定年後再雇用制度とは?定年退職後の再就職との違いやメリット・デメリットを解説

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定年後はこれまでの収入の要がなくなり、生活が不安定になることが予想されます。「年金収入だけでは不安」といった理由から再就職や再雇用を検討している方も多いのではないでしょうか。

こちらの記事では、定年後再雇用制度について、いまからできる準備、おすすめの仕事について解説します。「再就職」と「再雇用」の違いについても知っておきましょう。

定年後再雇用制度とは

定年後再雇用制度とは、2013年に改正された高齢者雇用安定法によって定められた雇用継続制度のことです。この法改正によって「60歳未満の定年」が禁止され、「高齢者雇用確保措置」が定められたことにより、次の3つの改善措置のうち1つを実施することが企業に義務づけられました。

  1. 定年制の廃止
  2. 定年の引上げ
  3. 継続雇用制度の導入

③の継続雇用制度2つのうちの1つが定年後再雇用制度であり、定年を迎えた従業員が退職した後にも新たに雇用契約を結べる制度です。

従業員を退職扱いにして退職金を支払った後に新たな雇用契約をします。そのため、従業員の雇用形態・労働条件が変更されることが多くあります。再雇用制度を適用できるのは「希望する従業員全員」と定められており、退職前の会社で継続的に働くほか、グループ会社で働くといった選択肢を取ることもできます。

継続雇用制度のもう1つが勤務延長制度であり、定年になっても退職扱いにはせず雇用を続ける制度です。そのため、賃金をはじめとした職務内容や雇用契約内容が大きく変わることはありません。

定年後再雇用制度と勤務延長制度との違いが、退職手続きをするかどうかになります。

定年後再雇用での働き方

定年後再雇用では、退職後に再度雇用を契約をするため働き方が変わることがほとんどです。実際にどのような働き方をする人が多いのか見ていきましょう。

仕事内容

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査(2019年)」によると、仕事内容について以下のような回答がされています。

「定年前と同じ」・・・44.2%

「定年前と同じで責任が軽くなる」・・・38.4%

「定年前と同じだが責任が重くなる」・・・0.4%

定年後再雇用で行なう仕事内容は、定年前と内容・責任がともに同じである人、定年前と同じ仕事で、責任の重さが軽くなる人がどちらも約4割です。また、定年前と同じだが責任が重くなるという人はほとんどいないといえるでしょう。

雇用形態

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査(2019年)」によると、雇用形態は以下のようになっています。

正社員として雇用している企業・・・41.6%

嘱託、契約社員としての雇用・・・57.9%

パート、アルバイト・・・25.1%

この結果を見ると、定年後再雇用での雇用形態は、正社員よりも契約社員であることが多いといえるでしょう。雇用形態の変化に伴い、賃金も少なくなる傾向にあるのが現状です。

定年後の就職は難しい?

定年後再雇用制度はありますが、60歳の定年に達した後、引き続き働くことできる企業はどのくらい存在するのでしょうか。

高齢者雇用の現状

60歳の定年になった後、さらに65歳まで働くことができる高年齢者雇用確保措置を講じている企業は、全体の99.8%に及びます。そのほか、そもそも定年を60歳ではなく65歳に設定している企業も17.2%に達しているのです。

60歳定年企業の場合、全体の84.7%にあたる労働者が定年後も継続雇用となっています。このことから、定年後も働くことそのものは難しくないことがわかりますね。
(参照:厚生労働省「高年齢者の雇用状況の集計結果」2019年)

「再就職」と「再雇用」それぞれのメリットとデメリット

定年後も働き続けることを選んだ場合、覚えておきたいのが「再就職」と「再雇用」の違いについてです。どちらも会社で働く道ですが、待遇面などにおいてメリットとデメリットがあります。

再就職のメリットとデメリット

再就職は、一般的な転職とおなじく、これまで勤務してきた会社から新しい職場へ移って働く形です。

メリット

  • 給与が上がる場合もある
  • 希望する会社や仕事に挑戦できる

デメリット

  • 高齢者の場合、選考のハードルが高い
  • スキルを活かせる仕事ではないと給与が低い


これまでのスキルや経験を活かして再就職すれば、定年前と同等またはそれ以上の収入を得られる可能性が高くなります。

しかしその一方で、選考の段階ではほかの候補者とおなじ条件で比較されるため、ハードルは高くなってしまうでしょう。

再雇用のメリットとデメリット

再雇用は、それまで勤めてきた会社で働き続ける方法です。ただし定年前よりも待遇が下がるケースが一般的となっています。

メリット
  • これまでとおなじ会社で仕事が続けられる
  • 再就職のような選考がないため、確実に働き口が確保できる

デメリット

  • 給与や賞与などの待遇が下がる
  • 定年前は役職についていたが、定年後一般社員と同等のポジションとなる


本人が希望すれば定年前の会社で働き続けられる再雇用。再就職のように採用のハードルは高くありませんが、定年前とおなじ待遇で働き続けられるケースは稀です。

定年前に役職についていた方は、定年後部下や後輩であった社員とおなじポジションとなることも多いため、人間関係などの面で働きづらいと感じることもあるかもしれません。

定年後の就労に向けて、いまからできること

定年退職後も継続して働くことを考えると、できるだけよい条件で働きたいものです。そこで、定年後の就労に向けて準備すべき5つのポイントを紹介します。

1.  就職に有利な資格を取っておこう

定年退職したあとも大きな武器となるのが、専門性のあるスキルや経験です。とくに再就職を目指す場合、年齢というハンデをクリアしつつ高待遇の仕事に就くためには、スキルや経験を証明できる資格をもっておくのがおすすめです。

2.  必要になる生活費を把握しておこう

仕事そのものが好きだから仕事を続けたいと再雇用や再就職を希望するケースもあるでしょう。その一方で、経済的な理由が大きい場合もあります。

定年後、具体的にどの程度の生活費が必要なのかを把握しておけば、たとえ収入が減ったとしても経済的に困窮するリスクは少なくなるかもしれません。

3.  SNSに登録して人脈を広げよう

退職などのライフステージにおける環境の変化によって、疎遠になってしまった友人との交流を再開してみてはいかがでしょうか。LINEやTwitterなどのSNSを活用してインターネット上での繋がりを作ると、友人との交流が続くだけでなく、新しい人との出会いが生まれます。

SNSを活用して人脈を広げることで、新しい働き先を紹介してもらえたり仕事を任せてもらえたりすることもあるかもしれません。

4.  転職エージェントに登録しよう

定年退職後の就労先を確保しようとしても、年齢がネックとなり「ハローワークや転職サイトで探すのは大変」と感じる方は多いのではないでしょうか。たしかに定年退職後の人材を積極的に募集している企業は稀であり、自分の力で就職先を探すのは簡単なことではありません。

そこで活用したいのが、転職エージェントです。転職エージェントは専任の担当者(エージェント)がつき、スキルや経験にマッチした求人を提案してくれます。一般には公開されていない転職先も紹介してくれることがあるため、まずは登録してみましょう。

5.  給付金制度について理解しておこう

定年後に再雇用となった場合、給与が大幅に減額されるケースがあります。このような方を対象とした「高年齢雇用継続給付」という制度があることをご存知でしょうか?

原則として60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっている方や、60歳以後に再就職して、再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった方は、一定額の給付金を受けとることができます。

ただ給付を受けられる条件や期間などが決まっているため、事前にしっかり確認しておきましょう。
(参照:厚生労働省「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続きについて」2019年)

定年後におすすめの仕事

定年後は多少給与が減ってもよいので、自分のペースで無理なく続けられる仕事に従事したいと考えている方も多いのではないでしょうか。そのような方におすすめの仕事をいくつか紹介します。

警備員や清掃員

ビルの警備員や清掃員は定年退職後の就労先として人気があります。いずれの職種も高年齢者を積極的に雇用している企業が多く、再就職先としては働きやすい環境といえるでしょう。

ただし、配属先によっては夜勤でのシフトが組まれるケースもあります。ご自身の生活環境や体調を考慮しながら相談するとよいでしょう。

自宅でできる内職

通勤の必要がなく、自宅でできる定番の仕事として挙げられるのが内職です。ひと口に内職といっても、商品の袋詰めやダイレクトメールの封入、宛名書き、商品を梱包する箱の組み立てなど、作業内容は多岐にわたります。

手先の器用な人やコツコツとおなじ作業をするのが好きな人には、内職は最適な仕事ですね。

経理や労務などの事務員

定年退職前まで会社の経理や労務などを担当していた方は、そのスキルを活かして事務員として再就職する道もあります。

とくに中小企業の場合、経営者や社員がほかの仕事と掛け持ちしつつ事務作業を行っているケースも少なくありません。そのような環境であれば、フルタイム勤務でなくとも無理のない範囲で仕事を続けることができるでしょう。

シルバー人材センターのスタッフ

シルバー人材センターとは、高齢者の豊富な知識やスキルを社会奉仕活動や仕事に活かすために運営されている団体です。地域ごとに運営主体は異なり、仕事内容も事務作業から屋外の清掃、庭木の剪定、通院介助、駐車場管理など多岐にわたります。

シルバー人材センターに登録すると、これらの仕事が紹介され、自分の希望にあわせて就労できます。

定年後の就職、ここに気をつけよう!

定年退職後にさまざまな理由で再雇用や再就職を目指す場合、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。とくに重要な2つのポイントを紹介します。

1.  雇用条件や勤務形態を確認しよう

定年退職後、どのような働き方を希望するのかによっても会社選びは変わります。定年前とおなじように正社員として働きたい方もいれば、週に3〜4日程度、または1日数時間程度の勤務を希望する方もいるでしょう。

再雇用先や再就職先の報酬条件はもちろんのこと、雇用条件や勤務形態も加味しながら検討し相談していくとよいでしょう。

2.  在職老齢年金について知っておこう

現在の年金制度では、会社勤めをされていても一定範囲内の所得であれば年金を受けとることができます。しかし給与と厚生年金の合計が、基準額である28万円をこえた場合、年金の一部または全額が支給されなくなってしまいます。これを在職老齢年金といいます。

年齢や高年齢雇用継続給付を受けているなどの条件によって支給停止額が変わってくるため、ご自身の状況や条件をしっかり確認したうえで在職老齢年金を受けとりましょう。
(参照:日本年金機構「在職老齢年金の支給停止の仕組み」)

まとめ

定年退職後も再雇用や再就職といった形で働き続ける人のなかには、経済的な理由はもちろん、社会や人間どうしのつながりを求める方も少なくありません。

定年退職が間近に迫ってから準備をして決断するのではなく、前もって第二の人生の生き方を考えておくことが重要なポイントといえるでしょう。

今回ご紹介した点を参考にしながら、自分にとってどの道がベストなのかをしっかりと検討してみてください。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部 情報は2021年12月24日時点のものです。)

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