基礎知識

65歳じゃなくても年金が受け取れる!?遺族年金・寡婦年金・障害年金とは

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この記事の内容

この記事を監修した人
相続サポートセンター  社会保険社労士 門山俊也
全国18拠点、 スタッフ1000名の士業グループであるベンチャーサポートグル ープの
相続専門部署である相続サポートセンターで代表社労士を務めてい る。
相続に関わる遺族年金や寡婦年金のみならず、 企業の社会保険に関する事項、労働法に関わる相談業務に従事。https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter

この記事をおすすめする人

年齢に関係なく受け取れる年金について知りたい方


この記事のポイント

  • 遺族のこども、配偶者がなくなった場合は遺族年金が受け取れる
  • 寡婦年金は、自営やフリーランスなどが対象の独自の給付制度のこと
  • 現役世代でも働けなくなった場合、障害年金の受給が可能である


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「年金」と聞くと、定年退職後に支給される老齢年金をイメージする人が多いのではないでしょうか。老齢年金は原則として65歳から受給され、ほぼすべての国民は老齢年金の受給対象となります。


年金とは?その仕組みや種類について徹底解説|楽クラライフノート お金と終活の情報サイト

会社を定年退職後、老後の支えとして必要不可欠なのが「年金」です。そもそもなぜ受給年齢になると年金が受け取れるのか、読者の皆さんは考えたことはありますか? この記事では、年金とはどのような構造で成り立っているのか、“国民皆年金”と呼ばれ国民すべてが対象となる日本の公的年金制度について解説します。

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しかし、年金という大きな括りで考えた場合、必ずしも65歳から受給資格が与えられるとは限らず、一定の条件や資格を満たせば65歳未満であっても「遺族年金」や「寡婦年金」、「障害年金」が受給できるケースもあります。

今回の記事では、老齢年金以外の年金についてくわしく解説するとともに、どのような条件や資格があれば受給要件に該当するのかも含めて紹介します。自分自身がこれらの年金を受給できるかどうかも含めて、ぜひ最後までお読みいただき参考にしてください。

遺族年金とは

遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者が受給資格を満たしていながら亡くなった場合、遺族である子ども、または子どものいる配偶者が受け取れる年金のことを指します。

ひと口に遺族年金といっても、いくつかの種類がありそのなかでも代表的なのが「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」です。遺族基礎年金とは国民年金の被保険者が死亡した場合に、遺族である子どもや、子どものいる配偶者が受け取れる年金制度です。国民年金へ現在加入中の自営業者や会社員はもちろんですが、老齢年金を受給している人が亡くなった場合も遺族基礎年金の受給資格に該当します。一方、遺族厚生年金とは、厚生年金保険の加入者が対象となるため、公務員や会社員に限られ自営業者やフリーランスは対象に含まれません。

それぞれの年金への加入状況および保険料の納付状況に応じて、遺族基礎年金のみ、または遺族厚生年金を含めた両方を受給できるケースもあります。ただし、遺族基礎年金は子ども、または子どものいる配偶者のみが年金を受け取れる制度であり、子どもがいなかったり扶養の対象外となっていたりする場合は、配偶者が年金を受け取ることができません。そこで、そのような場合に備えた年金制度として「寡婦年金」が存在します。

今回の記事では、上記で挙げた遺族年金のうち、「遺族基礎年金」と「寡婦年金」の2つをピックアップしてくわしく解説していきます。

遺族基礎年金とは

遺族基礎年金とは、遺族年金でも紹介したように、国民年金の被保険者が亡くなった場合に「子のある配偶者」または「子」に対して支給される年金です。被保険者の国民年金加入期間や、遺族となる対象者によってさまざまな支給要件が異なるため、詳細について見ていきましょう。

遺族基礎年金の受給資格

遺族基礎年金を受給するためには、死亡した被保険者と受給する遺族が以下の条件・資格を満たしている必要があります。

死亡した被保険者の条件


  1. 国民年金に加入中

  2. かつて加入していたが現在は加入していない、60歳以上65歳未満の日本国内居住者

  3. 老齢基礎年金を受給している

  4. 老齢基礎年金の受給資格者(65歳未満で待機中、または65歳以上で繰り下げ受給のために待機中)


上記のうち、1および2に該当する場合、死亡日の前々月までの保険料納付済期間(保険料免除期間も含む)が3分の2以上であることが条件となります。ただし、2026年4月1日以前に65歳未満の人が死亡した場合には、死亡する前々月からさかのぼり1年間にわたって保険料の滞納がなければ受給できます。

受給する遺族の条件


  1. 子のある配偶者


上記の記載にある「子」とは、被保険者が死亡時18歳到達年度の末日にある子、または20歳未満で障害等級1級または2級の子を指します。

老齢基礎年金はあくまでも扶養対象となっている子がいる場合に限り遺族に支給されるもので、それ以外の場合には支給の対象にはなりません。

遺族基礎年金の受給額

遺族基礎年金は、受給対象となる遺族に子が何人いるかによって金額が変わってきます。また、遺族が「妻+子」なのか「子のみ」なのかによっても条件は変わってきます。基本となるのは年額78万900円で、2人までの子の加算は1人あたり22万4700円、それ以降は7万4900円となります。

「妻+子」のパターンと「子のみ」のパターンに分けて受給額を紹介しましょう。


寡婦年金とは

寡婦年金とは、国民年金のみが対象となっている第1号被保険者(自営業者や農業従事者、フリーランスなど)独自の給付制度です。第1号被保険者が亡くなった時点で子が18歳以上であったり、そもそも子がいない場合、配偶者は遺族基礎年金を受給することができません。そこで、遺族基礎年金の受給資格から漏れた場合に有効なのが寡婦年金とよばれる制度です。

寡婦年金の受給資格

寡婦年金を受給するためには、以下の条件・資格を満たしている必要があります。



  1. 60歳以上65歳未満の寡婦(夫と死別し再婚していない女性)であること

  2. 夫が死亡するまでに10年以上の婚姻期間があり、夫に生計を維持されていた妻

  3. 死亡した夫が第1号被保険者で、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が10年以上あること

  4. 死亡した夫が老齢基礎年金を受給していないこと


ちなみに、上記の2にある「婚姻期間」とは事実婚も含まれます。

寡婦年金の受給額

寡婦年金は、死亡した夫が本来受け取れるはずだった、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3にあたる金額を受給できます。ただし、老齢基礎年金の加入可能月数は40年間であり、満額を納めていない場合にはその分が減額されることになります。もし、老齢基礎年金を30年分のみ納付していた場合、死亡していた夫が受け取れるはずだった年金額は、下図のとおりとなります。


障害年金とは

65歳未満の現役世代においても、病気や怪我によって日常生活に支障をきたし、仕事ができなくなるリスクはあります。そんなときに頼りになるのが障害年金です。障害年金はどのような場合に受給できるのか、老齢基礎年金などほかの年金との併給は可能なのかについてもくわしく解説します。

障害年金の受給資格

国民年金加入者が病気やケガなどによって働けなくなった場合に受給できる年金を、障害基礎年金とよびます。障害基礎年金の受給資格は以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。


  1. 保険料を支払っていること
    (初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと)

  2. 初診日から1年6か月経過し1級または2級の障害認定を受けていること

  3. 初診日が国民年金加入中または20歳前であること


ただし、障害基礎年金には上記以外にもさまざまな受給資格のパターンがあります。

事後重症による請求

初診日から1年6か月が経過した時点で障害の状態に該当していなくても、そのあと、病状が悪化した場合には障害年金を受け取れる場合があります。これを事後重症請求とよびます。ちなみに、1級または2級の認定がされず3級に認定された場合は障害基礎年金の受給資格には該当しませんが、障害厚生年金のみ受給対象となります。

併合認定

障害基礎年金を受けている人が、さらに別の病気やケガによって障害を併発した場合、2つの障害を併合して障害基礎年金として受給できます。たとえば、2つの障害がどちらも2級の認定であったとしても、双方を併合して1級とみなされる場合もあります。このときは当然、2級よりも1級のほうが受給される障害基礎年金の金額は多くなります。

障害年金の併給調整

年金制度には「1人1年金」とよばれる原則があり、1人が2つの年金を受け取ることは原則としてできません。たとえば、老齢基礎年金と障害基礎年金は両方受け取れないのは代表的な事例といえるでしょう。

ただし、「障害基礎年金と障害厚生年金」は支給事由が異なるため併給が可能なほか、65歳以後については「障害基礎年金と老齢厚生年金」、および「障害基礎年金と遺族厚生年金」など、特例的に併給が認められているケースも存在します。

障害基礎年金の受給額

障害基礎年金は障害認定の等級および子の加算によって受給額が決定します。具体的には下図のとおりです。


まとめ

今回紹介した3つの年金は、配偶者が亡くなった場合や、病気や事故などによって障害を抱え働けなくなった場合などに備え、経済的な不安を解消するために役立てられるものです。本人はもちろんですが、家族が病気や事故によって働けなくなるリスクはゼロではなく、いつどのタイミングで年金のお世話になるか予測できないものです。そのような万が一の事態に備え、年金の知識はぜひ把握しておきましょう。また、年金を受給しなければならない状況に陥った場合には、専門家の意見も参考にしながら冷静に受給の申請を進めていくことが重要です。

一方で、こうした年金を必要としない状況であるのに越したことはありません。これを機会にご自身や配偶者の健康を考えてみてはいかがでしょうか。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)

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