コラム

義父母宅への“Uターン介護”で夫婦関係の危機!?いまの暮らしを手放すのはムリ!

この記事の内容


実家で暮らす親に介護が必要になると、「Uターン?呼び寄せ?」と慌てます。親を手助けしたい気持ちと、「同居なんて、ムリ」という正直な気持ちが交錯。結婚している場合、自分の親か配偶者の親かによって“気持ちの温度差”が生じ、ときには夫婦間の危機を招くケースさえあります。

夫の父親が認知症に

田中かおりさん(45歳/仮名/東京都)は夫と高校生の長女との3人家族です。かおりさんは東北出身で実家では両親が2人暮らししています。一方、夫は関西出身で、おなじく両親は2人暮らし。夫の父親は83歳と高齢で、認知症と診断されており、70代の義母が介護しています。

「夫は1人っ子で、両親のことを大切にしています。コロナ禍が始まる前は、毎月のように帰省していました」

「呼び寄せたい」といわれても

コロナが始まり、夫が帰省する回数は減りました。一方で、義母は体調を崩しがちで、久しぶりに夫が帰省すると、げっそりやせていたそうです。

そのようすを見て、夫は「両親を、こっちに呼び寄せたい」というようになりました。しかし、呼び寄せるといっても、2LDKのマンションです。「義父母の部屋を確保することはできません。それに、私だって仕事があるし、うちに来てもらっても、お世話できません」とかおりさん。しかし、かおりさんが「ムリ」というと、夫は「じゃあ、どうするんだ」といら立ちました。

夫婦で話しあいを重ねた結果、義父母には、かおりさん夫婦のマンションからほど近い“サービス付き高齢者向け住宅”に入ってもらおうという結論に。しかし、夫が義母に提案すると、「なんで、私たちが東京の施設に入らなきゃいけないの」とあっさり断られました。その一方で、「こっちに戻ってきてくれたら、嬉しい」と……。

夫の勤務先は、大阪が本社です。義母は、「いつか、息子は大阪本社に戻って来る」と信じていたようです。夫は「大阪に転勤希望を出そうと思う」といい出しました。

移住だって簡単じゃない

「でも、そんな簡単に3人で関西に引っ越しなんてできません」とこわばった表情でかおりさんは話します。かおりさんもフルタイムで勤務し、やりがいのある仕事をしています。長女も東京で高校に通っており、東京の大学を受験する予定です。

「夫は、関西で転職したらいいとか、関西にも大学はたくさんあるとかいうのです。彼は大阪の大学を卒業していますし」とかおりさん。

かおりさんも長女も、現在の環境に満足しています。それに、いずれ、東北の実家で暮らすかおりさんの両親も介護が必要になるでしょう。関西に行けば、ますます遠くなります。

「話しあううち、あんまり夫が分からないことをいうもんだから、『どうしても行きたいなら、あなた1人で行けばいいじゃない』といってしまったのです」とかおりさん。それから2日間、夫とは口をきかなかったといいます。

義父母を支える3つの選択肢

家族が揃って“Uターン(移住)”に賛成するなら、それも一つの選択肢なのでしょう。同居でなくても、近所で暮らせば親子双方の安心感は増すのかもしれません。

しかし、移住すれば、これまで培ってきたコミュニティを離れることになります。仕事や学業にも影響します。家族のなかに反対する者がいる場合、強行しないほうがよいと思います。家族関係にヒビがはいりかねません。

では、“呼び寄せ”“Uターン”以外に、義父母を支える方法はあるのでしょうか。

選択肢は大きく分けて3つだと思います。

  1.  在宅サービスの量を増やし、帰省や連絡の頻度を高くする

  2. 義父に高齢者施設に入ってもらう

  3. 夫だけ義父母宅に移住する(近居含む)

1は現在の生活を継続させる方法です。ケアマネジャーともよく相談し、義父が利用するサービスを増やして、介護者である義母の負担を軽減させます。精神面も支えられるように、子が帰省したり連絡したりする頻度を高めます。

2は要介護の父親に施設入居してもらう方法です。義母が在宅なので、実家の近所の施設がよいでしょう。そうすれば、義母は頻度高く面会に行くことができます。

3はUターンを望んでいるかおりさんの夫だけが義父母宅か、その近所に移住する方法です。筆者は“単身介護赴任”と呼んでいます。しかし、看取りのためなど限られた期間ならともかく、長期化した場合、「どちらが、“家族”なのかわからなくなった」という悲鳴のような声を聞くことがあります。夫婦関係がおかしくなり、離婚にいた至ったケースも何組も見ています。

親を介護する方法に正解はありません。けれども、夫婦関係にヒビが入るようなことは避けたいものです。この先、自分たちは、親よりもずっと長く生きていかなければならないのですから。子も生身の人間です。家族全員が満足できる介護などありません。「そこそこよ良いと思える方法」を選びましょう。

まとめ

実家で暮らす親に介護が必要になったとき、「Uターン?呼び寄せ?」と慌てることがあります。そんなとき、夫婦間には“心の温度差”が生じがちです。そのことを理解したうえで、しっかり話しあいを。

現在の生活を継続するのか、施設介護を検討するのか。あるいは、希望する者だけがUターンして、単身で親を支えるのか……。

親のことも大切ですが、自分たち夫婦のこれからのこともよく考えましょう。親も子も万々歳の介護などありません。「そこそこよ良いと思える方法」を見つけたいものです。


(情報は2022年4月27日時点のものです。)

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この記事を執筆した人
太田 差惠子

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。企業、組合、行政での講演実績も多数。AFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持つ。一方、1996年親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年法人化した。現理事長。

<主な著書>「親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」「高齢者施設お金・選び方・入居の流れがわかる本」(共に翔泳社)、「遠距離介護で自滅しない選択」「親の介護で自滅しない選択」(共に日本経済新聞出版社)「親の介護には親のお金を使おう!」(集英社)ほか

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