コラム

弱っている80代母親が「同居も入院も、施設入居もしない」と宣言 離れて暮らす子にできることとは?

この記事の内容

最期のときまで、住み慣れた自宅で暮らし続けたいと願うシニアは多いです。家族のいない人もいますし、家族がいても、さまざまな事情で同居は選択肢にないという人もいます。また、病気を抱えていても、入院や施設への入居を避けたいと考える人も。では、もし弱った親が「同居も入院も、施設入居もしない」と宣言したら?

死亡原因の1位はがん

厚生労働省の調査によると、日本人の死亡原因の1位はがん、2位心疾患(高血圧症除く)、3位老衰となっています。つまり、人はがんで亡くなる可能性がもっとも高いということです。

実際、身近な方ががんを患っているという人は多いでしょう。いまや治る病気ですが、それでも、完治しないケースもあります。

鈴木なつみさん(55歳/仮名/東京都)の母親(81歳)は関西地方の実家でひとり暮らししています。体調が芳しくなく受診し、乳がんとの診断を受けました。手術をしましたが、転移もみられ、これ以上積極的な治療はおこなわないことを決めました。

なつみさんは2人きょうだいで、弟も関東在住。何かあってもすぐには駆けつけられないので、退院後、病院と提携している高齢者施設に入居するよう勧めました。ところが、母親は「最期まで自宅で暮らしたい」と譲らないのです。

「訪問診療」と「介護保険」を利用する

在宅で暮らし続けたいと願う場合、がんの状態をコントロールする必要があります。そのとき、心強い味方になるのが医師に自宅を訪問してもらう「訪問診療」です。生活面に関しては、「介護保険」のサービスを利用できます。この両者を利用することで、「住み慣れた自宅で暮らし続けたい」という親の希望をかなえられる可能性があります。

ただし、なつみさんも弟も、何かあっても連絡を受けてから実家に到着するまでには数時間かかります。時間帯によっては、翌日となることもあるでしょう。そのことについて、母親によく説明し、母親自身に理解してもらう必要があります。もしかすれば、だれにも看取られずに亡くなることもありえます。

母親だけでなく、家族も納得のうえでなければ、後悔をのこすことになりかねません。

24時間体制の「在宅療養支援診療所」とは

地域には、24時間365日体制で、いつでも、医師または看護師と連絡でき、患者の求めに応じて訪問してくれる「在宅療養支援診療所」があります。緊急時には、すぐに入院できる病床を確保していることも特徴です。

24時間体制というのは、在宅で生活を継続する場合、とても安心感があります。病院の「相談室」か、主治医に聞けば、地域にある指定を受けた診療所を紹介してくれるでしょう。現在、かかっている診療所があれば、その医師に相談してみるのも方法です。もしかすると、その医師が在宅療養に取り組んでいる可能性もありますし、対応していない場合は、ニーズにあう診療所を紹介してくれるでしょう。

入院中に介護保険を申請

母親が介護保険の要介護認定を受けていないようなら、なるべく早く申請しましょう。地元の地域包括支援センターに行けば、手続きをサポートしてくれます。もしも、がんのステージが進んだ状態であれば、迅速に手続きを進めてもらう必要があるので、病状についても率直に話して相談を。入院中に申請すれば、自宅に戻ると同時にサービスの利用を開始することもできます。

介護保険でホームヘルプサービスやデイサービスなどを利用できれば、母親が自宅で孤立することを防げます。ケアプランを立ててくれるケアマネジャーと訪問診療をおこなう医師は連携をとって本人を支えてくれます。

緩和ケアは通院や訪問でも可

がんの進行状況によっては、痛みやその他苦痛な症状が出現する場合もあります。それらをやわらげるのが「緩和ケア」です。緩和ケアをおこなう病棟をホスピスと呼び、終末期を過ごす場として知られています。

近年は、終末期だけでなく、早期からがんに対する治療と並行しておこなわれることもあります。そして、この緩和ケアは入院に限らず、通院や訪問で受けることもできます。

主治医や本人ともよく話しあって、今後の方針を決定したいものです。

必要に応じて柔軟に方針転換も

母親の性格や病気の状況にもよるので、必ずしもひとり暮らしの継続を推奨するものではありません。けれども、本人の気持ちがしっかりしているなら、本人の願う生き方を応援することが、母親にとっての幸せであり、“自分らしく生きる”ことにつながるのかもしれません。

そのためには、医療や介護の専門家としっかりタッグを組むことが不可欠です。

また、いったん「在宅」と決めても、気持ちは変化することもあります。本人や専門家と話しあ合いを続け、必要に応じて柔軟に方針転換することも大切です。

まとめ

弱っている親のことは気がかりなもの。とくに離れて暮らしている場合、「同居、もしくは施設入居しなければ立ち行かない」と考えがちです。

けれども、本人の「住み慣れた自宅で暮らし続けたい」という希望が強いなら、専門家と相談しながら可能性を探りましょう。本人の心身の状況によっては希望をかなえられるケースもあります。

24時間365日体制で、医師または看護師と連絡でき、患者の求めに応じて訪問してくれる「在宅療養支援診療所」は在宅を継続する際の心強い味方です。介護保険のケアプランを作成してくれるケアマネジャーと連携し、支援してくれます。専門家の力を借り、親本人、家族間でしっかり話しあ合って、よりよ良い方法を選択したいものです。


(情報は2022年3月28日時点のものです。)

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この記事を執筆した人
太田 差惠子

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。企業、組合、行政での講演実績も多数。AFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持つ。一方、1996年親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年法人化した。現理事長。

<主な著書>「親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」「高齢者施設お金・選び方・入居の流れがわかる本」(共に翔泳社)、「遠距離介護で自滅しない選択」「親の介護で自滅しない選択」(共に日本経済新聞出版社)「親の介護には親のお金を使おう!」(集英社)ほか

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