コラム

久しぶりの帰省で老親の認知症を発見? 実家の冷蔵庫と車庫をチェックしよう

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この記事の内容

コロナの影響を受け、この2年半、実家への帰省回数が減った人が多いのではないでしょうか。今年のお盆には、久しぶりの帰省計画を立てている人もいるかもしれません。

せっかくの機会なので、親の心身状態に衰えがないか、困っていることはないか確認したいものです。

電話で聞いても「変わりはない」

大野真一さん(51歳/仮名/東京都)の両親(80代)は九州の実家で夫婦2人暮らしをしています。「コロナ前は、年に2度は帰省していましたが……。今年の正月に1年半振りに帰ったところ大変なことが起きていました」と真一さん。

真一さんの両親は、どちらも元気にしていたのですが、年末に、実家近所の親戚から、帰省を勧める電話がかかってきたそうです。「自宅に閉じこもっているせいか元気がないと……、とくに母親はようすが変だと」。真一さんはすぐに実家に電話をかけましたが、母親も父親も「変わりはない」というばかりでした。父親は耳が遠いこともあり、らちがあきません。

もともとは正月帰省の予定はなかったのですが、急遽、両親のようすを確認するために帰ることを決断しました。

冷蔵庫に腐った豆腐が並ぶ

真一さんは妻と2人で2021年の大みそかに実家に到着。

真一さんの母親は料理が好きで、おせちはしっかり作るタイプでした。ところが、重箱も鏡餅も見当たりません。台所は、正月前日とは思えないほど、汚れていました。弁当の空きパックやパンの包み紙がここそこに……。そして、冷蔵庫を開けて、「腰が抜けそうになりました」と真一さん。豆腐のパックが、12~13個並んでいたのです。日付を見ると、とっくに消味期限が切れています。「野菜室をのぞくと、カビのはえたきゅうりが入っていました。ただごとじゃないと思いました」と真一さんは当時を振り返ります。

父親に話を聞いたところ、母親が毎日のように豆腐を買ってくるというのです。父親が注意しても耳を貸さず、捨てようとすると怒るのだとか。掃除も料理もしなくなり、父親がコンビニで食べもの物を買ってきているとのことでした。

「『どうして、連絡してくれなかったんだ』と父に声を荒げてしまいました。でも、『お前も、忙しいだろうから』と……』

繰り返しおなじものを買う症状

真一さんの母親のようなケースは珍しくありません。

「帰省して冷蔵庫内を見たところ、おなじ銘柄の食パンが袋のまま並んでいて、ひっくり返りそうになった」という人がいました。数か月も賞味期限が過ぎたものもあり、封を開けているパンの一部はカビがはえていたそうです。そのケースでは、母親を受診させたところ認知症と診断されました。

認知症の人は記憶障害を引き起こすため、買いものに行っても何を買うつもりだったか忘れてしまうことがあるようです。結果、日ごろよく食べるものや使うものに関し、おなじものを繰り返し購入してしまうことがあります。  

また、冷蔵庫は日に何度も開閉しますが、冷気を逃がさないために、開けているのはごく短時間です。そのせいか、認知症に限らず、心身機能が衰えてくると、整理ができず、雑然としてくることが多いようです。

その結果でしょう。「冷蔵庫から親の異変を察知した」という声をよく聞きます。真一さんの母親も、正月明けに受診させたところ認知症と診断されました。

コロナにより「フレイル」増加

何か問題が起きたら、「親は自分に電話してくる」と思い込んでいませんか。しかし、そうとも限りません。親は「子どもに迷惑をかけたくない」と考えています。

「なるべく負担をかけたくない」との気持ちから、電話での会話くらいなら取り繕うのです。親心ともいえます。老親に対しては、「便りがないのは元気な証拠」という言葉は当てはまらないと思ったほうがよいでしょう。

一方で、コロナ禍以降、基礎疾患の悪化や認知機能の低下など健康への影響が生じている親が少なくありません。外出を控え、動かないことが影響しているようです。

介護の必要な一歩手前の状態を「フレイル(虚弱)」と呼びます。でも、フレイルであったとしても、早めに気づき適切な対策を行えば、進行を防ぐことができるといわれています。

車庫のキズも要チェック

久しぶりに帰省するなら、真一さんのことを思い出して、冷蔵庫のなかをチェックしましょう。また、もともときれい好きな親の住まいが雑然としていたら、心身機能が低下しているのかもしれません。

そのほか、車を運転する親なら、車庫の壁や車体もよく見てみましょう。衰えると、ぶつけることが増えます。もちろん、実際に親が運転する助手席に座ってみることも大切。もし、危険を感じるようなら、免許の返納についても相談を始めるタイミングです。

親の生活の何がしかに異変を察知したら、一度医師に診てもらうように勧めましょう。勧めても行かないことも考えられるので、可能なら、帰省中に同行を。また、介護のことでの相談、介護保険の申請をしたいなら、親の住所地を管轄する地域包括支援センターへ。無料で対応してくれます。

久しぶりに親と会うとき、“変わりはないかな”と観察の視点をもつのと、もたないのでは大きなちがいが生じます。かといって、ジロジロ見ると、親が気分を害すこともあるのでさりげなく。お盆帰省を有効に活用したいものです。

まとめ

親は、「子どもに迷惑をかけたくない」と考えており、何かあってもいってこないことが少なくありません。一方で、コロナ禍以降、外出を控え、動かないことで基礎疾患の悪化や認知機能の低下など健康への影響が生じているケースがあります。「フレイル(虚弱)」と呼ばれる、介護が必要な一歩手前の状態に陥っている可能性も。

親の異変は、冷蔵庫に表れることがあります。雑然と整理ができていなかったり、おなじものが大量に入っていたりすれば、何かが起きている兆候。

久しぶりにお盆帰省をする人は、「変わりはないかな」と観察の目で親本人やその住まいを見渡しましょう。もし、気がかりなことがあれば受診を勧めてください。介護のことや、介護保険の申請のことは地元の地域包括支援センターで相談に乗ってくれます。


(情報は2022年7月29日時点のものです。)

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この記事を執筆した人
太田 差惠子

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。企業、組合、行政での講演実績も多数。AFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持つ。一方、1996年親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年法人化した。現理事長。

<主な著書>「親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」「高齢者施設お金・選び方・入居の流れがわかる本」(共に翔泳社)、「遠距離介護で自滅しない選択」「親の介護で自滅しない選択」(共に日本経済新聞出版社)「親の介護には親のお金を使おう!」(集英社)ほか

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