コラム

義父母の介護をしなきゃダメ?夫の親なのに、どうして私ばかり……

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この記事の内容

明治から戦前まであった“家督相続”。長男が財産のすべてを引き継ぎ、長男の妻は“ヨメ”という立場で、家のことはもちろん、義父母の世話をすることも当然とされていました。しかし、現代社会では性別、生まれた順序にかかわらず子どもはみなおなじ立場です。

では、親に介護が必要になったら、だれがどのようにおこなうことになるのでしょう。

私が介護者!?

小林未知さん(42歳/仮名/千葉県)は夫(49歳)と高校生の長女との3人家族です。徒歩10分ほどのところで夫の両親はふたり暮らしをしています。義父は認知症と診断され、義母が介護をおこなっています。

未知さんは平日10時から16時のパート勤務です。義父の具合が悪くなってからは未知さんがパート帰りに義父母宅に寄るのが日課となりました。「最初は15分ほどのぞくだけでしたが、だんだん義母が私を帰してくれなくなったんです。30分、1時間と伸びて、最近は夕食の用意を手伝って、彼らが食事を始めてやっと帰宅できる感じです」と未知さん。

義父母宅に2時間以上いて、自宅に戻ってから夕食の用意や家事に追われる日々。「はっきりいって、へとへとです」と未知さんはため息をつきます。週末も義母から呼び出しの電話がかかってくるのだとか。「夫に『行ってきて』といっても、『僕じゃ、役に立たないから』と、私に押し付けるんです」

高校生の長女から離婚を勧められ……

義父母の力になりたい気持ちはあっても、それが当たり前のようになると辛くなる気持ちは想像できます。

しかも、義父母は「他人が家に来ると疲れる」といい介護保険の申請をしておらず、介護サービスも利用していません。「私を頼るより先に、介護保険の申請でしょ」と未知さんは怒ります。

未知さんばかりが振り回され、夫は週末にも義父母宅へ行かず、それどころか、隔週末、ゴルフに出かけるのだとか。そんな様子を見て、高校生の長女はいいます。「こんなの、おかしい!お父さんと離婚したほうがいいよ」と……。 

親を扶養する義務は実子にある

未知さんの長女は、未知さんが疲れ果てていることに納得がいかないのでしょう。

いまの法律では長男、次男、長女、次女……の区別はなく皆おなじように“親”に対する扶養義務を負っています。親が何らかの事情で生活できなくなった場合に援助しなければならないというものです(夫婦間や幼い子どもに対する扶養義務とちがって、老親に対しては“自分に余力がある場合”でよいとされています)。援助の内容は、トイレや入浴、食事の介助というよりも、主に金銭面を指します。

重要なのは、これらの義務を負うのは、実の子どもであり、“ヨメ”や“ムコ”ではないということ。つまり、「義父母の介護をしなければいけないか」と問われれば、“その義務はない”という答えになります。

「ひとりに負担が集中」はNG

「ときどき、娘のいうように、夫と別れることも考えます。こんな生活がずっと続くのは辛い。正社員の職が見つかれば……」と未知さんは小声で話します。

実際、親の介護をきっかけに離婚にいたるケースを見聞きすることがあります。しかし、それは、あまりに残念であり、避けたいことです。早めに話しあうことで、そういう不幸は避けることができるケースが多いと思います。未知さんの夫も、悪気はなく、自分の役割や未知さんの負担感に気づいていないだけかもしれません。

親の介護が始まったら、なるべく早く、どのように介護をおこなっていくか、それぞれの役割についてよく話しあいましょう。

未知さんのように、だれかが担うようになると、いつの間にかそれが“普通のこと”となります。「介護する人」「しない人」ができてしまうのです。そして、「介護する人」が頑張るほど、親は「何とかなる」と思いちがいをし、ますますサービス利用が進まなくなるケースもあります。そして「介護する人」は消耗していくことに……。

親がサービスの利用を嫌がる場合は、どういえば使う気持ちになってくれるか考えましょう。医師から勧めてもらうとか、実子がガツンと勧めるとか……。「これ以上、家族だけでささえるのは限界なんです」とはっきりいうとか……。親への提案は義理の関係では難しく、その性格をよく知る実子の出番です。

まとめ

親への扶養義務は実子にあります。つまり、介護への責任も実子にあるといえるでしょう。

親の介護が始まれば、なるべく早く家族間で話しあい、それぞれの役割について確認したいものです。

そして、親が嫌がっても、介護保険をはじめとするサービスを利用しましょう。家族ががんばりすぎると、親は「何とかなる」と思いちがいをし、ますますサービス利用が進まなくなる場合もあります。親の性格をよく知る実子が「うちの親は、どういえば聞き入れてくれるか」としっかり考えて提案したいものです。

実子が主となり、その配偶者はできる範囲でサポートをおこな

う。その大原則を守らないと、夫婦の関係はギクシャクしていきます。未知さんの長女が「離婚」に言及したように、次の世代にまで心配や負担を強いることにもつながりかねません。


(情報は2021年11月31日時点のものです。)

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この記事を執筆した人
太田 差惠子

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。企業、組合、行政での講演実績も多数。AFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持つ。一方、1996年親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年法人化した。現理事長。

<主な著書>「親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」「高齢者施設お金・選び方・入居の流れがわかる本」(共に翔泳社)、「遠距離介護で自滅しない選択」「親の介護で自滅しない選択」(共に日本経済新聞出版社)「親の介護には親のお金を使おう!」(集英社)ほか

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