基礎知識

【基本知識編(基本のき)】介護保険やその他サービスの使い方

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自分自身で身のまわりのことができなくなったらどうすればいいのでしょう。子どもがいても、彼らは彼ら自身の生活で大忙し……。
家族だけで何とかしようと考えず、サービスを利用しましょう。そのときになって慌てなくてもよいように、事前の情報収集が欠かせません。

こちらの記事では、介護保険やその他サービスの内容、利用方法を解説します。

介護が必要になればサービス利用必須

支援や介護が必要になっても、適切なタイミングで、必要なサービスの利用を開始すれば、自立した生活を長期に継続することができます。
サービス利用をためらっていると、その間にも状況は悪化していくことが……。

 一例ですが、こんな女性に会ったことがあります。右肩を痛めて料理ができなくなりました。ちょうど夫の体調もいまひとつのときだったため、2人とも食生活が乱れ、家事も滞り……。結局、夫婦ともに体調も体力も大幅低下。「早い段階に相談して、介護保険のサービスを利用すれば、こんなことにならなかった」と女性は後悔していました。

 後手にならないために、介護保険の利用方法を覚えておきましょう。
65歳になると医療保険の保険証と別に、「介護保険被保険者証(保険証)」が市区町村から交付されます。しかし、健康保険証のようにもっているからといって、いつでも利用できるわけではないのです。
介護保険を使ってサービスを利用するためには、「支援や介護が必要な状態」と認定を受けなければなりません。どれくらい必要かを判定するのが「要介護認定」です(65歳未満であっても、老化を起因とする衰えが生じた場合、利用対象となるケースがあります)。

 認定を受けるためには、地元の役所、もしくは地域包括支援センターに自分か家族が申請します。
入院中に申請することもできます。何らかの事情で自分や家族が申請できない場合は、地域包括支援センターなどに代わりに申請をお願いすることもできます【申請代行/無料】。

介護保険サービス利用までの流れ

介護保険の申請をおこなうと、市区町村の職員などが自宅や、入院中の病院まで来てくれます。そして、聞き取り調査【認定調査】がおこなわれます。心身の状態や生活状況、家族や居住環境など質問項目は多岐にわたります。

 一方、かかりつけの医師が心身の状態についての意見書【主治医意見書】を作成。認定調査結果とあわせた判定【一時判定・二次判定】を経て、「要支援1・2」「要介護1~5」及び「非該当」が決定。それぞれの要介護度に応じて決められた限度額内でサービスを利用できます。負担は所得に応じ1~3割です。

 

要介護度

状態の目安

要支援1

日常生活は基本的に自分でできるが、要介護になることを予防するために少し介助が必要な状態

要支援2

立ち上がりや歩行が不安定。トイレや入浴などで一部介助が必要だが改善する可能性が高い状態

要介護1

立ち上がりや歩行が不安定。トイレや入浴などで部分的に介助が必要な状態

要介護2

起き上がりが自力では困難。トイレや入浴などで一部または全介助が必要な状態

要介護3

起き上がり、寝返りが自力では難しい。トイレや入浴、衣服の着脱など多くの行為で全面的介助が必要な状態

要介護4

常時介護なしでは、日常生活を送ることが難しい状態

要介護5

生活全般について全面的介助が必要な状態


介護保険を申請して、結果が出るまでの期間は30日ほどです(結果が出るまでにサービスの利用を開始したい場合は、地域包括支援センターで相談を)。
結果が出たら、いつ、どんなサービスをどれくらいの時間利用するかの計画【ケアプラン】を立てることになります。

ケアプランは本人や家族が作成してもいいのですが、要支援1・2の場合は地域包括支援センターに、要介護1~5であればケアマネジャー(介護支援専門員)という介護の専門職に作成を依頼することが一般的です。
ケアマネジャーは居宅介護支援事業所に所属しています。役所から事業所の所在地の一覧表をもらえるので、自分で選択します。自宅近所の事業所や、かかっている病院の関連事業所、口コミなどで選ぶ人が多いようです。

 ケアプランができれば、いよいよサービスの契約をして、利用開始! 

【ケアプランとは】

①  いつ
② どこで
③ どんなサービスを
④ どの事業所から
⑤  どれくらいの時間利用するか

「要支援」なら地域包括支援センター、「要介護」ならケアマネジャーが作成


要介護認定の流れ

(出典:厚生労働省)

サービスの種類は「訪問」「通い」「宿泊」「入居」

介護保険で利用できるサービスの種類は、大きく「居宅(在宅)」と「施設」に分けられます。「居宅サービス」とひと言で言っても内容は多様です。ホームヘルパーなどが自宅を「訪問」してくれるサービス、介護サービスを提供するセンターなどに「通って」利用するサービス、「宿泊」するサービス。そのほか、自宅を安心安全にするための住宅改修もあります。ポータブルトイレや入浴用品などを1年間10万円分まで購入できるサービスも用意されています。要介護度によっては、介護用ベッドや車いすなどのレンタルも可能です。

自治体サービスには65歳以上ならだれでも使えるサービスも

介護のサービスといえば「介護保険」一択と考えがちですが、実は保険外にも使えるサービスは色々あります。
表の「地域支援事業」とは住み慣れた地域で介護状態になることを予防しながら、本人らしく生活していくことを目的とした自治体のサービスです。要介護度が低い「要支援」の人や認定はされていないけれど生活上に不安のある人を対象としたサービスと、支援や介護が必要になることを予防しようという目的で65歳以上ならだれでも使えるサービスがあります。

 内容は、「訪問」「通い」サービスのほか、たとえば、食事を自宅に届けてくれるサービス、緊急時にボタンを押すだけで通報できるサービスなども。転倒予防のための体操教室や筋力向上トレーニング教室を開く自治体もあります。補助があるので、費用が安いことも嬉しいポイントです。

シニアが利用できるさまざまなサービス

    

介護保険の
サービス

自治体の
地域支援事業

ボランティアなど
非営利サービス

民間企業の
サービス

利用条件

「要支援」「要介護」の認定が必要

「要支援」ほか「地域に暮らす全ての高齢者」

とくに条件なし

とくに条件なし

サービスの種類

概ね全国一律

住んでいる自治体によって異なる

提供団体によって異なる

事業者によって異なる

費用

限度額内なら1~3割負担

無料や低価格、または現物支給

全額自己負担だが、比較的低価格

全額自己負担で通常価格

情報入手先

地元の役所、地域包括支援センターなど

地元の役所、地域包括支援センターなど

地元の社会福祉協議会、地域包括支援センターなど

各事業者、インターネットなど

出典:『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(太田差惠子,翔泳社)より作成

ボランティア・民間サービスにも注目!

ボランティアなどの非営利サービスをおこなう団体が活動している地域もあります。

定期的に食事会を開いたり、ホームヘルプサービスを実施したり。介護保険や地域支援事業でのホームヘルプサービスでは対応不可の支援がありますが(話し相手や草むしり、犬の散歩など)、非営利団体のサービスはよりきめ細やかで、幅広いニーズに対応しています。
地域の社会福祉協議会や生活協同組合がボランティア組織を結成してサービスを提供しているところもあります。また、元気な中高年が参加するシルバー人材センターでも多種のサービスを提供。

一方、民間企業のサービスは、全額自己負担となりますが、より多様なサービスがあります。食事の宅配サービスをおこなう事業者は多く、コンビニでも実施しています。
ホームセキュリティの会社では、シニア向けの緊急通報ボタンなどを用意しています。

信頼できる便利屋さんを探しておくこともおすすめです。ちょっとした困りごとが生じた際に助かります。

まとめ

住み慣れた自宅で安心、安全に暮らし続けるためには、家族だけで何とかしようと思ってもムリ。サービスを利用しましょう。

サービスは介護保険だけでなく、ほかにも色々。介護が必要になってから利用するサービスのほか、「介護が必要になることを予防しよう」という目的のものもあります。

まずは、自分の暮らす地域に、どのようなシニア向けサービスがあるか情報収集しましょう。後手にならないよう、適切なタイミングでサービスの利用を開始したいものです。


(情報は2020年12月24日時点のものです。)

この記事を執筆した人
太田 差惠子

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。企業、組合、行政での講演実績も多数。AFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持つ。一方、1996年親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年法人化した。現理事長。

<主な著書>「親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」「高齢者施設お金・選び方・入居の流れがわかる本」(共に翔泳社)、「遠距離介護で自滅しない選択」「親の介護で自滅しない選択」(共に日本経済新聞出版社)「親の介護には親のお金を使おう!」(集英社)ほか

http://www.ota-saeko.com/

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