の導入
  4. 70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 企業がおこなう社会貢献事業に70歳まで継続的に従事できる制度の導入

(参照:厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」

3.の継続雇用制度2つのうちの1つが定年後再雇用制度であり、定年を迎えた従業員が退職した後にも新たに雇用契約を結べる制度です。以上では、70歳までの雇用の努力義務となりますが、反対に企業が必ず守らなければならない義務となっているのは65歳までの雇用機会確保です。雇用されている人が希望すれば、企業はその全員を65歳まで雇用しなければなりません。

(参照:厚生労働省「高年齢者の雇用」

再雇用の場合は、有給休暇の日数は再雇用後も引き継がれる、退職金は以前からの定年時に支給される、など企業によって細かなルールがあり、就業規則などの確認が必要です。

従業員を退職扱いにして退職金を支払った後に新たな雇用契約をします。そのため、従業員の雇用形態・労働条件が変更されることが多くあります。再雇用制度を適用できるのは「希望する従業員全員」と定められており、退職前の会社で継続的に働くほか、グループ会社で働くといった選択肢を取ることもできます。

再就職とのちがい

定年後も働き続けることを選んだ場合、覚えておきたいのが「再就職」と「再雇用」の違いについてです。どちらも会社で働く道ですが、待遇面などにおいてメリットとデメリットがあります。

再就職とは、一般的な転職とおなじく、これまで勤務してきた会社から新しい職場へ移って働くことをいいます。

メリット
  • 給与が上がる場合もある

  • 希望する会社や仕事に挑戦できる

デメリット
  • 高齢者の場合、選考のハードルが高い

  • スキルを活かせる仕事ではないと給与が低い

一方、再雇用はそれまで勤めてきた会社で働き続ける方法です。ただし定年前よりも待遇が下がるケースが一般的となっています。

メリット
  • これまでとおなじ会社で仕事が続けられる

  • 再就職のような選考がないため、確実に働き口が確保できる

デメリット
  • 給与や賞与などの待遇が下がる

  • 定年前は役職についていたが、定年後一般社員と同等のポジションとなる

勤務延長とのちがい

また、「勤務延長」という言葉もあります。これも再雇用とおなじく、高年齢者雇用安定法で企業に求められる継続雇用制度の一つとなります。これまで働いてきた企業に、定年後もおなじ仕事内容、おなじ賃金で働き続けるのが勤務延長です。

メリット

  • フルタイムで働くことができる

  • 賃金が変わらない

デメリット
  • 退職金をもらえる時期が遅くなる

退職金は、勤務延長が終わるときに支給されるため、もらえる時期が遅くなります。

定年後再雇用での働き方

定年後再雇用では、退職後に再度雇用を契約をするため働き方が変わることがほとんどです。実際にどのような働き方をする人が多いのか見ていきましょう。

仕事内容

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査(2019年)」によると、仕事内容について以下のような回答がされています。

「定年前と同じ」・・・44.2%

「定年前と同じで責任が軽くなる」・・・38.4%

「定年前と同じだが責任が重くなる」・・・0.4%

定年後再雇用で行なう仕事内容は、定年前と内容・責任がともに同じである人、定年前と同じ仕事で、責任の重さが軽くなる人がどちらも約4割です。また、定年前と同じだが責任が重くなるという人はほとんどいないといえるでしょう。

雇用形態

おなじく独立行政法人労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査(2019年)」によると、60代前半の人の雇用形態は以下のようになっています。

正社員として雇用している企業・・・41.6%

嘱託、契約社員としての雇用・・・57.9%

パート、アルバイト・・・25.1%

この結果を見ると、定年後再雇用での雇用形態は、正社員よりも契約社員であることが多いといえるでしょう。雇用形態の変化に伴い、賃金も少なくなる傾向にあるのが現状です。

給与

「高年齢者の雇用に関する調査(2019年)」では、60代前半の人の年収の分布も調査されており、そのうちとくに多いのが以下の年収となっています。

400万円〜500万円未満・・・20.4%

300万円〜400万円未満・・・32.3%

200万円〜300万円未満・・・16.5%

半数以上が300万円以上の年収となっているものの、給与が下がる可能性は高くなっています。同調査では、「平均的な水準の人で、収入は60歳を境に4分の3ほどに減少している」とまとめています。また、ボーナスは支給されないケースもあります。

企業側の考え方として、これまでの給与と本人の知識や技能から再雇用後の給与を決定することが見られますが、細かな規定は企業ごとに異なります。

定年後の就職は難しい?

定年後再雇用制度はありますが、60歳の定年に達した後、引き続き働くことできる企業はどのくらい存在するのでしょうか。

高齢者雇用の現状

60歳の定年になった後、さらに65歳まで働くことができる高年齢者雇用確保措置を講じている企業は、全体の99.8%に及びます。そのほか、そもそも定年を60歳ではなく65歳に設定している企業も17.2%に達しているのです。

60歳定年企業の場合、全体の84.7%にあたる労働者が定年後も継続雇用となっています。このことから、定年後も働くことそのものは難しくないことがわかりますね。
(参照:厚生労働省「高年齢者の雇用状況の集計結果」2019年)

現役よりも賃金が減った場合に受けとれる補助金も


再雇用時に受給できる給付金は「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」になります。また、原則的に受給額は定年前の賃金からどのくらい下がったかによって変わり、2つの給付金でその計算方法は共通しています。

それぞれ見ていきましょう。

最大で賃金の15%の金額を受け取れる

ここでは最初に、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の支給額について説明し、その後それぞれの受給資格、期間について解説します。

2つの給付金は60歳以前の賃金と比較したときの割合によって受給額が変わってきます。受給額は、最大で現在の賃金の15%を受けとれます。

表にある低下率は、以前とどれだけ賃金が下がったかで、たとえば以前の月あたりの賃金が50万円だったとき、75%の金額は37万5000円となります。支給率は前述のとおり、再雇用・再就職後の賃金にこの率をかけると、支給額になります。

低下率
支給率
75%以上
0%
70.0%
4.67%
65.0%
10.05%
61.0%
15.00%

(参照:ハローワークインターネットサービス「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」※リンクをクリックするとPDFがダウンロードされます)

高年齢雇用継続基本給付金

60歳定年となった後、時間をあけずに同一企業で再雇用された人を対象にする給付金が高年齢雇用継続基本給付金です。再雇用後の賃金が以前の4分の3に満たない、など下記の条件があります。

  • 失業保険を根拠とした手当を受けていない

  • 定年時点より賃金が4分の3未満となっている

  • 雇用保険の被保険者となっている

  • 定年前も含め雇用保険の被保険者となっている期間が5年以上

もし受給が決まれば、65歳となる月まで受けとれます。ただし、雇用保険による給付金であるため、途中で退職すると支給も止まります。

高年齢再就職給付金

先ほど、シニアの再就職の定義について、定年まで働いていた企業とちがう企業に就職すること、と説明しました。高年齢再就職給付金はまさに、これまで働いていた企業を定年退職し、失業保険の基本手当を受けとった後、別の企業に再就職したとき、受けとれます。

支給条件は以下のとおりです。

  • 定年退職後、失業保険の基本手当を受給した

  • 60歳以降に再就職した

  • 再就職後の賃金が以前の企業の賃金より4分の3未満となった

  • 再就職前の企業も含め雇用保険の被保険者となっている期間が5年以上

  • 失業保険の基本手当の支給残日数が100日以上

  • 再就職先で1年以上の雇用が見込まれる

支給期間は、以下のとおりとなります。上記のとおり、基本手当の支給残日数が100日を切っていると、この給付金を受給できません。

基本手当の支給残日数
支給期間
100日以上200日未満
1年
200日以上
2年

2025年からは給付率が引き下げへ

これらの給付金の受給額は、最大で現在の賃金の15%と解説しました。しかし、2025年4月からこの上限が10%に引き下げられます。

シニア世代の雇用が進んでいることが、背景にあります。

定年後の就職、ここに気をつけよう!


定年退職後にさまざまな理由で再雇用や再就職を目指す場合、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。とくに重要な2つのポイントを紹介します。

1.  雇用条件や勤務形態を確認しよう

定年退職後、どのような働き方を希望するのかによっても会社選びは変わります。定年前とおなじように正社員として働きたい方もいれば、週に3〜4日程度、または1日数時間程度の勤務を希望する方もいるでしょう。

再雇用先や再就職先の報酬条件はもちろんのこと、雇用条件や勤務形態も加味しながら検討し相談していくとよいでしょう。

2.  在職老齢年金について知っておこう

現在の年金制度では、会社勤めをされていても一定範囲内の所得であれば年金を受けとることができます。しかし給与と厚生年金の合計が、基準額である28万円をこえた場合、年金の一部または全額が支給されなくなってしまいます。これを在職老齢年金といいます。

年齢や高年齢雇用継続給付を受けているなどの条件によって支給停止額が変わってくるため、ご自身の状況や条件をしっかり確認したうえで在職老齢年金を受けとりましょう。
(参照:日本年金機構「在職老齢年金の支給停止の仕組み」)

まとめ

定年退職後も再雇用や再就職といった形で働き続ける人のなかには、経済的な理由はもちろん、社会や人間どうしのつながりを求める方も少なくありません。

定年退職が間近に迫ってから準備をして決断するのではなく、前もって第二の人生の生き方を考えておくことが重要なポイントといえるでしょう。そうすることで、できるだけタイムラグがなく仕事を続けられます。仕事が続けられれば、収入はもちろん、社会とのつながりが維持され、若々しい気持ちが保てることが期待できます。

今回ご紹介した点を参考にしながら、自分にとってどの道がベストなのかをしっかりと検討してみてください。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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