コラム

年金共済とは?特徴やメリット・デメリット、個人年金保険とのちがい

この記事の内容

これまで年金について解説してきましたが、そのなかで私的年金の一つとして個人年金保険(※リンク)があることを紹介し、メリットとデメリットについても取り上げました。実は個人年金保険のなかにもいくつか種類があるのですが、その一つに数えられるのが「個人年金共済(年金共済)」です。

個人年金共済も個人年金保険と同様に個人で自由に積み立てられるものですが、個人年金共済は少ない掛金から始められるなどのちがいがあります。

そこで今回の記事では、個人年金共済とは何か、メリットやデメリットも含めてくわしく解説します。公的年金だけでは老後に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

個人年金共済とは

個人年金共済とは個人年金の一種で、主に労働組合や労働組合連合などの団体が提供しています。積立型のため制度としてわかりやすく、掛金を自由に設定できることも魅力の一つです。

なお、個人年金共済のなかでも「こくみん共済coop」や「JA共済」などは、原則としてだれでも加入できる共済として知られていますが、一部の共済では新規の加入受付を停止しています。このほか、各地の商工会議所が中小企業経営者・従業員向けに年金共済の商品を提供している例もあります。

個人年金共済はほかの年金や保険と比べても掛金が安く設定されているケースが多く、老後に備えて個人で手軽に加入できるところが魅力です。

個人年金共済と個人年金保険のちがい

積立型で個人が自由に加入できるという点を考えると、「個人年金共済は個人年金保険とおなじものではないか」と感じる方も多いことでしょう。しかし、細かい部分を見てみると両者には大きく分けて2つのちがいがあることがわかります。

ちがい1:監督官庁のちがい

一つ目は、監督官庁のちがいです。個人年金共済は労働組合や労働組合連合などの団体が運営していることから、監督官庁は厚生労働省となります。一方、個人年金保険は主に民間の保険会社が運営しているため、監督官庁は金融庁です。

ちなみに、個人年金共済の種類によっては厚生労働省以外が監督官庁であるケースもあります。たとえば、JA共済は農業協同組合が主体となって運営しているため、厚生労働省や金融庁ではなく農林水産省が監督官庁となります。

ちがい2:営利・非営利のちがい

2つ目は、営利・非営利のちがいです。個人年金共済は営利目的の企業が運営しているものではないため、非営利にあたります。一方、個人年金保険は民間の保険会社が運営しているため、営利目的の事業となっています。また、個人年金共済は原則として労働組合や労働組合連合会などに加入している組合員でなければ加入できない一方で、個人年金保険は年齢などの条件を満たせばだれでも加入できます。そのため、加入ハードルとしては個人年金保険のほうが低いといえます。

用語のちがいもある

細かい部分ではありますが、個人年金共済と個人年金保険は運用上のちがいから、使用される用語にもちがいが見られます。

たとえば、公的年金や個人年金保険では毎月納めるお金のことを「保険料」とよびますが、共済では「掛金」とよびます。また、老後に受け取るお金である「年金」や「保険金」は、共済の場合「共済金」とよびます。

個人年金共済のメリット・デメリット

個人年金共済は掛金が手ごろなため、これから加入を検討している方もすくなくないと思います。しかし、加入にあたってはメリットとデメリットをしっかりと把握したうえで、自身にマッチしているかを確認する必要があります。そこで、ここからは個人年金共済のメリットとデメリットについてくわしく解説しましょう。

(※個人年金保険のメリット・デメリットへリンク)

個人年金共済のメリット

個人年金共済のメリットは以下の2点が挙げられます。

1.少ない掛金から始められる

「個人年金共済とは」の部分でも紹介したとおり、個人年金共済は個人年金保険や公的年金に比べて少ない掛金を設定でき、手軽に始められることが挙げられます。

個人年金保険の多くは、営利を目的としているため、企業としてあくまでも利益を追求しなければなりません。また、公的年金は老後資金の柱となる重要な制度のため、ある程度の保険料を納めなければ成り立ちません。

しかし、個人年金共済は非営利の私的年金にあたり、一定の地域や職域に属する組合員とその家族など限られた人を主な対象としていることから、比較的すくない掛金を設定できます。また、個人年金共済のなかには契約の途中から自由に掛金を変更できるものも多く、家計の状態にあわせて掛金を見直すことも可能です。

2.個人年金保険料控除の対象になる場合もある

すべての個人年金共済が該当するとは限りませんが、生命保険料控除の一部である個人年金保険料控除の対象となります。これにより、所得税および住民税といった税負担額を軽減できます。

ただし、個人年金保険料控除の対象となるのは、個人年金共済のプランのなかでも税制適格タイプの場合のみに限られます。これ以外のプランでは控除の対象とならないため、加入前の段階でしっかりと確認しておきましょう。

個人年金共済のデメリット

個人年金共済はさまざまなメリットがある一方で、公的年金やその他の私的年金と比較した場合のデメリットも存在します。それは、破綻した場合の保証がないということです。

金融庁の監督下で提供されている個人年金保険の場合、生命保険契約者保護機構とよばれる第三者機関があります。これは万が一生命保険会社が倒産した場合、一定の契約者保護を図るものです。

これに対し個人年金共済に、このような支払保証制度が確保されていません。数年単位で考えると倒産や破たんの可能性は低くても、年金を受け取る数十年後まで予測することは難しいものです。そのため、万が一のことを考えるとほかの年金と比較してリスクがあるといえます。

まずは自分が加入できる個人年金共済があるか確認しよう

個人年金共済は個人年金保険に類するものでありながら、非営利で運営されているということもあり、少ない掛金で保障が受けられるのが大きな特徴です。そのため、老後に不安を感じている方にとっては、無理なく積み立てられる年金として魅力的な仕組みといえるでしょう。

ただし、今回の記事のなかで紹介してきたとおり、個人年金共済は労働組合などの団体に加入していなければ契約できないといったさまざまな制約があります。個人年金共済に魅力を感じ、これから加入を検討している方は、まずは自身が入れる共済や組合があるかを確認し、その共済の商品がいくらの掛金でどれくらいの保障が受けられるかもチェックしておきましょう。


(執筆編集:NTTファイナンス ライフノート編集部 情報は2021年10月13日時点のものです。)

この記事を監修した人
つじもとFP事務所代表  辻本由香

ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、相続手続きカウンセラー。
大手金融機関での営業や企業の経理など、お金に関する仕事に約30年従事。
43歳のとき乳がんを発症し、誰にも言えない悩みこそ誰かを頼るべきことだと気づく。
2015年2月金融商品を販売しないFP事務所を開業。

主に子どものいない方、がんなど病気を抱えている方、医療従事者の「お金に関する相談」、「残さない終活プランニング」、講演を行っている。

http://fp-myhappiness.com/

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