基礎知識

資産管理の方法と注意点|資産を整理して相続準備を始めよう

この記事の内容

「終活」のひとつに、所有する財産や権利関係を整理する資産管理があります。

「人生100年時代」と言われるいま、将来の生活や資金について不安はありませんか?「老後資金が心配……」「充実した、ゆとりあるシニアライフを実現したい」
そんな方は、まず自分のもっている資産を把握することから始めてみてください。

こちらの記事では、自分がどのくらいの金融資産をもっているのかを把握し、管理するための方法をご紹介します。

資産管理で大切なこと

資産管理をおこなううえで大切なことは、大きく3つあります。

1.  自分の資産と負債を把握する

自分がどのような資産をもっているのか、どのような負債を抱えているのかを把握しなければ、適切な管理はできません。まずは資産と負債の全体像とバランスを把握することから始めてみましょう。

資産には現金や預貯金だけでなく、保有している株式や生命保険、不動産なども含まれます。また負債については、住宅ローンやカーローンだけでなく、クレジットカードのキャッシングや個人的な借金もあわせて把握することが必要です。

[何が資産にあたるのか、くわしく知りたい方はこちら]

2.  将来を見すえた準備をする

2つ目は、将来を見すえた準備をすること。いまのあなたの年齢から

  • どれだけ生きる可能性が高いか
  • その年齢まで生きるとして、どれだけのお金が必要なのか
  • それだけのお金を、いまもっている資産でまかなえるのか


を考えてみてください。

資産管理では「いま」の状態に目がいきがちですが、将来を見すえた準備が大切です。この「将来」には、充実したシニアライフをおくり、そうしていつかあなたが亡くなって相続が発生するところまでが含まれます。

「人生100年時代」、退職して時間に余裕が生まれると新たに挑戦したいことも出てくるのではないでしょうか。そうしたときに十分な老後資金が確保されていないと、希望を叶え生き生きとしたシニアライフをおくることは難しくなります。

老後資金2,000万円問題も叫ばれるいま、「まだ早い」と思わず先を見こして備えはじめてみましょう。

3.  家族に情報を共有する

3つ目は、資産の情報を家族と共有することです。

本人が資産と負債の状態を正しく把握していたとしても、そのことを共有しなければ家族は何もわかりません。もし亡くなった人が適切に資産を管理できていなければ、のこされた家族は、資産と負債の特定からしなければいけないことになります。さらに本人しか把握していない資産がある場合、そのまま発見されず、正しく相続されない可能性もあるのです。

いざというときにのこされた家族がスムーズに対応を進められるよう、管理している資産の情報を整理し、保管場所を伝えておきましょう。また、ご家族関係が複雑な方や相続に不安がある方は、遺言書を作成することもおすすめです。

さらに資産管理をすることは、相続のためだけでなく、ご自身が認知症になったときの対策にもなります。事前に家族に情報共有しておくことで、資産管理を引き継ぐこともできるのです。

それではここから、代表的な資産について、相続に向けた準備方法と注意点を解説していきます。

銀行の預貯金

過去転勤が多かったり目的別に口座を分けていたりと、複数の口座で管理している人も多い、銀行の預貯金。相続手続きには必要な書類が多く手間がかかるほか、本人以外が解約するにも大変な労力がかかるため、家族の負担を減らせるように次の準備をしておきましょう。

相続に向けた準備方法

まずは、現在もっている口座をすべて書き出し、通帳やキャッシュカードがきちんと保管されているのかを確認しましょう。あらためて整理してみると、使っている口座、お金は入っているけれど使っていない口座、お金が入っておらず使ってもいない口座に分かれることに気がつきます。

自分がどれだけの口座をもっているか確認したうえで、使用頻度の低いものは解約するなど、口座の整理をしましょう。

注意点

預貯金のリストを作成するときは、金融機関名と支店名、口座番号を記載しておきます。とくに通帳がないネット銀行などは家族が気づかないことも多いため、忘れずに記載することが大切です。しかし口座残高や暗証番号は書かないようにしましょう。金額は日々変化しますし、第三者に見られる恐れがあります。

また2019年度から「休眠預金等活用法」が始まりました。これにより、2009年1月1日以降の取引から10年以上取引のない預金などは、社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用されます。この制度の対象となった場合、預金を引き出すことはできますが、手続きが必要になるので注意してください。
(参照:金融庁「休眠預金等活用法」2017年)

株式、債券などの資産

株式や債券なども資産にあたります。次のような準備をしておきましょう。

相続に向けた準備方法

まず利用している証券会社を洗い出し、契約書など保持していることを証明する書類がきちんと保管されているのかを確認しましょう。

注意点

リストを作成する際には、銀行の預貯金とおなじく支店名と口座番号を書き出しましょう。さらに証券会社においても、インターネット上で取引を完結できる「ネット証券」があります。こちらの内容も忘れずに確認しておきましょう。

また、一般的には、歳を重ねるにつれ判断能力の低下が見られるといわれています。
高齢者への投資信託の販売に際しては、日本証券業協会が「75歳以上を目安とする高齢顧客に対しては慎重な勧誘勧誘による販売を行うこと」「85歳以上の顧客には、より慎重な対応が必要なこと」を強調するガイドラインを策定していますが、ご本人や家族でも対策できるとよいでしょう。

証券会社には、ご本人の意思が表明できる場合に代理人登録をしておくことで、ご家族が資産管理をすることができるサービスがあるので、利用を検討するのも一つの手です。(ただし認知症などでご本人の意思疎通が難しい場合は、売買することも難しくなります。)

また運用商品の整理や家族信託の利用などは、早めに対策を打っておくことが大切です。

保険証券などの重要書類

重要書類とは、保険証券や年金証書、通帳、登記識別情報(旧登記済証)など資産に関連する書類です。

これらの重要書類は、普段は目につかないところに厳重に保管されているのではないでしょうか。そのため急にご病気になったり相続が発生したりした場合は、ご家族がなかなか書類を見つけられないという事態にも陥りやすくなってしまいます。まずは原本がしっかり保管されているかを確認しましょう。

相続に向けた準備方法

所有している重要書類のリストを作成する際には、保険であれば証券の保管場所、保険金額や支払い条件、受けとり人などの情報もあわせて記録にのこします。そのなかで必要のない保険は解約したり、不足している部分の保障を追加したりして、今後に備えます。

注意点

医療保険などは資産にならないと思っていても、死亡保障がついているものもありますので、保険証券の内容は一つひとつ確認するようにしてください。また医療保険は、生前に代理請求するケースがあるため、保険証券の保管場所は必ず家族と情報共有しておきましょう。

また自宅や自家用車にかけている損害保険は、相続後も続けて利用する場合、名義変更の手続きが必要です。相続が発生した後スムーズに引き継ぎできるよう、これらの保険の引き落とし口座や金額、保険内容などの情報も記載しておきます。

クレジットカード

相続が発生すると亡くなった人の口座は凍結され、引き落としができなくなります。クレジットカードに残債がある場合は現金での支払いになるため、相続人に予期しない支払いが発生しないよう、クレジットカードも整理しておきましょう。

相続に向けた準備方法

そもそもクレジットカードは名義の変更ができないので、相続はなされません。しかし、年会費や亡くなるまでに発生した支払いは、相続人が引き継いで支払う必要があります。そのため、まずはもっているクレジットカードの保管場所を確認してリスト化し、公共料金の支払いやそれぞれの年会費、支払い方法を記載しておきましょう。

また主に使っているクレジットカード以外は解約することをおすすめします。

注意点

クレジットカードについているポイントは、本人しか使えず解約すると失効するため、相続財産の対象外になります。

また家族が家族カードを利用していた場合、クレジットカードを解約すると家族カードも使用できなくなるので注意してください。相続が発生する前に、家族は家族カードから個人名義のカードに切り替えておきましょう。

不動産

不動産は大きな資産ですが、現物は簡単には分けられないので、相続時には権利関係のトラブルを引き起こしやすくなっています。家族が揉めず、自分の希望に沿う相続がスムーズにおこなわれるように、早めに対策をしましょう。

相続に向けた準備方法

相続に向けて、まずは所有している不動産をリスト化し、それぞれの不動産の権利関係を明記します。不明な場合は登記簿謄本を取り寄せ、明確にしておきましょう。土地の地目や面積、建物の種類、構造、床面積、持分割合や担保の有無など、登記簿謄本に記載されている項目もすべて記載しておくと、相続をスムーズに進めやすくなります。

登記簿を取ることで、未登記の不動産や、相続時に名義変更ができていないものがないかを確認できます。このような不動産は、相続が発生したときに手続きが複雑になるので、気づいたらすぐに対応してください。

注意点

不動産が共有名義になっている場合、売却には名義人全員の同意が必要になります。またいまの自宅の土地が借地だった場合には、地主に借地権者が変わったことを連絡する必要があります。

不動産を整理するときには、権利関係を正しく把握するようにしてください。

借金

借金も相続されます。どこから、いくら借りているかをリスト化しておきましょう。

相続に向けた準備方法

相続には、通常の相続のほかに、一定範囲の負債を含む資産を相続する「限定承認制度」や相続財産のすべてを放棄する「相続放棄」があります。相続人がどのような対応を取るかには、借金の金額が大きく影響します。

限定承認や相続放棄ができるのは、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内と民法により定められているので、迅速な決断が必要です。このとき相続人が正しい判断を下すためにも、借金の情報は確実にのこしておきましょう。

注意点

リストを作った後も借金の返済は続きます。いつ時点の残高かを明記のうえ、定期的にリストを見直すようにしましょう。

またキャッシングを利用している場合や個人間で借金している場合も忘れずに記載します。とくに個人間の借金は、相続が発生した後しばらく経ってから判明して、トラブルになるケースが多いので注意してください。

資産リストを作成しよう

別々に資産のリストを作って管理していた場合、その存在を忘れたり、どこに保管したかがわからなくなったりする可能性があります。

そこで、ここまでご紹介した資産をそれぞれリスト化した後、相続に向けてひとつの資産リストにまとめましょう。ただしパスワードや暗証番号など大切な情報の管理には注意する必要があります。

資産リストに決まった書式はありませんが、アプリなどを使うと最初から書くべき項目が準備されていて、書き漏れをなくせるのでおすすめです。終活アプリ『楽クラライフノート』なら、資産をリスト化できるだけでなく、家族への情報共有も簡単にできます。資産リストの作成になかなか手を出せない方は、まずはどんな資産をもっているかだけでも書き出してみてくださいね。

まとめ

充実したシニアライフを実現するためには、いまもっている資産を管理して老後資金をしっかりと確保することが欠かせません。また自分の死後、家族を資産の相続で困らせないためには、現在保有している資産の保存場所・管理方法をしっかり確認しておくことが大切です。

もしいま、決まった資産管理方法がなければ、ぜひ終活アプリ『楽クラライフノート』を使ってみてください。総資産の管理や家族への情報共有が簡単にできるだけでなく、どの資産をだれに相続させたいかなどの希望も入力できます。きっと、あなたと家族の助けになるはずですよ。


(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部 情報は2020年10月27日時点のものです。)

この記事を監修した人
杉山 夏子

マネー・スタイリスト株式会社代表取締役社長
終活アドバイザー®、相続士®、CFP®、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、FIWA認定アドバイザー
大学卒業後外資系IT企業に就職した後、2007年よりシンガポールへ移住し日系金融会社に勤務。帰国後ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、資産形成から保全にいたる知識と経験を駆使し、ファイナンシャルスタイリスト® として、ライフプラン、資産形成、相続等の相談業務を実施。

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