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ファンドラップとは?メリット・デメリットや向いている人を解説
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この記事の内容
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、相続手続きカウンセラー。
大手金融機関での営業や企業の経理など、お金に関する仕事に約30年従事。
43歳のとき乳がんを発症し、誰にも言えない悩みこそ誰かを頼るべきことだと気づく。
2015年2月金融商品を販売しないFP事務所を開業。
主に子どものいない方、がんなど病気を抱えている方、医療従事者の「お金に関する相談」、「残さない終活プランニング」、講演を行っている。
この記事をおすすめする人 投資のプロと相談して、資金運用を任せたい方 この記事のポイント
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株式投資にFX、あるいは金などの商品というように、投資にはさまざまな方法、仕組みがあります。
投資初心者であると、どの商品にいくら投資するのが妥当かわからないという方もいるかもしれません。そんな人に代わってプロが資金を運用する「ファンドラップ」という投資の仕方が存在します。
この記事では、ファンドラップとは何か、そのメリットとデメリットを解説します。
ファンドラップとは
ファンドラップとは、投資家がサービス提供業者にある程度のまとまった資金を預け、資産管理・運用をプロに一任するサービスのことです。ファンドラップは主に銀行や証券会社が販売しており、最低投資金額は300万円や500万円に設定されているケースが多くなっています。
なお、ファンドラップの手数料に相当するものとしては、口座管理手数料や投資一任報酬、信託報酬などが存在します。ファンドラップを提供している銀行や証券会社によっては、手数料の名称や仕組みが異なる場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
ファンドラップと投資信託のちがい
プロに運用を任せるのは投資信託もおなじなのでは?」と疑問に思う方がいるかもしれません。ファンドラップと投資信託は、専門家に依頼できる範囲にちがいがあります。
ファンドラップの場合、専門家は投資家へのヒアリングを基に、オーダーメイドで商品選択や資産配分の決定、投資商品の売買、口座管理などを行います。投資家は、許容できるリスクの範囲や投資の目的など投資方針を伝え、まとまった資金を預けることで、専門家に運用や管理を一任できます。
一方、投資信託の場合、専門家は投資家から集めた資金をひとつの大きな資金としてまとめ、投資信託ごとの運用方針に基づき運用や管理などを行います。商品ごとに株式や債券など投資対象や、国内・先進国・新興国など投資地域にちがいがあります。たとえば、「日本・株式」と記載のある投資信託を購入した場合、専門家は日本株のみで株式投資を行います。6000本近くある投資信託から投資家自身が商品選択をおこなうため、ファンドラップよりも運用方針を細かく決めておく必要があります。
ファンドラップのメリット2選
ファンドラップのメリットとして挙げられるポイントは、以下の2点です。
1. プロが運用してくれるので忙しい人でも始められる
ひと口に資産運用といっても、株式や債券、商品先物取引などさまざまな金融商品が存在します。しかし、投資に慣れていない方にとっては、どの金融商品を選べばよいかわからず、投資のハードルが高いと感じるようです。
その点、ファンドラップであれば、それぞれの金融商品に関する十分な知識と経験をもったプロに運用を任せられます。自身で運用や管理をする手間がかからないため、仕事や家事で忙しい人でも気軽に始めることができます。
2. プロの運用の下で分散投資が可能
資産運用にはさまざまな方法がありますが、すこしでもリスクを避けるのであれば1つの金融商品、銘柄に絞り込むのではなく、値動きの異なる複数の投資先に分散することが基本といえます。万が一、投資先銘柄が暴落したとしても、投資先を分散していれば被害を抑えられるためです。
よりリスクを抑えた投資を実現するには、プロが選定した投資先に適切に分散できるファンドラップはひとつの選択肢となるでしょう。
ファンドラップのデメリット3選
信頼性の高いプロの目による資金運用が可能なファンドラップですが、メリットばかりとは限らずデメリットが存在することも事実です。ファンドラップの利用にあたって注意すべき3つのポイントを紹介します。
1. まとまった資金が必要
冒頭でも紹介したとおり、ファンドラップは最低でも300〜500万円の資金を用意しなければなりません。現在、資産運用は多様化しており、たとえばNISA(少額投資非課税制度)のように100円単位で始められるものもあります。株式投資であっても、銘柄によっては数万円単位で投資できるものも多いため、最低投資金額が高額という点はファンドラップのデメリットといえるでしょう。
2. 手数料が高額
ファンドラップは投資信託よりも専門家に一任する範囲が広いので、手数料が高額になります。具体的に、口座管理手数料や投資一任報酬、信託報酬などの手数料が存在し、契約中に負担する手数料等費用は、「固定報酬型」と「成功報酬型」の2種類から選択します。
このうち「固定報酬型」は、口座管理手数料や投資一任報酬などは契約資産の時価評価額の1.5〜2%(年率)前後であるケースが多く、これに加えて1%前後の信託報酬がかかります。
「成功報酬型」は、固定報酬に加え時価評価額の増加額に対し10~20%程度の成功報酬を負担します。負担の時期は金融機関ごとにちがいがあるので、前もって確認しておきましょう。
投資信託商品を購入した場合にかかる手数料は販売手数料が0%~5.0%・契約解除時にかかる信託財産留保額が0.1%~0.5%・信託報酬が0.1%~1.0%のため、ファンドラップにかかる手数料は比較的高いと言えます。配当を得たとしても手数料に消えてしまう可能性があるため、ファンドラップの利用にあたっては慎重な判断をおこないましょう。
3. 元本割れするリスクもある
プロに運用を任せるファンドラップは、資産運用にあたっての損失のリスクを軽減するには有効な方法であることに変わりはありません。しかし、株式や先物取引、債券などには値動きが生じる以上、絶対的にリスクが伴わないとは断言できないのも事実。
元本割れのリスクも十分あり得ることを理解したうえでファンドラップを利用する必要があります。
ファンドラップが向いている人は?
ファンドラップのメリットやデメリットを考慮しつつ、具体的にどのような人がファンドラップに向いているのか2つの例をもとに解説しましょう。
資産運用について考える時間のない人
ファンドラップはプロに資産運用を一任するため、投資先の選定や運用の手間がかからないメリットがあります。仕事や家事など忙しく、資産運用をしたくても時間が取れない方に向いているサービスといえるでしょう。
プロがどんなポートフォリオを組むのか学びたい人
資産運用の方法やコツを学ぶという意味で、ファンドラップは有効な手段と考えることもできます。すでに株式投資や先物取引を行っている方のなかには、よりよい結果を求めて投資のプロや専門家のポートフォリオ(資産構成)を参考にしてみたいと考えることもあるでしょう。そこで、ファンドラップへ申し込み後、運用計画として提案された内容とその結果をもとに、今後の投資先や割合を自身で判断する材料とすることもできます。
ファンドラップを利用するときの流れ
銀行や証券会社にファンドラップを申し込んだ場合、そのあと実際に資産運用へいたるまでどのような流れで進んでいくのでしょうか。ファンドラップを提供している銀行や証券会社によっても多少異なる場合はありますが、大まかな流れを4つのフェーズに分けて紹介しましょう。
1. 運用目的のヒアリング
顧客によっても資産運用の方針はさまざまで、リスクをとってでも大きなリターンを望む場合もあれば、リターンは小さくても堅実な運用を望む場合もあります。
そのため、ファンドラップは単に資金を丸投げするのではなく、顧客が希望する資産運用の方針をヒアリングすることからはじまります。そのうえで、証券会社や金融機関が運用計画を立案し、顧客に対して提案を行います。
2. 運用の実施
運用計画の立案が終わり顧客との合意が取れたら、運用計画に基づいて資産運用をスタートさせます。
運用によって含み益または含み損が出た場合には、運用計画に基づいた配分とするために売却または購入を行います。これを“リバランス”とよびます。
3. 運用情報の報告と顧客の意向確認
運用開始後、一定のタイミングで銀行や証券会社から運用状況の報告が行われます。これまでの運用実績においてどの程度の利益または損失があったのか、時価評価額や取引ごとの明細表なども報告します。
また、顧客自らオンライン上で運用状況をリアルタイムで確認できるサービスを提供している企業もあります。
一定期間ごとに資産運用の実績を確認しながら、顧客はこれまでの運用方針でよいかを判断し、必要に応じて方針の転換を依頼することもできます。
4. 運用計画の再構築と運用の継続
もし、これまでの運用方針から変更を希望した場合には、あらためて運用計画を立案・提示し、新たな方針のもとで運用が継続されます。
ファンドラップを利用するなら余剰資金で
ファンドラップはプロが資金を運用してくれるというメリットがある一方、始めるにあたっては最低でも300〜500万円程度の資金が必要です。資産運用の観点から、すべての資金をファンドラップに投じるのはリスクが大きいため、余剰資金を投じることが大前提といえるでしょう。また、ヒアリングの際には投資に対する考え方や方針を詳細に伝えることも重要です。
ファンドラップに限らず、投資は自己責任が原則。商品には必ず一定のリスク・リターンが存在するので、ファンドラップの利用を検討している方は、今回紹介したメリットとデメリット、運用までの流れをしっかりと把握し、自分自身に合った資産運用を実現しましょう。
(執筆編集:NTTファイナンス 楽クラライフノート お金と終活の情報サイト編集部)
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